薩摩の子 作:キチガイの人
次話はシリアスになるのかなぁ?
『──で? 何か申し開きは?』
「「すみませんでした」」
俺とアイが愛し合った日の夜。
いつものオンライン会議で、絶対零度の言葉と共に微笑む未来に対し、俺とアイはソファーに並んで頭を下げていた。もちろん未来の目は全然笑っていないが。
しかし、コイツの怒りはもっともだろう。
『いや、ね? 僕もアイちゃんにはウチの馬鹿が多大なるご迷惑をおかけしたのは重々承知してるんだよ? 僕としても君たちの恋には可能な限り協力する心づもりではいたのよ』
『ウチの馬鹿とは失礼ね、愚弟』
「「………」」
『でもさ、流石に『ヤってたら寝坊した。担任に上手く誤魔化しといて』ってLINEが来たらさ、流石の僕もキレる権利はあるんじゃないかな?って思う訳ですよ。既読もつかないし』
なんでこの会議に撫子居るんすか?という疑問は置いておこう。
確かに10時に起きて寝坊はしたが、なぜか死ぬほど身体が疲れていたので、未来に必要最低限のLINEをして、そのまま二度寝をしてしまったので、既読がつかなかったのだろう。俺が二度寝している後に起きたアイの説明で事情を把握したらしい。ちなみに太陽が頂点まで登る時間帯だったとか。
ここまで身体が疲労したのは初陣以降記憶にない。
……初陣よりハードって何なんですか?
『盛った猿じゃねェンだぞ。セックスして疲れたから学校休むとか馬鹿かよ。星野にどンだけ負担かけたんだァ? あァ?』
「……いや、俺も正直驚いてる。とりあえず5回までは覚えてるんだけど、こんだけ疲れるもんなんだなぁって。次からはセーブしないとやべぇなコレ」
「え、私とのエッチ5回までしか覚えてないの!? 十数回は愛し合ったのに、酷いなぁ。確かに最後らへんはオーカ意識なかったのは知ってたけど。気持ちよかったから継続したけどね」
『テメェの方が元凶かよ』
極度の疲労の理由は理解できた。
俺はどうやらベッドヤクザに搾られていたらしい。極限まで。
「え、ちょっと待った。もしかして机に置いていた精力剤、俺が飲んだやつなん?」
「私が口移しで飲ませたよ?」
『……えっ、怖っ』
さすがの犯行に未来もガチトーンで慄く。
俺も気絶するなんて情けないなと思っていた時期もあったが、この話を聞くとアイがやべぇなって感想しか生まれてこない。
童貞にそこを推し量れと言う方が無理があると思うけど。
それにしてもアイに薬盛られていたとは。
……まぁ、いっか(諦観)。
「……あー、うん。まぁ、次から気を付けるわ」
『そうしてくれないと困るよ』
「そうだね、一方的な愛の押し付けじゃオーカに悪いもんね。今日の夜は気を付けるよ!」
「『『……ヒエッ』』」
え、今日もヤルんすか?という意味での悲鳴だった。俺や未来、兼定の声からも、喉の奥から思わず出てしまった。
今回のは初めてでテンション上がってヤっちゃったけど、私も疲れちゃうから次回以降はそんなに搾らないよー、とアイは口にする。が、男共の悲鳴の原因はそこではないんだ。俺の精力はマイクラの無限水源じゃねぇんだぞ。
『……そこら辺は、もう夫婦同士の話し合いだから、そっちの方で思う存分やって頂戴』
「了解だよナデコちゃん。思う存分
『とりあえずアイちゃんの担任には、熱が出て休んでますって言っておいたから。明日学校に行ったときは話合わせておいてね。桜華も休んでたから、あの先生のことだし薄々何か感づくとは思うけど』
「ミク君もありがとー」
山田先生ならそうだろうな。
……あの先生のことだから、察して何も言わなんだろうけど。
『桜華も話合わせといてよ』
「りょーかい。俺も熱?」
『適当に自己免疫性後天性凝固因子欠乏症と脳クレアチン欠乏症候群の合併症って今日は休むそうですって言っておいた』
素早く検索する。
「両方とも厚生労働省の指定難病なんだけど」
『厚生労働省ホームページから適当に引用したからね』
