マージナル・アーカイブス - 子供使い、先生になる -   作:オーバードライヴ

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「ふへぇ、おじさんが寝てる間にすごいことになってたんだねぇ」

 

 ゲヘナ風紀委員会の幹部用人員輸送車という名前のリムジンの後部、運転手席とは完全に切り離された4人用コンパートメントでホシノが僕のタブレットの映像を確認しながらそんなことを言っていた。コンパートメントは4人一杯に乗っている。運転席のすぐ後ろ、進行方向逆向きの席にはこの車のホストで風紀委員会委員長の空崎ヒナ、その隣にキリノ、ヒナの向かいに僕とその隣にホシノ。合わせて4人。ゲヘナ風紀委員会はかなりお金を潤沢に持っているらしい。

 

 それもそうか。あんな迫撃砲を山ほど撃ってくるんだからお金がなくては運用できない。

 

「小鳥遊ホシノ……まだアビドスに残っていたなんて。てっきりもうアビドスを離れたと思っていた」

「んー、風紀委員長ちゃんはおじさんのこと詳しいみたいだねぇ。もしかしてファンだったり? もしそうだったらノノミちゃんの言ってたアイドル活動で借金返済も夢じゃなかったり?」

「茶化さないで……」

 

 すごくめんどくさそうに空崎ヒナがホシノの悪乗りを止める。ホシノが話題を逸らそうとしているので、それにちょっとだけ乗っかることにした。

 

「それはヒナが情報部にいたせいかい?」

「先生も私のことを知っているのね」

「いろんな人からゲヘナ風紀委員会の委員長はすごいと褒められてたからね」

「便利屋からかしら」

「それもある」

 

 素直に答えると、ヒナはもう一度ため息。いろいろ聞かせてくれた張本人であるキリノはわずかに緊張した様子で目をそらしている。多分本人には聞かせられないような尾ひれが話についているのだろう。

 

「いいわ。便利屋が私たちをどう言っていても私たちは仕事をするだけ。どれだけそれが面倒でもね」

「委員長ちゃんはまじめちゃんだねぇ。……で、面倒でも私たちに伝えたい何かがあるんでしょ?」

 

 ホシノがいきなり切り込んだ。

 

「そうね。本来なら伝える義理はないのだけど、まだティーパーティーはつかんでいない、そして万魔殿には報告していない情報が一つある」

「それをおじさんたちに伝えたいってわけだ」

「正確にはアビドスと、シャーレに」

 

 ヒナは僕をまっすぐに見てくる。

 

 なるほど、アヤネのネゴシエーションは風紀委員会のかなり深いところまで刺さったらしい。政治と軍事が不仲なことはよくあるし、万魔殿と風紀委員会の隔絶はセリカでも知ってたレベルということだったから効くだろうとは思ったが、ここまで効くとは。アヤネがいきなり喧嘩を吹っ掛けたときは焦ったが、止めなくてよかった。

 

「僕としてはありがたいけど、情報には必ず意図と値段があると思っている。どうして教えてくれるのかを一応聞いてみてもいいかい?」

「……素直に聞いてくるのね」

「下手に勘ぐってもしんどいだけだからね。取り越し苦労はしないことにしているんだ。それにヒナは信頼できそうだと感じている」

「っ!」

 

 そう言うと、言葉に詰まったような様子のヒナ。キリノのじとっとした視線が痛いしにやにやとしたホシノには後でいろいろ話しておきたい。

 

「……信頼を得るような時間がお互いあったかしら」

「少なくとも君は仕事熱心だ。D.U.での用事の後シャーレに寄ったと言ってたけど、シャーレはD.U.の外郭にある。ついでで寄るにはアクセスが悪い。もちろんゲヘナからD.U.の距離に比べればちょっとなんだろうけどね」

「働き者は有能とは限らない」

「そうだね。君の命令を、判断を、君の部下は聞いている。それがどんな背景であれ、指示を出すというのは大変なものだ。そこに真剣だからこそ、そこには敬意を払いたいと思うよ」

「お人よしって言われるでしょう」

 

 ヒナにまでそういわれると肩をすくめるしかない。

 

