薩摩の子   作:キチガイの人

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 さぁて、こっから動きますよ回です。
 アイ視点です。対戦よろしくお願いします。
 感想お待ちしております。






 キャラを生かしきれてないとご指摘頂きました。
 いやはや、全くもって仰る通りです。どうしても『主人公とアイが主軸の物語』である点と『一人称視点の地文』の関係で、登場人物が多くなった現状を処理しきれてない感が、執筆している側の自分でも理解しております。
 原作キャラ視点を増やせばいいだけの話なんですが、そのキャラをインストールしないと書くのが難しいのがもどかしいです。やってることは原作黒川さんのそれです。なんとかキャラが埋もれないよう努力する所存です(`・ω・´)


115.変態からの誘い

 珍しくオーカがスマホを忘れていた。

 愛しの彼はアクアとルビーを連れて買い物に行っている。最初の頃と比べると、オーカと二人はすっかり仲良くなったので、私としてはとても嬉しい。

 私は彼のベッドの上に無造作に置かれたスマホを持ち上げ、何の通知も着ていないことを確認する。私がいつも見るスマホじゃないので、おそらく仕事用なのかな? 何かあれば私がオーカに連絡すればいいだけの話だし、問題はないと思う。

 

 

「………」

 

 

 これ、勝手に中身を見たら怒られるかな?

 誰もいないことは分かっているはずなのに、一度だけ周囲を見渡して確認し、再度オーカのスマホの画面と睨めっこを始める私。

 

 別にオーカの浮気を疑っているわけじゃない。ないったら、ない。仕事用のスマホなんだから、仕事に関係のある人の連絡先しか入ってないのは知っている。

 ……もしかしたら、逆に仕事用で連絡を取っている可能性もあるけど、一緒に過ごしてきて分かったことがある。彼は多分、二股ができるような器用な人間じゃないってこと。これにはナデコちゃんも同じことを言っていた。

 

 

『──桜華が浮気? え、やりやがったの?』

 

『ううん。でも、ナデコちゃん含めて、最近のオーカの周りって綺麗な女の子が増えてきたから、ちょっと心配になっちゃって』

 

『あぁ、そういうこと? じゃあ、()()()()。逆に本当にするのなら見てみたいレベルだわ。そもそもの話、あの嘘がド下手な男が浮気しようものなら、あなたが真っ先に気づくと思うわ。それぐらい態度に現れるわよ、アレ』

 

『そう、かな』

 

『アイさんが心配になる気持ちも分かるの。名家の御曹司だし、性格も悪くはないし。でも、これは他の馬鹿共にも言えることなんだけど、あの連中って想像以上に他の女への興味がないわよ。確かに、身内としての情はあるかもしれないけど、それ以上に発展するとは思えないわ。それに……』

 

『それに?』

 

『ここにスタイル抜群の超絶美少女がいるのに、その私に向かって暴言吐くような連中よ? 意中の相手以外に興味を示すわけがないわ』

 

『……ソウダネ』

 

『言いたいことがあるのなら、遮蔽物のない場所で両手を挙げて述べなさい』

 

 

 けど、おっぱい大きい娘のことはガン見してるよね?って思わなくもなかったけど、「(馬鹿)の性ってやつじゃない? いや、私も女だから詳しいことは分からないけど……」って、私の軍師は言ってた。それなら仕方ない……のかな?

 あんまり面白くないから、搾り取る口実にさせてもらうけど。

 

 

「………」

 

 

 でもスマホは気になるなぁ。

 パスワードはみっちゃんから聞いてるから知ってるし。

 

 スマホを持ちながらうんうん唸っていると、急にオーカの仕事用のスマホが鳴り響いた。思わず投げ出しそうになるくらい驚いたが、何とか落とさずに済んだ。ちょうど欲に負けてパスワードを解除しようとしていただけに、心臓が今でもバクバクして止まらない。

 無断で他人のスマホを見ようとした罰なのかな?って思った。

 

 気を取り直して、連絡してきた人の名前を見る。

 自分に分かる人だったらいいけど、分からなかったとしてもオーカに報告しなきゃいけないよね。仕事の話だろうし、きっと重要なことに違いない。

 私はスマホの画面を見

 

 

 

 

 

『立花/カミキ』

 

 

 

 

 

 即座に赤い拒否ボタンを押した。

 脊髄反射の行動だった。

 

 勝手にしちゃいけないことは分かっていたが、それよりも生理的嫌悪が勝っての行動だった。仕事用にアレの名前が入っていることにも驚いたけど、今度の舞台が……って話をしてた気がするし、おそらくそれの事だと思う。

 でも、オーカって舞台にあまり関わってないよね?

 どうしてアレから電話が来るの?

