優輝の日記 〜国立栄陽学園での日常〜   作:繭浮

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 少し長くなってしまいましたが、区切らず読んで欲しかったのでこうなりました。


色んなタイプの友達申請者

「しかし優輝、よく覚えているな」

「姉さんが覚えてなさ過ぎなだけ……でもないか。僕も日記を見て、うろ覚えなとこを思い出しながら話してたし」

「ははっ、謙遜はするな。で、この後は……自由時間だったか」

 

 

 

 

       ――――――――――

 

 

 

 

「みなさんありがとうございました〜。ではホームルームは、ここまで……1時間程、自由時間です〜……親睦を、深め……くだ、すぅ……」

「「えぇ……」」

 

 言いながら、教卓に置いたマクラに顔を埋め、眠り始めるネイ先生。クラスメイトのほとんどが、いつでも寝れるってジョークじゃなかったのか、とでも言いたげな戸惑いの声を上げる。まあわりとよく見る光景なんだけどね、初めて見たら仕方ないね。

 

「えーと……自由時間で良い、のよね?」

 

 数秒の沈黙後、塩谷さんの台詞をキッカケに教室が賑やかになる。入学日恒例(漫画とかの知識だけど)、お友達になりましょうタイムだ。

 

 

 

 

 で。案の定、僕らは質問責めにあっていた。

 

「水城さ〜ん、好きな食べ物は〜?」

「トマトかな。姉さんはなんでも美味しそうに食べるけど、クリームソース系が好きかな」

「2人共、ヘタな芸能人より可愛いわね……彼氏いるの?」

「いません」「不要だ」

「水城さん髪綺麗だね〜。シャンプーは何使ってるの?」

「BRX社の、太陽花って名前のを使ってるよ」

「あー聞いた事ある、ちょいお高いヤツだよね。へ〜……私も試してみよ」

 

 ちなみに姉さんは「私にしか答えられない質問でなければ優輝へ」と僕に姉さん分の解答を丸投げして半分静観を決め込んでいる。まあ予想通りだから問題ない。

 

「水城さん! す、好きな異性のタイプは?」

「うーん、考えたことないからよくわからないかな。とりあえず……飯屋峰君みたいな、相手の事を考えない強引過ぎる人は苦手かな」

「オレ様系はなし、と」

 

 ちなみに、当の飯屋峰君はというと、気絶したまま椅子に縛られて教室の1番後ろでオブジェになっている。縛るのは少しやり過ぎな気がしなくもないけど、既に前科あるから妥当、かな?

 

「水城さん、咲様と昔馴染みか〜。しかも直々に精霊術の手解き受けたとか、羨まし過ぎる! リアル咲様ってどんな感じなんだ?」

「咲さんは穏やかで凄く優しいよ。なんていうか、もう1人の母さんみたいな存在かな」

「じゃあネイ先生は?」

「うーん、先生は……基本優しいけど、ちょっと子供っぽい可愛いお姉さん、かな」

「というか、2人共……特に眠り姫は名字も名前もミズキな訳だし。えーと……水城の妹さん、下の名前で呼んでいいか?」

「……。うん、まあ、それでどうぞ」

「よし、じゃあ優輝さんで!」

 

 妹……まあ、だよねえ……

 

「優輝は史上最高に可愛いからな」

「むぅ……」

 

 僕の考えてる事を読んで、ドヤ顔で言う姉さん……さすがに今のはちょっとだけイラっと来た。思わず軽く睨む。

 

「おまっ間崎! なにいきなり抜け駆けしようとしてんだ!」

「え、何が?」

「ああ、天然入ってるのかこいつ……ともかく! 俺達も水城さん達のこと名前で呼んでもいいよな?」

「うん、いいよ。みんなもご自由にどうぞ」

 

 

「むぅ、出遅れた……近付けない。席が離れてたから仕方ないけど」

「凄い人気だね、水城さん。それに、男の子にあんなに近付かれてるのに堂々としてて……可愛いけどなんかカッコイイね」

「ヒロはもう少し男子耐性付けようね? まぁ今はともかく……ふみゅ。上が空いてるか」

「ふえ? 上って……あ、アキちゃん!?」

 

