優輝の日記 〜国立栄陽学園での日常〜   作:繭浮

9 / 103
部員勧誘……勧誘って何だっけ?

「うん。こうやって思い返してみると、入学初日が1番なくらい、なんていうか……濃いね」

「色々な方に新たに出会う日ですからね。そう思うと……私にとってかけがえのない1日だったかもしれません。今もこうして、水城姉妹との縁が続いているのですから」

「ふふっそうだね」

「ところで、昼休憩が終わった所まで話したが。次は何のイベントだ?」

「えーと……部活見学だね」

 

 

 

 

       ――――――――――

 

 

 

 

「お待たせしました〜。皆さん揃っていますね〜? 次はぁ、自由行動の時間で〜す。校内ならどこに行っても構いませんがぁ、先輩方が部活案内していますので、部活棟を覗いてあげて下さい〜」

 

 昼休憩終了のチャイムの後、他のクラスの人達が出払ったのと入れ替わりでネイ先生が戻って来て、この後の説明を始めた。

 

「4時半にここ、食堂の同じ席に集合ですが……ふっふっふ〜。なんとっ、今日は特別にぃ、3時半から食堂でケーキとお茶が無料で振舞われちゃいます〜」

「わ〜いやった〜!!」

 

 アキが喜びの叫びを上げる……うん、アキだけだ。他のクラスの担任の先生が説明してるのが聴こえてたので、当然アキも知っているはず。ノリがいいなぁ。可愛い。

 

「自由参加ですがとってもおいっしぃ〜のでっ。甘いもの好きの方は、ぜひ来てくださ〜い。ではっ解散で〜す」

 

 

 

 

 さて。僕らも例に漏れず部活見学に行く予定だけど、その前に。

 

「雅はどうする? 僕ら4人は、みんな同じとこで決まっちゃってるんだけど」

「そうなのか。俺は剣術部に行こうと思ってたんだけど、みんなは?」

「料理部!」

 

 アキが元気良く答える。

 

「そういえば優輝さんとアキ、2人共料理が趣味って言ってたしな……ちなみに残り2人の理由は?」

「優輝の料理が好きだからだ」

「アキちゃんの料理が食べたいからです」

「2人は料理作れないのか?」

「優輝に作ってもらいたい」

「食べる係がいいです」

「……嬉しいような、悲しんだ方が良いような」

「嬉しいんなら良んじゃない?」

「うん、まあ、美味しいって言ってもらえるのが嬉しくて料理好きになったから、良いんだけどね。えへへ」

「へ〜、良い話じゃないか。優輝さんのそういうとこ好きだわ」

「ありがと雅」

「あれ……なんでだろ、なんか負けた気がする」

 

 唐突にアキに悔しそうな顔をされた。さっき自分も雅に「好き」って言われたのに狼狽えちゃったからかな? どうやらアキは、恋愛に関しては意外とウブらしい。

 

 ……まあ僕も、色恋に関しては漫画やラノベで得た知識程度だけど。

 

「それでどうする? 雅も来る?」

「う〜ん。料理部ってなんか女子ばっかりで、肩身狭くなりそうな気がするんだよなぁ」

「あ、それって偏見だよ〜? 料理男子って結構いるんだから!」

「レストランのシェフとか、男性の方が多いしね」

「が、学食の料理長さんも、だ、男性だよ?」

「あ〜、言われてみれば……そうだな、せっかくだし行ってみるわ」

「やった。あーでも、無理言って連れてくみたいで申し訳ない気がするし、先に剣術部行こうか。みんな、それでどうかな?」

「優輝がそうしたいなら何も問題ない」

「あたしも別にいいよん」

「わたしの武器、棍なんだけど……行っても良いのかな?」

「見学なんだし、気にしなくていいんじゃないか?」

「そ、そっかな? うん、そうかも」

「ん、決まりだね。じゃあ、まず剣術部に行ってから料理部で!」

 

 そういう流れに決まった。

 

 

「ところで瑞希さんや」

「なんだ?」

「優輝とマミヤ、なんかイイ感じじゃない?」

「そうか?」

 

 

「そういえば雅の好きな食べ物聞いてない気がする。なにかある?」

「肉だな」

「いや肉て。もっと具体的に言ってよ〜」

「そうだなー。肉料理全般だよ」

「ハンバーグとか、豚カツとか?」

「牛丼とか鳥唐揚げとかな」

「ふふっ野菜も食べなよー?」

 

