色使いは七色と舞う「クソザコ能力だったけど、能力を極めた結果、最強になりました。」 作:ぱすたご
「シンさん~今日は何の仕事なんすか?」
助手席に座っている匠は隣で運転しているシンに向かって興味津々に尋ねた。
シンは対異能犯罪取締機関の第四取締部隊の一人であり、現在17歳のタクミとは対照的で年齢は今年37歳。年相応の男前なしぶい顔をしている。今日の服は黒いスーツに身を包んでいるようだ。
「ったくお前は朝の会議の内容聴いてなかったのかよ」
「いやぁ、朝からトレーニングしてドア開けたらもう会議終わっていたんですよ。ひどくないですか?」
「十中八九お前が悪いだろ、ほら今日の対象のリストだ」
とまぁシンとタクミはよく仕事を共にする相棒というよりは、やんちゃな子とそれを見守る親のような関係である。
シンは愛車のシルバー色のセダンを右手で器用に運転しながら、匠に情報が入った電子ファイルを彼の端末に送る。
「ふーん、異能を極度に活性化せる興奮性の違法ドラッグの売買、肉体改造注射の非管理下による違法製造、異能の非登録を通知したのにも関わらず報告をしなかった、、、お、対異能力者生物兵器の製造なんてのもあるのか。今回の件もやりがいのある敵がわんさかでてくるんすね。ま、俺は最強なんで全部倒すんですけど、、、」
「なにたわけたこと言ってんだ、この前もお前が戦った炎を扱った異能力者にドラム缶に入った油ぶっかけて火だるまにしたじゃないか。尋問するためにどれほどの治癒能力者が労力をかけたと思っているんだ。殺しに行くんじゃないんだぞ、まったく、、、」
「勝てばいいんですよ、勝者こそ最強なんです!」
この少年、最強になるために邪道であろうと勝利には貪欲である。
「今回、お前に任すのは組織の一員として全部で幹部として五人いる異能力者のうちの一人だ」
「そいつはどんなやつなんすか?」
「目標の名前は晩夏十千篇《ばんかとせんぺん》。今年で35歳。奴は組織の科学者で違法薬物の製造から対異能能力者生物兵器を取り扱っているらしい。来歴は不明。組織には幹部のツテで入ってきたということが今わかっていることだ。」
「能力の詳細は?」
「残念ながら不明だ。会議では千篇は後天性の能力者ではないかという結論にいたった。」
能力は基本的に5歳になると発現するので、その時期になると国は検査を受けさせ登録を義務づけている。後天的に発現するのは大変まれである上に強力でない能力がほとんどだ。 国の情報に登録されていないということは先天性であることは一部をのぞきまずありえない。しかし、組織では異能を取り扱った薬物に精通している。ならば、晩夏十千篇《ばんかとせんぺん》は後天性の能力者と推定するのが妥当である。
「だが後天性の能力でここまでの地位にたどりつけるのはほかの犯罪組織では聞いたことがない。とにかく奇怪な男だ。だから、同じ後天性の能力者であるお前が適任であると判断した。見つけ次第お前に対処させる。できるか?」
「当たり前でしょ。なんだと思っているんですか俺は最強ですよ!」
「お前ならそういうと思ったよ。」
渋い笑みを浮かべながらシンは返事をした。
セダンは都市から郊外へと抜けていき、やがて町はずれの入り口についた。
「よし、もうすぐ近くにつくからここからは組織の施設まで徒歩で進む。俺らは偵察だ。」
車を降りて、装備の確認をしながらシンはタクミに話す。
「はいはい」
タクミはタクミで車のトランクから自分の武器である片刃の双剣を取り出し装備する。
「頃合いを見て、ほかの第四部隊の仲間に連絡をして突入するからな。くれぐれも勝手に行動をするなよ。」
「おーけー」
「よしっ、いつもの手でいくぞ。「
「それじゃあ、、、「
その場から二人の姿は消え、音がなくなった。