secundarium creatio 作:スクリプター
何か娯楽を求めても、熱中したことなんてなくて。
それでも周りに合わせてハマってるふりをして。
そんな人生を歩むぐらいなら。
全部壊して、リセットしちゃえばいいんだ。
痕跡集めを始めてから、約2か月が経とうとしていた。
あの日見た仮面のステージは、もうなくなっていて。
それでいて、あの時の熱はいまだ燻り続けている。
もうないものを追うときほど、虚無なことはないだろう。
心の虚無を埋めるために、今までのキーワードがまとめられたシートを開いた。
「...?『MujicaCarnivalはあなたを見ている...』」
おかしい。
こんな表示はなかったはずだ。
何が起きている?
「...っ、どこも真っ黒...!」
誰でも弄れるようにしていた弊害がここで出た。
今から狂気に落ちようと思う人間も少なくないが、この状態じゃ上位に入れない。
「...一体、誰が...?」
『MujicaCarnivalはあなたを見ている』
その言葉の通りなら。
彼女たちは、今も自分たちを監視下に置いている。
そして、目の前からヒントを消し去った時の反応を面白がっている。
「俺にはノーダメだけど...」
かなり痛手だ。
現時点で60個ほどある痕跡、5本のMV。
それらを見つけるには、全国を飛び回らないければいけない。
「いや、待て」
確かに彼女たちは「シートにまとめられるとは」と驚いてはいたが、それをするなとは言わなかった。
屁理屈気味にはなるが、それでも、今すぐやめろとは言わなかったはずだ。
ならば、これは。
「...有志か」
有志が集めた痕跡表は、有志によって壊された。
彼女たちは協力をしろと言ったのに。
人の闇を見たいわけじゃないはずなのに。
「...?」
ふと、手の中の携帯が震えた。
電源を付けると、『MujicaCarnivalが画像を送信しました』の文字。
ロックを解除して画像を見る。
「選に、堕?」
画像の内容を要約すると、
次週の月曜日に、プレリュードを獲得する最後のチャンスが与えられる。
20:00に出題される問題に答えられた先着1??人と、総合狂気値の上位10人。
ということらしい。
これが、彼女らが出した2回のチャンスという訳だ。
「ここで、掴まなければ」
次はない。
そう考えるだけで、指が、体が震えだす。
「はっ、はっ...」
落ち着け、まだ始まってすらいないんだ。
今から焦っても何もないんだ。
その時に備えてゆっくり待とうじゃないか。
「Ave、Mujica」
AveMujica。
彼女らの名前。
音沙汰なく現れ、音楽を奏でては去っていく集団。
俺は、その正体が知りたい。
しかし、それはだめだと後ろ髪を引かれている。
でも。
「この目で、確かめる」
信者なら、教祖のために死ぬのが道理だろ。
ーーようこそ。Ave Mujicaの世界へ