 

「上から来るぞ、気を付けろ」

 

 姉さんからの突然の警告。さらっと言ったのもあって、耳の良さに自信があって2人の会話をハッキリ聞き取れていた僕ら以外は意味不明だっただろう。

 

「んー。あー、了解」

「え、何の話?」

 

 視界の端に、助走を付けて駆け出した女子を確認。あれは……会話内容的に、やっぱり海老江さんだったか。周りのみんなに警告は――遅いか。

 

「ちょいと失礼! ほっ!」

「ぐあ! 俺を踏み台にした⁉︎」

 

 僕の周りに集まっていたクラスメイトのうちの男子1人(佐藤君)を踏み台にして宙を舞う海老江さん。運動好きと言っていただけあって軽やかで鮮やかだ。

 

(着地予想地点は僕の机。手で持って固定してあげよ……って!)

 

 落下の慣性でふわりと海老江さんのスカートが上にめくれ……慌てて下を向く。姉さんの警告、二重の意味かあ。

 

「みずいろか」

「……報告しないでいいってば」

 

 まったく姉さんってば。わざわざ下向いて見ないようにした意味ないじゃないか……ほんとにギリギリだけど見えなかったのに、もう……

 

「10点!」

 

 ガタッと、思ったより小さな衝撃。綺麗に着地成功したらしい。計算通りなら、なかなかの空間把握力とバランス感覚だ。

 

「待ってたらいつになるかわかんなかったんで跳んで来ましたっ! 海老江 茜葵だよ!」

「そ、それはどうも……水城 優輝です」

 

 顔を見ようとするとスカートの中見えちゃうと思うので、海老江さんの脛に挨拶する。というか周りの男子の視線からして絶対見える。

 

 ええと、とりあえず……

 

「みんな、海老江さんの降りられるスペース空けてくれる? あんまり長時間晒し者にしたくないし」

「えっサラシ? してないよ? ブラならしてるけど……ていうか、お話するなら顔見て話そうよ〜」

「いやいや、だからその……姉さんバトンタッチ」

「うむ。ふふ」

 

 すぐに適切な台詞が出てこなかったので姉さんに任せた……あ、

 

「男子の獣の眼光が海老江 茜葵の淡い水色パンツを凝視しているぞ」

「やめたげてよお!」

 

説明させる人選間違えた!

 

『…………』

 

 姉さんのオブラートに包まない直球の状況説明でようやく理解したようで、顔を真っ赤にして無言で手でスカートを抑える海老江さん。男子達はワザとらしく明後日に視線を彷徨わせ、女子達の非難するような視線が男子達に刺さる……不可抗力もあるし、ちょっとだけ可哀想かな。ガン見してたらしいからちょっとだけだけど。

 

「ほら男子! とっとと水城さんの席から離れる!」

 

 塩谷さんの台詞で空間が少し空く。生真面目そうな見た目通り、委員長タイプだね……あー、塩谷さんに説明頼めば良かったのかもしれない。

 

「……踏み台にされた俺は許されるよな?」

有罪(ギルティ)よ」

「理不尽だぁ!」

 

 佐藤君と塩谷さんの痴話喧嘩(仮)が始まったとこで、海老江さんがゆっくり降りてきた……未だ顔は真っ赤なままだ。可愛い。

 

「んもうっ! もっと早く教えてよ〜水城さ〜ん!」

「女の子だろう、減る物もないのだし気にするな」

「女の子だから気にするんだよ!?」

「ごめんね海老江さん、恥かかせちゃって。咄嗟に上手い言葉が出てこなくて」

「ん〜そっか。なら仕方ないね!」

「……切り替え早いね」

 

 まあいつまでも根に持つ人よりはよっぽど好感が持てるけど。

 

「それよりなにより! 水城ちゃんズに大切なお話があります!」

「……ズ?」「む、私もか」

「そう、2人!」

 

 言いながら僕らの手を取り自分に引き寄せ、

 

「是非あたしとお友達になってください!!」

 

満面の笑顔でそう叫ばれた。とても可愛い。

 

「ふむ……面白い奴だな、気に入った。まあ、優輝の返答次第だが」

 