「疑心暗鬼になっても始まらないからね」

「それで裏切られたとしても?」

「子どもたちには信頼やら道徳を説くのに、大人が子どもを信じないのは間違ってるだろう。だから僕は必ず信じるところから始めるようにしている。その中でおかしいところが出てきたり、間違っていたら指摘もするし、対応も変えていくけどね」

 

 それを聞いてヒナは軽く目を伏せた。

 

「……じゃあ、先生にもう一つだけ質問してもいいかしら」

「なんだろう」

「あなたがアビドスに手を貸すのは、何故?」

 

 ホシノの目がこちらを不安そうに見るのが分かったが、ここも僕は嘘をつく必要もない。素直に口にする。

 

「助けてと言ってきた子どもを見捨てたくないからだ。僕のところまでやってくる子達は、もう戦う以外の選択肢をなくしてから頼ってくる子がほとんどだ。それでもいつかは銃を置いて、戦う以外の選択肢を選べるようになってほしい。僕が選べなかった選択肢を、子どもたちには選んでほしい。……アビドスの子達はそんな未来を諦めていなかったし、今も考え続けている。その手助けはしたいと思ってるよ」

 

 僕には戦争の才能しかない。だから日常として戦争をするし、それでいいとあきらめてここまで来た。それでも僕の元に来る子どもたちまで戦争に染める必要はないし、染まってほしくない。

 

「それだけなんだよ。ほんとうに。今は戦うしかない子供たちに一日でも早く銃を収めてもらうために、必要な課題を整理して、解決する。そんな手助けがしたいだけなんだ。……子ども同士で戦争をするなんて、そんな世界は間違っている」

「そう……かな?」

 

 ホシノがポツリと呟くように言った。だからその頭を撫でつける。砂漠の砂がわずかに手に引っかかる。

 

「僕はそういう世界を知っている。僕は銃なんて警察官か軍人しか持ってはいけない場所で育ったんだ。いま君たちに、僕の言葉は夢物語に聞こえるかもしれないけど、そういう世界を目指せるはずなんだよ。大人は、それを目指さなければいけないし、キヴォトスで子どもたちが戦わなきゃいけない状況を作った大人の怠慢だ」

「大人の……」

「うん。今のアビドスは大人の無知と無関心でこの状況に追い込まれたと僕は思っている。その解決は本来なら大人の役目だ。だから遅くなったけど、僕が手伝うことにした」

 

 ヒナとホシノはそれを黙って聞いていた。

 

「……わかった。今は私も先生を信じることにする」

 

 ヒナはそう前置きをしてからホシノの方を見る。

 

「まず、今回の風紀委員会の攻撃は風紀委員会独断での作戦行動の一環だった。カイザーグループは関係ない。そこは勘違いしないで」

「あぁうん。それはそうだろうね」

「でもカイザーグループが絡んでるってのは知ってるんだね、委員長ちゃんは」

「シャーレがいきなりカイザーグループが絡んでる交通管制システムやヴァルキューレの上層部と対決姿勢を打ち出したから。そこからだいたい見えてきた」

 

 話を戻すわ、とヒナは仕切り直しつつ、車窓を眺める。何もない砂漠がずっと広がっている。

 

「攻撃に踏み切る最大の原因は、犬猿の仲といっていいトリニティ学園の生徒会関係者と先生が接触したから」

「ヒフミのことだね」

「そう。……正直に答えてくれなくてもよいのだけれど」

「完全な事故だよ。彼女もプライベートで動いていたし、ヒフミは何度もブラックマーケットには足を運んでいたらしい」

 

 ヒフミのことまでつかんでいるということは、かなりの諜報戦が仕掛けられてるな。シャーレもその中に組み込まれるということだろう。ミャンマーの時はこのあたりイトウさんに丸投げだったから、門外漢な領域だ。このあたりについてはどこかで対策を練る必要があるかもしれない。

 

「私たちも偶然の可能性が高いと踏んでいた。それでも、ゲヘナ学園は、トリニティ学園とシャーレが共闘関係になることを阻止しなければならない理由があった」

「……それはなんだい?」

「エデン条約。ゲヘナ学園とトリニティ学園の間で結ばれる平和条約で、両校の間での調停などを行える新しい執行機関を設立する条約が、締結秒読み段階に入っている」

 

