マージナル・アーカイブス - 子供使い、先生になる -   作:オーバードライヴ

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大変お待たせしました!


00111010_情に縛られる

「ど、どうしよう……」

 

 語学トレーニングを終えた私がゲーム開発部の部室に戻ると、ユズが青い顔で頭を抱えていた。ミドリもどんよりしているし、モモイは腕を組んで考え込んでいる様子。居心地が悪そうにしているアリスがきょろきょろしている。

 

「どうしたのですか、ユズ」

「ジブリールちゃん、おかえり。えっと……ゲーム開発部の存続のために2週間後のミレニアムプライス……要は学内コンペティションまでにゲームを作らなくちゃいけなくなっちゃって……」

 

 ミドリがそう説明してくれる。この部活は増員するか、成果を上げなければ取りつぶしになるとは聞いていたが、それが2週間後までに縮まったらしい。

 

「勢いでやりますって言っちゃったけど……ゲームシステムはおろか、イラストどころかシナリオも決まってない……」

 

 ユズが絞り出すように言っているけれど、私はどれだけ深刻なのかは理解できていない。だから聞き返すしかない。

 

「2週間で何とかなるものなのですか?」

「実際かなり厳しいよ、ドット絵の素材はいくつかあるから、それを流用するとして……シナリオはなんとか今日明日ででっち上げたとしても、デバッグがどこまでできるか……」

 

 ミドリの声にシュンとしたアリス。

 

「ごめんなさい。アリスのせいで……」

「ううん。アリスちゃんのせいじゃないよ。もともとゲーム開発部は廃部勧告が出てたし……アリスちゃんを部員としてカウントすることで延命させようとしたことにも無理があったし……」

 

 わからない単語もいくつかあるが、アリスを部員として登録させることで廃部を回避する目論見が失敗したことはわかった。

 

「それでゲームを作るのですか?」

「うん。そうしないと……ここを立ち退かないといけないし……そうすると……」

 

 ミドリがユズをちらりと見る。ユズはシャイすぎてずっとここに籠っていたと聞いている。モモイやミドリが必死になってたのは、ユズを守ろうとしているのだとようやく気が付いた。

 

「……私がなんとかしなきゃ」

 

 ユズがそうつぶやくのが聞こえた。

 

「ユズ……」

「ごめんね。私のせいで……」

「違うよ、ユズ」

 

 モモイがきっぱりそう言う。

 

「私たちは、()()()()()一緒に頑張れるんだよ。だからごめんは無し。ユズのせいも無し」

 

 そう言って腕を解いたモモイが立ち上がる。

 

「それにまだ勝ち筋がないわけじゃない。シナリオライターもイラストレーターも、プログラマもいる。そして、我慢強くプレイできるデバッガー(アリス)がいる。課題だった難易度調整だって、初心者のジブリールがクリアできる難易度に落とし込めば多分いけるはず」

 

 どうやら、アリスと一緒に私も手伝うことは確定事項らしい。まぁあの人は止めないだろう。私も電子機器の取り扱いをなんとかするようにと言われているし、それを理由にすれば嫌な顔はしないはずだ。

 

 ニカリと笑ってモモイは続ける。

 

「だから()()()()()

「お姉ちゃんそれ死亡フラグ……」

「大丈夫大丈夫。だって私たちはまだバフを一段階残してるんだから」

「バフ……」

 

 バフはゲーム用語だったはずだ。確か短期間における強化を意味したと思う。私が思わずつぶやいたそれにモモイが頷く。

 

「G.Bibleだよ」

 

 

 


 

 

 

「はじめまして、先生。調月リオと申します」

「連邦捜査部顧問のアラタだ」

 

 握手を交わす。ミレニアムの生徒会機能を担うセミナーの執務室で待っていたのは真っ黒なスーツ姿の女性だった。……生徒会長と聞いてたからもっと学生らしい子が来るものだと思っていたんだけれども、大卒の新人ですと言われても納得な姿をしていた。

 

 冷房がやたらと効いている。おそらく近くでヒマリと一緒にいた暑がりな子……たしかエイミといったはずだ……が待機しているのだろう。ということは、この会話はヒマリにも筒抜けか。

 

