優輝の日記 〜国立栄陽学園での日常〜   作:繭浮

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それぞれのスタイル

(んー……まあこれかな)

 

 訓練の時は、学校側が用意した訓練用の模擬武器を使うのだけど。僕は、いつも使っている精霊剣に1番近いサイズ――用意された模擬剣の中で最大の物を手に取る。もうちょい大きい方が良いのだけど、量産品だからこれで妥協だ。

 

「え、優輝さん大剣使うのか」「1番扱い辛そうなのに、大丈夫かな」「でも魔獣倒した事あるって言ってたし」「美少女に大剣はロマンではある」

 

 そんな声が聞こえて来た。大丈夫、大剣は使い慣れてます。

 

「……これで良いか」

 

 姉さんはショートソードを選んでいた。普段姉さんが使っている精霊剣は銃だけど、模擬銃は用意されていないらしい。

 後から聞いた話だけど。銃型の精霊剣は近年開発された新たな形状であり、性能もピーキーで使い手がまだまだ少ないので、模擬銃は個人のオーダーメイドになってしまうらしい。

 

(みんなの武器は、と……)

 

 クラスにいる友達は何を選んだだろうか。

 

「海老江さんはナイフか」

「手数とスピードが私のバトルスタイルだからね!」

 

 アキは、両手にナイフを持っていた。

 

「鯨井さんのその武器、なんだ?」

「こっこここんですっ」

「こっこん?」

 

 ヒロは刃の付いていない、細長い棒状の物を持っていた。確か棍使いと言っていた気がする。

 

 サチさんと雅は太刀だ。まあ、剣術部に入った訳だし、やっぱり刀だよね。

 

 パフィンさんは姉さんと同じショートソードを持っているけど、姉さんが選んだのを見てから手に取っていた気がする。もしかすると、本来の武器も姉さんと同じく銃なのかも。

 

(ちょっと遠いけど、クラスSは……)

 

 んー……あ、いた。うん、やっぱり蒼月さんは弓か。月影ちゃんは……ロングソード、かな? 月影ちゃんちっちゃ可愛いから大剣持っているように見えるけど、多分ロンソだろう。

 

「みなさん、武器は持ちましたね〜?」

 

 ネイ先生はみんなを見回し、全員模擬武器を持っているのを確認してから、訓練の内容を告げ始めた。

 

「さてさて。みなさんには2人組になって貰いましたが〜。いきなり初日で他のチームと対戦とかは、厳しく感じるかと思います〜。なので今日は、今組んだ相手と組手稽古をする事とします〜」

 

 ふむ。つまり今日の訓練相手は姉さんか……いつも通りでちょっと新鮮味が足りないかな。

 

 あーでも、今日の姉さんはいつもと違って剣持ちだし。銃持ちなら互角位だけど、短剣なら僕の方が有利かな? まあ姉さん天才だから、油断は出来ないし手も抜けないし、抜いたらすぐバレて怒られるからしないけどね。

 

「対戦相手女の子かあ」「なんかやり辛いな」「鯨井さんと協力プレイ出来ないじゃないか……」「協力プレイ(意味深)」

 

 一部不満を呟く人がいたけど。戦闘訓練がはじめてな人もいるだろうから、ネイ先生の判断は悪くないと思う。

 

 まあ、全員が納得のいくようになんて難しいか。先生は大変だ。

 

(長年お疲れ様です、先生)

 

 ネイ先生の苦労に、心で労いを呟いた。

 

 

 

 

「はいは〜い。では今から3分後にぃ、天井君と海老江さんの組手から始めます〜。各組の制限時間は3分。その間にKOか、戦闘続行不能なダメージを受けるか受けると判断した時。または、タイムアップ時に優勢と判断された方が、勝ちとします〜。次の対戦者以外のみなさんは余所見せず、しっかり各組の戦いぶりを見て、自分の糧として下さいね〜?」

 

 さて。出席番号順だから、僕らの出番は最後から2番目だ。みんなの戦いをじっくり見させて貰おう、

 

