薩摩の子 作:キチガイの人
アイ視点です。対戦よろしくお願いします。
感想お待ちしております。
キャラを生かしきれてないとご指摘頂きました。
いやはや、全くもって仰る通りです。どうしても『主人公とアイが主軸の物語』である点と『一人称視点の地文』の関係で、登場人物が多くなった現状を処理しきれてない感が、執筆している側の自分でも理解しております。
原作キャラ視点を増やせばいいだけの話なんですが、そのキャラをインストールしないと書くのが難しいのがもどかしいです。やってることは原作黒川さんのそれです。なんとかキャラが埋もれないよう努力する所存です(`・ω・´)
珍しくオーカがスマホを忘れていた。
愛しの彼はアクアとルビーを連れて買い物に行っている。最初の頃と比べると、オーカと二人はすっかり仲良くなったので、私としてはとても嬉しい。
私は彼のベッドの上に無造作に置かれたスマホを持ち上げ、何の通知も着ていないことを確認する。私がいつも見るスマホじゃないので、おそらく仕事用なのかな? 何かあれば私がオーカに連絡すればいいだけの話だし、問題はないと思う。
「………」
これ、勝手に中身を見たら怒られるかな?
誰もいないことは分かっているはずなのに、一度だけ周囲を見渡して確認し、再度オーカのスマホの画面と睨めっこを始める私。
別にオーカの浮気を疑っているわけじゃない。ないったら、ない。仕事用のスマホなんだから、仕事に関係のある人の連絡先しか入ってないのは知っている。
……もしかしたら、逆に仕事用で連絡を取っている可能性もあるけど、一緒に過ごしてきて分かったことがある。彼は多分、二股ができるような器用な人間じゃないってこと。これにはナデコちゃんも同じことを言っていた。
『──桜華が浮気? え、やりやがったの?』
『ううん。でも、ナデコちゃん含めて、最近のオーカの周りって綺麗な女の子が増えてきたから、ちょっと心配になっちゃって』
『あぁ、そういうこと? じゃあ、
『そう、かな』
『アイさんが心配になる気持ちも分かるの。名家の御曹司だし、性格も悪くはないし。でも、これは他の馬鹿共にも言えることなんだけど、あの連中って想像以上に他の女への興味がないわよ。確かに、身内としての情はあるかもしれないけど、それ以上に発展するとは思えないわ。それに……』
『それに?』
『ここにスタイル抜群の超絶美少女がいるのに、その私に向かって暴言吐くような連中よ? 意中の相手以外に興味を示すわけがないわ』
『……ソウダネ』
『言いたいことがあるのなら、遮蔽物のない場所で両手を挙げて述べなさい』
けど、おっぱい大きい娘のことはガン見してるよね?って思わなくもなかったけど、「
あんまり面白くないから、搾り取る口実にさせてもらうけど。
「………」
でもスマホは気になるなぁ。
パスワードはみっちゃんから聞いてるから知ってるし。
スマホを持ちながらうんうん唸っていると、急にオーカの仕事用のスマホが鳴り響いた。思わず投げ出しそうになるくらい驚いたが、何とか落とさずに済んだ。ちょうど欲に負けてパスワードを解除しようとしていただけに、心臓が今でもバクバクして止まらない。
無断で他人のスマホを見ようとした罰なのかな?って思った。
気を取り直して、連絡してきた人の名前を見る。
自分に分かる人だったらいいけど、分からなかったとしてもオーカに報告しなきゃいけないよね。仕事の話だろうし、きっと重要なことに違いない。
私はスマホの画面を見
『立花/カミキ』
即座に赤い拒否ボタンを押した。
脊髄反射の行動だった。
勝手にしちゃいけないことは分かっていたが、それよりも生理的嫌悪が勝っての行動だった。仕事用にアレの名前が入っていることにも驚いたけど、今度の舞台が……って話をしてた気がするし、おそらくそれの事だと思う。
でも、オーカって舞台にあまり関わってないよね?
どうしてアレから電話が来るの?
