一般芋けんぴ狂い生徒とその友達の日常 作:冷凍パスタ/rain347
「あいよ!柴関ラーメン4人前!」
「うん、温かいのがきたね」
「は、はわわ…こんな美味しそうなものを私がいただいて良いんでしょうか…」
「良いんですよ!どんどん食べてください!」
「そ、そうですか…え、えへへ…で、では…いただきます!」
皆さん!こんにちは!小鳩ツバサです!
今日はヒヨリちゃん達と柴関ラーメンを食べにきています!
「大将!いつもありがとうございます!いやーー、大将の太っ腹には敵いません!」
いやぁ…ラーメン、良いですよね…
お手軽に食べられて、満足感も高いですし!
特にここの屋台は、店主さんのご好意で値段の割に麺や具材の量をサービスしてもらえるんですよ!
「何のことかさっぱりだが…お前さん達がウチのラーメンをとても嬉しそうに食べてくれるのを見るのは、こっちも気分が良いからな」
「本当にイケメンですね!大将!よっ!世界一のラーメン屋!」
「おいおい、おだてても何も出ないぜ?」
正直とても助かります…
私も頑張ってバイトをこなしてるんですが、お金には使える限度がありますからね…
そういう意味では、店主さんは本当に尊敬できる人です。
私も、店主さんのような立派な人の背を追いかけていけば、
いずれ立派な存在になれると信じています。
昔、私が助けられた時のように…
っと!そろそろ私もラーメンを食べなくては!
ヒヨリちゃんは目をキラキラさせながら麺をすすっていますし、
ミサキちゃんたちも…そろそろ食べ始めるみたいですね。
「熱い…でもこの感じ、割と好きかな」
「姫、箸の持ち方には慣れてきた?」
「うん、最初は苦労したけど、慣れてくると便利だね」
「そう…なら、良かった」
「ミサキも、お箸の使い方に慣れてきた?」
「まぁ…それなりには、慣れてきたと思う」
「良いね。じゃあ、そろそろ食べようか」
どうやら、食べる準備が整ったようです!
「よし。ツバサも一緒に食べよう?」
「はい!では、いただきます!」「いただきます」「…頂きます」
まずは麺から…ズズズ…
……んんーーーー!!美味しい!!!!
太くてもちもちした麺の感触がたまりません!!
「やっぱりこれなんですよね…!この麺は本当にお腹が膨れるんです!」
「そうだね、初めて食べた時は驚いたよ。こんな美味しいものがあるんだって、知らなかったから」
「そうですね…ツバサちゃんと食べるごはんはどれもみんな美味しくて…」
「私達、まともなご飯を食べることをしてこなかったし…」
ミサキちゃんたちは事情があって、美味しいごはんを食べられる環境に居られなかったそうなんです。
だからこそ、私はみんなに美味しいごはんをたっくさん食べてほしいんです!
この世界には素晴らしいものが数えきれないほどあるんだってことを知って欲しくて!
「美味しいですねぇ…あったかいですねぇ…」
「ミサキ、このチャーシューを食べよう」
「…暖かい」
「ああ…!美味しい…!幸せです…!!あ、スープも飲みましょう!」
一口分のスープをレンゲでよそって、口に運びます。
…
「んんーーーー!!!美味しい!!!!!」
濃厚で芳醇な味がお口の隅々にまで伝わってきます!!
ビューティフォー…
「ツバサはほんとにおいしそうにご飯を食べるね。見てるこっちが幸せな気分になるくらいに」
「でも、そこがツバサちゃんのいいところなんですよね…」
「そうだね…ツバサのこういう所、私達は嫌いじゃないし」
次はチャーシューを…と。
…
「ああ…しあわせ…」
麺とスープと具材のハーモニーを一度に味わえるの、さいっっっこうです!!
ラーメンおいしい…フヒヒ…ラーメンBIGLOVE…
「…でも、これは流石に無防備すぎない?」
「その時は私たちがツバサを守れば良いんだよ」
「そうですねぇ…私たち、ツバサちゃんにたくさん与えられちゃいましたからね…」
「それにしてもツバサがかわいい。今、この瞬間の写真を撮って待ち受けにしようかな」
「ツバサちゃんの写真…良いですね…撮りましょう!」
「後で怒られても知らないよ…まあ、怒らないだろうけど…」
とまあそんな感じで、アツコちゃんとミサキちゃんはゆっくり、
ヒヨリちゃんと私は夢中でラーメンを食べて盛り上がっていました。
そこへ…
「すまない、遅れてしまったな…」
「サオリちゃん!」
屋台に来てくれたのは、ミサキちゃんたちの仲間でお姉さん分のサオリちゃん!
いや〜、いつ見ても凛々しい顔つきをしていて憧れます!
ちなみにサオリちゃんを含め、今一緒にいる友達は全員戦いができるのですが、
その中でもサオリちゃんは群を抜いて強いんです!