「あ、そうそう忘れてました〜。今日の優輝さんと瑞希さんの組手はエキシビション扱いで、最後に行います〜」

 

と考えていたら、最後に回された。まあ1組ずれるだけだから大差ないけど。

 

「実戦経験のある2人の対戦なので、他のみなさんの得られるものは、かなり大きいと思います〜。なので、このカードは刮目して見るようにっ。ですよ〜」

『はーい』

 

 そんなこんなで。いよいよ待ちに待った組手稽古の始まりだ。

 

 

 

 

「ホラホラホラホラ!!」

「ぬっぐっ!」

 

 アキが飛び跳ね飛び込み宙を舞い、ほとんど休みなく天井君に襲いかかる。天井君はロングソードを構えてなんとか受け止め受け流せているけど、最初から防戦一方だった。

 

 さらに、天井君はアキの初撃を受け止めてからほぼ同じ位置から動けていない。体力の消耗的にはアキが圧倒的に多いけど、天井君は攻撃らしい攻撃を1度も出来ていない。精神的に集中力はそろそろ限界かな。

 

「ホイっ!」

 

 体重を乗せて天井君に両手のナイフで上から斬りかかり、天井君はそれを下段から受け止める。

 

(あ、決まった)

 

と思った次の瞬間から、アキは斬りかかった勢いを使って体さらにを押し込み、反動で勢いよく上に飛び上がり、

 

「ぐううっ!」

 

空中一回転して遠心力の乗ったアキの踵が天井君の頭に落とされる。天井君は首を逸らしギリギリ頭への直撃は避けたつもりのようだけど、肩で受け止め苦悶の声を上げる。

 

(アキは予想通りの強さだけど、天井君思ったより動けるね……けどやっぱりアキの方が上手かな)

 

「ふいっと!」

 

 アキは、頭に直撃しないと咄嗟に判断したようで、踵を叩き込む直前少し足の向きを変えており、実際は足の裏で肩を蹴りつけていた。

 そしてそのまま蹴り飛ばし、天井君の背後に着地する。その衝撃で彼は前につんのめり、完全に倒れ込まないように足を踏ん張る。

 

(あー、この場合はそのまま前方に倒れ込んだ方が良かったかな)

 

 無理に踏ん張ってしまい、硬直して無防備になる天井君。明確な隙。

 

「ハアッ‼︎」

 

 その作った隙にアキが振り向きざまに右手のナイフを振るい、

 

「そこまで!」

 

 ネイ先生の制止の声が上がる。アキは無理には制止させずナイフの軌道を逸らして振り抜く。

 

「…………」

「……――ふあっ」

 

 天井君は無言で立ち上がり、アキは振り抜いた姿勢で一拍制止し、思い出したかのように息を吐き出す。

 

「俺の負けだ。速いな、海老江さん」

「ふぅっ……はぁ〜。ま、ね。ふぃ〜」

 

 さすがのアキも、あれだけ動き回れば息も絶え絶えだ。天井君はあまり動けていないから息切れしていないけど、精神疲労はアキ以上だろう。

 

「勝者、海老江 茜葵さ〜ん。う〜ん、初戦から見応えのあるカードでした〜。では、1分のインターバルを挟んで、2戦目です〜」

 

 

 

 

「アキ、お疲れ様」

 

 組手を終えたアキが、自身に治癒術を使いながらこちらに近付いてきたので、労いの言葉をかける。

 

 ちなみに、模擬武器とはいえ防具をしていない人がほとんどなので、まともに当たれば普通に怪我をするし、クリティカルヒットしてしまったら大怪我もあり得る。

 ので、対魔練の授業を受け持つ教師は治癒術に長けた人が務めるか、高レベルの治癒術が扱える保健医を待機させておく必要がある。

 

「んにゅ、疲れた!」

 

 息の整ったアキが元気に疲れたと言い放つ。可愛い。

 

