マージナル・アーカイブス - 子供使い、先生になる -   作:オーバードライヴ

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■□■ 警 告 ■□■

今回は警告タグの通り、キャラクターへの打擲や負傷表現等の暴力描写・残酷な描写があります。苦手な方は閲覧を控えてください。


00101010_見落としの代償

 ロジコマが周囲に煙幕などをばら撒きながら正門と裏門を一斉に捉えた。正門は戦車が二台道を塞ぎ、裏門も装甲車が横向きに並べられていてバリケードにされている。

 

 正門側に回っているのはシロコとアヤネ、フブキ、裏門側がセリカとノノミ、キリノの三台。裏門側はノノミがいるが、正門側で戦車を撃破するには火力が足りない。

 

「SC班、火力支援開始」

 

 射程限界ではあるが、肩持ち式の携帯型対戦車ミサイルが二発同時に飛んでいく。便利屋68に超特急で調達を頼んだが無事にうまく飛んでくれた。マキが観測をしてチヒロが撃ったものと、ムツキが観測してカヨコが撃ったものの二本が飛ぶ。ハルカとアルのペアはバックアップ中で次射に備えている。

 

 トップアタックモードで発射したのもあって、急上昇して上から戦車を叩き潰す。慌てて下がろうとするがもう遅い。直撃して一台が砲塔ごと吹き飛んで、そのまま円運動をかくように下がりはじめた。おそらく操縦手が気絶したか駆動系が壊れたかしたんだろう。そのまま下がり続けて塀を叩き壊していた。もう一台の方もヒット。吹き飛びこそしないものの慌てて乗員が逃げ出しているあたり被害はあったのだろう。

 

「SC班はR13N1へ。SA班侵入継続(CONTINUE)

 

 裏門の方はロジコマのマシンガンとノノミのミニガンの斉射で派手に装甲車が炎上している。ミニガンの斉射で黙る位なら素直に道を空ければいいのにとは思うが、現場も命令なんだろう。そのまま逃げて何もしないでくれと思う。戦線が崩壊した兵隊は悲惨だ。バラバラに撤退するか無謀な突撃を選んで痛い目に遭うか、投降するか。是非とも投降してほしいが相手はどうか。

 

「逃げるのと投降するので半々……? SA班、屋外はロジコマに任せSA班は屋内の捜索に入ってくれ。常に通信状況に気をつけろ。使途不明の通信が旧市街から出続けている。万が一通信が切れたら敷地外に待避だ。いいな」

《了解しました》

 

 アヤネが代表して回答。無事にアビドス高校校舎に到達しロジコマから降車した面々がアビドス旧校舎に飛び込んでいく。先頭を切っているのはキリノだ。一階から順番にクリアリングしていく。

 

「……おかしい。順調すぎる」

「先生?」

「組織的な抵抗ができていたはずなのに、なぜいきなり瓦解した?」

 

 ここまでいきなり崩壊するだろうか。特定の小隊が、などという形ならわかるし、突出した部隊から順に、というのもわかるが、今回は違う。いきなり全体で抵抗がなくなった。

 

「SC班、SD班、状況はどうだ」

《SC1、現在指定ポイントへ移動中。欠員なし、コンディションブルー》

《SD1、今捕虜全員の拘束を終えたわ。こちらの損害はゼロ。コンディションブルー》

「……いきなり全戦線が崩壊した?」

 

 ユウカが僕と同じ疑問に行き着いた。そうなると答えは一つだ。

 

「……カイザーコーポレーションは現場を切り捨てた、か」

「じゃあ、もう組織的な抵抗はない」

「逆にこれを指示した黒幕は逃げた後か……」

 

 何かを見落としている気がする。順調なのはいいのだが、こうも順調だと罠に追い立てられている気分だ。罠だとして、誰が、なんのために張るんだ。この状況で。

 

 ユウカがゆっくりと口を開く。

 

「ボスが逃げてるなら、なんとか物証を押さえて口を割らせなきゃですね」

「それは僕の仕事じゃなさそうだ。それはヴァルキューレの仕事であって、シャーレの仕事じゃないよ。僕の目的はホシノの安全の確保であって、それ以外のことは――――――」

 

 赤信号。なにかを見逃している。現在進行形で何かを見失っている。

 

「……先生?」

「……コユキ、傍受している無線でなにか符号みたいなものを検出してないか?」

「へっ!? なにもないですよ!? 全部平文に直してますけど……なにも……」

 

 なら戦闘員に指示は伝わっていないことになる。ならなぜ一斉に反撃の精度が落ちたんだ?

