色使いは七色と舞う「クソザコ能力だったけど、能力を極めた結果、最強になりました。」 作:ぱすたご
「まさか、ビギニングが敗れてしまうとは、、、、従順にするために知能を低くしたことが仇となってしまったか。いやはや、君が私の想定を上回ってくるなんて思ってもいなかった。」
千篇は目の前で両断されたビギニングをちらりと見て、そのすぐ傍で返り血を浴びて立っているタクミに話した。
「予想やらプランとかよくわかんねえが、お前をここで拘束させてもらうぞ!」
タクミは拘束するべく、鞘から取り出した双剣を持ちながら重い足取りでジリジリと詰め寄る。
歩くたびに背中を中心とした体中が痛いが、千篇を逃すなんてことは最強である自分にとってあってはならないことだった。
「そんなに疲れ果てた身体で私を捕まえようとは、、舐められたものだ。実験データもだいたいとり終わったから悪いけど撤退させてもらうとするよ。」
千篇はビギニングとタクミの戦闘が起こる前にまとめた研究資料や特殊な薬品が入ったキャスター付きのスーツケースを手に取った。
「待てっっっ」
部屋に響きわたるほどの声を出し、タクミは千篇を引き留めようとする。
だが、千篇はその声を無視してタクミが入ってきた扉とは真反対にある扉へ向かおうとーー
バンッ
「全員動くな!!」
タクミが入ってきた扉が蹴破られる。
扉に目を向けると部屋に入ってきたのはシンを主とした対異能犯罪取締機関に所属する第四部隊の面々であった。
入ってきた仲間たちは部屋の奥にいるのが千篇だとすぐに認識し、拘束するべく場に適した能力を使い、武器を構えた。
間に合ったか、、来てくれて助かったぜシンさん!!
タクミは救援がギリギリで間に合ったことに安堵したことで踏ん張っていた足の力が緩み、そのまま床に崩れ落ちた。
「大丈夫かっ、タクミッ!!」
シンはタクミのもとにすぐさま駆け寄り肩を貸した。
「サンキュー、シンさん。助かったぜ。」
「ここまでよくやった。後は俺たちに任せとけ。」
シンはタクミを楽な体制で壁際に座らせて、こちらの様子をうかがっていた千篇と仲間と共に向かい合った。
「晩夏十千篇!対異能犯罪取締機関第四部隊隊長の音塚シンが16時35分をもってお前を逮捕する!抵抗するつもりなら容赦はしないぞ!!」
「どうやら、私はここから逃げ出すことはできないようだね。参ったなぁ、、、、なんて言うと思った?実験データを送った時点で私の計画の第一段階は終わったんだよ。私が今ここで捕まろうが、私はどこにでもいるような存在だ!私がいなくなれば、私はまた出てくる!ということで今回はさよならだ。」
なんと、千篇は逃げずに何を思ったのかアタッシュケースを前に抱えてこちらに駆け出してきた。
正面突破でもするつもりなのだろうか?
「抵抗するつもりか?止まれっ、、、、、、やむをえん。撃つぞ」
バンッ
問いかけても止まらずに突っ込んでくる千篇に対して、銃を持つものは弾丸を一斉に放った。
あろうことか千篇は何も反撃をせずに銃弾を受け止めた。
服やアタッシュケースに弾は命中し、空いた穴からは薬品がぽたぽたと千篇の身体からはだらだらと血がこぼれ落ちた。
千篇は先ほどの知的な姿を微塵もみせずに狂気に表情をゆがめ、ポケットから取り出した注射で刺突しようとアタッシュケースを放り投げ駆け出してくる。
「ふーっ、ふーっ。死ねえええええええええ」
最後の抵抗を見せようと、注射を一番近くにいたシンに刺そうと振り下ろした。そんな見えすいた攻撃が通用するはずもなく、シンは軽々とよけ、そのまま千篇の鳩尾を殴ることで意識を刈り取った。
「こいつ、なんで急にこんな無謀な行動をしたんだ?」
事態が収束し、落ち着いた現場で第四部隊の隊員の一人が疑問に思ったことをそのまま口に出す。
「いいじゃないの。追い詰められて狂気的な行動に走るのはよくあることよ。ほらさっさと撤収して事後処理は警察に任せましょ。」
もう一人の同じく黒スーツに身を包んだ風貌のよい女性は仕事が終わったことに満足して、気にしなくていいんじゃないのとその男性に語り掛けた。
確かに考えればおかしい。なぜ、千篇は急に自殺行為になるような行動をしたんだ。まるでわからない、、、
まぁいいか、今回もいい敵と戦えたから。あとは警察と分析班にでも任せよう。それにしても戦闘は楽しくていいんだけど、書類書くのがなぁ、、、めんどくせぇえ
そう思いながら、タクミは現場の処理をしている第四部隊の仲間に助けに来てくれたお礼を言うべくゆっくりと立ち上がろうとした。
プスッ
痛ってぇえええ
ちくりとした痛みがした首筋を反射的にはたく。ぱちんと手と肌のあたる音して、刺したものの正体を見るべく手をみると蚊みたいな虫がつぶれていた。
虫かよとおもいながら潰れた虫を地面に払い落とした。
その後、何事もなく現場の処理は行われ、引き続きの調査は警察に任せることになった。
タクミは内臓を負傷していたので第四部隊の治癒系統の能力者に治療してもらった。
ある程度まで直して、それ以外は病院で治すという選択肢もあったが、焼き肉に行くという話が持ち上がったので何としても参加したいとタクミはその治癒能力者に頼み込んだのであった。
そのせいもあってか、焼き肉店で会計を済ませた後のシンさんの財布から万札がなくなってしまったのは別のお話である。
時は夜になり、対異能犯罪取締機関が管理する寮にもどったタクミは体にほてりを感じていた。
熱か?早く寝て、明日の仕事に支障が出ないようにしないとな
シャワーを軽くすました後、体に熱のほてりを感じながらベットに潜り込んだ。
タクミの意識は深い深い眠りへと誘われるように落ちていった。
彼は起きたら彼でなくなることを知らずに、、、、、、、
ここまで読んでいただきありがとうございます<(_ _)>
今回で序章は終わりです。次回からタイトルにつながる物語の本編に入ります。