薩摩の子 作:キチガイの人
俺は何で供養小説を毎日投稿してたのだろう……?
なんか無理やり恋愛要素入れてるとか言われたんですが、それって馬鹿共の多種多様な恋愛を楽しみたいってことですよね? 確かに全員食われるのも単調か。せっかく4人の贄がいるんだから、別ベクトルのイチャイチャ見たいよね。頑張るか。
感想ドシドシどうぞ。
人の記憶って何年覚えていられるのだろう。
一説によると、人間の記憶容量は17.5TBという。しかし、人間が外部から受け取る情報が膨大なため、見たものを全て記憶するのは難しい。
……いやいや、絶対に17.5TBもないだろ。
そんなに容量あるのなら、もうちょっと覚えてても良くないか? あれか? ハードウェアが良くとも、使う人間の問題ってか?
なぜ記憶領域の話をしたって?
その日、
「──アイ、俺とルビーの本当の父親を教えてくれ」
アクアは母親に問いかける。
その彼の瞳は、黒く輝いていた。
いつもなら俺がサポートしつつ回答を濁すのだが、今の俺は3徹目で他者のことを気にかけている余裕はなかった。現在進行形で俺の最大の味方はアイとエナジードリンクであり、これなしじゃ生きられない体に変化しつつある。
いくら若者の身体だからって、延々と休みなく仕事すると疲れるんだね。
そろそろエナジードリンクも飽きてきた。別の味のやつを買ってきてもらおう。
そんな俺が瀕死状態での、アクアの奇襲。どう見ても確信犯であり、心のどこかで復讐を諦めきれていないのだろう。違うか。表情から察するに、復讐から解放されたいという気持ちと、しなければならないという強迫観念が入り混じっているようにも見られる。
これメンタルケアした方が良くないか?
病気じゃん。
対するは嘘つきな元人気アイドル。
ソファーに座るルビーの髪を、後ろから
「んー? お父さんはオーカでしょ? ねー、ルビー」
「……そーだね」
目を逸らしながら宝石妹はアイの言葉に、渋々肯定する。自分から『パパ』呼びをするのはいいけど、面と向かって『父親』なのか聞かれると、完全に肯定するのは気持ち的にちょっと……と言いたげな雰囲気だった。
別にいいんだけどね、俺を父親と認めなくても。諦めてるし。
……というか、逆に最近『パパ』とか言われて困惑している自分がいる。アイ似の美少女からのパパ呼びは、新たな性癖の扉を開きかねない。そのぐらい、星野ルビーという女の子は魅力的なのだ。
が、俺はそれ以上に危機感を覚える。
俺には彼女が学校で呼び名を使い分けるヴィジョンが浮かばない。何なら、彼女が俺をパパ呼びして、××高校が上から下まで大混乱になる将来しか見えない。俺、(社会的に)消えっから。
話を戻そう。
「……違う。生みの親のことだ」
「………」
これにはルビーも気になったのか、静かにしてアイの発言を待つ。
自分の生みの親──血のつながった方の父親のことを知りたいのは、当然のことだろう。俺だって逆の立場なら知りたいし、知った瞬間に
だからこそ、俺の回答は『アイが言いたくない』で押し通す。
そりゃ思い出したくもないだろう。
と言いたいところだが、俺は新たに追加されたタスクをこなすだけの機械と化している。アイドル狂いのオッサンと思っていた上司だったが、こんだけの量の仕事をあの人はこなしていたのかと思うと、少しばかり畏怖と畏敬を覚える。
つまり彼女は自分の言葉で双子を説得しなくちゃいけない。
さて、どう出るか──
「……?」
アイ?