 つまり、仲が悪い学校の間で協力して会議体をつくり、そこでトラブルは解決しようという取り決めを作りたい、ということらしい。

 

「……なるほど、つまりこの会議体ができるまでは僕にトリニティ側についてほしくないのか」

「あくまで公平でいてほしいし、先生の動きがトリニティでもゲヘナでも注目の的になりつつある。だからアコは身柄ごと押さえてトリニティへのアドバンテージにしようとしたと思われる。……これについてはこちらの監督不足だ。しかもアビドスで動かすとは。せめてD.U.だったら……」

「ヴァルキューレが被害受けますからやめてくださいね!?」

 

 キリノが慌てて突っ込む。アビドスの戦闘力はヒナ自身も想定外だったようだ。キリノにも謝って弱り切った様子のヒナにホシノが笑いかける。

 

「まぁ、委員長ちゃんの大体の事情はわかったよ。それに同じようなことをしてくれなければいいし、どうせトリニティとかほかの学校も盗み見てるんだろうから、アビドスを襲うとまずいってことはアピールできたかなぁと思うしねー」

 

 まぁ……5人プラスアルファで他校の執行部隊を蹴散らしたというのは情報としてインパクトはあるだろう。それ自体は悪くない。

 

「ホシノ、実際問題、吹き飛んだ街区の管理責任者は誰になるんだい?」

「ん~? 市場以外は一応カイザーコンストラクション。ただし、実質的に放棄地になってるし、管理についてはうやむやになっているから、カイザー側から管理責任はアビドス高校うんたらかんたらって、こっちに吹っ掛けられる可能性はあるかなぁ」

「言ってきたら委託料払えで逆訴訟だ」

「大人っておっかないねぇ……」

 

 ということで、と口にしてホシノがヒナを見る。

 

「体裁上アビドスからゲヘナに損害賠償請求をすることにはなるけど、額はかなり絞られると思うよ~」

「……吹っ掛けて来るかと思ってたけど」

「しないしない。そんなことでお金もらっても後輩のみんなが困るだけだし、棚ぼたに期待して真面目に返済とかしなくなるとそれこそあっという間に廃校の危機だしねぇ……アビドスの事情とは切り離して、今回の被害についてだけ、きっちり請求する。そのほうがあとくされないでしょ? だけど正直カイザーから言われてもアビドスは関与できないから、そこだけはゴメン。ゲヘナでなんとかして」

 

 ホシノはそう言ってから「先生もそれでいいよね?」と確認してくる。

 

「構わない」

「……ありがとう。ゲヘナ側はなんとかするから」

 

 ヒナの顔色がわずかに良くなったような気がする。お金の問題というのは精神を蝕む。ヒナもなんだか大変そうだ。まぁ原因はアヤネの猪突猛進を僕が止めなかったことなんだけど。

 

 ヒナが窓の外の砂漠に視線を送り、僕たちの方に戻した。

 

「……アビドス砂漠でカイザーグループが何かを探している、というのは知っている?」

「衛星写真では。かなり掘っているようだったけど」

 

 僕の答えに満足したのか、こくんと頷いて見せるヒナ。

 

「情報部で、カイザーグループが急に事業を拡大しているのが気になって、調べ上げたことがある」

「それがティーパーティーや万魔殿も知らない情報?」

「の一部。というのが正しい。公開されている情報もあるし、資料を調べればわかる情報もある」

 

 ヒナはそう言ってドアポケットから資料を取り出した。部数は1部。どうやらこれが僕を訪ねようとD.U.のシャーレ本部ビルに寄った理由らしい。

 

「アビドス砂漠には古代の都市が失われた超技術(ロストテクノロジー)と一緒に埋まっている。一種の都市伝説だけど、実際アビドス砂漠からは水晶製の埴輪が出土したり、未知の方法で情報が刻まれた円盤が大量に発見されたりする」

 

 ホシノの方を見るとこくんと頷く。

 

