色使いは七色と舞う「クソザコ能力だったけど、能力を極めた結果、最強になりました。」 作:ぱすたご
「お互い自己紹介は済んだことだし、私のすばらしい提案とやらを聞いてくれないだろうか?」
「ああ、是非聞かせてくれ。」
応援が来るまで時間稼ぎをするのも悪くはないだろう。あわよくば、彼女の研究目的とやらを知ることができるかもしれない。そう思ったタクミは話を聞くことにする。
「では端的に提案しよう。君、、私のモノになるつもりはないか?」
「は???」
予想外な
「そういうのは、ちょっとお互いを知ってからじゃないと、、、、」
照れながら、申し訳なさそうに謝るタクミを見て、
「あー、ちょっと待って。話を端折りすぎてしまったようだ。君が欲しいといっても別に恋仲とか結婚相手とかそういうモノのニュアンスではない。君を私の実験対象にしたいんだ。」
「実験対象ぉ?ちょっと待て、いったい何を俺で実験するんだ?しかも、他の誰でもなくなぜ俺がなんだ?」
「実験については協力できない限り、喋ることはできない。ただ、後天的に身に着けた使えない能力でここまでの強さに到達している君は私にとってとても魅力的な存在に見えたんだ。本来の計画では適当に強そうな異能をもつ一人や二人を攫って実験をするつもりだった。けどね、私は見たんだよ。ほら、これ君の戦闘データ。」
「ほら、君がここに来るまで戦っていたのを監視カメラで記録した映像さ。国のデーターベースによると君は色を変えるという能力のはずだ。にもかかわらず、ここまでの戦闘を見せてつけている。あのデカさで素早さがある噛斬との戦闘では、なんなんだ?あの能力は!!君は能力の限界というものを知らないのか!能力の限界をもとめる私にとって興味深い。いや、とても興味深い存在なんだ!ぜひ、私の実験対象になってくれないか?もちろん、君がいる機関よりもずっといい待遇でそれに見合った報酬は出す。それに君が望むものは何でも用意しよう。」
晩夏十千篇は自分の言葉に酔いしれて、タクミに喋り倒した。
「で、君はこの私の誘いを受けてくれるかな?」
「断る」
魅力的な誘いにもかかわらず、タクミは迷いもせずに断った。
「どうして!!!君にとって何も悪いところはなかったはずだ。なぜ断る!!」
「確かにいい提案だとおもうぜ、だが一つ気に入らなかったとこがある。それはお前、晩夏十千篇が人間の価値を能力でしか見ていないところだ!人の価値を能力でみてるやつなんて、どこかで絶対に裏切るに決まってる。」
「、、、そうか、どうやら交渉決裂かな。仕方がないプランBでいくか。」
説得が無駄だったとわかり、残念そうに
「プランBがなんのことかはわからないが、拘束させてもらうぞ」
タクミは
「拘束?おいおい、私がわざわざ捕まるために残っていたとでも?プランAは君との交渉が目的だが、プランBは私が開発した対異能型生体兵器第一号試作品「ビギニング」の実験が目的さ」
千篇は余裕の笑みを見せながら取り出したリモコンのボタンを押した。
バシュッ
部屋の四方の壁が倒れ、空間は広がる。
どうやら、この部屋は張りぼてで元は体育館ほどの広さの部屋のようだ。
GYAAAAAAAAAA
崩れ落ちた壁からたちこめる粉塵の向こう側から聞こえる獰猛な鳴き声に目をやると、大きな影
が見えた。
ドスンッドスンッ
荒々しい足音を立てながら煙をかき分けそいつは出てきた。
鋼鉄のフルフェイスの兜からのぞかせる野性的で獰猛な目、はち切れそうな筋肉をおさえつけるためにワイヤーで取りつけられた鋼鉄の鎧、下半身はむき出しで瞬発力のありそうな筋肉で覆われていた。
いや、デカすぎるだろ。さっきの噛斬の2,3倍あるじゃあねぇか。もう、人間とか能力者とかの域を超えて別もんの生き物だろ。まるで一つ一つの腕や足が巨大な丸太みたいだ。
「さぁ、実験をはじめようじゃないか。この私に素晴らしい戦いを見せてくれ!」
「GYAAAAAAAAAAAAAAA」
対異能型生体兵器第一号試作品「ビギニング」は主の期待に応えるべく、咆哮を上げる。
「魅せてやるよ。最強の戦いってやつを」
咆哮を上げる怪物を前にしてぞくぞくとした感覚が体を駆け巡る。それが武者震いだと気づき、タクミは思わず笑みが漏れた。