 

「指揮官が現場を放棄した……」

「にしては、それでも反撃の体制になってましたよね」

「そうなんだ。なにかがおかしい」

 

 ユウカの指摘通り、直前まで現場には指揮系統が成立していた。赤信号が消えない。

 

「だとしたら、現場指揮官が指揮権を委譲しないまま、戦線を放棄……っ!」

 

 血の気が引く。

 

「……そういうことか」

《シロコちゃん! 待ってください!》

 

 ノノミの声。SA班の全員のデバイスのリアルタイム動画を画面に出す。シロコが銃を構えたまま階段の踊り場をクリアリングしているのが見えた。

 

 一方でアヤネが捉えているのは暗い水場の様子だった。おそらくは元々トイレかなにかだったところを改修したのだろう。排水溝と水洗とバスタブが見える。そこにはまだ生乾きの血の跡が見えていた。

 

「アヤネ、フブキ、東階段を迂回して全速力で屋上へ向かってくれ。ノノミ、セリカ、キリノはシロコをいったん引き留めろ。屋上までゆっくり追い詰めるんだ」

《過去イチ無茶な命令ね!? やってはみるけどあの暴走超特急(シロコせんぱい)を止められるかは保証しないわよ!》

 

 セリカの声がする。それでもやってもらうしかない。

 

「ちょ、先生?」

 

 ユウカが聞いてくるが指示が先だ。

 

「アル、カヨコを連れて狙撃準備だ。敵指揮官はホシノを盾に屋上に逃げようとしている。狙撃地点は自由に選んでいいが可能な限り追い風を選んでくれ。ターゲットの至近距離にホシノがくるはずだ。可能な限りリスクは減らしてくれ」

《……わかった。3分頂戴》

「急いでくれ」

「ちょっと先生!」

 

 説明してください! とユウカが袖を引く。マイクはオンにしたまま予測を口にする。

 

「敵の組織的抵抗が瓦解したのは現場指揮官が戦線を放棄したからだ。本来なら階級や指揮階梯に従って指揮権が継承されるはずだがそれがなかった。おかげで一瞬で敵勢力がぺしゃんこになった」

「それがなんでホシノさんを連れて屋上にって話になるんですか!」

「それらしい影は屋外になかった。出入り口は僕たちが固めて出られないなら現場指揮官は建物の中の前線指揮所にいたはずだ。その指揮官が上官に切り捨てられたと知ったんだ」

「だからなんで!」

「わからないか? その状況で安全に砂漠を離脱するには、ホシノを人質にヘリを呼ぶのが一番手っ取り早い。もしくは……」

 

 考えたくはないが、自棄になって可能な限りのダメージを与えるために引きつけようとしているか。

 

「どちらにしても可能な限り戦力を同時に投入できる環境を作りたい。SC班の観測と支援が受けられる屋上まで追い詰めてくれ」

 

 シロコにセリカが追い付きなんとか引き留めた。足元にはまだ新しい血が点々とついている。どんどん階段を上がっているのがわかる。

 

《屋上についた!》

「フブキ、ドアの横で待機。ドアが開いた瞬間が勝負だ。敵を屋上にはじき出せ。アヤネ、フブキのバックアップを頼む」

《狙撃箇所についた。社長のセットアップ完了まであと45秒》

 

 カヨコの声。カヨコの視界画像をもらう。屋上には落下防止の柵。風は東から、屋上まで、183メートル。続けてアルのマイクもオンに切り替わる。

 

