薩摩の子 作:キチガイの人
新キャラ2名の情報開示です。
感想お待ちしております。
学校の帰り道。
鹿児島本線、鹿児島中央駅方面行の2両編成の電車に乗り込んだ俺たちは、車両の隅に固まって雑談を楽しんでいた。電車の隅は女性陣が確保し、野郎どもがそれを囲む形だな。痴漢対策である。
対策の理由は、女性陣の安全と痴漢する側の生命の保全にある。ほら、俺たちって優しいから。
「で、
「「「「………」」」」
俺の言葉にサッと視線を逸らすアイ、黒川さん、アクア、ルビーの4名。未来は俺の言葉に「えっ!? あの人のところに行かせちゃったの!?」と目を丸くして、兼定と咸は呆れたように首を振った。
予想の域を出ない反応だったと言っておこう。
「……いや、『ホモ』と『ノンケ』が両立する理由が分からなかったけど、確かにアレはそうだったな。しかも、本当に小盛だった。まさか筋肉質のオカマだとは思わなかった」
「その情報言ってなかったな。あの人、オネェ気質の人だから」
「遅ぇよ」
アクアに半眼で睨まれるが、俺は軽く受け流す。
属性の
「オーカの説明でヤバい人なのかなぁって思ってたけど、外見は確かに凄かったけど、普通にいい人だったねっ。握手求められたのにはびっくりした……」
「劇団所属してた時の私を知っててくれたのには驚いたなぁ。サークル加入にも二つ返事でOKしてくれたし、あと新納先輩も演劇が凄く上手だった。他の人の舞台演劇もレベルが高かったし、桜華君が低評価するほどでもなかったよ?」
黒川さんの発言が『元劇団所属から見て高い』なのか『学生の部活動でやる範囲でなら高い』なのかで、だいぶ意味が変わってくるんだが。恐らく後者だろう。言っちゃ悪いが、実績がなくサークル止まりの自称進学校(笑)の技量が、演劇で飯食っている本職レベルだとは思っちゃいない。
彼女は新納先輩にも先の誉め言葉を口にしたようだが、あの人なら言葉の真意を理解しているだろう。現実が見れないタイプの人じゃないし。
「私、あの先輩好きだよ? お兄ちゃん先生との恋も応援してくれたし」
「………」
ルビーのインモラル発言に、アクアは明後日の方向を見る。
仲のいい兄妹にも見えなくはないが、俺としては未来と撫子の関係がチラつくので、アクアとルビーの関係は兄妹の域を超えているようにも見える。犬猿の仲の姉弟を見てればそうなるか。
アクアに若干の脅しとも言える言葉を以て見送ってみたが、心配は杞憂になることは予想出来ていた。そりゃそうだ、かなり端折った説明をしたが、新納先輩は正確には『愛情を育む人間を見守る』のが大好きなのである。それに異性愛や同性愛、兄弟愛、家族愛関係なく、創作なら多岐の愛情表現が好物。まぁ、当の本人が両刀だから、アクアも守備範囲内なので、俺の発言は嘘じゃない。とびっきりの愛なんだよ。
初見組を安心させるように表現するのなら、ラブラブイチャイチャを後方腕組で観察するオネェが新納先輩なのである。とにかく『愛』が大の大好きで、俺がアイに告白したときの話を聞いて
『……先輩は気持ち悪いって思わないの?』
『兄妹で愛することが? まっさかぁ! 日本の法律だって言ってるじゃない。結婚することは禁じているけど、愛し合っちゃダメなんて一言も書いてないわ。逆に聞くけれど、ルビーちゃんは私が止めたら、諦められるのかしら?』
『諦めないよ?』(即答)
『そうでしょう、そうでしょう。人はね、自身の理解できない感情を“気持ち悪い”って表現する時があるの。兄妹の恋愛感情を生理的に無理って人もいるのも事実。それは仕方ないの。私だってイナゴの佃煮は生理的に無理だから、それと同じようなものなのよ』
『………』
『でも、これだけは言える。私はイナゴの佃煮を食べる人を否定しないし、ましてや兄弟間で肉体的にイチャラブすることを否定しない。公言するのは難しいかもだけれど、その想いを否定できる人間は、誰一人としていないの。自信を持って。あなたの愛は美しいわ』
