「剣術部の色欲猿か、そういえばそんなのもいたな」
「というか、先に蒼月さんが出会ってたら、先に惚れられてたんじゃないかな。見た目はすごい真面目そうだし」
「なんだか引っかかる表現ですが……それはない気がしますわ」
「というと?」
「私は幸子さん程生真面目にはなれないですから。ただ私は……自身の身近な幸せを守るので精一杯です」
「……そっか」
「ところで、その後はどうなったんですか? 幸子さんは本当に生真面目な方でしたから、思い詰めて体調を崩してしまいそうです」
「まあ、そうだね。放置してたら、四方さん2号になってたかもね」
――――――――――
「……大丈夫、大丈夫……精神鍛錬だと思えば……」
額に手を当て、ブツブツ自己暗示のような事を呟く塩谷さんと一緒に、部活棟付近まで戻って来た。
「塩谷さん、大丈夫?」
「何!? ……あっごめんなさい優輝さん、つい怒鳴っちゃって」
「いや、別に気にしてないけど」
うーん、ちょっと見ていて痛々しい。生真面目なのは塩谷さんの良い所だけど、今回はそのせいで思い詰め過ぎてるよね。何かしてあげたいけど……
「……ふみゅ。良し決めた。塩谷さん!」
「ぅえ!? あ、あぁ海老江さん? 何かしら」
何やら思案顔だったアキが大声で塩谷さんを呼んだ。何か良い案でも思い付いたのかな。
「今日から塩谷さんのあだ名は委員長だ!」
「確かに、小学校の時クラス委員長していたけど……え、あだ名?」
「そんでアタシとお友達になろう!」
「はあ、友達……え? 今何の話をしているの?」
アキの言いたいことがわからないらしい。僕もまだ全部はわからないけど……アキが友達想いな良い娘なのは知ってる。
「アキはこう言いたいんじゃないかな。「悩みや愚痴があるなら友達に打ち明ければ楽になる。だから友達になろう」」
「うんっそんな感じ!」
「あ、あたしも、アキちゃんのそういう時に助けられてるから……塩谷さんも、1人で考え過ぎない方がいいよ?」
「…………」
塩谷さんが呆然とした顔で僕らを見つめる。
「……そ、そういえば私、今まで愚痴を零せるような友人いたかしら。佐藤はただの腐れ縁だし……」
……なんか悲しい独り言を言い出した。
「おぉっじゃあ私が友達1号だったり? ヤタ!」
逆にアキはポジティブ全開だ。元気可愛い。
「ふふっ、じゃあ僕は2号かな」
「えっと、さ、3号になります?」
「立候補した順なのか? じゃあ俺も。4号だっけか?」
「ふむ、なら私は……1.5号だな」
「なぜに1.5?」
「優輝が2号らしいからな」
「……ぷっ。ふふっあははははっ!」
突然塩谷さんが笑い出した。僕らも顔を見合わせて笑みを浮かべる。
「なんかどうでもよくなってきたわ……ありがとう。今から友達としてよろしくね」
そう言い、素敵な笑顔で了承する塩谷さん。
「うん、良い笑顔。せっかく美人さんなんだから、難しい顔より笑顔の方が似合ってるよ。可愛い」
「優輝さん……あなた、間崎君とは別方向で天然よね」
「あっ私もそれ思った」
「優輝だからな」
「え、どういう意味? ……ヒロわかる?」
「ええっと、えっと……み、雅君、どういう意味なんだろね?」
「俺に聞かれてもなぁ」
何か訳知り顔の4人と、頭にハテナを浮かべる僕と雅。うーん……可愛いと思ったから可愛いって言っただけなんだけど。
「よくわかんないけど……塩谷さんも一緒に今日1日部活見学行かない?」
「ええ、喜んで!」
「ところであだ名だけど。委員長はちょっと」
「ふみゅ、お気に召しませぬか。んじゃあ……幸子だからさっちゃん、はちょっと合わな――」「それでお願い」「えっでも――」「むしろそれが良いわ」
ちゃん付けが気に入ったらしい。可愛い。
「まいっか。さっちゃんって呼ぶね〜」
「俺は塩谷さんでいいかな」
「私はそうだな。サチと呼ぶか」
「僕は……うーん。年下っぽくもないのにちゃん付けは抵抗あるかな。サチさん……は、さすがにダメか」
金堂部長と同じ呼び方はさすがにイヤだろう。
「……不思議ね。呼ばれ方は同じなのに、優輝さんだと自然に受け入れられるわ」
「じゃあ、サチさんで良い?」
「ええ、それでお願い」