「声が全然疲れてるようには感じないけど?」

「まっ、確かにまだ余裕あるけどねん」

 

 自信たっぷりな顔でそう言う。体力に自信があるからこその戦法だものね、すでに息が整ってて当然か。

 

「それにしても、アキの戦い方は見ていて楽しいね。あの動きを真似出来る人はそういないだろうから、みんなの戦闘スタイルの参考になったかは微妙だけど」

「簡単に真似されちゃあたしが精神的にダメージ受けるわっ」

「ふむ…………」

 

 姉さんが何か言いかけたけど、僕が見たら止めた。多分、「参考になった」とか言おうとしたんだろう。

 

「何よ瑞希その反応……えっ。もしかして真似出来ちゃう、とか」

「いや、流石に今すぐやれと言われても出来ないな」

「そっか……今すぐでなけば、かー……」

 

 それを聞いて、アキが無表情になる。まあね、要するに「練習すれば出来る」と言ってるようなもんだし、そんな顔にもなる。ていうか、アキって結構察し良いよね。

 

 にしても、姉さんが僕を気遣った時は止めたのにアキへの一言は止めなかったあたり、姉さんにとってのアキは「優輝の友人だから親しく接しよう」くらいなのだろう。

 

(一応親しくしようと思ってくれてるのだし、あんまり僕が口を出すのは違うよね)

 

 姉さんの行動の動機のほとんどは、僕……「優輝に有益と思われる事をする」で占められている。それ自体は有難いし、僕が姉さんを大好きな理由だけど、そのせいで多少空気が読めなかったりするのが困りものだ。

 

 ちょっと歯痒いけれど、これでも小さい頃に比べたらだいぶ丸くなっているのだ。あんまり多くは望んじゃダメだよね。

 

 とはいえまあ。そんな姉さんだけど、

 

「案ずるな、アキ。私ほどの天才でさえ容易には真似出来ないのだ。自信を持て、その戦闘スタイルはお前の唯一無二のものだ」

「へ?」

 

まったく空気が読めないわけではない。

 

「……優輝優輝っ。もしかして瑞希デレた?」

「デレじゃないかなあ」

「違うかーざんねーん」

 

 残念そうな苦笑いで、でもどこか嬉しそうにも感じる声でそう言った。

 

「デレじゃないけど。友達なんだから、友達の良い所を褒めるのって普通じゃない?」

「うむ」

「…………」

 

 僕らの意見を聞いたアキは、数秒呆けた顔をして、

 

「うへへ……」

 

にへらぁと破顔した。可愛い。

 

 その後アキは、ヒロの組手が始まるまで終始ニヨニヨと嬉しそうに笑っていた。

 

 

 

 ダンッ!!という激しい音と振動を起こしてヒロが力強く踏み込んで飛び上がり、佐藤君に上段から棍を振り下ろす。

 

「うお怖ぇ!!」

 

 ボッという破裂音にも似た風切り音を立てながら迫る棍に本気のビビり声を上げて、長剣を上段に構えつつ少し後ろに下がって避ける佐藤君、いや――

 

(あれは避けられたというより、ヒロは当てる気がなかった、かな)

 

 正確に言うなら。初手の全力とも思える飛び上がりからの打ち下ろしは、フェイントだった。

 

「イヤアッ!」

 

 打ち下ろして深く屈み込んだ姿勢から一切の力を抜かず、さらに足に力を込めて踏み込み突き出した棍は、彼の上段ガードの姿勢で晒した腹部、鳩尾に吸い込まれるように叩き込まれた。

 

「め"っ――」

 

 擬音にするならメゴッて感じの音を立てて壁際近くまで吹っ飛ぶ佐藤君。ピクピク痙攣してるからギリ死んではいないけど、瀕死っぽい。

 

「そ、そこまで! 鯨井さんの勝ちですっ」

 

 一瞬呆気にとられた顔をしていたネイ先生だけど、すぐに気を取り直して短く勝敗を告げてから佐藤君へ駆けていき、治癒術をかけはじめた。

 

