薩摩の子 作:キチガイの人
あと数回で次章に入ります。
感想お待ちしております。
脇腹折れてなかったです。
たぶん筋をやったのかも。鎮痛剤最高。
このゲームを外側から見ていたルビーは、後にこう語る。「想像の十倍以上地獄だった」と。
日中が一番暑いのを理解していた薩摩勢の提案により、午前中のみ浜辺で遊んだ俺たち。軽い昼食を取り旅館の畳な大広間に小グループを作って、各々が遊んだり雑談したりを楽しんでいたところ、そのゲームの開催を宣言したのは未来だった。
「人狼やる人いるー?」
人狼ゲーム。
村人陣営と人狼陣営に分かれ、それぞれの陣営勝利を目指して論争する
役職もあり、一般ピーポーな『村人』、毎晩1名の人狼の有無を確認できる『占い師』、前日に
特殊能力持ちや人狼が動く夜、動いた結果と論争のお時間の昼、投票で誰を
なんつう爆弾投下してんだと正気を疑った。
ある意味カービィのエアライド以上の友情破壊ゲームを、この温泉旅行にブッ込んで来た未来の神経も疑った。
鷲見さんは何かを感じ取ったのか参加を辞退し、MEMちょさんと寿さん、ルビーの参戦は一旦俺が止めた。
「とりあえず薩摩在住組で人狼回してみるから、それで参加したいって人は2回目から参加しよ?」
これから始まる惨状を見て、本当に参加したいと思うかは分らんが。
未来が取り出した役職カードを奪いながら、長机を2つ持ってきて会場を作る咸と兼定を見ながらため息をつく。
人狼ゲーム自体、そこそこの人数を有していないと回せないRPGのため、俺たちも経験豊富とは言い難いが、このゲームをするときには俺が
なぜかって?
嘘を見破るとかいう特殊役職持ちより厄介な俺は、何をどうあがいても真っ先に吊られるんだよ。俺がこのゲームを楽しいと感じたことなど、人生で一度として存在しない。まともに参加しても面白いと感じるかは不明だが。
役職カードを配り、特殊役職持ちの行動を終え──地獄の宴が始まる。
「──朝を迎えました。今回の犠牲者は俺(予定調和)ってことで、夕方に処刑する人間を選ぶための討論を行ってください。時間は……5分でいっか。はい、スタート」
俺はそれだけ告げて、参加してない芸能人組と合流する。俺があの卓にいると、嘘を言っていることがバレてしまうからだ。もう、反射的に瞼が重くなってしまうのだ。
少し離れてこの地獄を眺めようじゃないか。
「私から発言させてもらうわ。今回の霊媒師ロールなのだけれど、桜華はもちろん人狼ではなかったわ。占い師の意見が聞きたいのだけれど、今回は誰がそうなのかしら?」(霊媒師)
「占っては見たけど兼定はシロだったね。というかクソ姉貴が霊媒師か。正直言って吊りたい」(占い師)
「アイちゃんはシロだったよ。……これ占い師二人だね。どうする?」(狂人)
「うっわ、マジかァ。未来と黒川、どっちかクロかよクソが」(村人)
そして、2ターン以降から話題が加速する。
「一目で吊らなかった以上、ここで一人は殺っておきたいですな。私としては未来とアクアの動きが怪しく思えました。未来は言わずもがな、アクアのあかね怪しい発言がどうも不自然でしてね。その論を掲げるのであれば、自動的にアイさんも怪しいことになります。どうしてあかね単体を怪しいと名指ししたのでしょうか?」(人狼)
「テメェも疑われていることを理解しろよ? 1ターン目のムーヴで撫子のクソを吊ろうとしたの忘れてねェからな? どうして他に名乗りを上げてねェ霊媒師吊ろうとした? 霊媒師いると不都合なことでもあンのか? オレとしてはテメェを先に吊りてェんだが」(村人)
「先に未来と黒川をローテで吊っておかないか? 占い師を失うのは惜しいが、どちらにせよ片方が人狼か狂人なのは間違いないと思う。あと……俺も五代の1ターン目の行動が気になる。五代の性格上、情報が出揃ってない初手霊媒師吊りはやらないと思うし、人狼側ムーヴじゃないかって思うんだが」(狩人)