 護衛役のノノミは部屋の前の廊下で待機中。あまり聞かせたくない会話になりそうなことと、ユウカが同席を一瞬だが渋ったからだ。僕もあまりそういう話題を彼女たちに聞かせたくない。ただでさえアビドス高校のみんなはシャーレの活動に献身的すぎる。僕はちゃんと勉強を優先してほしい。

 

 そうも言ってはいられない事態になりそうなのも問題なのだが、ここは僕の仕事だ。

 

 傭兵時代を思い出す。クライアントに舐められている状況というのは非常にまずい。クライアントのバイアスがかかった状態で降りてくる情報というのは正確性に欠けるし、対処を誤る原因になる。子どもがクライアントという状況だから仕方ないのだが、なんとかある程度すり合わせだけはしないといけない。

 

「できればもう少し穏当な形で出会いたかったね」

「今からでも遅くないと思っていますが」

「僕はそうするための妥協点を一緒に探していきたいと思っているよ。僕が仕事をする場合、もう会話ではどうにもならない状況になっていることがザラだからね。そうはしたくない。……かけてもいいかい?」

「どうぞ」

 

 真っ黒な髪のリオに許可を取ってソファに腰掛ける。リオの隣にユウカも座った。ユウカもセミナーの人員なので、今日はそちら側のスタンスで、ということだろう。

 

「さて、どこから話しましょうか」

「とりあえず僕が最優先で聞きたいのはアリス、AL-1Sについてミレニアムはどうしたいのかという点だね」

 

 ユウカがものすごく不安そうな顔をしている。そこまで大事にする気はないのだが、急激に状況が動き続けている以上警戒しないといけないことはわかってほしい。

 

「現状ではまだ脅威判定の段階であると判断しています。判断材料が集まるまではミレニアムで確保するべき、と」

「そのためにシャーレに依頼したのはなぜだい?」

「主に二つの理由があります。一つは連邦生徒会長の立ち入り禁止命令を破るには、シャーレの強権が必要だったから。そしてもう一つは今後のセーフティとしてです。最悪AL-1Sによってミレニアムが壊滅的な被害を被ったとしても、シャーレが絡んでいれば外部からの封じ込めは可能でしょうから」

 

 つまり、ミレニアムサイエンススクールは、アリスがそれだけの脅威対象である可能性に行きついているということになる。

 

「脅威判定が必要な理由は?」

「それは先生もご存じだと思います」

「リオ、悪いけどあいまいにしたくないんだ。そちらの見解を教えてくれ」

 

 相手が大人みたいに振る舞おうとしているせいで、僕もそれに引っ張られている。いけないいけない。相手は子ども、相手は子ども。よし。

 

「……第13直轄地にある発電工場と、そこに眠る謎の警備ドローンの製造、メンテナンスユニット。それらはキヴォトスが学園都市として成立する前に何らかの要因で滅亡した旧文明のオーパーツであると推察されます」

「名もなき神々を信仰していた文明、の理解であってるかな?」

「やはりご存じでしたか」

 

 やはりと言ってくるということは、昨日の夜の鐘崎港での騒動について、僕が情報収集をしていた相手とのコンタクトを取っていたことそのものを知っていても、詳細までは知らないみたいだ。昨日の作戦についてはシャーレメンバーならTITTYのログを確認すれば詳細をつかめることになるので、ユウカはそこについては連携を掛けていないらしい。こうなってくるとユウカが板挟みになってしまったように見える。どこかで詫びを入れときたいところだ。

 

「可能性の段階であるという前提ですが、第13直轄地の工場は旧文明の中でも末期に建造されたものと推察されています。塩害や水害などの影響を受けづらい環境にあったとはいえ、周囲の廃墟が()()()()()()()()()()()最近のものです。……その中でも工場はオーパーツ化したロボットに手入れされていることもあり、綺麗に残っていますが」

「そうだね。そこは僕も少し気になっていた」

 

 綺麗にメンテナンスがされているとはいえ、そのための資材をどこから調達しているのか、という課題がある。それらをどこからともなく入手出来ている、というのがオーパーツたる所以(ゆえん)なのかもしれない。少なくとも警備ドローンそのものが超耐久というわけでもなさそうだった。

 