 おっ……姉さんが積極的に他人を受け入れようなんて珍しい。

 

「どきどき」

 

 期待の眼差しで、声にまで出してどきどきされると、流石にちょっとだけ気恥ずかしいけど……姉さんが受け入れ姿勢なら、僕の答えはひとつだ。

 

「うん、いいよ。これからよろしくね、海老江さん」

「アキって呼んで! さん付けもなしね?」

「えっ、んっと……じゃあアキ、僕も優輝でいいよ。えへへっ」

「うんっ! えへへへっ」

 

 

「照れ顔の優輝さん、超絶可愛いぜ……」

「騒がしさが目立ってたけど、海老江さんも結構可愛いよな……ここに百合の花を咲かせよう」

「うむ、優輝は世界一可愛いからな。だが優輝の可愛さポテンシャルはまだまだこんなものではないぞ?」

「さっきから気になってたけど……瑞希さん、優輝さんのこと大好きなのね」

「当然」

「……顔が瓜二つの双子の妹が好きってとこは、ノーコメントの方が良いのかしら……」

 

 

「というか、ミズキ……お姉さんの方はなんて呼ぼう? 名字も名前もミズキだし……ミズミズ?」

「姉さんの性格的に、その呼び方は似合わないかな」

「学園の素敵な天才美少女瑞希お姉様でいいぞ」

「長っ! ていうか天才?」

「私は天才だからな」

「普通に瑞希だけで良いからね」

「ん〜、よくわかんないけどわかった」

「……優輝のイケズ。まあそこも好きだが」

「あ、そうだ。アキさんに聞き」「呼び捨てで!」「あ、つい。それでアキ、みんなを跳び越えてまで僕らに友達申請しに来たのには、何か特別な理由があるの?」

「あー、んっとね……前から双子の娘と友達になりたいな〜って思ってたんだよ。理由はそれだけかな〜」

「ふーん、そっか」

 

 んー……なんか気になるけど……まあまだ友達になったばかりだし、深くは聞かないことにしよう。

 

「海老江さん、そろそろ良いかしら?」

「えっなになに?」

 

 話の切れ目を見計らって、塩谷さんが割り込む。

 

「いえね……さっきから、鯨井さんが輪の外でオロオロしてるのよ」

「あ〜ごめんヒロっ放置しちゃって! ……ていうか何処に?」

「だからこの輪の外よ。男子が苦手らしくて近寄れなかったらしいわ」

 

 あー、確かに苦手そうな雰囲気してたなぁ。これだけ男子が集まってたら仕方ないね。

 

 というか、男子に限らずだけど、僕らの周りに人集まり過ぎじゃないかな。んー……

 

「みんな、今日が初日なわけだし、次の日でも話す機会はあるしさ。今はこのくらいにして、僕たち以外とも交流しよ?」

 

 軽く思案してから、そう提案してみた。

 

「ええ、正論ね」

 

 塩谷さんも同意してくれたからか、

 

「まあ、そうだな」「急いては事を仕損じるか」「良い百合だった」「水城さんズ、またね」

 

それ程渋る事もなく、思い思いに台詞を残してから解散してくれた。

 

 

 僕らの周りに男子が少なくなったので、鯨井さんが近寄って来た。

 

「ぅぅ〜アキちゃ〜ん……男の子に声かけられて怖かったよぉ〜」

「お〜よしよし。ごめんね〜、いつもの癖がつい出ちゃった」

「うん、分かってるけど……」

「癖って?」

「思い立ったらすぐ行動! しない後悔よりする後悔! てねっ!」

「なるほど。でも、悪い癖ではないね」

「確かにそうだな〜」

「うむ、前のめりなくらいの方が面白い」

「あ、水城さん、と……えっとえっと……ぅぅ〜」

 

 僕達に話しかけようとしたけど、会話に加わって来る間崎君を見て一瞬固まり、モジモジし始める鯨井さん。

 

