時間は1話目と同じく昼の12時予定です。
『――つまりは、来たるべき魔神との対決が10年以内に迫っている現在、我が校は少しでも多くの若者の心身を鍛え、その時に備えなければなりません。なので生徒の皆さんには、歴史に名を残すつもりで努力を怠らぬよう、私含め全教職員は願っているのです。少し長くなってしまいましたが、最後に改めまして。皆さん、ご入学おめでとうございます。この世界の、この星の輝かしい明日を照らす新たなる守護者が生まれる事を期待しています』
『学園長のお話でした。以上をもちまして入学式を終了致します』
……やっと終わった。学園長のご高説はためになったし熱意は十分に伝わったけれど、学園長さん自身が言っていたように流石にちょっと長かった。前に座ってる姉さん、また寝てるし……いや、よく見ると、僕の近くに座ってる人達ほぼ全員寝ぼけ眼だった……あれ? 真面目に学園長のお話聞いてた人って、もしかして少数派? まあ、漫画とかでも校長先生の話が長くて寝る、みたいな展開は割とあるし、むしろそっちが普通なのかな?
『新入生の皆様は、各クラスの担任教師が案内に来るまでそのまま待機していて下さい』
司会の少年(生徒会長さんかな?)がそう締めくくり、これにて入学式は完全に終了したのだった。
待つ事10分弱。案内順は最上位のクラスであるクラスSから始まり、A・B・C・Dと続くので、僕達が割り振られているクラスDは一番最後だった。
「みなさんおまたせしました〜。私がクラスD担任教師のぉ、ネイ先生ですよ〜〜」
間延びした独特の喋り方の女性……見ためは10代後半くらいにしか見えない彼女が、これから3年間お世話になる担任の先生だ……まあ僕と姉さんからすれば、彼女との付き合いはすでに3年なんてものじゃないんだけどね。
「ではでは〜。さっそく教室に向かいますのでぇ、あわてず着いてきてくださいね〜?」
喋り方もだけど、先生が持っている物に、僕と姉さん以外のクラスのみんなは間違いなく気になって仕方がなかっただろう。きっと内心で、こう思っていたはず。
((なんでマクラ持ってるんだ……?))
――――――――――
「うん? この時もう先生きていたのか」
「姉さん寝ぼけてたからね。起きたの、クラスのみんなが自己紹介始めた時くらい?」
「ふむ……ハッキリ記憶があるのは、優輝が自己紹介を始めた時くらいからだな。その前後は覚えていない」
「えぇ……姉さんらしいといえばらしいけどさ。せっかくの入学日、新たな出会いの日なのに勿体無いなぁ」
「私は優輝さえいれば何も問題ないから問題ない」
――――――――――
「さてさて〜。まずはみなさん改めまして。ご入学、おめでとうございます〜。これから3年間、よろしくお願いしますね〜」
教室に着き、みんなが席に座ったのを確認してから、どこか眠気を誘う声と雰囲気を振りまきながらもお手本の様な綺麗なお辞儀をする担任の先生。
「3年間というそれなりに長い期間お付き合いするわけですからぁ、みんな仲良くいきたいですよね〜? というわけでまずは、先生の事を知って貰う事から始めます〜。何でも質問して下――」
「はいセンセイっ!」
先生が言い終えるの待たずにしゅびっという感じで手を挙げたのは、長めの赤毛を右サイドテールにした、活発そうな印象の女の子。
「はいはい、なんでしょうか〜?」
「どうして先生はマクラを持ち歩いてるんですか!?」
いきなりそこツッコむんだ。かなり積極的な娘だなぁ。
「マクラは寝るために使うものです〜。つまり、眠りたい時にいつでも安眠できるように、です〜。あ、一応眠り病とかではないのでぇ、授業の途中に突然眠り始めたりとかはしませんよ〜。そこはご安心ください〜」
「はぁ、そうなんですね!」
「それとですね〜……このマクラは優しく衝撃を受け止めてくれるのでぇ、投げ付けてもわりと安全ですから〜」
