月影ちゃんに「……失敗ばかりで、恥ずかしいので……」て言われたから、誰にも話してないけど。月影ちゃんとの料理風景は、だいたいこんな感じだった。
「……。お米……かなり、欠けてしまいました……」
「気にしない、気にしない。その道のプロでもなければ、誰だって多少は欠けさせちゃうモノだと思うしね」
お米は、無洗米を使うという手もあったけど。やっぱり自分の手でお米研いだ方が料理してる感があると思うので、不採用にした。
サラダ用の野菜だけど。野菜を包丁で綺麗に切り分けるのは慣れてないと存外難しいので、包丁で切り分けたのはレタスくらいだ。なので、キュウリとトマトはスライサーで切ってもらった。
「トマトも、切れるんですね……」
「便利な物が存在してるんだから、使わないとね」
サラダのドレッシングは、僕が量って用意して置いた調味料を月影ちゃんに混ぜてもらったので、一応彼女の手作りかな。
「……。手作りとは……」
「市販のドレッシングでなければ、十分手作りだよ」
味噌汁の具は、豆腐とワカメ、味噌は出汁入りを買ってきた。
「……なるほど……こういう便利なものが……」
「こういうのも、使う分量を変えれば自分の味っぽく出来るし。だから手作り!」
豆腐を角切りにし、乾燥ワカメを水で戻して、水を沸騰させてからワカメを煮る。火を止めて出汁入り味噌を溶き入れて、最後に豆腐を入れて一煮立ちさせたら、完成。
牛ステーキ、特にサーロインのステーキは、どんな焼き加減でもだいたいは美味しくいただけるので、あんたり失敗しにくい。初めて料理させるなら、オススメの一品だと思う。
「……見様見真似で、焼いているだけ……ですが……美味しそう……」
「実際美味しいよ」
何よりステーキって、美味しそうな料理を作れてる感が強いんだよね。
デザートは、無糖のヨーグルトにベリージャムを掛けただけだけ。
「……これは、十分……ん、スイーツです……」
味見をしてそう呟く。甘いのがちょっと苦手な月影ちゃんでも、甘さ控えめな母さんのジャム程度ならイケるようだ。
「このジャムは甘さ控えめだから、甘いのが欲しい人用に、そうだなー……ハチミツを添えてあげよう」
とまあこのように、お互い感想を言い合いながら、料理をしていた……のだけど。月影ちゃんの料理をする姿を眺めている間、僕はずっと、内心ではこう思っていた。
(妹がいたら、こんな風に一緒に料理してたかな。月影ちゃんみたいな妹が欲しいな。月影ちゃん可愛い)