薩摩の子 作:キチガイの人
すみません、歓迎会からの帰宅後に爆睡しました。酒飲んでないのにね。今日中にもう一話書かなきゃ……。
感想、評価頂けると幸いです。
そのうち
桜華「当主、生前のアイに隠し子の双子がいて、そんで二人とも転生者で、二人の生前は医者と患者の関係で、死に間際に妹の方が兄の方と結婚の約束をした仲で、今もそれを望んでいるっぽいですが、どうすればいいですか?」
当主「【ME DIED】」
みたいになるんすかね。
俺は定期的に整形外科に受診している。
言わずもがな、神経ぐちゃぐちゃ骨ボキボキだった腕を、一定間隔で診察してもらうためである。これが治る見込みがないのであれば切り捨てられたんだが、医者曰くこの腕は時間はかかるけれども治るものらしい。
治るのであれば治したい。
なので希望に縋りながらも病院へは欠かさず行くのだ。
「ねぇ、オーカ。ここにいる私たちの子供の名前、山本先生の言ってた
「俺の受診に勝手についてきたことは100歩譲るとして」
「うん」
「今から行くの、産婦人科じゃなくて整形外科なんだけど? それとも目的地違うから分かれて後で合流する?」
自分の腹部をさすりながら、慈愛に満ちた笑みを浮かべていたアイは、冗談だってーと笑いながら、怪我をしてない方の腕に絡む。
無駄に演技が堂に入っているのは何でだろう。まさか生前同じことをやりやがったとか言わないよな?
斎藤社長の苦労が伺える。
「私のお腹、妊婦みたいになってないでしょ? オーカに報告するとしても、絶対に堕ろせないタイミングで言うから心配しないでね」
「その時は絶対に責任は持つから、あらかじめデキた段階で言ってくれ。俺の心臓の為にも、いきなりのカミングアウトじゃ俺(とその他複数)が物理的に死にかねんから、報連相は大切にな?」
未成年でのデキちゃった発言は、各所に多大なるご迷惑をおかけすることが確定しているから、生前のようなゴリ押しを超えた出産ルートだけは、本当にマジで勘弁してほしい。
仮にも当たった日には、即結婚は法的に無理だとしても、腹を括って一緒に支えるからね?と宣言しておく。
この回答に満足したのか、うにゅーっと俺の右腕を抱きしめる。虎視眈々と既成事実を狙っていることを除けば、何とも可愛らしい彼女じゃないか。ハハッ。
受付で保険証等の必要なものを提示し、待合室で自分が呼ばれるのをアイと待っていると、ふと大画面のテレビから刺殺事件のニュースが流れる。
反射的に彼女の肩を抱き寄せて添うが、ニュースを見ていたはずの彼女は、平然とそのテレビを鑑賞していた。何なら俺の行動の意味が分からず、「ん?」と俺の顔を見た後に、身体を俺に預けてくる始末だ。
大丈夫なの?と聞いてみると、
「前は怖かったけど、今は何ともないかな。だってオーカがいるから、今は怖くないよ」
「そういうもんなんかねぇ」
「……というより、あんなにズバズバ刺されているオーカ見てると、何で私って死んじゃったのかなって思うことがあるよね」
「いやホントすみません……」
それはアイが致命傷かつ救急車が遅れたことと、俺は基本刺されるときは致命的な部分を避けているからだと思う。刺されるにはコツがあるんすよ。
そんなたわいない会話でお茶を濁していると、俺の名前が呼ばれる。
先生のいる部屋に2人して入ると、50前後の銀髪のダンディーな白衣のオッサンが待ち構えていた。言わずもがな、俺の担当医の先生である。
「おう、来たか。島津のボウズ」
「ご無沙汰してます」
「んで、そっちが噂の……」
「妻です」
呼吸するように嘘をつく少女。
オッサンはまじまじと上から下までアイの姿を眺める。傍から見るとポリスメン案件に見えなくもないが、その目は信じられないものを見るような、そして好奇心に満ちた目であった。
「……ほー、確かにそっくりと言うか、瓜二つっていうか、
「別に信じなくてもいいですよ」
「そういうわけじゃねぇさ。ってか、戦闘狂いのボウズが元大人気美人アイドルと交際している事実の方が信じられねぇよ。人間って変わるもんなんだなぁ、あぁ?」
茶化さないで下さいと俺は苦情を入れる。