「えっ? 投げつけ……?」
「あ〜、先生のマクラの紹介が先になってしまいましたけどぉ、先生自身の自己紹介をしますね〜」
マクラの話はここまでというように、半ば無理矢理話の流れを戻す先生。マクラを教卓に置いてから黒板に向き、自分の名前をカリカリと書いていく。
「先生の名前はぁ、
その名前、というか名字を聞いて、当然教室はザワつきだす。
「すずのもり……え、珠洲野守!?」「守護者と同じ名字、だよな」「あれ、珠洲野守の姓を与えられたのって、守護者ただ1人だけなんじゃ」「どういう事なの……」
やっぱり、一般的にはこの反応だよね。僕と姉さんは昔からネイ先生のこと知ってるから、驚きはしないけど。
「はいセンセイっ! 守護者・珠洲野守様とはどのような関係なんですか⁉︎」
「
「つまりは守護者の娘様、ですか!」
「様付けは不要ですが、その通りです〜。堅苦しいのは苦手なのでぇ、気軽にネイ先生って呼んでくれると、とっても嬉しいです〜。あとぉ、目立つのも苦手なので、先生の名字はあんまり言いふらさないでください〜」
「はいっわかりました!」
「元気な良い返事ですね〜。ではでは、自己紹介を続けま〜す。私の好きなことは、自己鍛錬です〜」
『…………』
数秒の沈黙。うん、まあ、みんなが考えてることは予想出来る。きっと、
((寝ることじゃないのか……))
だろう。
「自己紹介はこんな感じで、みなさんのフルネームと、好きなことや好きなものをひとつ、あげて下さ〜い 。ではでは――」「ネイ先生! もうひとつ聞きたいことがあるんですがっ!」
サイドテールの子、すごいグイグイ行くなぁ。元気っ娘可愛い。
「はいはい、それで最後ですよ〜」
「はいです! えーと……守護者の咲様は300年以上前から守護者ですけど、娘のネイ先生の年」
あ、それだけはダメなヤツだ。
「それは秘密です」「齢……えっあの」「それは秘密です」「せっ」「それは秘密です」「ハイ、ワカリマシタ」
秘密で押し通した。ネイ先生に年齢の話は、他の女性以上にタブーなのだ。初見だからこの程度だけど、知っててしつこく聞いたら危険がアブナイ。
「え〜と、自己紹介はこんな感じで、みなさんのフルネームと、好きなことや好きなものをひとつ、あげて下さい。ではでは、出席番号順でいきましょ〜。1人ずつ、黒板前に来て下さい〜」
そのままの勢いでネイ先生は、直前の話題なんてなかったかのように話の流れを強制的に戻した。
(あはは……ネイ先生は学園でも変わらないなぁ)
内心で苦笑いする中、出席番号順にクラスメイトの自己紹介が始まった。
クラスD生徒名簿 出席番号順
1.
2.
3.
4.ニック・カルパチョフ
5.
6.パルフェ・キッシェン
7.
8.
9.
10.ジェイ・チェーン
11.エミリア・ナナセ
12.
13.
14.アゼリア・ホリイ
15.
16.
17.
18.
19.
20.
登場人物紹介
容姿:藍色髪ロングひとつ結び、童顔可愛い
瞳の色:青
身長:150cm
性質:善
好きな食べ物:甘いもの全般
嫌いな食べ物:辛いもの
趣味:自己鍛錬
精霊属性:風・闇
栄陽学園本校クラスDの担任教師であり、主人公達の故郷の村でのご近所さんで年上の幼馴染みであり、守護者の実の娘でもあり、300年以上生きている半神人でもある。
年齢のわりに子供っぽい性格をしており、実年齢聞かれたくない系女子?である。心はいくつになっても乙女。
いつでも眠れるようにマクラを持ち歩いているが、寝るのが好きと言うわけではなく、特別な理由がある。詳しく記すと長くなるので省くが、唐突に強い眠気に襲われる事がある体質故である。あくまで体質であり病気ではないので、眠気防止のお薬とかはほとんど効果がない。
一応、ある程度眠気をコントロールするすべを会得しているので、大事な場面で寝落ちたりはしない。