「生みの……親……? アクアとルビーのパパは、オーカだけだよ?」
「い、いや、生前に関係を持った男って意味合いで……」
さも当然のように首を傾げるアイに、アクアの方が慌てだす。
アクアの言葉に、噓が得意だった女の子は、髪を梳く手を止めて視線をさ迷わせ、眉間を指で揉みながら何かを思案し、腕を組んで周囲を回りながら顔を上げて瞳を閉じ、顎に手を当てて「うーん」と可愛く唸りながら考え込み──誤魔化すようにポンと手で叩いた。
「……あー、そっちね。うんうん、あれだよねっ。ねっ」
俺は目を細めてアイを見る。
双子に噓をつきたくないとか、そういうレベルの話ではなかった。星の目を輝かせ、アクアの視線を回避し、冷や汗をかきながら……ちょっと待て。
脳裏に嫌な予測が生まれた。
普通に考えればあり得ないが、彼女はあり得ないを平気で起こす女の子である。
「……アイ」
「あ、オーカ! 待って! これ浮気じゃないからっ! 私はオーカ一筋だから!」
「いや、そうじゃなくてさ」
俺は恐る恐る双子の母親に問う。
「──お前、元旦那の名前忘れた?」
「………」
双子はギョッとして母親を注視した。
彼女から肯定の言葉も、否定の言葉も出て来ない。
彼女の元旦那……カミキヒカルへの愛着がなくなったのは、日々の彼女を見れば一目瞭然だったが、まさか彼女の記憶から名前まで抹消されているとは思わなかった。カミキ君、木陰で泣いてっぞ。
「アクア、私って馬鹿だし、人の名前って覚えるの苦手なんだ」
「え、そ、それは知ってるけど……」
「それでね、彼と会話したのって十年以上も前なんだ。うん。話した内容も全然覚えてないけど」
「えぇ……」
もうアクアにとっては復讐どころじゃないだろう。
見てみろよ、コレ。
「──私の記憶はね、余計なことを覚えてられるほど、余裕がないのっ」
復讐対象への関心ゼロだぞ。
知ってるか? 人が死ぬときって、ナイフで刺されて死んだときじゃない。人から忘れられた時なんだぜ? なんかアイなりの復讐に思えてきたわ。
じゃあ、彼との思い出は?とか、俺は仕事しながら聞いてみたところ、一緒に飲んだ『トールキャラメルスチーマーウィズホワイトモカシロップウィズエクストラホイップクリーム』が美味しかったと語る。それスタバの記憶じゃん。そのクソ長い商品名覚えてて、どうして旦那の名前忘れる?
アクアが頭抱えて、ルビーがチベットスナギツネしてっぞ。この惨状で復讐継続は無理だって。諦めて外科医目指そうぜ。(熱い勧誘)
彼女の彼に関しての記憶は「無駄に顔が良かった気がする」である。イケメン美女蔓延る芸能界を渡り歩いた彼女が言うのだから、相応の美男子だったのだろう。スタバの商品以上に記憶に残らない存在なので、本当に美男子だったか怪しいが。
母親がアハハと笑い、息子が両手で顔を覆う惨状にて。
ルビーはふと思い出したように、そう言えば……と疑問を口にした。
「ママを殺した
「そーかも……しれない?」
「ちょっと前にね、お兄ちゃんに似た人を見た気がする」
おっと、これは予想外。
あー、でもプロダクションの代表取締役だし、もしかしたらアイドルデビュー目指して頑張っている過程で、会ったのかもしれない。
アクアは黒い瞳を輝かせ、ルビーの言葉を聞き逃さな
「四足歩行で爆走しながら、幼女を追いかけてたけど」
「それアクア本人じゃね?」
「どうしてそうなる!?」
カミキ君マジでどうしたの?
アイの恋愛対象基準が分からなくなった。……もしかして、俺もカミキと同族で見られてるの? おいは恥ずかしか! 生きておられんごっ!
無関心だったアイもさすがに口を開く。
「い、いや……彼はそういうことをする人じゃないと思うよ。たぶん。壊れてなければ。あ、でも……」
「でも?」
「ゴローセンセってロリコンだったよね?」
「やっぱりアクア本人じゃね?」
「違うって言ってるだろ!?」
その後、ルビーが「もう
星野家は今日も元気です。
【島津 桜華】
今作の主人公。睡眠時間が欲しい。
【星野 アイ】
今作のヒロイン。転生者。十年以上の歳月の結果、カミキヒカルの名前を忘れる。主人公が名前出す度に「あ、そんな名前だったね」と思い出し、3秒で忘れる。43話で彼の名をぼかしていたのは、単純に覚えてなかっただけ。2章終了時には忘れられない名前に返り咲く。
【星野 愛久愛海】
原作主人公。転生者。双子の兄。ロリコン疑惑を持たれ、それを聞いた咸に仲間意識を持たれる。
【星野 瑠美衣】
↑の双子の妹。転生者。毎日が楽しい。今回の件で、あの四足歩行の変態が父親かもしれないという疑問を持ち、あれが生みの親なら今のパパの方が数千倍マシとのことで、主人公に懐く。
カミキ「すまない、かな君。このような仕事しか取れ──」
かな「これっ! これよっ! あんなイロモノじゃなくて! こういう役が良かったのっ! こんな仕事とか言うなぁ!」
カミキ「喜んでくれて何よりだ」
カミキ「あ、それと来週の無人島開拓に関してだが……」
かな「(´;ω;`)ウッ…」