「それで、アリスがそこにいた、というのが警戒理由のすべてかい?」

「大部分を占めますが、気になる傍証があります」

 

 そう言いつつリオは立ち上がり、キャビネットの一つを開けている。

 

「気になる傍証?」

「……連邦生徒会は過去に第13直轄地を中心に何らかの調査を行っていたようです。そして何かを知った連邦生徒会は、研究を凍結した後、ある学校の設立を推し進めています。旧来の強豪校であるトリニティ学園やゲヘナ学園、レッドウィンター学園からの反発を受けつつ、それでも多額の補助金を投入し、インフラストラクチャを整備した。そうしてできた学園が……」

「……ミレニアムサイエンススクール、か」

 

 僕の確認に頷いて答えるリオ。

 

「今のキヴォトスで標準となっているBDとテキストによる効率的な生徒の能力開発法は、連邦生徒会主導でミレニアムで実証実験が行われ、キヴォトス全域に導入されました。そして、連邦生徒会の技術系研究機関を次々と吸収し、ミレニアムサイエンススクールは急速に勢力を強め、今では三大強豪校に迫る勢力となりました。……ですがそれは、そうしてでも育てる必要があったと連邦生徒会が肩入れしたからにすぎません」

 

 キャビネットから一つの資料を取り出して戻ってくる。

 

「つまり連邦生徒会は、私たちミレニアムの設置を強行する必要がある何かを見つけた。そしてそれはおそらく当時の技術では起動すら危険と判断されたなにかだった。……だから連邦生徒会はそれを解析するための拠点を整備する必要に駆られた。キヴォトスを守るために必要な技術を生み出し、その技術をもって来たるべき災厄の日に防波堤として、同時に反攻のための橋頭保としての学園を欲した」

「つまりはミレニアムサイエンススクールは、アリスを解析するため()()()生み出されたと言いたいのかい?」

「今はそれだけではありませんが、設立の源流までさかのぼるなら、そうです。解析できるだけの体制と、安全策、そして十分な基礎研究が蓄積されるまで、第13直轄地の問題は凍結されてきた。この学園は文字通り千年単位(ミレニアム)スケールの課題に立ち向かうべくして設立されている。その課題の一つは、第13直轄地に眠っていた、AL-1S、アリスの存在」

 

 差し出された資料に目を落とす。資料の整理番号はEO-2502。連邦生徒会長が第13直轄地への立ち入り禁止を明示するために発行した命令書、その機密部分のマスキングを解除したもの。

 

「――――――アリスは旧文明が作ろうとして滅亡までに間に合わなかった最終決戦兵器、もしくはその災厄そのものを引き起こしたなにか」

 

 マスキングされていた制定理由等の文字列を目で追う。

 

 記載内容は、簡潔だった。

 

 大量破壊兵器封じ込めに伴う作戦実施のため。

 

「ミレニアムは現在これに伴うオペレーションを実行中です。作戦名は芸香(ヘンルーダ)作戦。作戦管理責任者に明星ヒマリを指名しています。……当該の作戦目標はAL-1Sの詳細の解明、そしてその存在がキヴォトスの脅威であることが判明した場合は、その破壊。アリスが安全であれば彼女を懐柔し味方に組み込み、敵対するならば、彼女が牙を剥く前に叩き潰さなければなりません」

 

 ため息が出るのを止められなかった。

 

「……なるほど、連邦生徒会長が僕に預けたかった情報は、これか」

 

 だいたいの線がつながってしまった気がする。

 

 この直前に発行された命令書であるEO-2501はシャーレの設立に関する命令書。なるほど、シャーレ、ペトリ皿(シャーレ)ね。培地(ミレニアム)培養対象(アリス)に食いつぶされても、容器(シャーレ)が機能してれば被害は最小限に収まるという寸法か。

 

 連邦生徒会長命令を打破するにはシャーレの強権が必要だったということは、シャーレが実態を持つまでは手出しできないように仕組んであったということだ。リオの言った通り、シャーレはセーフティとして組み込まれていることになる。

 

「連邦生徒会とミレニアムは、名もなき神々を信仰していた文明が滅んだ事件がもう一度起こりうると判断した。そしてそれは武力衝突の形を取る可能性が極めて高い」

「はい」

「そうなれば、キヴォトス全域を巻き込んだ大騒動になる可能性があり、広域での戦闘指揮を直ちに開始しなければならない」

「はい」

 