《ここからならマンシルエット必中は余裕だけど、万が一を避けたい。屋上のみんなはできるかぎり正門側にホシノを向けないようにして。横からなら武器でもなんでも砕いてあげる》

《こちら救護騎士団、アビドス旧校舎から0.5マイルで待機中。いっそのこと敵ごとヘリで回収しては?》

「そのまま待機だ。ヘリ内部での戦闘はクリティカルになりうる。可能なかぎり屋上で決着をつける」

 

 銃声をマイクが拾う。シロコのマイクだ。

 

《撃ってきた。相手は拳銃しか持ってないみたい……、先生、これでもまだ駄目なの?》

 

 シロコの視界の先には屋上に続く階段の踊り場からシロコ達に撃ち下ろしている男の姿、そしてその盾にされる位置で立たされている、影が一瞬見えた。

 

 ドン、という音。あまりの衝撃で気絶したのだろう、コユキを慌ててユウカが支えに入る。赤黒く染まった袋、おそらく麻製の袋のせいで顔が見えないが桃色の髪とヘイローでホシノだとわかる。ヘイローが浮かんでいるということは、まだ生きている。服は剝ぎ取られ体中にあざが浮かんでいるのがわかる。おそらく左足は折られていて、ひどく腫れていた。首元には縄がかけられ、それが棒のような何かにつながっている。それを手綱代わりにして彼女を操っているのだろう。

 

 この感覚は知っている。忘れるわけにはいかない感覚。絶対に忘れることが許されない感覚。僕の失敗の代償はいつも子どもたちに押し付けてきた。

 

 ここが分水嶺だ。間違えるわけにはいかない。

 

 限界、ギリギリ、マージナル。

 

 僕の判断一つでホシノの命が飛ぶ。

 

「……まだ、撃つな。確実に助けられるタイミングまで、待つんだ」

《でも先生!》

「僕らの目標はホシノの安全の確保だ。屋上まで、誘導するんだ」

 

 冷静さを失うわけにはいかない。泣くのも怒りに狂うのも指揮官には許されない。まだ作戦は継続中だ。

 

「ホシノの安全を最優先だ。屋上まで誘導を続けてくれ」

 

 フラットに指示を出す。シロコが銃を構えるたびに相手は撃ってくる。拳銃の弾倉からして、残っていて2発か3発。おそらくバックアップでもう一丁持っている可能性が高い。

 

《狙撃、いつでもいけるわ》

「アル、そのままスタンバイ。フブキ、アヤネ。攻撃準備(レディ)

 

 フブキがアヤネにハンドサインを送る。アヤネが屋上の階段室のドアノブに手を掛けた。ドアの脇でフブキがセーフティを外しているのが見える。シロコを攻撃しながら敵の指揮官は扉の裏まで来ていた。相手の拳銃がホールドオープン、弾倉を使い切った。シロコの方に拳銃ごと投擲し、シロコが慌てて頭を下げる。そのタイミングでずっと控えていたキリノが飛び出した。

 

攻撃せよ(CLEARED HOT)

 

 相手の手がドアノブにかかり、ハンドルを押し下げる。相手がドアを押すより早くアヤネがドアを全力で引いた。相手は急いで屋上に出るためにハンドルとドアに体重をかけようとしたはずだ。支えを失いバランスを崩した相手はたたらを踏むしかない。

 

 階段を4段飛ばしの3歩で駆け上がったキリノがホシノと敵の間に割り込んで銃把で相手の左手を殴りつけ、ホシノと相手をつないでいた棒を弾き飛ばす。

 

 フブキがさらにバランスを崩させるように横なぎに銃床を振るった。ドア前からはじき出されるようにして屋上に敵が現れる。

 

《くっ……!》

「カヨコ、アル」

《武装解除させます。エイム》

 

 観測手をしているカヨコの淡々とした声が響く。

 

《ファイア》

 

 銃声が乗る。相手が取り出した拳銃がそのまま吹き飛ぶ。やはりバックアップを持ってたか。

 

《ヒット。次弾装填中》

 

