優輝の日記 〜国立栄陽学園での日常〜   作:繭浮

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残りの学園のお祭り一挙紹介

「月影ちゃん、親友相手でも容赦ないというか律儀というか。当時からパないねぇ」

「関節技はともかく。太ももに挟まれた様子だけは、羨ましかったですね……はー……」

「同じく、関節技を極めるのはともかく、私も優輝の頭部を足で挟んでみたいとは思ったな」

「二人してヘンタイさんみたいなこと言わないっ」

 

 二年生の武闘祭の話の感想を交わしつつ、次は何を話そうかと思考を走らせる……けど、学生時代の思い出、8割方話しちゃったなあ。どうしよ。

 

「あらすじ的な感じでまとめて話せばいいんじゃないか?」

 

 姉さんが僕の表情から思考を読み取って、そう提案してきた。

 

「あらすじ……ん、そうだね。じゃあ、二年生の寧花祭と生徒会長選出会の様子、ざっくり話すね」

 

 

 

 

       ――――――――――

 

 

 

 

・二年生時の寧花祭

 

 

 今年は去年の実績を鑑みられてかなり多めの部費をいただいた上に、新入部員も来てくれたので、去年に比べて少し豪勢な内容になっている。

 

 提供内容は去年と同じく、簡易のコースメニュー。

 

 今年はそこに、去年断念したメイン料理の鶏肉を追加して、鶏肉料理のコースを追加した。計3つのコースからご選びいただける形だ。

 

 それ以外のメイン、牛モモとシロダイの調理法は去年と同じ。ライブキッチン・アルストロメリアは寧花祭の期間しか開かれないので、去年と同じ料理を求めて来る人は必ずいるだろうからだ。

 

 前菜は、パエリア風炒飯は変わらずだけど、サラダと汁物はグレードアップしている。

 サラダは、プチトマトとキュウリのピクルスバジルソースがけ。ピクルスなら事前に作っておけるし、盛り付けてソースをかけるだけで出来る上に、色鮮やかで華がある。ライブキッチンとしても手軽で見栄えも良くて、部員からも高評価だった。

 汁物は、オニオンコンソメスープ。飴色玉葱も作り置きが可能な上、これとコンソメ顆粒を器に注ぐだけでほぼ完成するので、ライブキッチン向けなスープに出来るのだ。

 

 資金もだけど部員が増えたのも大きい。去年より仕事量を増やしたけど、おかげで準備は去年より楽なくらいだった。

 

「寧花祭で優輝に貢献出来たと私が判断した者には、順位毎に優輝お手製スイーツ引換券や、寧花祭デート券を進呈しよう」

「「おっしゃあああああああああああああ!!!!」」

 

 ……姉さんに焚き付けられた新入部員のみんなが頑張ってくれたっていうのもあるかな。

 

 

 

 

 でまあ。寧花祭当日。

 

「どうしてこうなったかなー……」

 

 開催宣言の校内放送を僕が言ってからアルストロメリアに戻る途中、多くの生徒が僕の後ろについて来て、そのまま店の前に並んだのだ。つまり、開始数分で行列が出来ていた。

 

「ん……私としては、宣伝に出ずに済んだ、ので……ありがたい、ですが……」

 

 コースを増やして食数も去年より増やしたけど、途切れないお客さんによって、結局去年と同じくらいの時間に全日完売してしまった。

 

 寧花祭を完走した感想としては。

 

「去年より、疲れたねー……」

「…………(こくり)」

「まぁねぇ……休む暇一切なかったしねぇ……」

「お、お腹……す、い……がくりっ」

「スイーツ……す、い……がくりっ」

「うむ、生徒会長効果は抜群だったな」

 

 部員全員、ぐったりしていた。なんか姉さんだけは元気なように見えるけど、多分見栄を張ってるだけだと思う。

 

「まあでも。疲れたは疲れたけど、この充実感のある疲労は、心地よくもあるよね」

 

 返答する気力のある人はほぼいなかったけど、みんな笑顔で頷いてくれた。

 

 

 

 ちなみに、姉さん企画の「優輝への貢献度による報酬」の「僕とのデート券」とかいうふざけたものは、月影ちゃんが獲得していた。

 

 のでまあ。僕らは去年の寧花祭デートと同じく、漫研の喫茶店で二人、まったり過ごしたのだった。

 

 

 

 

・二年生時の生徒会長選出会

 

 

 今年も生徒会長選出会が始まった。

 

 このお祭りの構成は去年と同じく、

 

 ◯応援期間

 ◯アピールタイム

 ◯結果発表

 

となっている。

 

 去年と違うところは、生徒会長候補に選ばれたのは二年生のみということ。

 

 この内、知り合いの候補者は、

 

 塩谷 幸子

 天王寺 蒼月

 加藤 透華

 

の3名。

 