 

「にゅふふ。イイ雰囲気だよね〜。これは近いうちにお付き合――」

 

 

 

 

       ――――――――――

 

 

 

 

「ち、ちょっとストップ」

「どうした?」

「あの時ヒソヒソ何話してたかと思えば、そんな内容だなんて思わなくて……いやまあ、そういう話しちゃダメって訳じゃないけど……」

「なら問題はないな」

「あるってば! 今更本人(ぼく)に言うことないじゃない! なんかすっごいムズムズする!」

「優輝が聞きたいと言ったんじゃあないか」

「う、そうだけど……もう、姉さんのイジワル!」

「ふへへっ」

「ちょっ蒼月さんまた勝手に! ビデオ撮らないで〜!」

「こんな可愛らしい優輝さんの表情、映像に残さない方が罪ですわ〜♪ あぁ〜新作のインスピレーションが湧いて湧いてふふへへ」

「……。いい加減怒るよ?」

 

 パリっと小さく体から放電して警告する。

 

「あら怖い。優輝さんが可愛いが過ぎるのがいけないんですよ?」

「うむ」

 

 笑顔でなんか自分勝手な言い訳しながら、さっとビデオカメラを何処かに隠す蒼月さん。データ消去して欲しい、けど悲しい顔されるしなぁ。

 

「後で見せてくれ」

「ええ、勿論です」

 

 ……やっぱり消してもらおうかな。

 

「……まあ、僕が恥ずさで辛くなるのは置いといて。学園生活中、特にアキのそういうお節介とかなかった気がするんだけど、あの後どうなったの?」

「ああ、それなら――」

 

 

 

 

       ――――――――――

 

 

 

 

「うーん……えっとね、アキちゃん。雅君はよくわからないけど、優輝さんは雅君に恋愛感情的なの抱いてない気がする、かな」

「ふみゅ、観察眼に優れたヒロが言うとなると……姉の意見は?」

「同年代の男子の友人が出来て、相当嬉しいのだろうな。村の男は年上か年下しかいなかったからな、それだけだろう」

「へ〜……なら変に気を使わない方がいいか」

「うん? アキ、何か用?」

「いんや、なんでもないよ? それよりちょっと出遅れてるし、部活棟に急ご〜!」

 

 

 

 

「うっわ、すっごい盛り上がってる〜!」

「……まるで祭りだな」

 

 部活棟1階は、さっきとは打って変わって人で溢れかえっていた。趣味への情熱って凄い。

 

「す、凄い逸材が塊でキタァ!? あっああなたたちっ誰か1人でいいからウチに来てぇ!!」

 

 入って早速熱烈勧誘を受けた。その人が持っていた看板には「演劇部」って書かれて……そんな事より目が血走っててちょっと怖い。

 

「すいません、もう入る部活決めてるんで」

「せめて見学だけでも体験だけでも本番ないか――アウチッもっとぉ! じゃなくて何すんのよ!」

 

 暴走している小柄な演劇部員さんが、近くにいた長身の女子に平手打ちされる。

 

「部長、それ違う意味に聞こえるんでやめて下さい、というか逆効果まっしぐらなんで落ちろ♪」

「があ……!」

 

 同部員らしき彼女にチョークスリーパーかけられてる彼は、どうやら部長らしい。ちなみに女性口調な上、容姿はどちらかと言うと中性的だ。女形かな?

 

「ドン引きさせちゃってごめんね。それで、演劇に興味は?」

「見るだけなら」「同じく!」「わ、わたしもです」「どうでもいい」「天然のお前には無理って言われたことあるっす」

「部長、彼女達はダメです」

「そのようね……はあ〜」

 

 ワザとらしくがっくり肩を落として離れて行く演劇部長。時折チラッとこっちを振り返ってたけど無視する。変に期待を持たせる方が失礼というものだしね。

 

 

 

 

「にしても、この人混みは……目的の部があっても、あ、漫研。探し出すのも一苦労だね」

「ヒロ、しっかり手を繋いでてね〜って痛い痛い強く握り過ぎぃ!」

「あっごめんアキちゃん!」

「へ〜、ヒロって意外と力あるんだな。そういうのなんだっけ。ギャップモエ?」

「ちょっと違うかな……剣術、剣術……ん、射撃部。姉さん、料理部の後覗く?」

「優輝が行きたいなら」

「オッケー、行かないんだね」

「そ、その一言だけで通じたんだ?」

「ふふっ、まあ双子だからね」

「……なんかいいね、そういうの。双子かぁ」

「そういえばアキ、双子と仲良くしたいとか――」

「優輝、剣術部あったぞ」

「え、どこ?」

 

 人混みに気を付けつつ雑談していたら、姉さんが見つけていた。

 

 

 

 

「結婚を前提にお付き合いして下さい!」

「ちょっ先輩!? いきなり何言ってるんですか!?」

 

 辿り着いた先で、塩谷さんが告白されていた……え、何で?

