四葉家が泊まるホテルは意外にも静かだった。ロビーには四葉家の者だと思われる魔法師が何人かいるものの一般客や従業員もそのままであった。
四葉家には黒羽家を筆頭に諜報員に優れている者達がいる。そのため、加害者側の嫌がることが分かっているのだろう。今もっともしてはいけないのは相手に情報を与えることだからである。
さて、ここまで来たのはいいもののどうやって四葉家中核の者にあえばいいだろうか。少しの情報でも大漢側にあたえるべきではないし、四葉家にスパイがいるのも避けられない。ましてやすれ違いが起きればこちら側が疑われてしまう。
「こんばんは。あなたは四葉家のひとですか」
「はい、司波様そうでございます。」
「では深夜様にアーティファクトに関するお話をさせていただきたいことがあるのでお通し願いますか」
「司波様申し訳ありません。深夜様にお繋ぎすることはできません」
「では、こう伝えてください。取られたものを返しにきたと」
サイオンを漏らしながらそう伝えると男は急いで無線で伝える。彼は少し言葉を交わすとすぐに僕は通された。
四葉家のフロアは一階ロビーと比べかなり騒々しかった。緊急事態の何かが起こっているのだろう。大人に混じってこの場所の中心にいるのは深夜様だった。
「龍郎さん急に押しかけて一体何のようですか?」
深夜様はあくまでも冷静を装っているがサイオンがいつもより多量にに漏れ出している。顔にも余裕がない精神的にも不安定なようだな。
「大変失礼いたしました。しかし我々が新しい情報を手に入れたのでお伝えします。諜報員によるとアジア人を乗せた外交ナンバーのバンが崑崙方院方面に入っていくのを見たそうでおそらくそこにお探しのものがあるのかと思います。」
「貴重な情報ありがとうございます。新発田さん今すぐ確認を取ってください。確認が取れましたらすぐに潜入破壊作戦を行います。」
新発田と呼ばれた。彼はおそらく新発田家次期当主の新発田理さんだろう。たしか新発田家は正面突破や拠点防衛を得意とした家だったはず。
「さて、龍郎さんはまだ何が取られたかまだわかってないようね」
「はい。しかしわかる必要はありません。あくまでも私たちは部外者なので」
「ふーんそうかしら、もうすでに突っ込んでいると思うのだけど四葉のものを脅してまでここまできたのだから」
逆に脅される立場になってしまった。このまま司波家を巻き込まないようにしようと思っていたが情報に気とられ手荒なことをしてしまったからだろう。
「そうですね。では司波家ではなく私が力になりましょう」
「龍郎さんあなたは魔法師として不十分でしょう?」
「お言葉をかえさせていただきますが。アーティファクトもありますし私のサイオン量は二十八家の中でもトップクラスの値です。そして私が研究中のサイオンを他人に供給する力をもって四葉家をサポートいたします。」
「あら私はまだ行くとは言っていないのだけど。ふふっ気に入ったわ。一緒にいきましょう、龍郎さん。」
昨日見た。かわいげのある笑顔ではなくそこには四葉としてのプライドに満ちた顔があった。
「まず何を盗まれたかですが真夜が誘拐されました。そして龍郎さんの情報を照らし合わせると大漢、しかもその中枢の崑崙方院が関わっているとみるのがいいでしょう。」
言葉が出ない。これは大漢が日本に対して宣戦布告したのにも等しいことだ。
魔法師は世界的にも希少で出国も禁止されている国もあるほど他の一般魔法師に手を出すのは百歩譲っても分かるが、世界的に見ても十師族は日本が最重要にしている家の一つ隣国がそんなことを知らないはずがないからだ。
「深夜様、彼らは戦争をするつもりなのでしょうか。」
そう話していると深夜様のデバイスに着信が来る。数回うなずくと僕に目線を合わす。
「そのつもりのようですね。行きましょう龍郎さん」
こうして大漢崩壊が一歩がすすんだのだ。
読んでいただきありがとうございます。
週一回投稿を目指して頑張りますが相変わらず不定期更新になります。
総ポイントが200を超えましたありがとうございます。
評価感想のほどよろしくお願いいたします。
2024/10/28誤字の修正を行いました。