色使いは七色と舞う「クソザコ能力だったけど、能力を極めた結果、最強になりました。」   作:ぱすたご

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#12で音塚紗理奈の能力は感情共有と書きましたが、記憶共有に訂正させていただきました。


#13 最強は悶え、反撃する

ビルの8階、音塚紗理奈が管理している研究室にタクミはいた。

 

「ひゃうっっ、くすぐってぇよ」

 

検査用の簡易的な服に着替えさせられて、身長体重、血圧、脈拍などの基礎的な検査を終えた後、簡易ベッドに寝かされたタクミは紗理奈に体を触診という名目で体のありとあらゆるところを触られていた。

 

「あらあら、タクミちゃん。変な声出しちゃって、ここが気持ちいのかなぁ?」

 

紗理奈は丸い眼鏡の奥で栗色の瞳を輝かせ、にやにやとしながらタクミの身体を楽しそうに手で触りつづける。髪の毛先から指の爪先まで、その一つ一つをなぞるように触れてゆく。

 

「このせくはらおんなぁ!」

 

「仕方がないじゃん。私の能力は体の半分以上の表面積に触れることで力を発揮するからね。」

 

「だったら、普通に触ってくれないっっ。んっっ、変な感じがするっっ。」

 

「え~、だめですー。やめませんー。タクミちゃんがこんなにかわいい女の子になって悶絶している姿なんて、これから先、お目にかかれるかわからないじゃん。お姉さんがいっぱい可愛がってあげるから、検査楽しもうね。目を涙でゆがめさせて、限界までいじめたいよハァハァ」

 

ヤバいヤバいヤバい

 

理性という名の栓がどっかいっちゃってるよ、この人。

 

これ以上やるとR18になっちまう。気持t、くすぐったいけどやめさせなければ。

 

色調変化(カラーイリュージョン)

 

抑えきれない欲望を目に宿した紗理奈さんを止めるべく、隙を見て、額にデコピンをお見舞いすると同時に能力を使用した。

 

「いたいっっ」

 

突然、デコピンによる反撃をもらった紗理奈は反射的に額を両手で抑え、目を閉じてしまう。まぶたをゆっくりと開くと紗理奈の視界からタクミの姿は消えてしまった。

 

「紗理奈さん、これ以上、俺の体で遊ばないでくれよっ」

 

透明化で姿を見えなくしたタクミは、紗理奈に向かって非難の声をあげる。

 

「いやぁ、あまりにも可愛かったからつい、、、はめをはずしちゃうところだった。ちゃんと検査するから姿を現してくれない?タクミちゃん。」

 

紗理奈は艶やかな栗色の髪をくるくるといじりながら、申し訳なさそうに謝罪の意をタクミに伝えた。

 

やっぱりふざけて検査してたんじゃねぇかよ、頼むから理性のブレーキをかけてくれ。

 

次に同じことをしてきたら、秘蔵のホラー映像を紗理奈さんの目に流し込んでやるからなと心の中でつぶやいて、姿を現した。

 

「頼みますよ、紗理奈さん。次は本当に許さないからな」

 

「ごめんごめん、真面目にするって。じゃあ、体に触れさせてもらったことだし、両手で私の手を握り締めてくれるかな。」

 

「わかりました。」

 

タクミは紗理奈の左手を両手で握ろうとするが、手の大きさが小さく、紗理奈の左手の指先を握りこむような感じになってしまった。

 

「わぁ、小っちゃいい。ちょっとひんやりしてて冷たいのもいいよね。」

 

「紗理奈さん、、、」

 

「あ、はじめる、はじめる。まってね。」

 

紗理奈は慌てて目を閉じ、集中する。

 

記憶共有(メモリーシンパシー)

 

能力の引き金となる言葉を発した瞬間、びりびりとした感覚が脳に走り、記憶が流れ込んでくる。

 

記憶が映画のフィルムのように、脳内にコマ送りで様々な紗理奈さんの記憶が映りだす。

 

毎回、思うけどこれどうやって詳しく見るんだよ。感覚がイマイチわからん、、、

 

そう思いながら、目を閉じながら集中している紗理奈さんに目をやる。

 

「ほー、昨日はなかなか大変だったみたいじゃん。なるほど。へーそんなこともしちゃったんだ。ふふっ色々と楽しんだみたいだね。」

 

視線を感じた紗理奈はタクミに向かって、不穏な発言をした。

 

焼き肉店で暴れたこと、今朝に理性がふっきれてしまったことなどいろいろと知られたくないことを探られているのは気のせいだと思いたい、、、

 

5分ほど時間が経ったであろうか、紗理奈が目を開くと同時にタクミの脳裏に浮かんでいたコマ送りの映像は消えた。

 

「何かわかった?」

 

「とりあえず、女の子になっちゃった原因の仮説が見えてきた感じかな。」

 

「まじか!!」

 

「うん。タクミちゃん、晩夏十千篇ってやつが捕まえられた後に虫に刺されていたでしょ。」

 

「言われてみれば、そうだったのかも。でも、それが女になったことと関係があるのか?」

 

「考えてみなよ、タクミちゃん。地下深くの衛生面に気を使った研究室で虫に刺される状況なんて、普通は考えられないよ。」

 

紗理奈は能力を使い、タクミが虫を叩き落とした記憶をタクミの脳裏で想起させる。

 

「確かに言われてみれば、大きいな。親指の半分くらいか、、」

 

今の親指と見比べながら、タクミはそうつぶやいた。

 

「とりあえず、共有した記憶の中にある見た虫をタクミちゃんの能力で写し取って、虫の種類を調べることが先決みたいだね。じゃあ、この紙に頼むね。」

 

「おっけー、紗理奈さん。色調変化(カラーイリュージョン)!」

 

タクミは能力を使い、脳裏に共有された虫を渡された紙に写し取った。

 




音塚紗理奈の能力は記憶共有。能力の詳細は相手の表面積に対して、触れた割合が多いほど、多くの記憶を共有することができる。

また、相手の記憶を読み取るときに自分の保有する記憶も読み取った相手に流れ込んでしまうという副次効果もある。ただし、記憶の詳細を読み取るには多少のコツがいる。
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