なんて考えていると、また同じ奴から電話がかかってきた。
とりあえず赤いボタンを押す。
それを3.4回繰り返して、あまりにもしつこかったので、5回目くらいで渋々電話に出るのだった。この際だから、オーカにちょっかいをかけないように釘を刺しとかなきゃ。
『──おぉ、今回の着信拒否回数は少なかったではないか、島津少年。どういう風の吹き回しかな? まぁ、いい。舞台の件についてだが……』
「オーカは不在なので、人生を改めてから連絡してくださーい」
『……ん? もしかしてアイ君かね?』
まさか即切りをオーカもやっていたことに少し驚いたけど、彼と同じことをしていたという事実に、少しうれしくなったのは内緒だ。
顔を若干ニヤけさせつつも、通話相手に塩を撒く。
それで退散させられるような相手じゃないのは知っているけど。
『……この際だからちょうどいい。アイ君も無関係ではないだろうから、君にも話をしておこうか。こちらから話ができないと思っていただけに、僥倖とも言えるだろう』
「私から用事はないんだけど」
『悪い話ではないから聞きたまえ』
コレと話をすること自体が悪いことだけど、私が無関係じゃないという点が少し気になった。
『君は今回の舞台に関して、どれほど知っている?』
「当主様の息子さんが原作の舞台ってこと。鹿児島でやるってこと」
『……ふむ、ほとんど知らないのだな』
思わずムッとしてしまったのは仕方ない。
だって、私は関係ないし。オーカもあまり関係ないから、知らなくてもいいじゃん。
『島津少年に相談しようと思っていたのは、今回の舞台に関してのことだ。劇団『ララライ』の若きエースとまで言われた黒川君と、君の息子であるアクア少年へのオファー……と言えば理解できるかね?』
「は? どうしてアクアがあなたの仕事を受けさせなきゃいけないの?」
あかっちの出演はみっちゃんと決めるだろうから、私が気にすることじゃない。でも、アクアをこの変態に預けるのだけは納得がいかない。
そのため、後半は語気を強くしての言葉だったけど、コレには何の牽制にもならなかった。
『勘違いしないで欲しい。このオファーを受ける受けないは、アクア少年が判断するべきことだろう。私が関与する舞台故に、アイ君が面白くないのは重々承知している。しかし、あくまでも拒否権は君の息子にあるのは理解してほしい』
「む……」
『駆け出しが仕事を得ることの難しさ、よもや君が知らないとは言わせないぞ。アクア少年が将来どの道を歩むのか分かりかねるが、役者を目指すのであれば良い経験になると思うがね。それを君が潰してしまっては、元も子もないと思うが?』
悔しいけど、コレが言うことは正論だった。
関わらせたくない気持ちは強いけど、役者を目指すのであれば、今回の件は受けるべきなのは私でも分かる。その貴重な機会を私がふいにするのは良くない。
渋々、本当に渋々ながらも、私は「……アクアに聞いてみる」としか返せなかった。変態も、それに了承するだけだった。
「で、アクアに何の役をやらせようと思ってるの?」
『とりあえずは……私役でもしてもらおうと思っている』
「は?」
この変態は何を言っているのだろう。
『……あぁ、そうか。君は何も知らなかったのだな。……もしかしたりするのだが、今回の劇をアイ君は見に来る予定はなかったのかね?』
「あなたに関係する劇を見に行くつもりは全然なかったけど」
でもアクアが出演するのなら見に行く。絶対に行く。
そのつもりで言葉を返したが、コレは「もったいない。それは非常にもったいない」と、わざとらしく言葉を弾ませた。若干イラッときた。
『私役……と言っても、正確には『立花 導春に近いキャラの役』と表現した方が正しいのだろう』
「救いようのない変態役?」
『おとめ座の心はガラスだぞ』
通話先の奥にいる変態は、困ったような声色で、それでも確かに言葉をつづけた。
『アイ君は一度だけでも原作に目を通しておくといい。舞台をより完全に近い完成を目指すためにも、私としてはアイ君の協力を仰ぎたいのでね』
「私の?」
変態が何を言いたいのか理解できなかった。
しかし、続けて発せられる言葉に、私の興味は完全に傾いたのであった。
『今回の舞台の主人公は──島津少年だぞ?』
「は?」
カミキ「かな君、そんなにカレンダーを見つめても、鹿児島に行くのは再来週だぞ?」
かな「ふぇっ!? わ、分かってるわよ!」
カミキ「……本当かね?」
かな「あ、当り前よっ!」
カミキ「(スーツケースまで用意してある状況で、その言い訳は苦しいと思うが)」
カミキ「(まぁ、面白いのでヨシッ!)」