「昔やってたお祭りの時とかは景品としてつかったりしたらしいよ、そういう出土品」

「実際、製造技術が失われ、解析できないものでも、利用されているものはある。それを持つだけでアドバンテージになる……というのは夢物語かもしれないけど、ありえない話ではない」

 

 頭の奥にタブレットが、正確にはアロナの後ろ姿が浮かぶ。なるほど、ロストテクノロジー。世界を変えてしまうような何かのためにアビドス高校が邪魔になった。いきなりファンタジーになってきたな。

 

 いや、柴犬がラーメン作っている時点で十分ファンタジーなんだけど。

 

 問題はそのロストテクノロジーというファンタジーが実害を与えているところだ。そのためにアビドス高校を動かそうとしていると仮定すると、その遺跡とロストテクノロジーとやらが見つからなければ止まらない。砂漠は広すぎて、存在しないことを証明することはまず不可能だろう。何があればそんな宝探しを本気でやることになるのだろう。

 

 僕の悩んでいる間にもホシノが話を進めてしまう。

 

「でも埴輪も円盤もそこまでして発掘するようなものかなぁ。というか、カイザーグループの上って陰謀論者?」

「それも筋金入りかもね」

 

 そんなことを言って資料をめくるように指示をしている。

 

「もう10何年前だけどトリニティの大図書館とかにも照会をかけていた記録もある。そして、当時の万魔殿にも照会をかけていた。手あたり次第ね。そして、なにかをつかんだ結果、アビドスの土地を買いあさった」

「なるほどね……。で、アビドスの持っている土地か、生徒会の情報か何かを欲してて襲ってきてるって寸法かぁ。信じているもののためなら赤字になってもいいんだろうねぇ」

 

 ホシノはそう言う。そうなってくると話がかなり厄介だ。こちらにできる譲歩も落としどころもない。とりあえず、黙ってもらうというところを狙うことになるだろうが、これも根本解決にはならない。

 

 それよりも、気になったことがある。

 

「ホシノ、アビドス高校の生徒会としてなにか情報はあったのかい?」

「んー。お祭りの演出のためにアビドス砂漠の伝承について調べたりした程度。どうにもアビドス高校の旧校舎のあたりは古代人の祭壇があったらしいとか、アビドスっていう名前自体も古代語の『復活の地』というのが由来なんじゃないかとか、まぁ眉唾な話?」

「そうなってくると、短期決戦の構図自体が崩壊するか……」

「おやぁ、先生が弱気というのも珍しい」

 

 口元を隠しながらホシノが突いてくる。なんだか今日はハイテンションだなホシノ。

 

「まぁ、直近のやるべきことは変わらないけどね。……相手の目標が予想外過ぎてどうするべきか悩むね、これは」

 

 とはいえ実際大問題だ。相手が技術を求めているとなると、アビドス高校側から代替手段の提案ができない。つまり、交渉の余地がなくなる。こちらが主導権を握り続けるためには、相手が耐えられなくなるぐらいの被害を中長期的に与えるしかない。その中長期的な戦闘の継続に、アビドス高校は耐えられるか。

 

 結論はすぐ出る。無理だ。真っ先にアヤネがつぶれる。今日の様子を見ているとあの子は今も限界を超えた出力でアウトプットしている。早く休ませないといけないのは確かだ。

 

 せめて欺瞞情報であってほしい。アビドス高校の運営権の話のためのフェイク……の可能性を捨てたくない。

 

 少なくとも僕の知っている兵力の使い方ではない、というのは念頭に置いて作戦を練らなきゃいけない。情報のインプットが圧倒的に足りてない。この世界の戦闘の流儀や仕組みを早く体系的に取り込む必要がある。このあたりの情報収集もなんとかしたいところだな。今度ヴァルキューレ警察学校の教範でもあれば読み込んでみたい。キリノかカンナに言えば貸してもらえるだろうか。

 

「カイザーコーポレーションの本命はなんだろう。どんなロストテクノロジーを狙っているのかぐらいは見えないと交渉のしようがないな」

「さすがにそこまでは……ただ……」

「ただ?」

 

 聞き返すと言い悩むような間を置いた。

 