おまけに見事なリーダーシップもあるときました…!
…本当に凄い子なんです、サオリちゃん。
「あっ、サッちゃん。お疲れ様」
「リーダー…!お疲れ様です!」
「おかえり…姉さん」
「ああ、…ただいま。ミサキ、姫たちの調子はどうだ?」
「大丈夫…みんな健康的」
「そうか…よかった」
「サオリちゃん!お疲れ様です!バイトの調子はどうですか?」
「お陰様で、給金を得ることが出来た。ツバサから教えてもらったバイト先は働きやすくて助かっている」
「それなら良かったです!サオリちゃんは頭が良くて真面目ですから、店長や他のバイトの子からの評価も高いんですよね!」
「そんな事はない。周りの方達が、私を丁寧に指導してくださっているのもある」
「謙遜しちゃってー!…さぁて!サオリちゃんも頑張ったんだから、その分のご褒美もほしいですよね!大将!柴関ラーメン一つ!」「あいよ!」
サオリちゃんにも美味しいものを味わってほしいですから、当然サオリちゃんの分のラーメンも注文します。
あ!あとお金は当然私が払います!サオリちゃんは私の友達で、大切な子なので!
「とりあえず580円を…」
私がうきうきしながら懐から財布を取り出そうとすると…
「店主、代金はこのくらいで良かっただろうか」
何かと思えば、私の隣に座って1000円札を3枚出しているサオリちゃん…サオリちゃん!!!???
「んーー!!??サオリちゃん!わざわざ自分のお金を使わなくても…私が払いますよ!」
「ここは私が払う。バイトで稼いだ分のお金も持ってきているから、大丈夫だ」
え…あーーー…
彼女、凄い子なんです…が、欠点…とまでは言いませんが少し困る所がありまして…
「そういう風に私の事を心配してくれるのは有り難く思っている。しかし、さすがに友達にご飯を何度もタダで奢ってもらう訳にはいかない。ミサキ達の分も私が支払おう」
ごはんを奢らせてくれないんですよねぇ…
「お金の事は気にしなくて良いんですよ…?」
「私も短いながら社会で働いている。タダでご飯を奢られ続けるのも、関係として対等ではないだろう?」
「んーーー!!それは…一理あるかもですが!ミサキちゃんたちにも色々お手伝いしてもらったり助けてもらったりしているからこそ、こうして奢ってあげたくなる面もあるんです!」
買い物に荷物持ちとしてついてきてもらったり、ちょっと危険な所や知らない所に行く時に仲間として来てほしいとお願いしたり…そういったお手伝いもしてもらってる身としては、このくらいの出費は惜しまないんですけどね。
「まぁ、ツバサがミサキ達の事を考えて、こうして一緒に居てくれるのは有り難いとは思っている…思ってはいるが、やはり与えられすぎではないのかと私は感じてしまってな…」
「…まぁ、それはその通り」
「うぅ…すみません…これでも、ツバサちゃんのお役に立ちたいんですけどね…」
「難しいよね、私たちも安定した働き先があれば良いんだけど」
うーん・・・・ヒヨリちゃんを除いたみんなは、こんな風にちょっとストイック過ぎるところがあるので…
こういう時くらいは、私の事を気にせず自分で自分を甘やかしてほしいんです。
あ、自分を甘やかすといえば…
「そんなに気にしなくても大丈夫ですよ!私も出費の事はしっかり考えています!…ところで、サオリちゃん。」「何だ?」
「今日は何を食べましたか?」
「ツバサから貰った芋けんぴを少し…あとはエナジーバーを一本だ」
んーーーー……
「サオリちゃん…しっかり食べないと、バイトでも力を発揮しきれませんよ…?」
彼女、節制し過ぎる所があるので、お金を少しでも節約するためにごはん代を削っているんです…
「食事を摂らなくても、自らの能力を発揮する術は身につけている。気にしなくて良い」
「んもう!お金も大切ですが、日々の生活のクオリティを上げるのも大切ですよ!」
サオリちゃんを含めたみんな、めっちゃ美しいのに食生活で損してるんですよね…
美味しいものを食べるのは健康にもいい*1のに…
「そんなに心配しなくても大丈夫だ、ツバサ。むしろツバサから芋けんぴを定期的に貰っている事により、私の心は限りなく奮い立っているさ」
「…姉さん、まさか芋けんぴに嵌まるなんて…」
「意外ですよね…」
「うん…でも、嬉しそうなサッちゃんを見れて私も嬉しい」
実はあまりにもサオリちゃんがストイックすぎるのを心配して、布教もかねて芋けんぴをプレゼントしたら…サオリちゃん、芋けんぴが好きになったみたいなんです!同士が増えてくれて嬉しい…*2
「食感も好きだし、何より糖分を手軽に摂れるのが良い。素晴らしい食べ物を紹介してくれたツバサには感謝している」
「良かったです!甘いものを食べて元気になってくださいね!」
芋けんぴのノリが伝わって良かった…フフフ…*3
「おーい…話してる所に割り込む形になってすまないが…柴関ラーメン一人前、出来上がったぜ」
と!話している間にサオリちゃんの分のラーメンが出来たみたいです!
