アカデミアに到着した新入生たちは校長先生からありがたいお言葉を長時間聞かされていた。校長先生の話が終わった後、PDA(アカデミア内で使用できるiP●d)を渡される。
「ラーイエローはこっちで……」
「オシリスレッドは海の傍だから向こうだな」
夜光と十代はPDAを操作し、自分が最大で3年間住むことになる寮の場所を確認する。十代と翔はオシリスレッド寮、夜光はラーイエロー寮のため一度分かれることになる。
ペントハウス風の建物であるイエロー寮に着いた夜光は持ってきた荷物を置くため、PDAを配布されたときにもらった鍵に書いている番号と同じ番号の部屋を探す。
同じ番号の部屋を見つけたのでさっそく中に入ってみようとすると、偶々隣の部屋の住人が出かけようとしていたので声をかける。
「初めまして。俺は隣に住む広瀬夜光っていうんだ。よろしくな」
「初めまして。僕は神楽坂と言います。よろしくお願いします」
互いに挨拶すると神楽坂はどこかへ出かけに行く。夜光は部屋の中に入り荷物を置いた後、あらかじめアカデミアに送っていた段ボールの箱を開け収納スペースに入れていく。
「カードはここに入れておいて……デュエルディスクの予備パーツはこっち……」
仕分けをすると1枚の紙がひらひらと落ちたので、それを拾って読み始める。
(父さんたちからか……追加の任務が遊城十代の監視? どういうことなんだ??)
?が多数浮かぶが、その疑問はPDAの着信音によって消えてしまう。着信したメールを確認すると十代からアカデミアを探索しようというものだった。
「十代からの誘いなら行かないという選択肢はないな」
荷物の整理を一度やめて、外に出かけることにした。
夜光と合流した十代たちはアカデミアの購買部に行ったり、授業を受けることになる教室に行ったりした後、十代たちはオベリスクの紋章が飾っている最新鋭の設備を持つデュエル場に入る。
「ここでデュエルしようぜ」
「いや、無理だろう。こういうところは予約が必要だと思う」
「落ちこぼれのオシリスレッドがここで何しているんだ」
夜光は要予約だと考え、十代の提案を断る。すると夜光たちの後ろからオベリスクブルーの生徒が声をかけてくる。
「ここでデュエルしていいのはブルーだけだ」
「それなら仕方が無いな。十代、別のところに行こうぜ。デュエルするだけなら他のところでも良いからな」
厄介ごとに巻き込まれたくなかった夜光は十代たちを別の場所に連れて行こうとする。
「万丈目さん。こいつ、クロノスを倒した例の……」
「そいつが運とまぐれでクロノス教諭を倒した新入生か」
万丈目と呼ばれたオベリスクブルーの生徒が観客席から飛び降りてくる。
「まぐれって何だよ」
「知らないなら教えてやろう。あのデュエルで始めに大嵐を発動して古代の機械巨竜を召喚した後、融合を発動すれば、クロノス教諭が持つ切り札によってお前は敗北していた」
「そうだったのか。やっぱりアカデミアはスゲー!
えっ~と万丈目だったけ? 俺とデュエルしようぜ」
万丈目の指摘を受けて十代は落ち込むところか闘志を燃やしていた。
「万丈目さんだ!お前にブルーの実力を見せてやろう」
「何しているの貴方たち!もうすぐ歓迎会が始まるわよ」
万丈目と十代のデュエルが始まろうとしたときに、オベリスクブルーの制服を着た金髪の女子が制止しようとする。
「天上院くん、これはそこにいるドロップアウトに身分の差を教えるために必要なデュエルなんだ」
「ブルーの洗礼を受けることはないわ。早く何処かに行きなさい」
「歓迎会が始まるなら早くデュエルしようぜ」
明日香が十代を逃がそうとするが、十代はそれを無視して万丈目とデュエルしようとする。
「「デュエル!」」
万丈目LP4000
十代LP4000
-万丈目のターン-
「俺のターン。ドロー!
俺は地獄戦士を攻撃表示で召喚。カードを2枚伏せてターンエンド」
大剣を持ち鋼鉄の鎧を身にまとった男性が万丈目の場に現れる。
手札:3枚
場:地獄戦士(ATK1200)
魔法・罠:伏せ2枚
-十代のターン-
「俺のターン。ドロー!」
(地獄戦士……どういう効果だったけ?)