「お前ふざけんなよ」
後日生徒指導室にて怒られた。
未来の怒りから生まれた惨劇である。
閑話休題。
俺たちは姿勢を正す。
『ンで? まぁ、さっきの話から大方予想はつくが、テメェらからの報告ってのは? ブラックコーヒーはボトルで用意してるから、はよ言え』
『今回はなんとタバスコ用意しといたよ。もうこれないと惚気聞けなくて……』
『……私が言うのもなんだけど、もう愚弟の味覚が崩壊してるから、お手柔らかに頼むわ』
「私たち、付き合うことになりました!」
元気なアイの申告により、ゴキュゴキュと聞こえてはならない音が聞こえる。兼定はまだいいとしても、未来のボイス音からこれ聞こえちゃまずいだろ。
『……あれだなァ。付き合ってない発言に違和感ありまくりだったが、いざ付き合ってる発言されてると、それでも違和感しかないのはなンでだ?』
『最初から夫婦感出てたからでしょ。見なさい。桜華は何のためらいもなくアイさんの肩に手を回して、これ見よがしに彼女の髪とか弄ってるわよ。アイさんもスキンシップに慣れてる感が凄いわ』
『今までのイチャイチャラブラブも自重してそれだったってこと? クソ姉貴、だから言ったじゃん。もうすこし段階踏んでからくっつけようって。最近夢の中で糖尿病診断されて『これ本格的にまずいなぁ』とか思ってた矢先だよ?』
そこまで言われなきゃいけない理由がわからん。
付き合う前と大して変わらんだろうに。
俺はいつものように彼女の長い髪を優しく撫で、彼女はいつものように俺の腕へしなだれかかる。髪の毛は女の子として必要最低限のケアしてないとアイは口にするが、俺としては最低限でここまで美しい髪の質を維持できることに驚きを隠せない。
余談だが、黒川さんの件で疑われた際に、バッサリ肩の短さまで切ろうかと考えていたらしい。でも
断髪した彼女も可愛いとは思うが、この天の川を彷彿とさせる綺麗な髪を切っちゃうのは非常に勿体ない。エロ漫画が役立った瞬間である。
「つか咸が異様に静かなんだけど、どした?」
『惚気で死んだンじゃねェの?』
俺の指摘から数十秒後、ガタゴトした音の後、咸が今日初めての発言をする。
どうやら聞き専に徹していたらしい。
『……聞こえてはいますよ。桜華、そして星野さん。おめでとうございます』
「あ、あぁ。センキューな。なんか声に生気がないけど」
『少々仕事外でトラブルが発生しまして。いや、私個人のトラブルというわけではありませんが、ちょっと手が離せない状況でして……』
「何か手伝えることは?」
『……もしかしたら近いうちにお願いすることになるかと』
その言葉と共に聞き専に戻る。
相当忙しいらしい。
「……みっちゃん大丈夫かなぁ?」
『気にすンな。アレの事情はオレが知ってる。何かあればカバーはしてる』
「詳細聞いてもいいか?」
『そのうち分かる。今はあんま触れねェ方がいい』
二人がそこまで言うのであれば、これ以上何も詮索しない。
俺も心当たりがないわけではないからな。
「で、だ。報告がてら一つ皆に相談したいことがある」
『ここにいるメンバーなら、薩摩での大抵のことは解決するものね。恋人関係成就祝いよ、何でも言ってみなさい』
俺は今一番の相談事を吐く。
「今度の日曜の話でさ。アイが転生者であり、高校生になる双子がおり、結婚と同時に俺が双子の義理の父親になる。それを母親と
『『『土下座』』』
「最初から切り札使うのやめよ?」
【島津桜華】
主人公。スキンシップに遠慮があまりなくなる。さすがに胸とかは触らないが、自分で触らずとも相手から押し付けてくるので意味がない。毎日搾り取られる運命にあるが、何とか避妊としてゴムはさせてもらえることに。
【星野アイ】
ヒロイン。転生者。初回の避妊は大丈夫だった様子。でも愛し合ってるしゴム必要なくない?の思考だったが、最近女性の婚姻開始年齢が18歳に引き上げられたことを知り、じゃあ赤ちゃんはマズいよねって話に落ち着く。