「わ、私はどうしよ。さっちゃん、塩谷さん、サチさん……うーん」
「鯨井さん、好きにさっちゃんと呼んでくれて構わないわ」
「それ一択に狭めてない?」
真面目一辺倒かと思ったら、意外とお茶目な部分あるなぁ。色々吹っ切れたのかな。
「うーん……」
ヒロはまだ悩んでいた。どれも許可は得てるんだし、自分の好みで選べば良いんだけど……ふむ。
「今のから選べないなら、いっそ別の呼び方にしてみるとかどうかな?」
「別の? えっと……」
僕の提案を数秒考え、ぱっと表情が華やぐ。
「捻りとかないけど……幸子さん、で良い?」
「くすっ、無理に捻らなくてもいいわよ。よろしくね、鯨井さん」
「は、はいっよろしくですしお……幸子さ――」
「んも〜さっちゃん! 友達になったんだから名前は下の方で呼ぼうよ〜」
ヒロの台詞の途中で、我慢出来ずにアキが割り込んだ。それに対してヒロは不快な顔はせず、しょうがないなぁとでも言いたげな表情だ。友情の深さが垣間見えて、なんか嬉しい気分。
「なるほど。いかにも友達って感じで、なんか良いわね」
「あっちなみに間崎君はマミヤってあだ名あるから」
「アキが勝手にそう呼び出したんだけどな。まぁ好きに呼んでくれ」
「そう? それじゃあ……アキ、ヒロ、瑞希」
と、サチさんがひとりひとり顔を見てから名前を呼び始めた。
「間崎君がマミヤ君。優輝さんが……えーと……」
何故か僕だけ長考する。
「……優輝さんで」
「マミヤは男子だからまぁいいとして、優輝だけなぜにさん付け?」
「なんとなく……そう呼びたいと思ったのよ」
自分でもハッキリ理由がわからないようで、若干困惑したような表情を浮かべるサチさん。何故かヒロも同意するように何度も頷いている……なんだろ?
「ふっ」
「……姉さんは何で妙に楽しそうな顔してるの?」
「さて、何故だろうな。で、この会話はいつまでしているつもりだ? もうすぐ2時だが」
「あれ、もうそんな時間? 漫研とかも気になるけど、3時半のケーキを考えるとちょっと厳しいかな」
「そだねぇ。まっともかく料理部に直行だ〜!」
「いつもありがとうございます、純さん」
「いえ、シンさんが持ってきた食材を使っているのだから、何も問題はありませんよ……暇ですしね」
「新入生、2人入ってくれると良いですね」
料理部の部活案内の所に着いたら、四方さんがいた。やたらガタイが良くて超長身な厳つい顔の男子から、持ち帰り牛丼のようなものが入ったビニール袋を大量に受け取っていた。
近付いてみると、その男子は遠目の予想よりかなりデカかった。2mは流石に無いと思うけど、190cm以上はありそう。
「シン先輩、さっきぶりです。まさかすぐに会うとは思いませんでしたけど……(キョロキョロ)」
「そうね塩谷さん。アレは近くにいないから安心していい」
「そうですか……ふぅ」
「ところで! 超良い匂いしますけど、持ってるビニール袋の中身なんですかっ?」
「カツ丼だよアキちゃん」
何故かアキの質問にヒロが確信の篭った声で答えた。確かにそんな感じの香りだけど……ヒロの食に対するセンサーが凄い。流石食いしん坊さん。
「正解。こちらの見るからに男らしい素敵な男性、料理部の部長の
あー……四方さんの声の雰囲気が柔らかい。多分料理部部長の彼が、彼女の件の恋人なのだろう。
「初めまして、料理部部長の桜です。四方さんに今渡したのは、剣術部から依頼された彼らのおやつみたいなものだね。時折頼まれるんだ」
「いつも助かっています」
「いえ、おかげで腕が鈍らずに済んでますよ」
「ん? 料理部結構暇なんすか?」
「はは……今現在、部員が2人しかいなくてね」
雅の何気ない質問に、苦笑いでそう答える桜部長。
部員2人。つまり、部長と副部長しかいないらしい。幾ら何でも少な過ぎる気が……何か理由がありそう。
「桜部長さん。ここで立ち話も何ですし、とりあえず部室か調理室、でしょうか? 部活動場所に案内お願いします」
ここで話し込んだらまたさっきみたいに注目を浴びるかもしれないから、そう提案した。
「うん、そうだね。四方さん、また後で」
「はい。頑張って下さい」
「ありがとう。では行こうか」