十代は地獄戦士の効果を思い出せなかったので、普段通りのデュエルを続けようとする。
「俺はE-エマージェンシーコールを発動し、エアーマンを手札に加える。
エアーマンを攻撃表示で召喚」
「ふん。エアーマンの効果でHEROをサーチしようとしているみたいだが、その手は読めている。
俺はライフを1000払い、スキルドレインを発動。
スキルドレインの効果により、場のモンスターの効果は無効になる」
万丈目LP4000→3000
スキルドレインは場のモンスター効果を封じるが、リクルーターやオネストといった墓地や手札から発動するモンスター効果は封じられないのが欠点である。
一部を除いてE・HEROの多くは場で発動する効果が多いため、十代にとっては分の悪い状況となってしまった。
「効果が使えないなら攻撃あるのみ。
エアーマン(ATK1800)で地獄戦士(ATK1200)に攻撃!」
だが十代はスキルドレインを気にせず、いや地獄戦士の効果も封じられていると考え、地獄戦士に攻撃を仕掛ける。
「戦闘破壊された地獄戦士の効果で俺が受けるダメージ分、お前にもダメージを与える」
地獄戦士はなすすべなくやられるが、破壊された地獄戦士が持っていた剣が宙を舞い十代に突き刺さる。
万丈目LP3000→2400
十代LP4000→3400
類似効果のアマゾネスの剣士と違って、地獄戦士の効果はリクルーターと同じく墓地で発動する効果のためスキルドレイン下でも発動する。
万丈目はスキルドレインとの相性を踏まえて一般的には下位互換と言える地獄戦士を入れていた。
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド」
手札:4枚
場:エアーマン(ATK1800)
魔法・罠:伏せ1枚
-万丈目のターン-
「俺のターン。ドロー!
俺は手札断札を発動。互いに手札を2枚捨て、2枚ドローする」
「万丈目さんが手札交換をするなんて……」
万丈目の取り巻きからはその光景を信じられないような目で見ていたが、十代は思いもがけない手札効果の機会にラッキーと言いながら手札交換を行う。
「ラッキーと言えるのも今の内だ。
俺は墓地のヘルウェイ・パトロールを除外し、手札の攻撃力2000以下の悪魔族モンスターである地獄詩人ヘルポエマーを特殊召喚する」
地獄詩人ヘルポエマー
効果モンスター
星5/闇属性/悪魔族/攻2000/守1400
このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた場合効果が発動する。
このカードが墓地に存在する限り、相手バトルフェイズ終了時に
相手は手札からカードを1枚ランダムに捨てる。
このカードは墓地からの特殊召喚はできない。
墓を背負った薄気味の悪いモンスターが万丈目の場に現れる。
「さらにリビングデッドの呼び声を発動し、闇より出でし絶望を特殊召喚」
万丈目は攻勢に出るため、墓地肥やしと手札交換を兼ねる手札断札を使っていた。
「ヘルボエマー(ATK2000)でエアーマン(ATK1800)に攻撃!」
「罠発動、ヒーローバリア。このカードの効果でヘルポエマーの攻撃を無効にする」
ヘルポエマーの攻撃をエアーマンの前に現れた盾によって防がれる。
「だが、闇より出でし絶望(ATK2800)の攻撃は残っている。エアーマンに攻撃しろ!」
闇より出でし絶望が爪でエアーマンを引っ掻き、破壊する。
十代LP3400→2400
十代と万丈目は同じライフだが、場の状況は誰が見ても十代の方が劣勢である。
「カードを1枚伏せてターンを終了する」
手札:0枚
場:闇より出でし絶望(ATK2800)
地獄詩人ヘルポエマー(ATK2000)
魔法・罠:スキドレ
リビデ(闇より出でし絶望に使用)
伏せ1枚
-十代のターン-
「俺のターン。ドロー!
俺は墓地のE・HEROネクロダークマンの効果で手札のE・HEROエッジマンを生贄なしで召喚する」
「手札断札の時にそのカードを捨てていたのね」
「ネクロダークマンは墓地に存在するときE・HEROを生贄なしで召喚できる効果を持つ。
この効果はヘルウェイ・パトロールと同じく墓地で発動する効果、スキルドレインの対象外だ」
明日香と夜光が劣勢な状況から最上級モンスターであるエッジマンを高速召喚する十代のファインプレーを褒めていた。
「エッジマン(ATK2600)でヘルポエマー(ATK2000)に攻撃!」
万丈目LP2400→1800
「速攻魔法、マスクチェンジを発動。
エッジマンを変身召喚!来い、M・HEROダイアン!
ダイアン(ATK2800)で闇より出でし絶望(ATK2800)に攻撃!ディスバーション!」
「相打ち狙いか!?」
「いや、相打ち狙いじゃないぜ。俺は速攻魔法、天使のサイコロを発動。
エンドフェイズまでサイコロの目×100ポイントダイアンの攻撃力はアップする」
天使によってサイコロが振られる。転がっていくサイコロが止まると6の目が出る。
「出た目は6。よってダイアンの攻撃力は3400!闇より出でし絶望の攻撃力を上回った」
青いマントをなびかせながら飛翔した鋼鉄の騎士は槍で闇より出でし絶望を貫く。
万丈目LP1800→1200
本来ならばダイアンの効果でデッキからレベル4以下のHEROを呼び出せるが、スキルドレインによって無効になっているため発動しても意味が無い。
「万丈目の場のモンスターは全員倒したぜ。俺はメインフェイズ2に移って……」
「この瞬間、戦闘破壊されたヘルポエマーの効果でお前の手札1枚をランダムに捨てる」
十代の墓地からヘルポエマーの手が現れ、勝手に十代の手札を墓地に捨てられてしまう。
「くっ……ターンエンド」
十代は自分の手札にあった罠カードを捨てられたため、これ以上何もできなかった。
「エンドフェイズに速攻魔法、終焉の焔を発動。黒焔トークン2体を特殊召喚する」
終焉の焔には自分の召喚・反転召喚を封じる効果を持つが、万丈目が行ったように相手のエンドフェイズに発動すればデメリット効果をほぼ無視することができる。
手札:1枚
場:ダイアン(ATK2800)
魔法・罠:なし
-万丈目のターン-
「俺のターン。ドロー!
