薩摩の子 作:キチガイの人
双子との再会以降は蛇足と低評価をブチ込まれ続け早一ヶ月、それでもアイが何気もない日常をダラダラと過ごしている感じで書きたい今日この頃。
感想ドシドシお待ちしております。
2023/9/30追記 描写ミスにより未来の煽り度が上がりました。
我が校には『クラスマッチ』という行事がある。
スポーツ関連の学年ごとによる組対抗戦……と言えば伝わるだろうか? 自称進学校(笑)な××高校ではあるが、なにもスポーツ関係に力を入れていないわけではない。曲がりなりにも文武両道を掲げているので、運動部で頑張っていらっしゃる生徒も少なくない。
野球部とか去年県大会でベスト8まで進出したからな。推薦とか取ってないのに自称進学校な公立校にしては、素晴らしい成績を残していると言っても過言ではないだろう。
まぁ、
あそこ野球もサッカーも強すぎる。
話を戻す。
今日はその、1年に数回しか存在しないクラスマッチが開催される日なのだ。
「──アイ、そのバズーカ砲みたいな一眼レフ、どこで買ってきた?」
「写真部から借りてきた」
「よく貸し出しを許したな。写真部の連中って、今日はクラスマッチの撮影に駆り出されてるはずだろ? そんなクソ高そうなカメラ貸す余裕あんのかね」
「私が写真部員一人一人とツーショット写真撮るだけで快く貸してくれたよ?」
「あぁ、あの写真に土下座している変人集団って写真部だったのか。思わず通報しちゃったぜ」
パトカーのサイレンを背景に、屋外で俺は学年主任から渡されたカメラを使い、自身のクラスの勇姿を収めていた。腕は完治したが、とりあえず今回までは見学兼カメラマンとして、この勉学を一切考えない時間を堪能している。
体育大会もそうだったが、薩摩武士が一人いるだけでパワーバランス崩れるからね。
中学時代にサッカーの時間でドライブシュート決めたら出禁になった俺が言うのだから間違いない。親父殿に片手で止められるシュートで出禁になった事実に、俺はいまだに納得してないが。
ではアイもカメラマンとして参加しているのか?
答えは否だ。
よくよく考えてほしい。星野 アイという少女は、一人の元・人気アイドルの可愛い女の子であると同時に、かつて双子の母親であった女性でもある。
一番見たかったであろう小学・中学時代を共に過ごすことができなかった一番星。残り3年間という僅かな時間だが、学ラン・セーラー服姿の双子を見て「中学時代みたいいいいいいいい!! アクアすっごいカッコイイよおおおおおお! ルビーもめっちゃカワイイよおおおおおお!」と発狂していた親バカなのだ。高校なのにブレザーではなく学ランな古臭い我が校だが、この時ばかりはその古臭い制服チョイスに感謝したものである。
んな親バカが学校行事で双子の勇姿を黙って見ていられるはずもなく。
「………」(カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ)
これ自動連射じゃなくて、一枚一枚シャッター押してるんすよ。
サッカーで別クラスと戯れているアクアがボールを持った瞬間に、完璧で究極のカメラマンは数十万する借り物の一眼レフを最大限生かして、アホみたいに撮っている。
3組と5組の男子サッカーが行われており、アクアはスタメンで出場している。あの外見で運動もそこそこできるとか、天がガバって2物以上を与えているようだ。
運動による流れる汗も綺麗なアクアに、黄色い歓声が止まることを知らず。
目を奪っていくのは母親譲りか。
じゃあ、5組がお通夜状態なのか?と言えば、珍しくもそうじゃない。我らが絶対正義の2組は無残にもボッコボコにされたが、5組にはサッカー経験者が数人在籍している。
あと咸が参戦していやがる。
卑怯だぞ。恥を知れ。
お、アクアと咸の1on1じゃん。あくあがんばえー。あのロリコンをシバき倒したれ。
「………」(カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ)
「………」(カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ)
「………」
黒川さん、そのカメラ格好良いですね。
しゃらくせぇ小技でアクアを軽々と抜き、写真写りの良いパフォーマンスと共にゴールを決める税所家の麒麟児。5組(と黒川さん)の歓声が響き渡る。そして何かと咸に対抗意識を持つアクアは、持ち前のフィジカルを用いて、クラスメイトと連携しながら、自身の活躍によって同点へと押し込む。ルビーが狂喜乱舞してる。
ゴールキーパーが双方素人であるがゆえに、壮絶な点取り合戦が始まったのだった。
俺から見れば
パラパラ漫画で今の攻防戦を再現できるくらいに激写する美少女sをよそに、俺は自身のクラスが1組にコテンパンにブチのめされている様子を、切ない気持ちで写真に収めるのであった。もちろん偏りなく、全員が最低1枚でも写るように配慮する。
あ、
だから薩摩隼人は自重しろ。
♦♦♦
ところ変わって体育館。
今回のスポーツはサッカーとバスケで、屋内競技にバスケが指定されている。
ちなみに女子組は全員がバスケを選択していたので、ここでは麗しき美少女たちがキャッキャウフフしながらボールと戯れる光景を目に焼き付けることができるのだ。
ダァンッッ!!