「えっとね、間崎君。ヒロは男子がちょっと苦手でさ。少しだけ気を使ってくれると嬉しいかな〜って」

「そうなのか、それは難儀だな。でもな〜、俺もっと優輝さん達の話聞きたいんだけど」

「い、いいよアキちゃん、ここ間崎君の席だし……私が離れれば……」

「え、別に鯨井さんが離れることはないんじゃないか? 俺の事は気にせず水城さんズと話せばいいじゃないか」

 

 ああ、男子の誰かが言ってたけど、確かに間崎君天然入ってるね。悪い人じゃあないけど……ふむ。悪い人じゃない訳だし。

 

「鯨井さん、男子が苦手な理由は聞かないけど。話してみた感じ、間崎君は純粋な心を持った良い人だと思うよ?」

「そ、そうなんですか?」

「多分ね。それでね、余計なお節介かもでゴメンだけど。男子に対する耐性付けると思って、間崎君にはいてもらった方がいいかなって思うんだ。アキを間に挟んだりして、すぐ隣でなければ……どうかな?」

「う、うぅ〜……」

 

 悩ましげな声を出して考え込む鯨井さん……十数秒後。

 

「……うん。アキちゃんにも似たような事言われてるし……よ、よろしくお願いします、その……ま、間崎君」

「おう。よろしくな、鯨井さん」

 

 ……よし。とりあえず悪くない着地点で収まったかな?

 

「…………(ぷるぷる)」

「どうした海老江 茜葵? 何やら面白い顔をしているが」

「なんでフルネーム……瑞希もアキって呼んでいいんだよ?」

「ん? ふむ、まあそれもそうだな。それでどうしたアキ、変顔がマイブームか?」

「ヒドッ!? あたしそんな変な顔してないもんっじゃなくてっ! 優輝ぃ!」

「うん? どしたのアキ――」「ユウジョウ!」ガバッ「ほんとどうしたのアキ⁉︎」

 

 大声で呼ばれたと思ったらアキが突然情熱的に抱きついて来た。

 

「今顔合わせたばっかりのヒロに親身になってくれて私の優輝に対する友情度がイキナリMAXになったんだよぅ〜んぁりがとーうっ!!」

「えっあっうん、それはどうも……こちらこそ、ありがとう?」

 

 高過ぎるテンションに頭がすぐについてこなかったけど……どうやらアキに、この短時間で更に気に入られたらしい。

 

「こいつチョロいな」

「姉さんもうちょっと言葉選んで」

「ふむ、善処はする」

 

 

「えっとえっと……改めまして。鯨井 ヒロ、です。アキちゃんとは、ずっと前からのお友達です。それでその……水城さん! あたしともお友達になってくらひゃいっ! ……ぅぅ〜」

 

 肝心なところで噛んだ。赤面可愛い。

 

「もうヒロってば、そんなに緊張しないの」

「だ、だって〜」

「ふふっ。じゃあこっちも改めまして。僕は水城 優輝、よろしくね。で、こっちが双子の姉の」

「ふふ、水城 瑞希だ。よろしく」

「……ふわあ」

 

 ……なんか呆けた顔をされてしまった。えーと……これはどういう感情の顔だろう?

 

「アキちゃんアキちゃん! 美少女双子姉妹の笑顔って、とっても絵になるねっ!」

 

 なんか恥ずかしい台詞言われた!

 

「ほう、なかなか良い眼を持っているな。面白い」

 

 姉さんは姉さんでよくわかんない事言い出した。まあ、たまにある事だけど。まあ、鯨井さんの事もお気に入りに登録したようで何より。

 

「確かにすごい魅力的だよね〜わかる、ってそうじゃなくて! OK出たんだからヒロも返事しないと!」

「ふえ?」

「うん、鯨井さんとも今日から友達。仲良くしてね」

「え……ほ、ほんとに、私なんかと友達になってくれるの? ダメ元だったんだけど……」

「アキとはもう友達になってるし、やっぱり鯨井さんとも友達がいいな」

「優輝がこう言っているんだ。お前も友人だ」

「……わあ……!」

 

 僕らの返事を聞いて、鯨井さんの表情がパァっと花咲く。

 

「うんっうんっお友達! 水城さんたちみたいな素敵な人と友達になれるなんて、本校に入れてよかったよ〜……」

「そうだねっ! 私もだよ〜!」

「良かったなー、鯨井さん、海老江さん!」

 