あの先輩らしいなって思った。
こうしてルビーはガチムチオネェの友人を得たのだった。字面がやべぇな。
余談だが、アイへの握手を求めたのは「良かもんを聞かせていただきました」としての礼である。当時、恋愛感情から程遠かった俺が、まさか同世代の女の子に告白すると思わなかったらしい。
苦言を呈したい気持ちは山々だったが、間違ってなかったので言い返せなかった。
「本当にオーカの周りってキャラの濃い人が多いよね」
「お前も含めてな」
「そーいえば……アレを呼び入れたのって
「「「──っ!?」」」
アレとはカミキのことである。星野家ではエゴサ魔法使いことヴォルデモート扱いされているのが、今のカミキヒカルなのだ。
当の本人もエゴサしてダル絡みして炎上するし、実質ヴォルデモートである。……なんかヴォルデモートが可哀そうに思えてきたな。どうしてだろう。
しかし、アイの質問に過剰反応したのは他の馬鹿共。
そこまで反応する?と思いながらも、特に隠す必要のない情報なので、彼のことを口にするのだった。
「島津宗家の3人兄妹の長男。突出した能力はないけれど……あー、何て言えばいいかなぁ? 全能力が100点中、約90点って感じの人、かなぁ。何やらせても何でもできる万能型で、次期当主候補としては堅実な御人だよ。無駄なことはしたくない効率厨な面はあるけれど、島津勢の評価としては悪くないと思う」
「……普通の人っぽいね」
「前線で脳死チェストするよりも、後方支援が得意ってタイプだし、俺個人から見れば当主候補の中で一番後を託せる人なんじゃないかって思う」
「ふむふむ」
「そんで──俺のことをめっちゃ嫌ってる」
最後の発言に眉を顰めるアイ。
それは双子も同様だった。
「……どうして?」
「本当は自分が当主になりたいって人じゃないからさ。自慢に聞こえるかもしれないから、今まで黙ってたけど、少し前の俺って次期当主最有力候補だったんよ。んで、俺が継承権放棄した関係で、あの人が半強制的に次の有力候補になっちゃったわけ」
「それってつまり、嫌な役割をパパから押し付けられたって思ってるの? それって逆恨みじゃん!」
「そゆこと。ただ……俺の記憶では、そんな安易に逆恨みするような人じゃなかったはずなんだけど。こんな嫌われている理由が、俺には分からん」
昔はそこそこ仲が良かった記憶はあるんだが、それこそアイと関わり始めたあたりから、険悪な関係になっちまった。
会うたびに嫌味を正論に包んでネチネチ言い始めるから、俺としてはあまり関わりたくはないんだよね。かと言って、アイに敵意を向けることは一切しなかったので、放っておいている現状である。
まぁ、この前の件は苦情入れたけどね。
正論突きつけられて返り討ちにあったけど。
「どうして、こうなったんだろうなぁ……」
俺と次期当主候補との関係。
改善に向けて考えてはいるが、特に案は見つからない。
「「「………」」」
「咸君、そんな複雑そうな顔してどうしたの?」
「いや、知らないことが幸せなこともあるんだなって、再認識しただけの話です」
【島津 桜華】
今作の主人公。次期当主候補の説明だが、
【星野 アイ】
今作のヒロイン。転生者。今後は演劇サークルにも顔を出すようになる、アイの演技にサークルメンバーが脳を焼かれ、アイの惚気話に新納先輩は脳を焼かれる。
【星野 愛久愛海】
原作主人公。転生者。双子の兄。最初は新納先輩に「うほっ、イイ男」認定されるが、ルビーの話を聞いて撤回される。自身の好みより、兄妹のイチャイチャで飯を食うことが最優先と聞いて、ある意味ではルビーの恋愛感情に助けられる。
【星野 瑠美衣】
↑の双子の妹。転生者。オネェの友人を得る。
【黒川 あかね】
劇団『ララライ』の元エース。実は新納先輩が一番注目している少女。あの咸とどんなイチャイチャラブラブを繰り広げられるのか楽しみらしく、陰ながら応援される。