 フブキとアヤネがそれぞれ銃を構えた。

 

《ホシノ先輩っ!》

 

 ノノミがミニガンを捨てて駆け上がる。シロコとセリカが屋上へ飛び出してきてそれぞれのライフルを構えた。

 

「撃つな!」

 

 叫ぶ。届け。

 

「撃つな。君たちが殺すほどの価値はない」

《でも! こいつは先輩を!》

「それでも撃つな。死体は情報を喋らない。復讐で引き金を引いてくれるな」

 

 毒づくセリカの声が無線に乗る。拳銃を構え警戒したままのキリノが一歩前に出る。

 

《未成年者略取誘拐の現行犯であなたを逮捕します》

《……逮捕だと?》

 

 笑い声が乗る。皆のマイクで拾われ、エコーがかかって聞こえる。不気味なエコー。

 

《私を逮捕してなんになる。何も変わらないぞ》

《犯罪をしたら逮捕され、裁かれる。それだけのことです。あなたにはきっちり話してもらわないといけないことが山ほどあります。あなただけでできる犯罪ではない》

《無理だな》

 

 笑い声が無線に乗る。

 

《君たちは情報にたどり着くことはできない。逮捕することはできない。もう君たちは既に間違えている》

《どういう意味?》

 

 会話に割り込んだのはシロコだ。

 

《……今にわかる。ガンは自覚症状が出たころにはすでに手遅れだ。いつか我々が正しかったと痛感する日が来る》

《詭弁ですね》

 

 僕が止めるより先にアヤネが反論した。彼女の視界映像は照星越しに敵の頭部をぴたりと見据えていた。

 

《目的がなんであれ、手段を肯定することはありません。誤りだとしても、愚かだとしても、私たちはアビドスを守り続ける。日の出とともに砂漠の太陽に焼き尽くされるとしても、私たちは朝日を目指して飛び続ける。それを否定するすべてに対して、私たちは否と言い続ける》

《……なら、真に絶望するその日まで、踊り続けるがいい。彼が世界を覆すその日まで》

《彼……?》

 

 敵の話が核心に触れた。―――直後、アラート。

 

《何者ですか? その彼とは》

《そうか、知らんのか》

 

 アラートの意味が分からず視線を落とす。ロックオン警報。発報者はシステムという表記。つまり、アロナが警告を発報した。

 

《彼の名は―――》

 

 敵の頭が消え去る。

 

《えっ……!》

「全員伏せろ!」

 

 首から上が消えた敵が膝をつく。その体すらめちゃくちゃに弾き飛ばすように大口径の弾丸が横なぎに発射されていた。

 

「対物ライフル!?」

《えっ!? 私じゃないわよ!?》

 

 アルの困惑した声が響く。威力からして大口径、おそらく50口径の対物ライフルが相手を跡形もなく消し飛ばしていく。発射されたのは10発。おそらく弾倉一つ分。唐突に射撃が止み、屋上には大口径の弾丸の跡と、敵だったものが残った。

 

《……なんなのよ、いったい》

《口封じ、かな。……なんだかわかんないけど、問題は全く解決してない、ってことじゃない?》

 

 セリカの困惑に答えるように、フブキが警戒を解除しつつ呟いた。

 

「……検証はいったん後だ。まずはホシノをトリニティ学園付属病院に緊急搬送する。シロコ、セリカ、ヘリに同乗してホシノの護衛を頼む。残りのSA班で投降したPMCのとりまとめだ。SD班は旧市街をクリアリング。戦闘はおそらく発生しないだろうが、警戒は解かないでくれ」

 

 指示を出しつつ、考える。ヘリが降りてきてホシノの収容に掛かる。まだ20メートルぐらい高度差があるところで盾を持った少女が命綱も無しで飛び降りて急行していた。すごいことをしているとは思うが、僕が確認するべきはそこではない。

 

「アロナ、さっきの警告は?」

『一瞬ですが、戦術リンクに強い干渉がありました。逆探前に消えましたが、応答の信号パターンからして、おそらく無人の自動機銃による狙撃と思われます。現物を確保しないとわかりませんが……』