「だ〜か〜ら〜、お漬物は甘くないじゃ〜ん?」
「白米にもおやつにも合う優しい甘さの漬物を知らないとは! これだから最近の若者は困ったものですぞ!」
調理室の扉を開けたら、何やら言い争い?している2人がいた。というか1人はクラスメイトだった。
「ね〜ホントにスイーツ作れる人いないの〜?」
「部長は大衆食堂系、自分は漬物専門と先程から言っていますぞ。それ程甘味が食べたいなら入部して自ら作れば良いですぞ」
「え〜、めんど〜」
確か彼女の名は……パルフェ・キッシェンさんだ。
「スイーツVS漬物? また妙な対決だね」
「どっちも美味しいから大丈夫だよ」
「何がどう大丈夫なのかしら…… 」
「んう? お〜水城さん達じゃん。ナニナニ〜、料理部見学〜?」
キッシェンさんがこちらに気付き、ゆらゆらと手を振る。
彼女は、緩くウェーブのかかったボブくらいの長さのピンク髪が目を引く、ゆるふわ可愛い系の娘だ。
ゆるふわ系というとネイ先生を思い出すけど、キッシェンさんは、何というか……やる気が感じられない。現に今めんどいか言ってたし、料理部には姉さんやヒロと同じ食い専で訪ねたようだ。
「はぁー……また食べるのが目的の子か」
「別に悪いことじゃないじゃん? 先輩達だって、食べるために料理するんっしょ?」
「まあそうだが……食べるためなのは当然だが、料理を作る楽しみというモノがあってだな」
「めんどくさ〜い」「同じく」「食べる係がいいです」「レトルトカレーなら出来るっす」
「君達もか……はぁぁ〜……」
キッシェンさん、姉さん、ヒロ、雅の台詞に深いため息を吐く桜部長。
「あ、貴方達ね……」
「まぁまぁサチさん。部長さん、僕とこっちのアキは、料理が趣味で入部を前提で見学に来ました」
「YES!」
「おおっそうかそうか! だよな、みんながみんな食い専じゃないよな!」
少し涙を浮かべて何度も頷く桜部長。過去の入部希望者が作った料理で酷い目にあったとかかな。
「部長、ちょいとお待ちを。以前料理好きを騙る女子が作った見た目だけの料理モドキの味、自分は忘れもしませんぞ!」
「む、それは……う、思い出しただけで吐き気が」
……当たりらしい。いや、どちからと言え大外れを引かされた感じか。
「いやしかし、あれは例外中の例外だろう」
「かも知れませぬが。念には念を、ですぞ」
「うむ……まあ、そうまで言うなら」
あー、この会話の流れは。
「すまないが、料理が趣味だという君達2人の腕前が知りたい。あり合わせ食材で簡単なもので良いから、一品作って欲しい」
「ですよね。了解しました」
「えっ料理していいの? ラッキー! 何があるかな〜」
喜び勇むアキと共に、早速僕らは調理室にある食材を探し始めた。
というわけで、見つけた食材の確認です。
「調味料は割と充実してるね。食材は……卵、玉葱、三ツ葉。一応パンの耳も、かな」
「あからさまにカツ丼の残り物って感じだね!」
さて。食材的にすぐ思いつくのは卵とじだけど……チラッとキッシェンさんを見る。
「3時半……3時半まだ〜……?」
「まだ2時10分よ」
テーブルに突っ伏してたれていた。癒し系ゆるキャラっぽくて可愛い。
「ねえアキ。部長さん「一品作って欲しい」としか言ってないよね」
「んにゅ? まぁそだね……ふみゅ、なるほど!」
僕の視線を追って、意図を悟るアキ。
「でね、材料的に……だから……と、……でどうかなって。アキは作ったことある?」
「……は何度もあるよん」
「じゃあそれは任せるね」
「任せなさ〜い! ……後でレシピ教えてね〜?」
「ふふっ勿論。アキの方も、僕の知ってるレシピとは違うかもだから教えてね」
あぁ……友達と、料理の会話が出来てる。それだけで凄い楽しい。
「どうやら作るものが決まったようだね」
「はい。それでですね……完成したら部室に運ぶので、そちらで待っていて頂けますか?」
「自信有りそうだね。では期待して待たせて貰うよ。とはいえ、君達はまだ部室の場所までは知らないよね。南君、部室への案内と監視をかねて調理風景を見ていて欲しいのだけど、いいかな?」
「了解ですぞ!」