 

「えーと……塩谷さん、何かトラブル?」

「え? あ、ああ水城さ……優輝さん」

「おお、これまたすごい美少女達が! しかし待って欲しい、今はサチさんの返事待ちなんだ!」

「何で親しげな呼び方になってるんですか!?」

 

 んー。この展開、もしかしなくても。

 

「塩谷さん、一目惚れされた?」

「どうもそうらしいわ。あ、ちなみに彼……金堂(こんどう) 勇侍(いさじ)、だったかしら。剣術部の部長らしいわよ」

 

 よりにもよって部長だった。剣術部に見学に来た以上、会話は避けられない。塩谷さんも多分剣術部の見学に来たんじゃないかな。なんか刀使いそうだし。

 

「もう名前覚えてくれたんですね! お付き合いしましょう!」

「はあ〜……私はただ、剣術部の見学をしに来ただけなんだけど」

「やっぱりか……災難だったね」

「まったくだわ」

「おいマミヤ、この剣術部はハズレだ。他の剣術部を探すぞ」

「あ〜、そうなのか?」

「ハズレってナニ!? ていうか剣術部は1つしかないよ!?」

 

 あんまりな言い草に流石に反論する金堂部長。姉さんたら、もうちょっと言葉を……まあ気持ちはわかるけど。

 

「えー……とりあえず金堂先輩、ひとつだけ聞かせて下さい。なぜ「結婚を前提に」なんですか?」

 

 このまま目立ち続けるのを嫌ってか、塩谷さんが話を進める。

 

「いやなに、単純な理由ですサチさん。結婚を前提にしておけば万一デキちゃっても責任を取りやすいでしょう?」

 

 男らしいんだか男らしくないんだかよくわからないこと言い出した。まあ要するに、合意でえっちぃ事したいって言ってるだけだ。最低だった。

 

「なんっでこう、男子っていうのは〜……!」

 

 塩谷さんが目元を手で覆って苦言を吐く。うーん、生真面目過ぎるのも考えものかな。

 

「で、ですよね。男の人ってエッチで怖いです」

「ヒロ、そんなとこで仲間見つけた〜な反応するのはどうなのよ」

「あはは……で、でも、男子全員がエロ思考じゃないよ? ほら、雅とか」

「え、俺?」

「間崎君ね。うーん……私はちゃんと話してないから何とも言えないけど。真面目な優輝さんがそう言うのなら、男子の中ではマシなのかしらね」

「えっと。わ、わたしもそう思う、かも」

「へえ……」

 

 男子が苦手なヒロが同意したのを見て、塩谷さんは雅をじっと見つめ……続けるかと思ったら、途中で僕の方を見た。

 

「(じぃ〜)」

「な、なに? 塩谷さん」

「あ、ごめんなさい。優輝さんみたいに真面目で、自然と周りを気遣える人が男子だったら好きになるかも、と思ってね」

「え"」

 

 予想外の台詞に、思わず変な声が出てしまった。まさか塩谷さん、僕の……

 

「優輝、その声はあまり可愛くないぞ。可愛いが」

「いやどっちなのさ」

「というか優輝の今の反応何? あっもしかして、塩谷さんの台詞で昼の告白思い出してた?」

「……当たらずも遠からずかな」

 

 とりあえず、余計な事を考えて顔とか声とかに出ないよう気をつけよう、うん。

 

「告白? ……あ!」

 

 塩谷さんが、自分が僕の事を「恋人として理想的で好み」みたいな事を言ったと気付き、顔をカァ!と赤く染めた。可愛い。

 

「ちっ違うわよ優輝さん! あなたを恋人にしたいとか好きになったとかじゃなくてあくまで例え話で――」

「こ、恋人にしたい? 女の子が女の子を!?」

 

 ……金堂部長が、面倒臭いとこに食いついた。

 

「いけません! いけませんよぉサチさん! 俺も混ぜ、じゃなくて、入学初日に不純同性交友宣言だなんて、そんなけしからん爛れた性――」

「爛れてるのはお前の脳内だこのエロザルがぁ!!」

 

 ガゴッ!