 歓喜の声を上げて抱き付き合う2人と相槌を打つ間崎君……うん、友情って美しい。

 

「ふむ……こういうのもたまには良いか」

「ふふっ……ありがとね、姉さん」

「何に関しての感謝か判らないが。まあ、優輝の笑顔のためならなんでもないさ」

「ふふふっ」

 

 

「ところで優輝、呼び方!」

「うん? あれ、また間違えてた?」

「あたしじゃなくてヒロの方! ヒロも呼び捨てにして欲しいなって」

「ああ……えーと」

 

 アキの気持ちは解るけど、こればかりは鯨井さんの気持ちの問題だ。友達になれたのにいきなり不快な思いはさせたくないし。

 

「そういえば、あたしがヒロを呼び捨てにしだしたの、ヒロの提案なんだよね」

「そうなんだ?」

「な、なんとなく、だけど。アキちゃんはその方が好きそうかなって。でも水城さん……優輝さんは、誰にでも敬意を持って話す感じだし、その……無理に言わせたくない、かも」

 

 ああ……さっき姉さんが呟いてたの、なんとなくわかった。鯨井さん、弱気オーラ出してるけど、人の本質を見抜く鋭い観察眼があるようだ。

 

 とはいえ今回は……

 

「アキは呼び捨てで鯨井さんだけそうじゃないって、なんだか仲間はずれにしてるみたいで僕はイヤかな。鯨井さんが不快に思わないんだったら、僕はヒロって呼びたいな」

「ぜんぜん不快なんかじゃないです! ただその……優輝さんみたいな素敵な人に呼び捨てにされると、その……顔赤くなっちゃいそうで……」

「な、なんかそういう風に言われると、こっちも赤面しちゃいそうだね……まあとにかく。ヒロ、僕の意見はさっき言った通りだから、そこは慣れてもらうしかないかな」

「は、はいっそれでお願いしみゃす! ……ぅぅ〜」

 

 んー。ヒロはどうも、テンパるとちょっと噛んじゃうらしい。噛み可愛い。

 

「ヒロ〜、あたしに赤面してないってことは、私は素敵じゃないって言いたいのかな〜?」

「そ、そうじゃないよ〜。アキちゃんはその、もう慣れたっていうか……」

「ふふっ、じゃあ僕らもすぐかな?」

「それはその……が、頑張ります……!」

 

 小さくガッツポーズするヒロ。いちいち可愛い……ガッツポーズした時豊かさがゆさっと揺れたのは気にしない。

 

「うーん。じゃあ俺も、間崎じゃなくて雅って呼んでくれ。名前を呼び慣れれば男にも少しは慣れるんじゃないか?」

「あ、う、それは……じ、じゃあ、雅君、で……」

「私は世紀の美少女大天才瑞」「じゃあ僕も、間崎君は雅って呼ぶね」

「……イケズ。好きだが」

 

 姉さんのいつもの言動はスルーする。

 

「あたしは……ん〜、なんか雅って名前の響き、男だか女だかわかんないよね」

「おう、たまに言われる」

「それ言ったら僕の優輝って名前もそうだけどね」

「優輝はどう見ても超可愛い女の子だから気にならない!」

「う、うん。私もそう思います」

「確かに、優輝は超可愛いよな」

「うむうむ、みんなよぉくわかっているじゃあないか。流石は友人だ」

「……そですか」

 

 うん、まあ……予想はしてたけど。なったばかりとはいえ、友達に面と向かって言われるとちょっと悲しい……はぁー……

 

「ん〜ん〜……よし、決めた。君のあだ名は今日からマミヤだ!」

「なんで突然あだ名?」

「ヒロが親しみやすくなると思ったからっ! あとなんとなくっ!」

「うむ、よろしくだマミヤ」

「え、それで決定なのか? なんか腑に落ちないぞ」

「あはは……まあ僕は、さっき言った通り雅って呼ぶけどね」

「あ、えっと、私は……どっちがいいのかな」

「……好きに呼んでくれ」

「んっと……じゃあ、さっき言った通り、雅君で」

 