「え〜移動すんの? めんど……塩谷さん、おぶってってよ〜」
「ちょ、なんで私が……」
「こん中で1番背高いから〜」
「身長なら桜部長さんの方がよっぽど高いじゃない」
「え、僕かい?」
「初対面の男子に自慢の柔肌密着させるほど、アタシは安くないも〜ん。部長カノジョいるっぽいし〜」
「というか、小さい子供じゃないんだから自分の足で歩きなさい」
雑談しながら調理室を出て行くみんな。楽しそうでちょっと寂しい。
まあ、それはそれとして。
「さぁさ! 何を作るつもりか知りませぬが、期待を裏切らぬように、ですぞ!」
「はい、頑張りますね」
「ほいほ〜い」
「さっちゃ〜ん……後何分?」
「約25分ね」
「あとちょっと……あとちょっ」「しつこいこれで何度目だ鬱陶しい」
扉越しに話し声が聞こえてきた。キッシェンさん、待ってる間にサチさんの呼び方変わってるし。距離感近い娘らしい。
「出来ましたぞ〜!」
南副部長が部室の扉を開けて開口一番そう告げる。
「スイーツ……スイー……んうっ! スイーツが近くに!?」
僕らが部屋に入った瞬間、甘い香りに反応してキッシェンさんが跳ね起きる。目をキラキラ……じゃなくギラギラさせて、周囲をぶんぶん見回す。
「ああ確かに、あの食材ならお菓子系もアリだね」
「イヤ〜部長、女子力の高い調理風景で、自分若返った気分ですぞ」
「……あれ、副部長さん2年生っすよね? 俺達と1歳しか違わないんじゃ」
「自分を年寄りだと思い込んでいる漬物中毒者なんだろう、察してやれ」
「へ〜、そんな病気もあるのか」
「マミヤ君、適当な冗談信じないの。瑞希もあんまり適当――」「スイーツ! スイーツプリイィーズゥ!!」
「うわ」
キッシェンさんのスイーツジャンキーぶりにちょっと引く。ゆるふわ系だった彼女はどこ行ったんだろう。
「あはっキッシェンさんそんなにスイーツ大好きなんだ? お菓子にして正解だったね!」
「う、うん、そだね」
彼女の状態異常っぷりを見ると本当に正解だったのか疑問を感じてきた……あーでも、今作って来なかったら食堂で似た状態になった恐れもあるかな。
「パフィンちゃん気持ちは解りすぎるけど落ち着いて! えっとえっと……そうだ。早く落ち着かないと、その分スイーツ食べるの遅れるよ?」
珍しく?ヒロが宥めに入った、というかヒロもキッシェンさんを愛称で呼んでるし。僕らがいない間にだいぶ仲良くなったらしい。
「うぇっ!? おちちちつつつつ!!」
彼女は正気に戻らない! ……もう無視しよう、お菓子目の前に置けば落ち着くでしょ。
「ところで。何を作って来たのかな?」
「はいは〜い! 私が作って来たのはぁー……これですっ! じゃん! パン耳ラスク〜!」
アキが勿体ぶった感じでパン耳ラスクを披露する。可愛い。
「わぁい! スイーツ〜!」
「あ、やっぱりかぁ。アキちゃんのこれ大好き!」
「あれ、ヒロは何作るか予想付いてたり?」
「えっと……扉開けた瞬間、アキちゃんがよく作ってくれるパン耳ラスクっぽい香りしたから」
また匂いだけで判ったらしい。まあアキとは友達歴長いらしいから分かるか。
「私が、ね。じゃあ優輝さんは別に?」
「サチさんなかなか察しがいいね。僕はこれだよ」
僕は勿体ぶらずサッと出す。アキがちょっと不満そうな顔だけど気にしない。アキみたいな出し方は普通に恥ずかしいし。
「お〜、なんかカワイ〜! 何これ〜!」
「パフィンちゃん、これは焼きメレンゲだよ」
ヒロが即答える。正解だけど……パン耳ラスクはともかく、これも見る前から判ってた感じだよね。匂いだけで瞬時にどんな料理か解るらしい。
「食べていい食べていいっしょクワセロ〜!」
「はいはい、逃げないから慌てないで。どうぞ召し上がれ」
じりじり迫るキッシェンさんに焼きメレンゲが入った深めのお皿を差し出すと、ひょいぱくと素早く口に放り込む。
「んふ〜! さくしゅわふわあま〜♪」
擬音で感想を表現された。実に幸せそうで可愛い。
「…………」
「ヒロ、無言で見つめられるとちょっと怖いよ。遠慮せず食べて?」
「で、では遠慮なく……いただきます」
何故か顔を赤らめ、畏まって一つ摘むヒロ。僕なんか変な事言ったっけ?