 さらに一拍後、状況を理解したクラスの大半が、思わずこう感想を口からこぼしていた。

 

『佐藤よっわ!』

 

 ……うん、まあ。みんなの気持ちは分かる。前3つの組手が制限時間ギリギリまで決着付かなかったのに対して、ヒロと佐藤君の組手は、多分5秒程しか経っていないしね。

 

 確かに彼は、僕の予想的にも弱かった、けどそれ以上に。

 

「強いな」

「だね」

「私は知ってたもんね!」

 

 数秒で決着が付いた最大の理由は、やっぱりヒロが彼より数段強かったからだ。多分、事前情報無しなら僕でも苦戦すると思う。

 

 というか、ネイ先生も一瞬とはいえ唖然としていたから、ヒロの実力をちょっと見誤っていたっぽい。

 

 その理由はやっぱり、彼女の自信のなさのせいだろう。

 

「お疲れー! 痴漢が相手の時のヒロはやっぱいつも以上に強いねぇ!」

 

 組手を終えたヒロが静々とこちらに近寄って来た。って、なんか様子がおかしい?と思っていると、

 

「…………」

 

糸が切れたようにペタンとその場に女の子座りで座り込む。

 

「ふえぇ……怖かったよぉ〜アキちゃあぁ〜ん……」

「あーよしよし。んみゅ、エロい視線に耐えて良く頑張った、感動したっ!」

 

そして、涙目涙声でアキに抱き締められ慰められる。

 

「あっさり終わったのは、佐藤君が巨乳好きのエロいヒトだったから、ていうのもあるかな」

「ふむ、変態属性に対して特攻か」

 

 姉さんが、今朝ヒロに一撃で沈められた飯屋峰君の方を見ながらそう言う。確かにそうかも。

 

(とはいえ。魔神はどうかわかんないけど、魔獣にそんな属性はないし。自己評価の低さは弱点だよね……ヒロ、頑張ってね)

 

 今この状況でそれを直接言ったらヒロを傷付けてしまうので、僕はアキの腕の中で震えるヒロに対して、心の中で密かにそう激励した。

 

 

 

 

「おっ、おおお恥ずかしい所をお見せして! も、申し訳ないですー……幸子さんの組手も満足に見れなかったですし……」

「別に気にしないで良いわよ。すぐに終わったし」

 

 ヒロが落ち着いたのは、サチさんの組手が終わる直前だった。組手を終えてこちらに来たサチさんからもそう慰めの言葉をかけられる。

 

 サチさんの言う通り、彼女とチェーン君との組手は、最初の30秒程はお互い様子見するようにジリジリと間合いを測り合っていたけど、焦れたチェーン君が動いてサチさんのカウンターの一太刀が綺麗に決まり、一撃で勝負が着いた。

 

「みんなすごいね〜。てゆ〜か、今んとこ負けたんアタシだけだね〜」

 

 ヒロの1つ前の試合だったパフィンさんが、ゆるゆるな口調で悔しげもなくそう言う。

 

「あなたね……もうちょっと真面目に出来なかったの?」

「そ〜言われてもな〜。アタシ銃だし、短剣初めてだし。時間ギリまで逃げ……避け続けた事を褒めて欲しい位だし」

 

 サチさんに説教くさい言い方をされて、ちょっと不貞腐れた感じで返すパフィンさん。

 

 というか、予想通り銃使いか。でもパフィンさんの動きとか性格を考えると、姉さんと違ってハンドガンタイプではなさそうかな。

 

「それでも短剣を選んだのはあなたでしょう? それならそれで善戦しようと努めるのが――」

「使った事ない物で善戦出来るわけないじゃん。アタシ勝てる戦いしかしたくな〜い」

「もう、やる前に諦めてるんじゃないわよ」

「やった事ないことイキナリ上手く出来るわけないも〜ん」

 

 あー、最初はサチさんだけだったけど、2人とも機嫌悪くなって来てるなあ。サチさんの生真面目な所は彼女の魅力だし僕は好きだけど、今回は悪い方向に進みかけてる。

 