「SC班、今の攻撃の射点の確認を頼む。システムでは無人の可能性が高いと判定が出ているが一応警戒を」

《了解》

 

 チヒロの回答を聞きながら考える。あの敵は誰かの名前を出そうとした。それをリアルタイムで観測していただれかが、彼を消した。

 

《……こちらハレ、先生。一瞬だけどこっちの攻勢防壁が反応した》

「うん、システムで見てる。相手は不明だってね」

《なんだけど……ちょっと厄介かも》

「どういう意味だい?」

 

 ハレが情報を回してくる。出てきたのは電力消費量のグラフらしいが、1分前に電力消費が跳ねあがって急減したことはわかるものの、それが何を意味するかが分からない。

 

「すまない。このデータだけでは何が言いたいかわからない。説明してくれ」

《送ったのは連邦生徒会ビルの電力消費なんだけど、カウンターのタイミングで電力消費がものすごい動いてる。……こっちの攻勢防壁が焼いたの、多分、連邦生徒会のサーバだと思う》

「……連邦生徒会? つまり、連邦生徒会からハッキングを受けた?」

《アドレスを素直に信じるとそうなる。……そしてたった今、連邦生徒会ビルの火災警報が発報……ヴァルキューレのシステム側でも探ってるけど、なんか誰かが連邦生徒会ビルに立て籠もったっぽい》

 

 このタイミングで連邦生徒会か。

 

「なるほど……よく分からない動きをしているね。無関係ではなさそうだけど……」

「ど、どうしますか……?」

 

 コユキを介抱しながらユウカが僕を見上げてくる。

 

 どっちが本命か分からない。連邦生徒会の襲撃が本命という可能性が急浮上したが、その場合シャーレの戦力をD.U.から引き剥がすことが目的の可能性が高いだろう。とはいえシャーレはそこまでの戦力の運用実績は上げていなかったはずだ。これだけの戦力をかき集めたのも昨日だ。連邦生徒会を襲撃できるだけの戦力を即日で用意できるとは考えにくい以上、なぜ事前に警戒されていたのかがわからない。

 

 逆に連邦生徒会の襲撃がアビドス砂漠での戦闘の支援目的である場合もよく分からないことになっている。戦力を分散指せる目的ならば攻撃開始が遅すぎるし、事前にこちらはそのサインを察知できていない。

 

 じゃあ完全に無関係な攻撃かというと、ハッキングがあった時点で無関係ではないはずなのだ。

 

 結論から言って、よく分からないことが起きている。

 

「どうするも、戦力を今から送ろうにも二時間はかかるし、ロジコマ以外は休息が必要だ。初動はヴァルキューレに任せて、必要なら支援する形になるだろうね」

《一応情報収集はしておく》

「頼む。こちらでも確認してみる」

 

 本当ならホシノの容体とか、今日明日で発生するであろうカイザーグループとの交渉に向けたアヤネとの打ち合わせだとかに集中したいのだが、そうも言っていられなくなってしまった。

 

「アヤネ、悪いけど僕と合流してくれ。D.U.に移動して情報収集をしつつカイザーとの交渉に備える」

《分かりました》

「ユウカは……」

「コユキを残してはいけないので、こちらで戦況のとりまとめをしようかと」

「わかった。僕も情報連結は継続するから少しでも違和感がある事態があったらすぐに呼んでくれ。直接戦闘はおそらく終結だとは思うが、まだ気を抜かないでくれ」

 

 わかってはいたのだが、これできれいさっぱりとはならないようだ。それでも、もう戦争は始めてしまったのだ。終えるまでは僕もこの戦争から降りることはできない。許されない。

 

 指揮車両を出る。また今日も暑くなりそうだった。




10万UA突破ありがとうございます。クロスオーバーという人を選びまくる作品でここまで受け入れられたこと、本当に嬉しく思います。

アビドス編はもう少しだけ続きます。

次回 戦闘の終わりと戦争の始まり

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