 僕の方を見ながら決めたヒロ。真似っ子可愛い。

 

 

 

 

       ――――――――――

 

 

 

 

「僕らの友達としての始まりは、こんな感じだったかな。改めて振り返る機会もなかったけど……ふふっ、懐かしいなあ」

「そうだな……会いたいか?」

「ん、そうだね。今度久しぶりに里帰りしようか」




登場人物紹介

鯨井(くじらい) ヒロ

容姿:青黒髪セミロング左もみあげ三つ編み、気弱可愛い
瞳の色:ルビーのような赤
身長:152cm
性質:中立
好きな食べ物:食べられる物、茜葵の料理
嫌いな食べ物:毒きのこ
趣味:美味しい食材探し
精霊属性:地・闇

 弱気系女子。一人称はあたし、私。自分にあまり自信がなく、引っ込み思案気味。

 自信は低いが潜在能力はかなり高く、運動神経抜群の海老江 茜葵についていける程度に動ける。ただ本人は、激しい運動をすると胸がちょっと痛くなる(物理的に)ので、激しい運動に苦手意識がある。

 小学生の頃すでに平均より胸が大きく、クラスメイトの男子達に豊かな胸をイジる発言をされた事から、男子が苦手。 年々豊かさを増していくせいで、現在ではイジる発言をされると軽く恐怖を感じるまでになってしまった。

 相手の本質を見抜く目を持っており、ある程度話せればその個人相手には多少平気になるが、身体目当てで近付く男子には敏感で、男子全体を恐怖の対象として無意識に見る癖が出来てしまっており、ついおどおどとした態度で接してしまう。

 食に強い感心があり、食べることが大好き。多分、食べた栄養の多くは胸に行っている。

 美味しそうな食材を見つけて、アキに料理して貰うのが趣味。自分でも料理は作れるが、出来れば食べる係でいたいらしい。


間崎(まさき) (みやび)

容姿:黒髪ショート、顔は中の中
瞳の色:茶
身長:170cm
性質:中立
好きな食べ物:肉料理
嫌いな食べ物:茸全般
趣味:読書(守護者関連の本、漫画本)
精霊属性:風・光

 守護者・珠洲野守 咲に憧れる純真な性格。ただ、若干天然入ってる系男子。

 特別な血筋も、良き師との出会いもない、どこにでも居そうな平凡な出自。少しだけ平均より高めの潜在能力を、守護者への憧れ、英雄願望による弛まぬ鍛錬によって、努力で本校合格レベルまで鍛え上げた強い精神を持つ。ただし、それでも本校では下の中程度。

 珠洲野守 咲をはじめ守護者への憧れが人一倍強く、いつか咲の住む鷺宮村へ移住したいと思っている。そのため、鷺宮村在住の水城ズとはとにかく仲良くなりたいと思っている。純粋にそう思っており打算で動いていないので、優輝との友情は本物。


海老江(えびえ) 茜葵(あき)

容姿:赤髪ロング右サイドテール、元気可愛い
瞳の色:炎の様な赤
身長:157cm
性質:善
好きな食べ物:美味しいものならなんでも
嫌いな食べ物:特になし
趣味:運動、料理
精霊属性:火・光

 騒がしい系女子。一人称はあたし、私。

 思い付いた事は即行動に移す積極性を持つ。それゆえに、相手の地雷を踏みかけることも。それでもそれなりに空気は読めるの方なので、完全に踏み抜くことは滅多にない。騒がしくお馬鹿に見えるだけで、意外と理性的な部分もある抜け目のない性格。

 運動神経抜群で動きも口も騒がしいが、趣味のひとつは料理。美味しいものを求めているうちに自分でも料理するようになり、気付いたらハマっていた。幼馴染みで親友のヒロが、自分の料理を美味しそうに食べる姿を見るのが、何よりの至高の時間。

 昔から『双子』に強い感心があり、芸能人やアニメ、漫画などで双子が出ていると思わず熟視してしまう。リアルで近い年齢の双子に出会えたら、是非とも友達になりたいと思っていた。ゆえに、水城ズは理想の体現であり、一目惚れに近い感覚で友達になりに突撃した。
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