「私もいただくわね。ん……なるほど、確かにさくしゅわと言った感じね。それでいて甘すぎなくて爽やかで……美味しいわねこれ」
「ふふっありがと」
「このほのかな酸味、レモン汁入れてるね」
「うん、正解。というかヒロがさっきから確信篭った喋りしてて別人みたいになってるんだけど」
料理部に来てから、ヒロのキャラがちょっとおかしい。
「んう〜! こっちもおいし〜! カリサク〜♪」
「バニラオイルとかあったら、もっとイイ感じになったんだけどね〜」
「うん、素朴な感じで良いね」
「緑茶が欲しくなりますぞ」
「ん〜、どっちも美味いな。2人共料理上手だな〜。俺レトルトしか料理出来ないから、尊敬するわ」
「それは料理とは言わないわよ……うん、ラスクも美味しいわ。料理が趣味と言うだけあるわね」
両方とも、結構好評みたいだ……ふう、一安心。
「やったね優輝っ! 大成功〜!」
「ふふっそうだね」
アキと笑い合いハイタッチして喜びを分かち合う。
「ああ、良いな。最高に良い」
まだどっちも口をつけてないのに、姉さんが溜息混じりに感想を呟く。
「何が良いのか敢えて聞かないけど……早くしないとヒロとキッシェンさんに食べ尽くされちゃうよ?」
「む、そのようだな」
こうして僕らは、みんなでお菓子を存分に楽しんだ。人数が人数だけに、すぐ無くなっちゃったけど。
――――――――――
「……何故私はそこにいなかったんでしょう?」
「蒼月が料理部見学をしなかったからだろう?」
「くっ……愉悦顔をしないで下さい」
「蒼月さん、焼きメレンゲ食べたことなかったっけ? なんなら今から作ろうか?」
「私が悔しく思ったのは優輝さんが間違いなく素敵な表情をされていたのにそれを見逃したことです!!」
「ああ、そっち……じゃあ焼きメレンゲいらない?」
「下さい」
「ん、了解です」
「優輝様、お手伝い致します」
「ありがと静海。じゃあとりあえず、オーブン熱しておいて」
思い出話を一時中断して、現在の僕もお菓子作りを楽しんだ。
登場人物紹介
パルフェ・キッシェン
容姿:ピンクボブ緩いウェーブ・若干ツリ目・ゆるふわ可愛い系
瞳の色:薄い赤
身長:153cm
性質:中立
好きな食べ物:甘いもの全般
嫌いな食べ物:苦過ぎるもの
趣味:スイーツ食べ歩き
精霊属性:風・光
いつもあまりやる気を感じられない怠惰系ゆるふわ女子。一人称はあたし。
栄陽学園本校を卒業出来れば、就職しなくても国から定期的に給付金を貰えると知って入学した。将来働かないために現在働く道を選んだ努力型ニート。
やる気は低いが潜在能力は高く、怠惰な性格を表に出していなければクラスS行きだったくらいには強い。
甘味で脳が十分に満たされていれば水城ズに迫る実力を発揮することもある、条件付きの超天才。
容姿:黒短髪オールバック・男臭く厳つい顔・細目
瞳の色:?
身長:194cm
性質:善
好きな食べ物:丼料理
嫌いな食べ物:ドリアン
趣味:料理
精霊属性:火・闇
料理部部長。3年クラスA。体格や容姿は厳ついが、性格は穏やかで優しいギャップ系男子。一人称は僕。体が大きすぎるため初見で怖がられてしまうことが多いのが小さな悩み。
料理をこよなく愛している。大衆食堂のような庶民的な味付けの料理が得意。
四方 シンの恋人。剣術部からの料理依頼で頻繁に会うようになり、自然と恋仲になっていた。告白は相手から、らしい。