「私もアクアの意見に賛成かなっ。みっちゃんの動き、あと……タネサダ君の発言も──の部分が矛盾してないかな? あと私は村人だよ?」(村人)
「それを言ったら未来君の──の発言もおかしくないかな? 私は占った結果で判断しただけだし、流れ的には未来君と……咸君も怪しくなるのかなぁ? でも、撫子ちゃんの──って発言も引っかかるんだよね。占い師二人いるし、まずは私と未来君を吊って、安全確保した方が良いと思う。あ、私は未来君に投票するね」(狂人)
「先ほど犠牲者が出なかったことを鑑みて、狩人が誰を庇ったのか気になるわね。人狼に狙われるから、今のタイミングで名乗るとは思えないけど。私なら愚弟、あかねさん、咸の順に吊るわね」(霊媒師)
こいつ等と人狼するとなると、必定以上に脳を使うんだよなぁ。
わざとらしいガバムーヴで黒川さんを失望させようとする
そして、今回のターンはパッとしないが、
参加してない面子にこっそり役職を明かすと、全員が苦虫を嚙み潰したような表情をする。
「ハウスルールとしてメタ推理全然OKだから、配役によっては今回以上の地獄になるぜ」
「……これ、あの二人が
「って思うじゃん? どっちかっつーと、あの二人は村人側で真価を発揮するから、今回のゲームはまだマシなんだよね。鷲見さんも参加する?」
「遠慮しとく」
鷲見さんは傍観者に徹すると回答をいただいた。
いや、冗談抜きで本当にマシな配役だぞ? 今のメンバーからアクア抜いた面子で前にやったときに、アイと撫子が人狼側で兼定と未来が頭抱えたからな。あの時は本気モードの咸と、ガチ考察勢の黒川さんが追い詰めようとして、アイの年季の入った嘘の仮面と、撫子の謀略が炸裂した戦争だった。
MEMちょさんとルビーは次どうする?って聞いたところ、無言で頭をブンブンと横に振られた。常識人枠のYouTuberは胃に穴が開きそうだし、嘘嫌いのルビーは向いてないだろう。
「寿さんも不参加?」
「ううん、次はうちも参加したい」
「そっかそっか、やっぱり不参──えっ?」
ゆるふわ系のグラドルに、この戦場は厳しいと思うんだが。
と言う意味を込めての「え?」だったが、俺の意外そうな顔に笑顔で返す寿さん。
「あんな風に、難しくてもええよ。うちは兼ちゃんと話ができる機会があれば、それだけで楽しいんよ」
「……そうなんっすね」
わずかな会話のチャンスも見逃さない姿勢に、俺は心の中でエールを送ることしかできなかった。でも、貴重な会話が人狼ゲームなのは俺も納得いかないので、とりあえず撫子と結託して兼定を罠にハメようと思いました。
そんで今回の試合。
あの劣勢から人狼側勝利で終わりました。黒川さんスゲー。
あと歴戦の嘘吐き共相手に寿さんは善戦してたのが印象的だった。自身のキャラを把握して、それを巧みに動くのは、やっぱり殺伐とした芸能界の人間なんだなぁって思った。
【人狼ゲーム評価】
桜華 →クソ雑魚ナメクジ。
咸 →村人・人狼関係なく、うまく立ち回る。撫子疑うムーヴでガバを見せてみたが、意味はなかった様子。撫子自身が疑われやすいからしゃーない。
兼定 →それなりに考察や嘘も吐けるが、この面子だと分が悪すぎる。
未来 →どの陣営でもキャラがブレず、直接聞かれない限りは嘘をつかないので、人狼側だと強い。
撫子 →人狼側最強筆頭。とにかく会話の中でも相手を嵌めるムーヴを取る。そのせいで村人陣営でも疑われることが多い。
アイ →人狼側最強筆頭。桜華以外、マジで判別つかない。そのせいで村人陣営でも疑われることが多い。
あかね →考察の化け物。無難で堅実な立ち回りもできるし、今回のような噓吐きムーヴも演じられる。マジで判別つかない。
アクア →根が善人なので村人陣営向き……に見せて、人狼側でもちゃんと立ち回れる。狩人ロールでは隙あらばアイを守ってた。