薩摩の子   作:キチガイの人

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 シリアス回です。元社長視点です。
 当分はシリアス回続きます。
 ほのぼの回入れたいけど、たぶん駆け抜けることを皆が望んでいると思うので。さっさとオギャバブランド復刻しろって宝石妹が言ってる。
 感想、評価頂けると幸いです。

 次回は宝石兄視点かな。原作主人公存在してるのに、未だに総文字数20万超えて出てないの、この作品だけでは?



 感想で「愛さないのに子供産む理由が分からない」と感想頂きました。作者が浄化されそうになりました。
 まぁ、世の中には、いるんですよ。儒教的な感じで、子を使い潰すために産む輩が一定数ね? 何なら言うこと聞かないって意味合いで、捨てる親もいますよ。
 ……私の仕事の客、こういう思考の親がいるんすよ。それなりに。残念ながら。
 




 原作11巻まで読みました。
 いやー、はい。癒し求めてココ来る理由が分かりました。
 で。導春いつ出んの?(錯乱)


059.序章の悲劇

 

 

「──釣れてますか、壱護さん」

 

 

 とうとう来たか。

 釣り堀で釣りをしていた俺に、背後から若い女の声がかかる。こうなることは例の奴らから聞いてはいたが、実際にこの瞬間を迎えると、胸の内に複雑な感情が浮かぶ。

 ……釣りをしていると、厄介なことに巻き込まれることが多すぎる。少し釣りが嫌いになりそうだ。

 

 俺は振り向きもせず答えた。

 誰が来たかなど、見なくても分かる。

 

 

「……ここに来ても何もいいことはねぇぞ。さっさと自分の家に帰れ」

 

「あるから来てるんだよ? 分かんないかなぁ」

 

 

 若い女──星野ルビーは隣に座る。

 その間、俺はチラリと横目で彼女を見た。

 

 見ないうちに随分と大きく育ったものだが、それ以上にルビーの()に惹き付けられる。あのアイと同じようで、そしてドス黒い感情を内に秘めたような、黒い星を彷彿とされる瞳。あの天真爛漫さを鳴りを潜め、俺の顔を見ていた。

 

 その様に、俺はふと鹿児島で会った小僧を思い出した。

 状況はあの時と若干似ているが、今のアイの彼氏は上手に第三者を演じていたものだ。完全に騙された。対して、今のルビーには隠す様子は一切ない。

 これが切羽詰まった少女と、余裕のあった少年の違いか。

 

 

「それに、こうして娘のように思ってたアイの娘が、こうして会いに来てくれて、本当は嬉しいでしょ?」

 

 

 これすらも仕組まれたものだと知ったとき、ルビーはどんな反応をするのか。

 彼女は「やっと場所を突き止めた」と思っているのかもしれないが、小僧の友人から「そろそろ元社長の場所が割られそうなので、準備しといてくださいね」と()()()()に言われたのを思い出す。

 彼らがどういう存在なのか、一応はアイから聞いてはいるが、それでも連中の筋書き通りの状況に、薄ら寒い気持ちを抱いたのも否定できない。生前も生前で苦労したアイだが、今は今で別の苦労をしていそうだ。

 

 

「……俺に関わるなって言ってんだ」

 

「逃がしませんよ。だって──」

 

 

 俺はあえて突き放す。

 それで引っ込むような、引っ込めるような心境ではないことを、事前に知っているから。

 

 

 

 

 

「──ママの近くにいた貴方が、一番真相に近いんだから。ママとせんせを殺した男を見つけ出すまで、絶対に逃がしたりしないから」

 

 

 

 

 

 もっと真相に近い人間(本人)が鹿児島に居るんだが。

 喉元まで出かかった言葉を、俺は無理矢理飲み込んだ。

 ……ところで『せんせ』とは誰だろう。

 

 

「私の父親が誰なのか、教えて」

 

「……俺()知らねぇよ」

 

 

 俺()知らない。

 アイ本人は知っているし、島津の小僧共も知っているらしいが、俺には終始教えてはくれなかった。

 

 

『──アイツの元旦那の名前ですか? 何度も言ってますが教えるつもりはないですよ。これはアイからの要望でもあります。諦めてください』

 

『曲がりなりにもアイツの彼氏だろうが。生前のアイを殺した男が、のうのうと生きていることを許せるのか!? あぁ!?』

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 電話で何度も聞いたが、小僧は頑なだった。

 俺の煽りにも、興味なさそうに吐き捨てる。

 

 

『っ! だったら俺が──』

 

()()()()()?』

 

『……は?』

 

『まさかナイフ一本片手に特攻するわけじゃないだろう? 俺たちはポン刀あれば首獲れる英才教育を受けているが、カタギがそれで確実に殺れる保証もないからな。もちろん銃火器は必須だよなぁ。素人が相手を確殺できる手段と言えば、銃が一番効率がいいもん。で、斉藤さんはそれ持ってる? あぁ、島津は貸すつもりはないぜ? そもそも論で言えば、銃火器で殺せる相手だという保証もねぇし』