 

「おぶっ!!」

 

 金堂部長が、駆けつけた黒髪ボブカットの眼鏡女子に踵落としを食らって地面とキスしていた。殺す気のマジキックだった。

 

「あなた達大丈夫? 変な病気とか感染(うつ)されてない?」

「えっこの人そういう――」

「シンさん人聞きの悪い事言わないで!? 俺キレイだからっ童貞だから!」

 

 ガバッと顔を上げて、唐突にチェリーをカミングアウトして来た。この人羞恥心無いんだろうか。

 

「まあ飛沫感染するような病気持ちがこんな所にいれんだろう。頭は病んでいるようだが」

「キミ初対面なのにさっきから失礼じゃない!? 顔は超美少女だけど!」

「存在自体が病原体みたいな万年発情期のエロザルにはまだ控えめな表現では?」

「シンさん今日もキッツイなぁ……」

 

 今日も、なんだ。普段からこういうやり取りしてるらしい。というか、

 

「なんだ、ケンカか?」「あ、クラスDの可愛い娘達」「強引な勧誘にでもあったのかな?」「さっき結婚がどうとか言ってたような」「何部だ?」

 

いい加減目立ち過ぎだ。

 

「……場所移しませんか?」

 

 短くそう提案する。出来ればヒロがまた気を失う前に移動したい……というか、すでに羞恥で赤面しつつプルプルしている。

 

「そうね……金堂先輩、案内お願いします」

「わかりましたサチさん! 保健室で良いで――」

「部室か訓練棟に決まってんだろ童貞バカザルぅ!!」

「ごっ!!」

 

 まだ四つん這いでいた金堂部長の頭に回し蹴りを食らわすシンさんとやら。首が危ない角度まで曲がっている……

 

「先輩、大丈夫なんですか?」

「大丈夫こいつ無駄に高レベルな治癒術使えるから。生命力もゴキ並みだし。生命力の半分は精力に割いてるような低脳チェリーモンキーだけど」

「というか塩谷、言い寄られて迷惑被っているお前が心配することはないだろう」

「さすがに瀕死の人を無下にするのは――」

 

 と言っている間に金堂部長が起き上がり無理矢理ゴキィっと自らの手で首を元に戻した……一応手に治癒術の淡い光があるけど、軽く人間離れしてるような。

 

「俺は死にませぇん! あなたと合体したいから!!」

「    」

 

 心配そうだった塩谷さんの顔から感情が一気に抜け落ちた……まあ、仕方ないね。

 

「私は四方(しかた) シン、剣術部の副部長。実力順だからあんな人類なのか怪しいサルが部長してる」

「なるほど」

「じゃあ案内する。見学者は私に着いて来て」

 

 部長への対応とは打って変わって事務的に話を進める四方さん。僕らは無言で後をついて行った。

 

「え、ちょ、まっ。サチさん、イキナリ放置プレイは難易度高いかなーと……置き去りにしないで!」

 

 

「ところで四方さん、何故エロい人が勧誘者に?」

「この学園の部員勧誘は伝統として、不慮の事故等で無理な場合を除き、部長と副部長は必ず参加することになってる。私は丁度お手洗いで離れていた」

「ああ、そうなんですか」

 

 最初の演劇部勧誘を思い出す。あの部長さん、演劇への情熱はともかく勧誘には向いてなさそうだと思ったけど、そういう理由か。

 

 

 

 

 訓練棟に行き、部長と副部長、それと何人かの代表部員の演舞や、実戦形式の稽古を見せてもらった。

 

「どうですサチさん、うちの剣術部の練度は!」

「え、ええ。さすがは栄陽学園本校ですね。かなり高い水準だと思いました」

「僕の武器は大剣だからちょっと違うけど、金堂さんの大太刀による力強くて豪快な太刀筋は、なかなか参考になりました」

 

 うん、本当に、予想外というか予想以上だったというか。特に金堂部長は、実力者=部長なだけあって、かなりの強者だと肌で感じた。エロ直結思考な彼と同じ人とは思えないくらいだった。

 剣術部は純粋な剣術の腕を磨く場らしく、強化術含む精霊術の使用は一切禁止らしい。それでもあの動きから言って、金堂部長は学園でも上位の実力者なんじゃないかな。

 