 

 なんて考えていると、また同じ奴から電話がかかってきた。

 とりあえず赤いボタンを押す。

 それを3.4回繰り返して、あまりにもしつこかったので、5回目くらいで渋々電話に出るのだった。この際だから、オーカにちょっかいをかけないように釘を刺しとかなきゃ。

 

 

『──おぉ、今回の着信拒否回数は少なかったではないか、島津少年。どういう風の吹き回しかな? まぁ、いい。舞台の件についてだが……』

 

「オーカは不在なので、人生を改めてから連絡してくださーい」

 

『……ん? もしかしてアイ君かね?』

 

 

 まさか即切りをオーカもやっていたことに少し驚いたけど、彼と同じことをしていたという事実に、少しうれしくなったのは内緒だ。

 顔を若干ニヤけさせつつも、通話相手に塩を撒く。

 それで退散させられるような相手じゃないのは知っているけど。

 

 

『……この際だからちょうどいい。アイ君も無関係ではないだろうから、君にも話をしておこうか。こちらから話ができないと思っていただけに、僥倖とも言えるだろう』

 

「私から用事はないんだけど」

 

『悪い話ではないから聞きたまえ』

 

 

 コレと話をすること自体が悪いことだけど、私が無関係じゃないという点が少し気になった。

 

 

『君は今回の舞台に関して、どれほど知っている?』

 

「当主様の息子さんが原作の舞台ってこと。鹿児島でやるってこと」

 

『……ふむ、ほとんど知らないのだな』

 

 

 思わずムッとしてしまったのは仕方ない。

 だって、私は関係ないし。オーカもあまり関係ないから、知らなくてもいいじゃん。

 

 

『島津少年に相談しようと思っていたのは、今回の舞台に関してのことだ。劇団『ララライ』の若きエースとまで言われた黒川君と、君の息子であるアクア少年へのオファー……と言えば理解できるかね?』

 

「は? どうしてアクアがあなたの仕事を受けさせなきゃいけないの?」

 

 

 あかっちの出演はみっちゃんと決めるだろうから、私が気にすることじゃない。でも、アクアをこの変態に預けるのだけは納得がいかない。

 そのため、後半は語気を強くしての言葉だったけど、コレには何の牽制にもならなかった。

 

 

『勘違いしないで欲しい。このオファーを受ける受けないは、アクア少年が判断するべきことだろう。私が関与する舞台故に、アイ君が面白くないのは重々承知している。しかし、あくまでも拒否権は君の息子にあるのは理解してほしい』

 

「む……」

 

『駆け出しが仕事を得ることの難しさ、よもや君が知らないとは言わせないぞ。アクア少年が将来どの道を歩むのか分かりかねるが、役者を目指すのであれば良い経験になると思うがね。それを君が潰してしまっては、元も子もないと思うが?』

 

 

 悔しいけど、コレが言うことは正論だった。

 関わらせたくない気持ちは強いけど、役者を目指すのであれば、今回の件は受けるべきなのは私でも分かる。その貴重な機会を私がふいにするのは良くない。

 

 渋々、本当に渋々ながらも、私は「……アクアに聞いてみる」としか返せなかった。変態も、それに了承するだけだった。

 

 

「で、アクアに何の役をやらせようと思ってるの?」

 

『とりあえずは……私役でもしてもらおうと思っている』

 

「は?」

 

 

 この変態は何を言っているのだろう。

 

 

『……あぁ、そうか。君は何も知らなかったのだな。……もしかしたりするのだが、今回の劇をアイ君は見に来る予定はなかったのかね?』

 

「あなたに関係する劇を見に行くつもりは全然なかったけど」

 

 

 でもアクアが出演するのなら見に行く。絶対に行く。

 そのつもりで言葉を返したが、コレは「もったいない。それは非常にもったいない」と、わざとらしく言葉を弾ませた。若干イラッときた。

 

 

『私役……と言っても、正確には『立花 導春に近いキャラの役』と表現した方が正しいのだろう』

 

「救いようのない変態役?」

 

『おとめ座の心はガラスだぞ』

 

 

 通話先の奥にいる変態は、困ったような声色で、それでも確かに言葉をつづけた。

 

 

『アイ君は一度だけでも原作に目を通しておくといい。舞台をより完全に近い完成を目指すためにも、私としてはアイ君の協力を仰ぎたいのでね』

 

「私の?」

 

 

 変態が何を言いたいのか理解できなかった。

 しかし、続けて発せられる言葉に、私の興味は完全に傾いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『今回の舞台の主人公は──島津少年だぞ?』

 

「は?」

 

 

 

 




カミキ「かな君、そんなにカレンダーを見つめても、鹿児島に行くのは再来週だぞ?」

かな「ふぇっ!? わ、分かってるわよ!」

カミキ「……本当かね?」

かな「あ、当り前よっ!」

カミキ「(スーツケースまで用意してある状況で、その言い訳は苦しいと思うが)」

カミキ「(まぁ、面白いのでヨシッ!)」
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