一般芋けんぴ狂い生徒とその友達の日常   作:冷凍パスタ/rain347

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芋けんぴはほんとにおいしい

「ツバサちゃんんんんん!待ってくださいぃぃぃぃ!!」

 

「ふふ!こっちです!こっち!」

 

うららかな日の今日!

私は大好きな友達と一緒に公園に来ています!

 

え、どうしてその友達が、こんな声をあげているのか、ですか?

 

それは…私が全力で地面を蹴って疾走しているからです!

 

『おいおい、なんで友達を置いてお前は走ってるんだよ』と思われるかもしれませんが、これには深いわけがあるのです!』

そう…『私が追いかけっこで追いつかれたら、友達にごはんを奢る』というとっても深いわけが!

 

…今、『え、そんな事?』って、思いませんでした!?

とんでもない!!ごはんには人と人を繋ぐ力があるんです!

…といっても、私もそんなにお金に余裕があるわけではないので…

こうして友達と遊ぶ時に限って、お金は使うことにしていますが!

 

「私たちを置いていかないでくださいぃぃぃぃぃぃい!!」

 

「っとと!さすがに全力で走りすぎちゃいましたかね」

 

気づけば友達と距離が大分離れてしまいました…

…そろそろ止まってあげるべきですね。

 

「あーーー!コンナトコロニイモケンピガーーーーー」

 

懐に忍ばせておいた芋けんぴの入った袋を地面に置き、それをひたすら凝視します。

 

ふへへ…芋けんぴ美味しそう…あっなんかよだれが垂れてきた。

芋けんぴBIGLOVE…

 

「やっと追いついた…ヒヨリ、もうクタクタで今必死にこっちに向かってるよ」

「…ツバサ、何してるの?」

 

……はっ!

 

そうしているとどうやら、今日一緒に遊ぶ友達3人の内2人が私に追いついたようです。

…芋けんぴを見てたら、自然と時間が経っていたんですね…さすが芋けんぴ。

その細い見た目とは裏腹にありえないほどの満足感を与えてくれる究極のおやつ…!

ほどよく硬く噛めばポリポリとした食感が私を出迎える…!!

さすが芋けんぴ、どこまでも私を魅了してくれる素晴らしいおやつです。

 

「ここに芋けんぴが落ちててーー、逃げるのも忘れてついつい見入っちゃってました」

「ツバサは本当にその食べ物が好きなんだね」

「それはもう!芋けんぴは至高の存在が与えてくれた奇跡ですから!」

「はぁ…ツバサと知り合ってしばらく経つけど…どうしてツバサはこんなにも癖があるんだろう…」

「?芋けんぴはとっても美味しいので、私が魅了されるのも当然ですよね?」

 

っと、友達の紹介もしなければ!

最初に紹介するのは、私の発言に『何言ってんだコイツ』と思っていそうなこの子!

戒野ミサキちゃん!

ちょっと影のある雰囲気の子ですが、とっても良い子なんです!

この前も一緒にご飯を食べに行った時、さりげなく私の好みの料理を注文してくれましたし。

とっても気配り上手で、尊敬しています!

 

「というか、なんでこんなあまり人がいない公園にそんな物が落ちてるの…」

「どうせ、わざと自分で落としてここで私たちを待ってたんでしょ」

「オチテタカラシカタナイデスネ〜」

「全く…」

 

さすがは私の友達の中でもめちゃくちゃ頭の回転が早い子…

もうこの私の迫真の演技()を見破っている…

 

「えっ、そうなの?普通に芋けんぴが落ちてたと思った」

「姫…この子は奢りたがりな所があるから、こういう時は絶対自分から負けるようにすると思った…」

「ふふ…ツバサちゃんは、優しいね」

「んーナンノコトカワカリマセンネー」

 

キヴォトス主演女優賞*1ばりの演技を私が披露したところで!

2人目の友達についても紹介しましょう!秤アツコちゃん!

気品があって、優しくて、お花が大好きな私の友達です!

前に頼まれてお花の図鑑を図書館から借りてきたのを見せてあげたら、とっても綺麗な…それこそ、一面の花が一斉に満開になった時のような笑顔を見せてくれたのが印象に残っています!

その時に一緒に撮った写真は私の宝物の一つです!

 

「また1人でなんかニヤついてる…その癖若干気持ち悪いよ」

「はっ…!?私、ニヤついちゃってました!?」

「うん」

 

まさか脳内の喜びが身体に漏れ出ていたとは…

さらばキヴォトス主演女優賞…儚い称号でした…*2

 

今明かされる衝撃の真実に私が膝からくずれ落ちていると、そこへ3人目の友達…

冒頭で叫んでいたあの子がふらふらしながらやってきました。

 

「はぁ…はぁ…ツバサちゃん…速すぎます…あっもう無理しんどいです」

「ヒヨリ…よしよし、頑張ったね」

「えへへ…ツバサちゃんが今日もご飯を奢ってくれると聞いて、私、頑張りました…!」

 

クタクタになるまで全力で走りながら、それでも笑顔がかわいいこの子…槌永ヒヨリちゃん!