 リオは僕の推測を否定しない。それが答えだ。

 

 莫大なシャーレの予算、ビル一つ、連邦生徒会長直轄という高度な独立性と、シッテムの箱、そして、ミレニアムサイエンススクールからの大量の技術流入。

 

()()が起こった時、キヴォトスのあらゆる学園の権限を僕がオーバーライドして、対処しろ、ということか」

 

 否定してくれる相手はいない。

 

「なるほど……だから僕、か。よく理解できたよ」

 

 確かに、子どもを最前線に送り込む手腕だけはあるからな。考えるだけで自分の頭を真正面から1マガジン分の弾丸で吹き飛ばしたい気分だ。物理的に不可能だし、いま僕の頭を吹き飛ばしたところで周囲のリスクが下がるわけじゃない。事態が片付くまでは僕は死ねなくなってしまった。

 

 それに、ジブリールやホシノたちに泣かれるのはもう十分だ。

 

「理由も意味もわかった。シャーレとしても僕個人としても協力もしよう。だけどゲーム開発部の面々にリスクを説明せずに巻き込んだのはよくなかったね。もうモモイたちはこのリスクから逃げられなくなってしまった」

 

 ユウカがおののいたような表情をしている。僕はきっと渋い顔をしているだろう。とはいえ、取り繕う余裕がなくなってしまった。

 

 キヴォトス全域が滅ぶかもしれないというリスクと天秤に掛けるなら、生徒三人ぐらい、というのはわからないでもない。だとしても本人たちが気が付かないうちに天秤に掛けられるのは話が違う。生贄とか供物とか、そういう扱いを子どもに強いるのは大嫌いだ。

 

 今からアリスをゲーム開発部からパージしようとしても、モモイたちは引き下がらないだろう。そしてそれをわかった上で、ミレニアムはゲーム開発部を巻き込んだのだ。しかも結果論だろうが、アリスはゲーム開発部の面々に懐いてしまった。それを利用してモモイたちを重石として、アリスを縛るつもりだ。つまりモモイもミドリも、ユズも、もう引き下がれない。

 

 まずい。シャーレごと戦場に引きずり出される。

 

 状況は動いてしまった。もう止められない。大団円になるには、アリスを味方に引き込む以外に手段がない。そうなるまで突き進む以外にもう手がない。この筋書きを描いたのはおそらく連邦生徒会長で、彼か彼女か知らないが、僕のことをよく理解している。友人にはなれないかもしれないが、ビジネスパートナーとしては優秀だったろう。

 

「ゲーム開発部の皆さんには申し訳ないことをしているという自覚はあります。それでも、彼女たちを切り捨てるしかなくなるとしても、セミナーはこの学園を、キヴォトスを守らなければならない」

「リオ、君がそう言うしかないことも、ユウカが苦しい立場にいることも理解している」

 

 本当にこの筋書きを描いた誰かは僕のことをよく知っている。こうなると、僕が取れる手段は一つだけだ。

 

「この件、申し訳ないけど僕は公平な立場で判断することができそうもない。……僕はアリスを含むゲーム開発部が抱えるリスクの低減に向けて、連邦捜査部を動かそうと思う」

 

 ユウカがため息をついてからリオを見る。

 

「……だから私はずっと、先生に情報を包み隠さず横展開するべきだって言ったんですよ」

 

 最初からユウカは情報を握っていたのだろう。ヴェリタスのマキ経由でミドリにコンタクトを取ったのに、ゲーム開発部との顔合わせの時、ユウカが案内役にやってきた時点で気が付くべきだった。ヴェリタスはセミナーの実質的なカウンターパートで、ユウカはそれを気にしながら動いていたのに、あの時ユウカが案内するのは妙だった。本来ならマキか、ヴェリタスの誰かが案内するのが筋だ。

 

 もっと早く気が付けていれば、ゲーム開発部にリスクを背負わせずに済んだかもしれない。でももう無理な話だ。

 

「わかっています、ユウカ。それでも、シャーレに今更抜けられては困るのです」

 