この先生は一応はアイの担当医もしてもらっている。なので信じられないことではあるが、事情自体は一応説明はしていたのだ。島津関係者ではあるし。
現段階ではアイが整形外科にお世話になることはないけど。
無精髭を撫でるこの男、がさつではあるが、腕は確かなんですよ。
その証拠に、俺の腹部や胸部の刺傷、腕の様子を眺めているときは、戦時の薩摩人並みの集中力で丁寧に診察をしている。
「……先生、オーカは大丈夫なんですか?」
「コイツは頑丈だから、命そのものの心配はいらねぇぜ、嬢ちゃん。胴体の傷は、もう少ししたら消毒の必要がなくなるんじゃねぇか? つか消毒も完璧だな。嬢ちゃんか?」
「ナデコちゃんに教わってしましたっ」
「……ナデコちゃん?」
「ア法正です」
俺の言葉に「あの人でなしに友達出来たって本当だったのか!?」と目を丸くする先生。
撫子とアイが友達になった件は島津界隈どころか九州圏内でも話題になったもんな。他勢力から『あの人格破綻者の友達と言うことは、その友達も相当ヤバい奴なのでは?』と、噂が独り歩きしている。
違う意味でヤバい娘なのは間違いないんだが。
「問題は腕の方だな。まぁ、経過的に見て悪くはないが、動かせねぇのは本人がよく知ってるだろ。今はもう首狩りしてねぇって聞いてるが、左腕は絶対安静だ。動かせるようになっても、アホみたいに振り回すんじゃねぇぞ」
「もちろんそんなことはしませんよ。俺を何だと思ってるんですか?」
「嬢ちゃんに会う前のことを思い出してから言うんだな。心臓横をギリギリ刺されて重傷だってのに、次の日普通に別の仕事場所行って暴れた奴は誰だ?」
「記憶にございません」
そんなこともあったな、懐かしいわ。
アイが超ジト目で見てくるがスルーする。
「嬢ちゃんもコイツが無茶しないように見張っといてくれ。あたかも常識人を振舞ってるように見えるけど、言ってることとやってることの矛盾が多い奴だ。担当医としてのお願いだ」
「オーカのことは任せてくださいっ!」
元気よく了承するアイに、オッサンは何とも言えない表情を浮かべる。
この破天荒娘が心配……というよりは、彼女の発言に対して心配しているわけではないが、彼女を通して誰かを幻視しているような気がする。
こんな顔をしているオッサンは初めて見たので、何事かと聞いてみる。
「いや……ちと昔のことを思い出した。アイドルの『アイ』を推している、友人の医者がいてな」
「先生、に、友人……?」
「あの人格破綻者に友人居るんだから、
「……ふーん、誰なんですか、その医者ってのは」
「
ドルオタの産婦人科医の先生か。
まぁ、一世を風靡したアイドルだって話だしな。島津家当主が推してたのだから、医者の先生が推してても不思議じゃない。
「……センセ?」
「ん? アイは知ってんの?」
「うん。宮崎でお世話になったセンセだよ。そっか。どっかに行っちゃったんだ……」
宮崎で、という辺りから、彼女が双子を産んだ際にお世話になった産婦人科医であることは確かだろう。まさかオッサンとつながりがあるとは思わなかったけど。
……でもなぁ、なんか引っかかるんだよなぁ。
この話を聞いて、小骨が刺さったような違和感が、拭いきれない。こういう時の勘は、大抵碌なことにはならないんだよね。残念ながら。
今は咸も動けないことだし、フリーになったら探ってみるか。
懐かしい思い出と言いたげな表情を浮かべる彼女を見ながら、そう俺は心にメモを残すのだった。
「ん? 産婦人科の先生に、お世話に……? ……はぁっ!?」
「オッサン、今日はありがとうございましたー」
「ましたー」
「おい、ちょ、それ生まれ変わる前の話だよな!? え!?
【島津 桜華】
主人公。怪我に関しては主治医や担当医どころか島津医療関係者からの信用は一切ない。絶対怪我しても何事もなく暴れると思われている。むしろなんで生きているのか疑問に思われることもある。
【星野 アイ】
ヒロイン。転生者。早く彼の子を産みたいらしい。何なら元旦那よりも婚姻年齢を民法改正した奴の方が許せない様子。ところで今世の誕生日が近いですね。せや。