タキオンに騙されて古代ローマにタイムスリップしたら、ローマ皇帝シンボリルドルフの担当になっていた件について 作:砂糖と蜂蜜の牛乳割り
ウマ娘は何度も何度も、ある一定の周期をもって、
輪廻転生を繰り返してる設定ですね。
古代ローマに同一人物がいてもおかしくないはず。
そもそもウマ娘って、お馬さんの異世界転生ものですし。
——ポチャン、ポチャン。
水の滴る音に、僕は目を覚ました。
「う……ここは……?」
硬い地面に、ズキズキと痛む頭。
寝起きは最悪だった。
確か、僕はタキオンに騙されて古代ローマに飛ばされて……気絶したんだったか。
「ここは古代ローマのどこなんだろう……」
まずは状況を把握すべく、ガチガチに固くなった体をなんとか起こして、辺りを見回す。
しかし、ロクな明かりもないようで、薄暗くて周囲がどうなっているか分からない。
「それに、なんか妙に寒いなぁ……」
肌寒さに、身を抱えて腕をさすろうとしたところで……。
——ジャラジャラリ。
鉄が擦れたような、甲高い音が響いた。
そういえば、さっきからやけに手首辺りが重いような……。
嫌な予感に汗をかきながら、ゆっくり自分の手を見てみる。
するとそこには……。
——『手錠』に繋がれた僕の手があった。
手錠をかけられた僕の手がっ!!!
「いやいや、落ち着け、僕。まだ慌てるような時間じゃない」
そうだ、まだこれがオモチャだって可能性もある。
100均で売られているような手錠なら、やろうと思えばすぐに解けるはずさ。
「……って、よし、目が暗さに慣れてきたぞ」
今まで暗くて見えなかった部屋が、ようやく見えてくる。
こういう時の人間の適応能力は意外にも高いものだとしみじみ感じるね。
よく目を凝らして見れば、そこにあったのは、
三方を囲う無機質な『石壁』、そして正面に並べられた『鉄格子』。
部屋の外でユラユラと火を灯し続ける『松明』。
そんでもって、よく耳をすませば、外からは微かに声も聞こえるわけで。
「おい、聞いたか。隣の牢屋に入ってる奴、明日死刑になるんだってよ」
「ぷはっ、マジかよ。何やらかしたんだ?」
「皇帝様を暗殺しようとしたんだってよ」
「ギャハハッ!! そいつぁ、命知らずなこったなぁ!」
その声はちょうど僕の両隣から聞こえてくるわけで……。
「ふんぬぅ〜〜〜っ!!!」
僕は必死で手錠を外そうと、ガチャガチャと思いっきり手に力を込める。
逃げなきゃ、逃げなきゃ……!!!
訳も分からないうちに死刑にされてしまう!
なんだよ、皇帝の暗殺って! 僕はそんなことやってないって! とんでもない冤罪だ!
が、手錠は中々外れない。
横に引っ張る……解けない、ダメ。
縦に捻ってみる……ダメ。
なら、これでどうだ!
「おりゃあ〜〜〜っ!!!」
手錠と手錠を繋ぐ鎖を足で押さえつけ、腕を思いっきり上へと引っ張る。
これなら全身の力を使えるから、いくらなんでも解けるはず!
……と、思っていた時期が僕にもありました。
「ゼェハァ……ゼェハァ……これ本物の手錠だぁ」
何回チャレンジしても、手錠が解けることはなかった。
無駄に体力を使ってメチャクチャ疲れたし、手首痛いし……そもそも、手錠を外したところで鉄格子もあるんだから無理じゃん。
「僕、このまま死んじゃうのかな……」
絶望。
頭の中にあったのは、その二文字。
きっと、冤罪だっていくら言っても信じてもらえない。
とくに未来から来たなんて世迷言って切り捨てられそうだし。
色々と人生でやり残したことが浮かぶけど、何よりも思うのは……
「はぁ、ルドルフに会いたい……」
「コウテーがどうかした?」
こ、このお子様ボイスは、まさか!
「テイオー……!」
下を向いていた顔を振り上げ、鉄格子の先に居る存在を見れば、そこに居たのは紛れもない。
ルドルフと似た雰囲気を持つ、鹿毛のウマ娘。
——『トウカイテイオー』の姿だった!!!