ヒヨリちゃんは雑誌を集めるのが好きみたいで、私も興味のある雑誌を見せてもらったりします。

最も、たまーにちょっとディープな内容の雑誌も集めているみたいですが…

そこもまた可愛いですよね!

 

あ!そういえば自己紹介がまだでした!

私の名前は小鳩(こばと)ツバサ!学園都市キヴォトスに住む学生です!

好きなものは芋けんぴと!嫌いなものは…特にありません!

そして好きなことは友達と遊ぶこと!やっぱり、これがいちばん盛り上がるんですよね!

 

「約束、守ってくださいね…!ああ、今日はどんなごはんが食べられるんだろう…!」

「もっちろん!この小鳩ツバサは約束を違えません!」

「ああ…お腹いっぱいのごはん…食べたいです…」

 

ミサキちゃん達、あんまり普段からご飯を食べてないらしく、それを知り合った時に聞いた私は、それなりのペースでごはんを一緒に食べてほしいと誘ったんです。

…お腹が減った状態がいつまでも続くのは、寂しくて辛いですし。

 

 

「いいですよいいですよ!この後食べに行きましょう!あ、飴ちゃん舐めます?」

「舐めます!!!」

「フハハハ!このツバサの恵みを受け取れぃ!!」

 

懐にしまっておいた飴ちゃんを、大げさなポーズをしてからヒヨリちゃんにプレゼントします。

ヒヨリちゃんはその飴ちゃんの包装を目にも止まらぬ早業で開封すると、顔を綻ばせながら飴ちゃんを舐めはじめました。

…恐ろしく早い開封、私じゃなきゃ見逃しちゃいます。

 

「ああ…美味しい…生きてるのって、辛いことばかりじゃないんですね…」

「ツバサ…またヒヨリを甘やかして…ヒヨリも、あんまりツバサのお世話になるのも良くないよ」

「うーーーん…何回も言ってますが、別に私が好きでやってることなんですから、そんなに気にしなくても良いんですよ?あ、ミサキちゃんとアツコちゃんも飴ちゃん、要ります?」

 

ヒヨリちゃんとアツコちゃんはダイレクトに喜びを表現してくれるので、こっちとしても嬉しくてついつい色んなものをあげちゃうんですよね。

 

「私は別に…」「あ、じゃあ私は飴ちゃん、ほしいな」

「わかりました!…この飴ちゃんには私、ツバサの加護が宿るであろう…!」

「ツバサの加護…ふふっ、ありがたく頂くね」

 

ミサキちゃんはダウナーな雰囲気を醸し出している見た目の割に結構しっかり者なので、私がいっしょにごはんを食べようと誘っても出会った頃はなかなか一緒に食べてくれなかったんです。あまり賑やかな所に居るのが好きじゃない性格というのもあるんでしょうが、きっとそれ以上に責任感が強いんでしょう。そんなところが私は友達として好きなんですが!

 

「…でも、まあ正直ツバサがいつもご飯を奢ってくれるのは助かってもいるし…」*3

「うん、あの時の出会いがまさかこんな風に長く続くなんて。私も分からなかったな」

「そうですね…ツバサちゃんはほんとにいい子です…こんな見ず知らずの私たちと友達になってくれて、更にごはんもいっしょに食べようって誘ってくれて…」

「…そんな事はないですよ。私はあの時ミサキちゃん、アツコちゃん、ヒヨリちゃんに助けてもらったからこうしていられるんです」

 

みんなに深い恩があって、そのみんなが困っているなら恩を受けたものとして、そして友達として恩を返すのは当たり前です。

ほんとうにみんな良い子なので、そんなみんなと縁をもてて友達としても鼻が高いですしね!

 

「さ、ちょっとしんみりしちゃいましたが、そろそろごはんを食べに行きましょうか!ヒヨリちゃん、休憩できましたか?」

「はい!飴ちゃん美味しかったです!」

「オッケー!では、行きましょう!いざ!美食を求めて!おーー!!!」「おー」「お、おー!」「…」

 

 

とまあこんな感じで、私たちの日常は回っています。

え、戦い?ないですよ?私、戦いがあまり好きじゃないので。

青春に戦いを持ち出すのって、疲れちゃいますし…

 

私の願いはいたってシンプルです!

 

どうか、あの子たちの行く末に幸せがあらんことを。あの子たちが生まれたことを誇れますように。

それが私の祈りです。

 

あ、ちょっとシリアスになっちゃいましたね。

 

*1
そんな賞があるかは謎

*2
繰り返すがそんな賞があるかは謎

*3
芋けんぴ狂いではあるけど

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