薩摩の子   作:キチガイの人

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 夏休み入る前の話。
 ××高校のモデルとなった高校の行事予定表見ましたが、なんか露骨に夏休みの日数が少なくなっているような。気のせいか?
 感想、評価頂けると幸いです。





 前々回の話を読み返したんですが。
 これ一歩間違えたら、カミキにINするのが導春じゃなくて宗虎の可能性もあったんですよね。アリー・アル・サーシェスみたいなカミキが生まれる可能性もあったんですね。クレイジーサイコパスに、戦いを生み出す権化とか怖っ。


2章 夏の陣編
073.五者面談とは何ぞや


 自称進学校な××高校に終業式など存在しない。

 終業式など面倒なことをするくらいなら、ギリギリまで授業をするのが真の自称進学校の在り方だと、俺は7月の行事予定表を見て思った。

 

 夏休みだとアイは満面の笑みを浮かべた。

 毎日夏季講習あるねと言うと、星の瞳を黒く濁らせた。

 

 

「おっかしいなぁ。これ8月の行事予定表も出てるんだが……何度見ても、夏休みが7月中旬から8月中旬までしかないんだが」

 

「え!? 夏休みって8月末まであるのが普通じゃないの!?」

 

「義務教育と一緒にすんなってことだろ。それか自称進学校故のクソ仕様の可能性もある」

 

「休み1ヶ月しかなくて、夏季講習もあるのに、あの量の夏課題なの……?」

 

 

 高校1年の時点でそこそこの夏課題をPONと渡された俺たち。いつもの馬鹿連中+女性陣で臨時の夏課題協力体制を築くくらいには、洒落にならない量を出された。さすがに夏課題を放置するのは名家の沽券にもかかわるし、内申にも響くので、出されたものは一緒に頑張ろうという話になった。

 内申を気にしなくていいのはアイと黒川さんぐらいだからな。……え、黒川さん? 何で気にしないんですか?(震え)

 

 余談だが、2学年の撫子には夏季講習にプラスして、特別ゼミという2学年限定の講習会がある。つまり夏休みの日数が更に減る。

 3学年になると夏季講習期間が増え、夏休みの日数が5日間のみになる。

 

 その話を聞いたアイは「……3年生になったら赤ちゃん産む。絶対に、産む」と意気込んでいらっしゃった。休学で夏季講習回避しようとすんなや。

 将来の子供に『どうして学生なのにお母さんは私を産んだの?』って聞かれたときに、『お母さんが夏季講習に行くのを嫌がったからだよ?』とか絶対言いたくないからな。

 

 閑話休題。

 さて、そんな授業最終日だが、もう一つのイベントも並行して進む。

 

 

「──で、母上が来たと」

 

「嫌そうな顔するな殺すぞ」

 

 

 三者面談である。

 自称進学校は三者面談が大好き。

 

 ウチの家ではオカンが推参することになった。まぁ、親父殿が来たら討ち入りと勘違いされる可能性があるので、妥当な人選だと言えよう。

 とは言っても学校に親が来て喜ぶ高校生なんぞ希少種だぞ。苦虫を嚙み潰したような表情をした俺に、母親のストレートな罵倒が俺に突き刺さる。このような返しは日常茶飯事なので、何とも思わないが。

 

 

「えっと、来てくれてありがとう。お義母さん」

 

「ほおおおらああああ、見てみなさい馬鹿息子。あー、もう最高。アイちゃんの為にクソ長い道を運転して学校来た甲斐があったわぁ」

 

 

 俺の彼女は希少種に分類される。

 ちなみにアイの母親代わりとしても参加する予定。抜けてるとこさえ彼女のエリアだが、三者面談の案内を親に渡すことが抜けていた場合、大隅半島在住の親御さんは来れないことを理解してほしい。アイが熱出した時と同じ理由で、代打を母親に選んだのだ。

 俺たち3人は旧校舎の空き教室に向かう。

 

 校舎内を一通り見渡した母親はアイに問う。

 

 

「……アイちゃん」

 

「ん?」

 

「学校でヤったの?」

 

「神聖な学び舎ん中で何てこと聞いてんだよ」

 

 

 普通は止める側だろうが。

 しかし、学生時代にしかできないことだからと、俺とアイの性活に興味津々なドスケベババァ。まだ学校ではやってないからね? 何度か誘われたことあるけど、見られたらマジで洒落にならないからね?

 

 アイの告げ口に「お前ちゃんとついてんのかオラ」と理不尽な説教を受けながら、1()()3()()の三者面談の行われる空き教室にたどり着いた。

 3組のアイの授業は2組で行われるし、2組の俺の三者面談は3組の先生が行うし、自称進学校は矛盾の塊である。俺の彼女より矛盾してるよ。

 

 空き教室の前には黒川さんが立っていた。

 彼女が俺たちを視認すると、母上に向けて頭を下げる。

 

 

「あ、馬鹿息子に言ってなかったけど、あかねちゃんの三者面談の親代理も私よ」

 

「アンタは3回も三者面談するのか……?」

 

「面倒だから1回で終わらせてもらうことにしたわ。五者面談ってことね」

 

 