山盛りの具にボリューミーな麺の山!これをサオリちゃんに奢ってあげたかったんですよ!
「サオリちゃん!お金の事は後で話し合うとして…今は美味しいラーメンをいっしょに食べましょう!」
「そうだな…せっかく温かい食事が食べられるんだ。店主とツバサに感謝して、食べるとしよう」
いただきます。
そう静かに呟いて、お箸を握るサオリちゃん。
「………美味しい、な。こんな私でも、食事を美味しいと感じる時が来るとは」
凛とした姿勢で麺を啜りながらそう呟くサオリちゃんの言葉には、私では推し測る事のできないような感情が込められている様に感じます…いつも頑張っていますからね。
(…ほんとに幸せそうですね…)
(友達と一緒に何かをするだなんて、経験になかった事だし…まぁ、わかるよ)
(生き生きしてるサっちゃんを見れて嬉しいな)
「たくさん食べて英気を養ってください!」
「そうさせてもらおう。………『友達』と食事を共に摂るなんて、まるで夢を見ている様だ・・」
麺を平らげ、スープを飲みほす。そんな心地のいい食べっぷりを見せるサオリちゃんやみんなを見ていると、何だか心が満たされるんです。
なんというか、心の栄養をたくさんとれるんですよね。嬉しみです。
好きな人たちと一緒に何かを食べられるなんて、幸せだなぁ…
そうやってしばらくラーメンを食べて味わっているサオリちゃんを見つめていると、
サオリちゃんはラーメンを食べる手を止めて、ふとこんな事を呟きました。
「こんなにも優しい気持ちになれるなんて…全く、私には過ぎた友達だよ。ツバサは」
…
「そんなことはないです!むしろのこっちの方こそサオリちゃんの事を見習いたいと思うくらいです!」
「サオリちゃんの自分から積極的にできる事を探す姿勢はとっても尊敬できますし、何より仲間思いな所がとっても素敵ですよ!」
「そんなものなのか…?いや、しかし…」
難しそうな顔をするサオリちゃん…そうだ!
「サオリちゃん!」
「私はちゃんとここに実在してます!何なら私のほっぺたでも触ります?いくらでも触って良いですよ!」
「難しい事を考え過ぎたときは、単純な事で気持ちを落ち着かせましょう!」
「なっ…私がツバサを触る…だと?」
「はい!遠慮はしなくて良いんですよ?減るものじゃありませんし!」
横を向いて全力で笑顔になります!
そうしてサオリちゃんの手を掴んで、と。それ!ピタっ…と!
ほっぺたにサオリちゃんの手をくっつけます。
うーん…!サオリちゃんの手…とっても温かいなぁ。
「どうです?私のほっぺたは?」
「さわり心地が良いと嬉しいです!」
虚を突かれてちょっと驚いていたサオリちゃんでしたが、
徐々に慣れてきたのか私のほっぺたをふにふにし始めました。
「柔らかい……いや、当たり前といえば当たり前なのだが…」
「そうでしょうそうでしょう!人はみーんな柔らかいものを持っているものなんです!」
「当たり前ですけどね!」
「…そうだな。ツバサ」
そんな私のごく普通の何でもない発言が面白かったのか、
サオリちゃんのいつものキリッとした真剣な表情が、少し緩みました。
…よかった。その笑顔を見せてくれて。
我慢強いのもサオリちゃんの美点ですが、たまにはわがままになってもいいと思うんです。
「「「……」」」
…?あれ?みんなラーメンを食べる手を止めてこっちを見て…?
「ツバサちゃん…私にも、ほっぺたを触らせてもらえないでしょうか…?」
「うん。サッちゃんとばかりイチャイチャするのは不公平」
「…なに、私達は大切じゃないの?」
あ、あわわ…サオリちゃんばかり構い過ぎてしまいましたか…!
「はっはっは…情熱に満ちてていいもんだ」
「そうだな。俺はあっちで用事があるから、しばらく席を外すよ」
大将!?…ええい、こうなったら…
「そ、そんな事はないですよ!!このツバサ、みんなの思いを受け止めましょう…!!」
「…言ったね」
「ふにふに…楽しみです…!」
「満足するまでやめないよ?覚悟してね」
か、かかって来てください…!
小鳩ツバサ、頑張ります…!!
私のほっぺたがミサキちゃんたちを満足させられると信じて…!
あ、ちなみにラーメンはこの後さんざんほっぺたをふにふにされた後、みんなで仲良く食べ切りました。まる。