薩摩の子 作:キチガイの人
感想お待ちしております。
ちなみに次章では新オリキャラが出ます。
例に漏れずヤベー奴です。
追記・明日休みます。最近休み多いな。
カミキに指摘されて改めて感じたこと。
俺は星野アイという少女の過去を、想像以上に知らないということだ。
それは前世も今世も含めて、だ。
前世に関して知っていることと言えば、彼女が施設育ちであること、窃盗で捕まった母親が刑期を終えても迎えに来なかったこと、中学時代にアイドルにスカウトされたこと、16歳でアクルビを出産したこと、東京ドームでの公演前に刺殺されたこと。あ、あとアイドル時代のライブ全般(情報提供・島津家当主)。
今世に至っては、幼少期から俺が彼女と出会った時期まで、何一つ知らないと言っても過言ではない。
「パパは気にならないの?」
「気にならない……と言えば、嘘になるな。知れるもんなら、知りたいわ」
時間は午前9時ごろ。
日差しがいつもよりちょっと強いかな?程度の時間帯に、大所帯の男女学生は砂浜で遊んでいた。貸し切りの状態なので、基本的には何をしてもバレないと思うが、できれば何も起こってほしくないなと監督者視点で、俺は海岸線より少し離れた位置のビーチパラソル下で休んでいた。
暗めな色のサーフパンツ型の水着を履いてはいるが、俺は泳ぐ気が一切ないのでパーカー型のラッシュガードを羽織っている。
お隣に座るのは双子の妹の方。
可愛らしい水着を着ていたような気がしないでもないが、何着てたのか覚えてない。その露出は俺と同じようにパーカーで隠されている。考えなくても分かる。兄貴からの指示なんだろう。
重度のシスコンは
ルビーと雑談しながら、俺は撫子を振り回しているアイを眺めている。
パレオ付きの水着に身を包み、その姿はさながら美の女神を彷彿とさせた。素晴らしいね。手の震えが何故か止まらねぇや。
「ただアイの性格上、あんまり本心を見せたくなタイプの人間だ。嘘で誤魔化すか、黙っているだろうよ。まぁ、都合の悪いことを他人に言う人間の方が珍しいんだが」
「私だったら……話してほしいなぁ」
「なら聞けばいいんじゃない? 俺は聞かんけど」
おや、あそこで砂蒸温泉よろしく、顔以外を砂の山に埋められている人生崖っぷち組がいらっしゃいますなぁ。しかも、双方がそれぞれ絶世の美女を侍らしているときたもんだ(歪曲表現)。
非常に羨ましい限りだ。俺は合掌しておく。
「家族なのに、どうして嘘をつかなきゃいけないの? 嘘は、嫌だよ……」
「そう? ルビーは家族に嘘ついたことないの? 前世今世ひっくるめて」
「そ、それは……」
……ところで、鷲見さん&MEMちょさんと、種子島家の傾奇者は仲が良さそうに見える。鷲見さんが二人を写真に収めながらニヤニヤしているのが気になる。
あの三人、あんなに仲良かったけ?
なにかきっかけでもあったのだろうか。
「噓が嫌いって気持ちは分からんでもない。かく言う俺も、小さい頃から直感的に『あぁ、こいつ噓ついてんなぁ』って感覚的に分かるし。今のところ的中率100%だから、何かしらの要因を無意識に見抜いているのかもしれんね」
「嘘が分かるんだ……私はパパが羨ましいよ」
「って思うじゃん? 見抜かなくてもいい噓まで知っちゃうこともあるし、良いことばかりじゃないんよ」
MEMちょさんの実年齢詐欺疑惑とか。
「嘘をつく理由の大半は利己的なものだ。基本的に悪い意味で用いられる。自身の面目を保つため、責任から逃れるため、自身の悪行を隠蔽するため……まぁ、良い印象はないわな。だが、実際問題として噓全般が全てが悪いことなのか?と言えば、そうとは言い切れない」
「他人を騙すことが良いことなの?」
「良い悪いが簡単に割り切れるものであれば苦労しないんだけどね。嘘をつく理由は他にもある。他者を必要以上に傷付けないため、無用の衝突を防ぐため……世辞なんか、その嘘の典型的なもんじゃん。噓も立派なコミュニケーションだ」
かつてアイは『嘘も愛』だと言った。
人間関係ってのは『嘘を全くつかない』という制約がある場合、逆にギクシャクとしたものになりやすい。そう考えると、彼女の発言も的を射たものなのかもしれない。