 それに加えて女子1名、男子3名、それと僕を加えて、計8名だ。

 

「なぜだ! 去年はまだともかく、何故今年も我は選出されていない!?」

「そうよそうよっ!」

 

 ちなみに、張り出された選挙ポスター的なヤツの近くで、某キングとキングファンが抗議する様子が見られた。いつも通りネイ先生に鎮圧されて退場したので見なかった事にする。

 

 去年と大きく違うのは、会長候補に去年は僕の応援団長だったサチさんがいることだね。

 

 武闘祭で、現生徒会長で去年より知名度の高かった僕と接戦を繰り広げたし、美人さんで生真面目で学業成績も良しとなれば、選ばれて当然だ。

 

 というか、サチさんこそ生徒会長って感じだよね。漫画とかで見かける一般的な高校の生徒会長のイメージ、だけど。

 

 外部からの出店も当然来ている。生徒からの要望もあり、今年は屋台が二つ増えた。

 

 ひとつは食事系としてドネルケバブ、もうひとつは甘味系としてお団子屋台だ。

 

 お団子系の屋台なんて初めて見たけど、串団子をその場で炭火焼きしてくれたり、目の前でお餅を餡子で包んであんころ餅にして提供してくれるらしい。

 

 アイドル研究会の物販も健在だ。今回はサチさんグッズの追加に、菓子系でロングセラーのロールロール以外に、「ユキ会長の手作りクッキー」という商品が追加されていたりする。

 

 はい。クッキーは頼まれて実際に私が作りました。商品名に偽りなしです。

 

 パッケージには僕T同様、萌えキャラ風SDでアルストロメリア制服の僕が、ミトンを装着しクッキーの乗った鉄板を持って笑顔でウインクしている絵が貼り付けられている。

 可愛い、けどやっぱり自分だと思うとちょっと恥ずい。

 

 ちなみに、アイ研としては加藤さんグッズをもっと作りたかったらしいのだけど、本人の許可を得られなかったらしい。唯一許可を出したのが、「塩谷 幸子!」と書かれたうちわのみだ。

 

 

 さて。そんな訳で、まずは応援期間の話だ。

 

 今年はロールさんが会長候補にいないので、去年よりは静かな応援期間になる……と当初は思っていたのだけど。

 

「ヤッホー☆ 学園のアイドルにして特待生のぉ、ロールちゃんだよー!」

 

 ゲリラライブは行われた。何を隠そう、ロールさんこと真貴先輩は、今年の僕の応援団長なのだ。

 

「三年生だから会長戦には参加しないけどぉ、アタシ、ユキ会長のこと大好きだからー! 全力で歌って応援しまーっす!!」

 

 つまり今年のゲリラライブは、僕を推すためにしている。嬉しくはあるけど、目立つのはやっぱり恥ずいので、程々にして欲しくはある。

 

 更には、アピールタイムでもロールさんのライブが開催された。ロールさんは僕の応援団長なので、つまり僕のアピールタイムにだ。

 

 僕のアピールタイムなので、当然僕もいないとならない。なので、ロールさんのバックダンサー的な感じで剣舞を披露していた。どう見てもロールさんが主役です本当にありがとうございました。

 一応最後に、僕がマニフェスト的なのを言ったのだけど……それだけで問題ないらしい。

 

 ……いやまあ、ロールさんの存在感が前に出過ぎで正直どうかと思ったけど、理由はある。

 

 ネイ先生曰く、今年の選出会は、ほぼ茶番だからだ。

 

 僕が生徒会長になってからこれまでの実績を鑑みて、選出会をするまでもなく、僕に生徒会長を継続させることで決定していたらしい。

 

 だから、今年のこの選出会で僕が余程の醜態を意図的に晒さない限り、次期生徒会長は僕である。生徒会長継続以上に奇行なんてしたくないので、ほぼ継続決まり、と言う事だ。

 

 とはいえ、生徒会長選出会は三大学園行事、学園生にとってのお祭り的な息抜きの場だ。開催しない訳にはいかない。

 

 だから、今年の候補生で本気で栄陽学園の生徒会長を目指していたのは、加藤さんだけだったりする……一応飯屋峰君も、かな。推薦されてない上に退場させられちゃったけど。

 

 

 

 

 という訳で、最後に次期生徒会役員を紹介して締めとしよう。

 

 生徒会長、水城 優輝。

 生徒会副会長、塩谷 幸子。

 書記2名、天王寺 蒼月と、一年生のジョシュア・高坂。

 会計2名、水城 瑞希と、一年生の芝山(しばやま) 未公(みく)

 

 以上だ。

 

 ……ジョシュア君以外の生徒会役員が女の子ばっかりで、彼は少々肩身が狭いかもしれない。

 

 頑張れ、ジョシュア君。まあ僕も慣れたから、君もその内慣れるさ。

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