見せてやろう、俺のデッキにある最強のカードを……
黒焔トークン2体を生贄にダーク・ホルス・ドラゴンを通常召喚!
ダーク・ホルス・ドラゴン(ATK3000)でダイアン(ATK2800)に攻撃!」
黒いドラゴンが闇を纏った炎のブレスを放ち、ダイアンを燃やし尽くす。
十代LP2400→2200
「お前はモンスター効果も封じられ、場はがら空き。そして俺の場には攻撃力3000のダーク・ホルス・ドラゴンがいる!
俺の勝ちが決まったようだな。ターンを終了する」
万丈目は勝利を確信しエンド宣言を行う。
手札:0枚
場:ダーク・ホルス・ドラゴン(ATK3000)
魔法・罠:スキドレ
-十代のターン-
「この勝負、万丈目くんの勝ちね」
「アニキ……」
明日香や翔は万丈目の勝利、十代の敗北だろうと思っていた。
「いや、まだ十代は勝負をあきらめたようじゃないぜ」
だが、夜光の指摘を受けた明日香や翔は十代を見ると、十代がデュエルをあきらめずに闘志を燃やしていることに気づく。
「俺のターン。ドロー!
俺は貪欲な壺を発動。墓地のエアーマン、フェザーマン、エッジマン、ネクロダークマン、ダイアンをデッキに戻し、2枚ドロー!
俺はスパークマンを守備表示で召喚。カードを1枚伏せてターンエンド」
(あとは万丈目が地割れのようなモンスターを除去するカードを使ってこなければ、俺に勝機はある)
十代は一発逆転をするため最後の賭けにでる。
手札:1枚
場:スパークマン(DEF1400)
魔法・罠:伏せ1枚
-万丈目のターン-
「俺のターン。ドロー!
どうやら万策が尽きたようだな。俺はビッグバン・シュートをダーク・ホルス・ドラゴンに装備させる。
これによりダーク・ホルス・ドラゴンの攻撃力は400ポイントアップし、貫通効果を得る。
ダーク・ホルス・ドラゴン(ATK3400)でスパークマン(DEF1400)に攻撃!」
十代LP2200→200
圧倒的な攻撃力を持つダーク・ホルス・ドラゴンによってあっけなくやられるスパークマン。
「罠カード、ヒーロー逆襲を発動。このカードはE・HEROが戦闘破壊されたときに発動できる罠だ。
相手は俺の手札を1枚選び、そのカードがE・HEROだった場合相手モンスター1体を破壊し、選ばれたE・HEROを特殊召喚できる」
万丈目は十代の手札を再度確認する。そう十代が持つ1枚の手札を……
「お前の手札はたった1枚……まさか!?」
「そう俺のカードはE・HEROバーストレディ!
ダーク・ホルス・ドラゴンを破壊し、E・HEROバーストレディを特殊召喚」
バーストレディが現れ、これまでやられたヒーローの仇をとるため巨大な炎をダーク・ホルス・ドラゴンに浴びせ燃やし尽くす。
「こ、この俺が……負けるだと……!?」
万丈目は自身の敗北を知り、ひざを折る。
「エンド宣言しないならターンを進ませてもらうぜ」
規定時間の3分が過ぎたため、強制的に十代のターンとなり、ドローした後すぐさまバトルフェイズに移る。
「バーストレディ(ATK1200)でダイレクトアタック!」
バーストレディが万丈目に炎を浴びせるが、自分の敗北に呆然自失となっている万丈目はリアクションをとることはなかった。
万丈目LP1200→0
「ガッチャ、楽しいデュエ……」
「何が楽しいデュエルだ。デュエルは勝たなければ意味が無い!」
十代の決め台詞を遮る万丈目。
「デュエルは楽しむものだろう。そりゃあ負けたら悔しいけど、それをばねにして勝とうと努力するのも楽しみの1つだと思うぜ」
「どんなに努力を重ねたとしても負けたら意味がない!帰るぞ、お前ら」
十代の反論も万丈目の考えを変えることはできず、万丈目はデュエル場を後にする。
その後、この場にいた全員が新入生歓迎会に遅れたことで先生たちからお叱りを受けたことは言うまでもない。
万丈目のヘルデッキを真面目に考えたらスキドレデッキになりました。
ちなみにスキドレとあまり使用が良くないダークホルスが入っているのは純粋に打点を向上させるためです。
本来ならバルバロスでしょうが、従属神という特殊なカテゴリーに属している以上、一般人が入手するのは困難だと考えました。
また、あの世界で3000打点はおそらく貴重だと思いますが、原作でもホルスの黒炎竜をもっているブルー生徒が居たのであってもおかしくないと思い、採用しました。
さてとオリカが多い明日香のデッキはどうしよう……