「惚れ直しましたでしょう!? どうですサチさん、次の光曜日に合体デートでぼっ!」

「余計な台詞を挟むなセクハラモンキー」

「はぁ……金堂先輩が性欲の権化でなければ、即決なんですけど」

「あなたの武器は?」

「四方先輩と同じ、太刀です」

 

 あ、やっぱり塩谷さん刀使いなんだ。イメージ通りだ。

 

「入部するなら私が責任を持って面倒を見る。それとこの部長(仮)は今3年だから、1年凌げばOK」

「えーとそれなら……はい、検討します」

 

 塩谷さん、まだちょっと迷ってるけど、四方さんなら部長さんが暴走しても止めてくれそうだし、入部するかな?

 

「俺は入るぜ! 金堂さんのさっきの演舞、痺れたっす!」

「おぉそうか! 間崎君だったか。真っ直ぐな良い目だ、気に入った!」

 

 雅は即決かぁ。何となく寂しいけど、仕方ない。

 

「あ〜でも、友達と他の部も見学する約束してるんで、入部届けは地曜日に持って来ます」

「そうか。待ってるぞ、未来の守護者!」

 

 

「お邪魔しました。良いものを見せていただきました」

「悪くはなかった」

「戦闘スタイルが違うから参考にはならなかったけど、勉強になりました!」

「わ、わたしもその。あ、ありがとうございました」

「すいません、入部届けは地曜日持ってくるんで」

「間崎君、それさっき言ってたわよ。では、私もこれで」

「サチさんも行ってしまうんですか!? 求婚の返事とかは――」

「お気持ちはありがたいですが、お断りします」

「ノオオォ……!!」

「やかましい。剣術部にとって現在過去未来唯一の汚点が」

「そこまで言う!?」

 

 まあ……金堂先輩、遠目に見てるだけなら楽しい人かな。

 

 

「塩谷さん待って、ひとつ忠告がある」

「え、なんですか四方先輩」

 

 訓練棟を出てすぐに、塩谷さんが四方さんに呼び止められた。

 

「交際をハッキリ断ったのは評価するけど、アレはかなり厄介だから」

「……どういう意味ですか?」

「あなたに恋人が出来るまで何度も迫ってくると思って。私がアレを視界に捉えている間は抑えられるけど、四六時中はさすがに無理だから」

「それって……」

「私がそうだったから……」

 

 四方さんが遠い目をする。彼女に恋人が出来るまで、金堂部長は彼女に告白をし続けたらしい。

 

 一途と言えば聞こえは良いけど……あの告白じゃあ、迷惑な事この上なかっただろう。だから金堂部長さんにやたらと暴力的なのかな。




登場人物紹介

金堂(こんどう) 勇侍(いさじ)

容姿:赤茶ショートツンツン髪・黙っていれば男前
瞳の色:灰色
身長:181cm
性質:中立
好きな食べ物:牛カルビ
嫌いな食べ物:ししゃも
趣味:剣術鍛錬 求婚
精霊属性:火・闇

 栄陽学園本校剣術部部長。3年クラスD。

 剣術にかける情熱は本物だが、同じくらい童貞卒業に情熱をかける、羞恥心を何処かに置き忘れた残念系男子。剣術に打ち込んでいる瞬間だけは男前。

 童貞卒業を公言してはいるが、誰でも良い訳ではなく、真面目系美人と恋人同士になってから双方合意の上で致したいらしい。

 一度惚れた女性には、相手に恋人が出来るまで諦めず何度もアタックする一途さを持つ……が、そのアプローチの仕方が大問題なので、未だ恋人は一度も出来た事がない。


四方(しかた) シン

容姿:黒髪ぱっつんボブカット・丸メガネ・真面目系美人
身長:166cm
性質:善
好きな食べ物:アナゴ丼
嫌いな食べ物:特になし
趣味:自己鍛錬 読書(純文学専門)
精霊属性:風・闇

 栄陽学園本校剣術部副部長。2年クラスS。

 生真面目な性格で普段は事務的な口調だが、金堂部長にのみ人が変わったように暴力的&暴言を吐くようになる。

 前回の金堂部長によるストーキング告白の被害者。剣術に打ち込む金堂部長の姿に惚れて入部したのだが、彼が予想以上のオサル=サンだったので、すぐに冷めた。

 現在、3年男子の恋人がいる。恋人の前ではクーデレ状態になるとの事。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。