薩摩の子   作:キチガイの人

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 サブタイトルは『さらば星野 愛久愛海 ファイナル・カウントダウン』です。
 俺のPCの検索履歴が大変なことになりました。
 感想、評価頂けると幸いです。


064.……ヌッ(絶命)

 星野家全員が転生者という事実に、胃を痛めた15歳の一般人の少年は、未だにズキズキ痛む胃をさすりながらも復帰する。最初は「……とりあえず、こっからの話は転生者同士でお楽しみください」と隣に逃げ込もうとしたのだが、アクルビのオカンが「逃がさないよ?」と腰をホールドしてきた。

 精神年齢加算すると俺が最年少なのに、どうしてこんな苦労しなきゃいけないの?

 これでアイの元旦那も転生者とかだったら死ぬ。死んでまう。

 

 前半の会議と同じ位置に座った4人。

 ちなみに後半会議開始前に、なぜか知らんがルビーさんが俺に謝ってきた。酷いことを言ってしまったからと、頭を下げてきたのだ。あれが酷いことなら、さっききた未来からの『釣り合わないwwww月とスッポンwwwwトイレの方のスッポンwwww』のLINEとか土下座して欲しいレベルなんだが。

 俺のことをラバーカップ言った無礼者は後で誅殺すると心に決めた。

 

 

「んじゃ、改めて自己紹介を前世の名前含めて言ってもらいましょか」

 

「……言う必要あるか?」

 

「前世に犯罪歴あるパターンなら黙秘権認めるけど?」

 

「勝手に犯罪者にするな。別にそんなやましい過去はない」

 

 

 自分と同じ前世持ちとのことで、俺の横でさっきからワクワクワクワクワクワクワクワクワクワクしているアイに根負けしたアクア君は、頭を抱えながら「名前だけな?」と釘をさしてくる。

 できれば、どんな過去があるのか気にはなるが、強制ではないので俺は頷く。

 

 ……それにしても、黒川さんマジでやべぇな。

 双子が転生者であることを最初に指摘したのは彼女である。彼女曰く『咸君から二人の情報を聞いたけど、整合性のとれない言動がある』と言う切り口から、双子転生疑惑が浮上したのだ。

 最近思うんだけどさ、あれ演劇の天才ってより、天才が演劇してただけ感あるよなぁ。あ、でもプロファイリングからの没入演技には『演じる』力も必要だし、やっぱり演劇の天才なのかもしれない。

 

 

「じゃあ、最初は──」

 

「星野アイでーす! 転生前は星野アイでーすっ! アイドル活動やってました! 今一番やりたいことは、家ちゃんにアクアとルビーを、私の子供って紹介することです!」

 

「文字通り『島津が終わる』からやめてね?」

 

 

 マジで元熱狂的なファンに隠し子宣言は洒落にならないから、本人の口からだけは勘弁してほしい。とりあえず親父殿経由で島津運営に支障が出ないように、細心の注意を払って根回しする予定なんだからさぁ。

 アイが当主殿に凸って暴露して、当主殿が失神する姿が目に浮かんだ。

 

 そして現世の年長者順との事で、アクア君の出番が来る。アイは白い星を輝かせ、ルビーさんは若干黒い星を輝かせて。

 

 ──後に、星野 愛久愛海氏はこう語る。

 『……復讐終わったら皆の前から消える予定だったし、人生の目標失って、なんか色々とどうでもよくなってた。周囲のノリもあって、口が軽くなってたんだと思う。今思うと軽率な行動だった』と。

 

 

 

 

 

「……星野愛久愛海。生前の名前は──()()()()。宮崎総合病院で産婦人科医をしてた」

 

「──えっ」

 

 

 

 

 

 俺はアクア君の暴露に目を見開き、アイは手で口を押さえながら絶句し、ルビーさんはなぜか勢いよく立ち上がって兄を凝視する。

 あまりにも島津内でタイムリーな話題だったから、俺も心構えができてなかった。俺のスマホのグループLINE通知が大変なことになってる。振動が止まらん。

 

 

「えぇっ!? アクアってセンセだったんだぁ! どーりで一緒にお風呂入ったときも目を閉じてたし、おっぱい飲まなかったんだねー」

 

「……その話はやめてくれ。黒歴史レベルなんだ」

 

「っつーことは、アイの出産前辺りに死んだ感じか。あ、最初に謝っとくけどゴメン。先生の遺体勝手に発見したのウチの身内や」

 

「むしろ感謝しかないよ。あれをどう処理しようかって思ってたし、見つからないと思ってた」

 

 

 実はアイ殺害事件の容疑者として疑ってた話は胸の内にしまっておく。都合の悪いことを相手に言う人間の方が珍しいんですよ。な、咸。

 