 うん、良くない流れだ。なので仲介する。

 

「まあまあ2人とも、それくらいにしよ? 今は目の前の組手を見ようよ」

「あっ。そ、そうね、今試合してる2人に失礼だったわ」

「う〜」

 

 真面目なサチさんは僕の一言にハッとして、羽山さんとホリイさんの組手に意識を向ける。パフィンさんは会話を途中で中断されて不満そうだ。

 

 さて。2人が一旦落ち着いたし、フォローに入ろう。

 

「にしても、「勝てる戦いしかしたくない」か。良い言葉だね」

「「えっ」」

 

 驚きの声を上げる2人。サチさんもパフィンさんも、僕がパフィンさんの不真面目発言を好意的に取るなんて予想外だったのだろう。

 

 だからこそ、僕は肯定しよう。2人が意固地になって不仲になるのは嫌だしね。

 

「実戦の時に慣れない武器で勝ち目のないの戦いをするなんて、現実的じゃないしね」

「それは、まぁ確かに……でも」

「パフィンさん、さっきの組手、逃げに徹してたよね」

「お、おぉう、そだけど……」

「自分の得意とする戦い方が出来ないなら、良い選択だったと思うよ」

「「…………」」

 

 ……ん? 何故か沈黙された。予想と反応が違って内心ちょっとだけ戸惑う。

 

「優輝さんって……相手の良い所を探し当てるの上手よね」

「よね〜」

 

 何故か僕が褒められた。

 

 いやいや、そこは僕の指摘に対して「確かにそうね、少し頭が固くなっていたわ、ごめんなさいね」「ん〜、私も少し不真面目だったかな、て思ってたし。サッちゃんは悪くないよ〜」て感じの会話になるんじゃない? あれ?

 

「くすっ。優輝さんと友達になれて良かったわ」

「アタシも〜」

 

 仲良く僕に笑顔を向けてくる。可愛い……のはともかく。なんか解せないけど、何故か仲直り状態みたいだし、まあいっか。

 

「「……(にこにこ)」」

「ふふふ。優輝は可愛いなあ」

 

 他の3人も、僕に柔らかな笑顔を向けていた。

 

「みんなしてなんなのさ」

 

 なんか気恥ずかしくなって正面を向くと、羽山さんとホリイさんの組手が制限時間になり終了していた。という事は、次は巻さんと雅か。

 

 

 

 巻さんと雅の組手は、治癒術の方が得意らしい巻さんが精霊術主体で戦い、それを雅が迎え撃つ形式で行われ、制限時間までなんなく凌ぎ切った雅の判定勝ちとなった。

 

「お疲れ様、巻さん、雅」

「あ、どもっす」

「おう、ありがとな。まぁなんか、疲れただけで組手稽古した気がしないんだけどな」

「まあ、魔神はともかく魔獣は精霊術使って来ないしね」

「まあ、良い運動にはなったな」

「お役に立てたようでなによりっす。またお願いするっすねー」

 

 そう言いながら手をヒラヒラ振り去っていく巻さん。

 

 ふむ。巻さんとキチンと会話したのは初めてだけど、口調と同じく性格もサバサバした感じかな。僕の周りにはいなかったタイプだけど、嫌いじゃないかも。

 

 ちなみに、次の飯屋峰君と山本さんの組手は、飯屋峰君の圧勝だった。

 

 飯屋峰君は長剣と短剣の二刀流で、山本さんはトンファーだった。さすがにヒロのように瞬殺はされなかったけど、山本さんは終始彼に圧倒されて防戦一方だった。

 

(みんな、なかなか個性的な戦い方で参考になったなあ……まあそれはそれとして)

 

「ようやくだな」

「だね。お手柔らかにね、姉さん」

「今日の私の獲物は短剣だが……まあ、いつも通りにな」

「うん。ふふっ」

 

 さて。姉さんとの組手稽古の始まりだ。

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