「都市伝説の通りなら、世界の終焉に備えた箱舟が埋まっている、らしい」

「夢のある話だねぇ……でも私たちに情報か場所の提供を求めている時点で成果は上がってなさそうだしさ。それが見つかる前に返済しきれば解決だねぇ」

 

 ホシノはどこかほっとしたような顔でそう言った。確かにホシノの言う通り、借金を返し切ってカイザーと縁を切り、ことあるごとに低強度の戦闘を続けるというのが中長期的な着地点になるだろう。問題は借金を返し切るまでアビドスの生徒の疲弊をどう抑えるか、というところになる。

 

 生徒の体力的にも長期戦は無理だ。なんらかのブレイクスルーが必要なのだが、そのとっかかりがどこにもない。

 

 その間にもホシノが話を畳んでしまう。

 

「まぁ、数億円の借金もあるけど、きっと大丈夫。なんとかするよ。あと委員長ちゃんが持っている情報はある?」

「その発掘事業が結構な資金源になっていることもあるから、しばらく相手もアビドスから撤退しないだろうという推測だけ。カイザーはアビドス高校には土地と情報を根こそぎにするつもりだと思う」

「うん、理由はともかく、要求は予想通りだねぇ。大丈夫。その範囲なら何とかなる。でしょ? 先生」

 

 どうも何とかなると言い聞かせてるようにしてるのが気になるが、事実ではあるので取り急ぎは頷いておく。

 

「何とかするためにいるからね。一歩ずつ、一歩ずつだよ、ホシノ」

 

 そのやり取りに目を伏せたヒナ。

 

「……いいヒトに出会ったのね」

「でしょー? 委員長ちゃんも頼ったら? しんどそうだよ? どしたん? 話きこうか?」

 

 その言い回しはどこで覚えてきたんだと突っ込みたくなるが、とりあえずホシノの頭をなでて落ち着かせる。こういう時の対応の経験値がなんだかんだ言ってジブリールとジニが基本になっている。ほかのコミュニケーションについても経験を積んでおきたいところだが、こんなところで綱渡りをするのはおそらく間違いなはずだ。

 

「これ以上シャーレにも迷惑をかけられないし……」

「あ、じゃあシャーレとして協力してほしいことがある。その交渉をしてくれたら、シャーレとしてもこの件はチャラ、ということでどうだろう?」

 

 この子は恐ろしく抱え込むタイプだ。カンナともシロコとも別の方向で要注意な子だな。

 

「人員が少ないこともあってシャーレの食堂機能が実質麻痺状態なんだ。スタートアップのためにも、大人数向けの調理の経験を持つ人員を紹介してほしい。さすがにレトルトやコンビニに頼った食事をさせ続けるのもまずいからそのあたりの運用をしっかりしたいと思って、アドバイザーとして動ける人員に心当たりはないかい?」

 

 交換条件として出したのは、シャーレの食糧事情。フブキやキリノがシャーレ本部併設の宿舎を使いたいと言っている以上、このあたりの拡充も必要だ。シャーレ部員の人員拡充も急ぎたいし、その基盤として食事と綺麗な衛生環境の確保は喫緊の課題だった。

 

 それを切り出すと、ヒナは考え込むような間をとった。

 

「そうね……心当たりがある。スタートアップ期間はそちらに泊まりこめるように手配する。ただし、彼女はゲヘナでも常に必要とされる人材だから、そのままシャーレに拉致はしないでね」

「もちろん」

「あと、彼女というか、彼女の料理を狙ってテロリストみたいなのが何人か押し寄せる可能性があるから、そこも気を付けて」

「……なにやら事情がありそうだけど、わかった。このあたりの連携窓口はヒナでいいかい?」

「私でいい」

「じゃあ、具体化してきたらまた連絡を取ろう」

 

 いろいろと考えなければいけないことは山積みだ。

 

「とりあえず、10分ほど遅刻する旨を連絡しないとだね。ユウカは怒ってるだろうなぁ……」

 

 考えなければいけないことの前に、やるべきことから片づけることにした。




ようやくアビドス編も終盤戦に向けて動き出せる体制です。
おかしいな……20万字も書いてるんだからもうアビドス編終わってる心づもりだったんだけどな……

あともうしばらくお付き合いください。

次回 技術という武器

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