 僕もゲーム開発部を見捨てられない。そうなるまでミレニアムは情報を明かさないことで僕を交渉テーブルに縛り付けることに成功した。

 

 そして、僕が望む望まざるにかかわらず、彼女たちは戦闘に巻き込まれることになるのだ。だったらその時に向けて僕は対応するしかないし、彼女たちを鍛える以外に手段がない。それ以外の守り方を僕は知らないし。今から身に着けるにはあまりに時間的猶予がない。

 

 ああもう、本当に教育に悪い。そうして僕はまた戦場に子どもを送るのだ。呪われてしまえ子供使い。

 

 そう思ったタイミングでピピッと電子音がした。出所はユウカの携帯らしい。席を立って部屋の隅に向かいながらユウカが電話を取って、すぐに振り返った。

 

「先生!? モモイたちに何か指示出しました!?」

「いや、何もしてないけど……何があった?」

 

 何もしてないと言ったタイミングでユウカが目に見えて青ざめたので、非常事態だと悟る。シッテムの箱を叩いてアロナを叩き起こしておく。

 

「防犯カメラでゲーム開発部の面々を確認、第13直轄地にアリスを連れて向かってます!」

 

 いや、どうしてそうなる。

 

 慌てて戦況図を開く。ジブリールの位置情報を確認、第13直轄地で反応あり。ついていっているらしい。僕に報告なしで動いてるのはらしくない。いや、ゲーム開発部の面々の護衛を頼んでいるから、命令の範疇か。ほかのゲーム開発部の面々のTITTYはオフライン。ということは置いて出ている。

 

 無線オープン。

 

「ジブリール、モモイたちと一緒にいるかい?」

《はい》

「止められそうかい?」

《私は説得しましたが、モモイがどうしてもG.Bibleを回収しなければならないと言って聞きません》

 

 ということは、モモイの独断でみんなを連れ出したな。護衛なしで突っ込むよりはということでジブリールが渋々付いていったという所だろうか。

 

「ジブリール。位置情報とカメラを共有し続けてくれ。増援を送る。ちゃんと帰ってきたらしっかり休んでから話し合おう」

《はい》

「ノノミ、緊急だ。ロジコマを一機回すから第13直轄地に向かってくれ。ジブリールたちのバックアップ。通信障害を警戒して途中からランニングになると思うが頼む」

《はいっ!》

「あと動かせそうなのは……」

 

 そう言って人員リストを開くがまともに間に合いそうな戦力がない。ロジコマも分が悪い。僕が外で遠隔操作するにしてもまた通信が阻害されて乗っ取られたら目も当てられない。

 

ミレニアム(うち)からも緊急で戦力出します。リオ会長、C&Cにスクランブル出しますがいいですね?」

「C&C?」

「うちの戦術法執行チームです」

 

 僕の疑問に律儀に答えてくれるユウカ。リオは渋っているようだったが、ユウカがもう一度名前を呼ぶと、折れたようだった。

 

「……やむを得ません」

「感謝します」

 

 ユウカが部屋に備え付けの執務机に飛びついてマイクを取った。

 

「至急至急、セミナーよりC&CにSC要請。パターンコードG02、繰り返します。G02でSC。続けて至急、セミナーよりミレニアム各部署へ緊急通達。現刻をもって第二種警報(コンディション・オレンジ)を発令します。配置は警備計画乙号に従い実施せよ。繰り返します、コンディション・オレンジ、配置は乙号」

 

 ユウカがそのまま何かのホログラムウィンドウを立ち上げている。

 

「……ネル先輩は間に合わないか。先生、3人が5分後にヘリで上がります。コールサインはチャーリーゼロワンからゼロスリー。現地までヘリで送り込みますので指揮をお願いします」

「このまま僕が指揮を執っていいのかい?」

「構いません。いまメンバーの情報と装備を送ります」

「わかった。ここのテーブル借りるよ」

 

 とりあえず僕は、みんなを生きて帰すことを考えることにした。




ようやくゲーム開発部編の状況説明が完了……っ!

公式の情報と齟齬が少ないように気を付けてますが、結構ひどいことになった気がする。……とはいえこのまま突っ走ります。

次回 お宝さがしは楽じゃない

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