 まぁ、理由は彼女の両親が東京にいるのが原因なんだけどね。アイの報告忘れよりは、真っ当な理由だと思われる。

 教室に入ると、胃薬をラッパ飲みしていた山田先生が、俺たちの様子に気づいて水を一気飲みし、何食わぬ顔で俺たちを迎え入れた。俺は人生初の五者面談であり、恐らく山田先生もそうであろう。母親シェアなど聞いたことがないぞ。

 

 アイ、俺、母親、黒川さんの順に座り、対面に山田先生が座る。

 こうして三者面談×3が開催されるのだった。

 

 

「最初に島津君の1学期の成績がこちらであり、進路希望がコチラになってます。このまま順当に進めば、よほどのイレギュラーがない限りは志望校合格も圏内です」

 

「そうですね。コレはこのままで。後は適当にバーッと。先生、次をお願いします」

 

 

 俺の面談は双方の会話込みで1分で終わった。

 母上の顔に、馬鹿息子はどうでもいいから他二人の進路について話し合おうぜ!と書いていたのか、山田教諭もアイの話題に変える。

 

 

「星野さんの成績表と、進路希望……は島津君と一緒ですね。前より学力は上がっているように見えますが、それでも鹿児島大学狙いだとするのなら、厳しめに申し上げて、足りないと言わざるを得ません」

 

「そう、ですねぇ。鹿大が目標って考えると五教科の低さが目立ちますね。……アイちゃん、ここから頑張れそう?」

 

「でも、進学とかは全然……」

 

「それでも、よ。学力なんてお金と同じ。あって困ることはないけど、なくて困ることは多いのよ。ウチに嫁入りするのなら、せめて……ここぐらいは上げてほしいなぁって、お義母さん思うなぁ」

 

「うぅ……頑張り、ます」

 

「いざとなったら馬鹿息子を頼りなさい。そこそこの学力はあるはずだから──ないと殺すけど、付きっ切りでべっとりぬっちょり見てもらうといいわ」

 

「うんっ」

 

 

 他にも各教科の評価基準に関する質問だったり、山田先生の担当科目視点での改善案を求めたり、学校での様子など、大いに盛り上がった。俺の三者面談の十数倍は時間を費やしたのだった。

 実の息子の扱いがぞんざい過ぎる。気持ちは分からなくもないけど。

 

 

「それで、黒川さんの成績表と進路希望……は白紙ですね。……黒川は、今のところ決まっている志望大学はあるのか?」

 

「……えーっと、5組の税所君と、同じ志望校です」

 

 

 県内進学組、か。と山田先生は嘆息した。

 自称進学校としてはレベルの高い大学への進学率を上げたい気持ちが強く、特に黒川さんのように優秀な生徒には、学校側は県外等も推している。鹿児島の学校って偏差値低し。低いし。

 そして咸の進学先は、県内でも『Fラン大学(低レベルな大学)』と呼ばれる私立大学一択のみであり、そこそこ頭はいいのに、学校の進学実績作りに全然協力しないスタンスだ。それを山田先生は憂いているのだろう。

 

 

「……偏差値78で、惜しいな」

 

「「「な、78!?」」」

 

 

 黒川さん、そんなに頭いいの!?

 というか78とか何? バグ!? アイとか怯えるような瞳で彼女を見てるんだが。そりゃ、成績が雲泥の差なんだから、慄きたくもなる。俺なんか在学可能ぎりぎりの年数でも、78とか取れる気がしない。

 これには母親も絶句。

 

 

「……それなら、黒川さんよりも税所君の進学先を変更した方が早いかもしれません」

 

「5組担任と協議してみます」

 

 

 下手するとアイが初期に出した進路希望の二の舞になるかも……と、母親がそれとなく山田先生に伝えたところ、腹部を抑えながら攻略視点を変えることを決意された様子。

 成績に関しても母親から言うことはなく、俺とは別の理由で三者面談は幕を早々に閉じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「島津、それはそれとして聞きたいことがあるんだが?」

 

「何でしょうか、先生」

 

「新学期から3組に星野の親戚が編入するらしいが、どういう生徒なのか知っているか?」

 

「えーっと、双子でして。兄の方は黒川さん並みの学力は持ってる秀才でして」

 

「それは楽しみだな」

 

「妹の方は、思考回路の方向性がアイ並みかそれ以上です」

 

 

 夏季講習の間、山田先生は顔を見せなかった。

 

 

 

 




大輝「普段は我慢弱くて気持ち悪い、はた迷惑な中年だけど……」

カミキ「………」(白星開眼、武人役演技中)

大輝「(これだ、この引き寄せられるような目。いや、目も凄いが、刃物持たせた役の演技は、圧巻過ぎるだろ……? まるで、本物の武者と相対してるような威圧感、殺気、再現力だ)」

カミキ「……ふむ、メルト君、ここはもっと……こうして……こう! やってみるといい。……そうだ、さすが私が見込んだ男だ」

メルト「あ、ありがとうございます!」

大輝「(有馬かなの言ってた通りだ。強制的に他役者の完成度も上がっていく感覚、これ以上の教材は存在しない、か。黙ってれば、一流。なるほど、人がついてくるのも分かる)」
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