 俺とアイがアハハと笑い、アクア君はため息をつく。

 あ、ルビーさんを置いてけぼりにしてしまった。身内ノリについていけない第三者ほど悲しいものはないから、ここで話を切

 

 

 

 

 

「せ、せんせ、なの?」

 

 

 

 

 

 ……なんか、急に胃が痛くなってきたな。(フラグ)

 お腹を超高速でさすっている間に、ルビーさんはゆっくりとアクア君に近づく。そして兄貴の肩をガシッと掴んだ妹は、そのままソファーに押し倒す。

 こっから何が起きるんかな?(現実逃避)

 

 

「ゴロー、せんせ。私だよ……さりな、だよ……?」

 

「……さり、な、ちゃん?」

 

 

 さりなちゃん……さりなちゃん? なんかどっかで聞いたことあるような名前だったような気がする。先生と同じ時期に見たような気『天童寺さりな』あ、思い出したわ。あの患者さんじゃん。

 アイなんか状況が処理できずにNow Loadingしてるんだけど。

 

 感情が決壊したルビーさんが泣きながらアクア君に抱き着き、アクア君は器用に彼女を受け止めていた。今度は終末治療の元患者と、死に際まで一緒にいてくれた先生の感動の再会が目の前で展開される。今回に関しては島津はノータッチなので、天文学的レベルの奇跡が起こっているのは確かだ。

 ……あー、だからルビーさん荒れてたのか。完全に先生の墓暴いた俺らの責任じゃん。

 そりゃ大好きだった先生が死んでいることが発覚したのだ。そりゃメンタルボロボロになるのも無理はない。良かれと思って通報した俺たちだが、本当に悪いことをしたな。

 

 閑話休題。

 こうして互いの秘密を一部暴露した星野家の皆様。これからどうするのか、どのように生きていくのか、まだ決まってないことも多い。俺としてはアイの望む通りにしたいが、双子の言い分も聞きながら良き方向へ進めばいいと思う。

 少しずつ決めていけばいい。時間はある。時間はあるのだ。

 何、この家族の絆は、島津が守護するのだから。

 

 

「──せんせ、私、16歳になったよ?」

 

「待てさりなちゃ、ルビー。待ってくれ」

 

「私、もう結婚できる年になったんだよ?」

 

「最近、日本の法律は男女18歳で統一されてるんだが?」

 

 

 島津も守護できる限界があると明記しておこう。

 さりなちゃんからルビーさんへと転生した少女は、このように語る。せんせとは16歳になったら結婚してくれるという約束をしたと。そして当のルビーさんは転生後も先生を探してたという。

 目的? そりゃ捕まえてエメラルドするためよ。

 

 傍から見れば生前に結婚の約束をしたまま果たせず、転生して再び巡り合えた恋人同士に見えなくもない。しかし、不幸なことにアクア君とルビーさんは双子、つまり血のつながった家族なのである。

 ご存じの通り近親婚は法で禁じられている。残念ながら彼女の夢は叶わない。

 ……だからさ、アイが俺に縋るような視線を投げかけてくるのは本当にやめてほしい。島津的にもできないことはあるし、そもそも世間が許してくれるとは思えない。

 

 そんな感情で攻めるルビーさんと、倫理的観点で押しとどめようとするアクア君の間で、激しい攻防戦をしていると、俺のスマホに通知が鳴る。

 どうやら隣の部屋でも近親婚の話題で論争があったようだ。

 ルビーさんには悪いが、俺は仲間の言葉を借りて説得

 

 

 

 

 

『兄妹で愛し合うこと自体は法的には禁止されてなくない? 何なら事実婚で内縁の妻扱いなら、ルビーちゃんが望む現状での最高の形かもね。世間体に目をつむれば』(未来)

 

『兄妹の結婚が法的に出来ねェだけで、同棲も事実婚もヤるのも問題ねェぞ。世間体無視すりゃなァ』(兼定)

 

『アイさんの娘さんはアイドル目指してるんでしょ? 彼氏と会うのはスキャンダルに繋がるけど、兄妹なら会うのも自然ね。子供バレたらアウトだけど』(撫子)

 

『子作りも一世代だけならダウン症リスクは少ないらしいよ? 世間の目は厳しいと思うけど』(黒川さん)

 

『何なら壱護社長の子供として押し通せばいいのでは?』(咸)

 

 

 

 

 

 何でそんなに近親婚に詳しいんすか?

 コイツらアクア君と壱護さんを社会的に殺すために一致団結してるんだが?

 

 同じLINEグループに入っているアイが、ルビーさんに余計なことを吹き込むのを眺めながら、俺は心の中でアクア君に合掌するのだった。

 

 

 

 




【裏話】

アイ「島津パワーで戸籍偽装すればワンチャン?」

ルビー「……パパ?」

桜華「嘘だろオイ」

アクア「酷い手のひら返しを見た」
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