『ルビーちゃんダンクシュートできるの!?』
『今からでも
バスケ部員以外がダンク決めてるの初めて見たわ。
比較的高度なテクニックで、これまた兄貴と同じように目を奪っていくルビー。天真爛漫に笑う姿は、母親とは別のベクトルで魅了するのだから、クラスメイトにニッコリしてピースサインする姿に、義父(ということになっている)な俺も自然と嬉しくなる。
既にアイドルとしての片鱗を見せているというわけか。
お、アイも運動神経は人並み以上ではあるから、ボール所有後に覚束ないドリブルで数人抜き、華麗にシュートを決めた。
チームと得点の加増を分かち合い、わざわざ周囲を見渡して、俺の姿を捉えるとピースサインをしてきた。ので、俺もグッドサインで見てまっせアピールをしておく。
かわええ。我ながら自慢の彼女で
「………」(カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ)
あの母親にして、この子供あり。
血の繋がりには逆らえないのだろうか。
スマホ持ち込み禁止は重々承知しているが、審判をしている教師陣の目を盗んで、アイとルビーの活躍を撮る。この感動を分かち合おうと、とりあえずは親父殿のLINEに送っておく。
送って、後悔した。薩摩人は、特に男性は頑固な者が多く、それは年齢を重ねていくごとに増加する傾向にある。そして、昔は学内の携帯等の持ち込み等は禁止されており、今でも鹿児島県内の高校ではスマホを持っていけないところもあるのだとか。県外は知らん。管轄外だ。
つまり、だ。これスマホ持ち込んで自由に写真撮ってやがりますよと自白しているようなものであり、ルール遵守の鬼たる親父殿は怒るはず。ってか、前にそれやって頭を叩かれた。記憶が数日分飛んだ。
あーあ、くっそやらかしたわ。
『
人は変わるんだなという妙な感動と、世の不条理を思い知りました。
お咎めがなかったのに、どうしてこうも気分が晴れないのだろう。こんなの絶対おかしいよ。
なんて無意味に黄昏ていると、試合も佳境に入る。途中交代でコートに立つ、島津の大型新人たる黒川さんのシュートが放物線を描き飛んで──あぁ、リングにぶつかって入らなかったか。
そこをルビーがカバーして得点にはなったけれど、これはちょっと悔しいかな。
しゃーない、しゃーない。気持ち切り替えていこ。
「………」(カシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャシャ)
もうお前ら似た者同士だよ。相思相愛だよ。はよ結婚しろや。
黒川さんが出場してから現在進行形で、シャッターを化け物みたいな速度で切っていく税所家のロリコンをジト目で眺める。そして、俺は4組にフルボッコにされている
あ、4組の未来が
だから自重しろ言ってるやろがい。
なお、捕まった写真部員は容疑を否認している。
【写真部】
××高校の写真部。部員数は男子11名、女子0名。コンクールで入選実績多数。校門前で部員全員でアイの写真に五体投地しているところを通報される。
原作127話を見た琥珀「……お前もか( ゚Д゚)」