 

 

 俺の復讐心を小僧は嘲笑った。

 前のように感情論で諭すのではなく、現実的な話を以て。

 

 

『復讐自体を否定するつもりはないが、分をわきまえろよオッサン。島津にとっての復讐ってのは、何百年何千年かかろうが、確実に相手(徳川)の末代まで息の根を止めることにある。道半ばで諦めるなんざ冗談じゃない。盤面ひっくり返して必ず殺す──それが島津の戦だ。そのひっくり返す力量もないのに安易に死にに行くなよ』

 

『………』

 

『ってのは島津理論だけど、本音は別のところにある。……アイにさ、これ以上悲しい思いはしてほしくない。相手刺殺すのならまだしも、斉藤さんが死のうものなら彼女が悲しむ。……死んだら悲しいのは斉藤さんが一番よく知ってるだろ?』

 

 

 それなら今を大切にするのが建設的だ。島津桜華という男は、ため息をつきながら笑った。

 アイが死んだときのことは今でも忘れられない。それを何の奇跡か生まれ変わった彼女に強いるのかと。過去じゃなく今を見ろと言われ、俺は復讐を諦めざるを得なかった。

 

 だから今回の計画に乗った。

 ルビーとアクアを解放するために。

 

 

「じゃあ、ママと関わりのあった人の連絡先教えて! 全部! あと手っ取り早くアイドルになる方法教えて! 全部!」

 

「やなこった! そんなの教えたら鉄砲玉みたいに凸するだろうが。アイドルだってなぁ! そう簡単になれるもんじゃ──」

 

「それじゃあ遅いの!」

 

 

 悲痛な叫び声に俺の言葉は止まった。

 ルビーは俯き顔が見えないが、その声からして焦燥が感じ取れる。

 

 

「たっくさんオーディションにも参加して! スカウトも最初の頃はあったけど、最終的には断られて! いっぱい、いっぱい努力して、それでもアイドルになれてない! 芸能科でも私だけが何も残せてない!」

 

「………」

 

「私はアイドルになってママの夢を叶えて、そして……ママと──を殺した男を見つけ出して、同じ目にあわさなきゃいけないの! だから、だから! 私には時間がない!」

 

 

 島津の小僧には、俺がこう見えていたのか。

 憎くて憎くて憎くて、どうしてもアイを殺した男をぶっ殺したくて、目を閉じれば棺桶に眠るアイツが浮かんで、夢の中でも自分が自分を責めて。そんな日々を十数年続けていたが、今のルビーはそういう状況なのかもしれない。

 俺はもう悪夢を見ることはなくなったが、ルビーと、そしてアクアは、まだ覚めることのない悪夢を見続けているのだろうか。

 

 ……そうだな、小僧。

 こんなこと、もう終わらせねぇとな。

 

 

「だから……だから、教えてよ……。ママを……ママを……」

 

「……お前の親父を確実に知っている人間に心当たりがある」

 

「──誰っ!?」

 

 

 バッとルビーは顔を上げた。

 目元を赤く腫らし、黒く光る星を輝かせながら。

 

 

「──星野アイ。お前の母親だ。アイツなら確実に知ってるだろうからな。知りたいなら、直接本人に聞け」

 

「……何言ってるの。ママは──」

 

「少し前、俺は鹿児島でアイの生まれ変わりに会った。信じるか信じないかお前の自由だが」

 

「えっ」

 

 

 だからアイツ等に任せようと思う。

 アクアとルビーの母親と、新しい父親に。

 

 十数年苦しみ続けた最悪に、終止符を打つために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──小僧の指示通り、双子の妹の方にアイのことを伝えたぞ」

 

『ありがとうございます。双子兄の方も……うし、咸がやってくれたことだし、あとは盛大に歓迎する準備をしねぇとなぁ』

 

「……お前らが思っている以上に今のルビーは荒れている。アイにも伝えてくれ」

 

『了承しました。……んー、咸からは妹の方はメンタル面は大丈夫だって聞いたんだが。何か問題でも発生したか? 会ってみないと分らんなこりゃ』

 

「俺の役目は終わった。切るぞ」

 

『あ、そういえば斉藤さんに聞きたいことがあるんですが』

 

「……なんだ?」

 

『今の斉藤さんって無職のプー太郎ですよね? クッソ暇ですよね? 何なら人生の夏休み満喫してますよね? 釣り堀警備員してますよね?』

 

「煽ってんのかガキ」

 

『俺はアイの彼氏です。()()欲張りな女の子の、彼氏なんですよ。せっかくなら、彼女の望むものすべてを叶えてやりたいんですよ。なので』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『斉藤さん、ウチで働いてみませんか?』

 

 

 

 




カミキ「──ふっ、はっ。──君たちの視線を、釘付けにする!」(白星開眼)

かな「アンタがラーメン体操踊るのかよ」

カミキ「かな君も私と一緒に踊るが?」

かな「(´;ω;`)」
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