嘘吐きの彼女だって、根本的な要因は自衛のためだ。誰が彼女を責められようか。
前にアイから「嘘ついたとき、あからさまに目を細める君が怖かった」と言われたとき、本当に申し訳なさでいっぱいだった。
もうこれ癖みたいなもんなんよ。マジですまん。
「……そう考えると、俺とアイの相性って最悪やな」
「毎日毎日飽きもせず私たちの前でもイチャイチャイチャイチャラブラブしてる二人が相性最悪……?」
「それとこれとは別問題。ほら、想像してみ? アクアに後ろからギューッと抱きしめられる自分の姿を」
「それ以上言わないで。鼻血が止まらなくなる」
「ごめんて」
このままだとルビーの周囲が
嘘論争に特に思い入れはないので、この話を早々に切り上げることにした。
おっと、とうとう抵抗を諦めた埋葬寸前組含め、海辺で遊んでいる全員でフラッグ争奪戦をするらしい。最初は女子組からか。
浜辺は足場が不安定だから、足腰鍛えるのに最適なんだよね。ビーチ・フラッグスは。俺としては、その環境下でよくもまあ元気に活動でき
「ルビー、そこの兄貴起こして、この双眼鏡渡して」
「うん? 分かった。お兄ちゃん先生、パパが呼んでるから起きてー」
「……すまん、もう少し寝かしてくれ。これ絶対筋肉痛に」
「今からビーチ・フラッグス始まるで。撫子と寿さんも参加しとる」
筋肉痛言ってたアクアが腹筋を活用し、即座に起き上って双眼鏡を覗き込む。
その瞬間、砂場での徒競走が始まるのだった。
堅牢で雄大な桜島を彷彿とさせ。
しかし剛を保ちながら柔も兼ね備え。
躍動は所持者の一生懸命を表し。
圧巻としか言えない感想がその在り方を示す。
それはまさに──究極で、完璧だった。
フラッグは薩摩
運動神経は女子勢の中で一番高いかもしれない。無邪気にジャンプしてらぁ。
「……解説のアクアさん。どう思います?」
「現在進行形のジャンプ含め、素晴らしいとしか言えない」
「良かもん見させていただきましたわ」
「久しく忘れていたな……これが夏の醍醐味か」
俺とアクアは夢と希望と他諸々を与えて下さった女神2柱を崇め奉る。そうなんよな、水着デートから逃げようとした身ではあるが、これがあるメリットも惜しいと思ってたんだよな。
男勢で涼しい顔をしているのは、咸だけである。
「うっわ、最低……」
妹/義娘に何を言われても気にしない。
それが漢というものである。
余韻に浸っていると、さっきとは別ベクトルに素晴らしい美少女が立っていた。元人気アイドルな俺の彼女である。笑顔ではあるが、なんか怒っているような気がしないでもない。
どうしたんだろう。心当たりしかない。
「オーカも遊ぼうよ」
「すまんがパス。仮にも引率者扱いだから、ここでライフセーバー的なものに徹しておくわ」
「ふーん……」
あとパーカーの内側が大変なことになってるからな。
主に縫い後と銃創とかで。
そこまで説明すると、アイの瞳が怪しく輝いた。
オラ、手が震えてきたぞ。
「ルビー、アクアと一緒に、オーカの代わりにみんなが危なくならないよう見ててくれる?」
「分かったー」
「これで解決だねっ。じゃあ──あそこの岩場に行こっか?」
足も震えてきたゾ。
「イヤッ、イヤ、イヤッ」
「もー、わがまま言わないのっ」
「わァ……ァ……」
「泣いてもダメだからね。……私ぐらいの大きさが君にとって最高ってこと、身体に教えてあげる」
ちいかわ化して難を逃れようとしたが無駄だった。
俺が解放されたのは日が頂点に位置した時間。島津少年はミイラと化すのだった。
【アクアの心ん中】
・原作
イマジナリー吾郎「僕は苦しむべきなんだ。アイを見殺しにした僕が、のうのうと生きてて良い筈がない」
イマジナリー幼少期アクア「良かったね、また復讐始められるよ」
アクア「違う……だって俺は……やっと普通の幸せを……!」
・こっち
イマジナリー吾郎「……え、
イマジナリー幼少期アクア「あれに復讐とか、手を下す僕らの品位が疑われそう……」
アクア「でもアイが望んでいるし……」
イマジナリー吾郎「えぇ……」