薩摩の子 作:キチガイの人
感想お待ちしてます。
明日は投稿できるか分かりません。頑張りはします。
皆様のおかげで80話を迎え、お気に入りもいつの間にか3,000超えておりました。感謝です。以降も頑張ります。
で、80話なのに今まで主人公以外のオリキャラ勢の視点回がないわけですが、80話を見ていただければ理由は分かります。推しの子二次だからって、オリキャラ勢も抱えているものが重すぎるんよ。誰だよこんな設定にしたのは。俺か。
「まだかな、まだかなぁ」
「あと2時間後だな。飯食いに行かない?」
「えー、でも食べてる間に二人が来たらどうするの? 困っちゃわない?」
「時刻表を信じろ」
アイの頭をポンポンしながら宥める俺。
待ちに待った双子の引越し当日なのは分かるけど、この二児の母親は外見相応に落ち着きがなく、新幹線の改札口で待機しているが、ちょくちょく奥を覗き込んでいる。
というか、2時間前なのに待機しているのもおかしな話ではあるが。
日本の時刻表は優秀なので、脱線事故が起きない限りは、時間通りに来るはず。
それでも、二人の到着を待ちたいと思うのは、親としての純粋な愛なのだろう。
最初は飛行機で帰ってくる予定ではあったんだけど、この日の便は埋まっていたらしく、急遽陸路で帰ってくることになった。明日なら飛行機の席に空きがあったので、荷物搬入はこっちでやっておくので明日来たら?と提案したが、
『ママのところに帰るのっ! お兄ちゃん先生もそうだよね!』
『え、いや、多少時期がずれても──』
『ね!?』(威圧)
『……すまん、頼んだ』
星野家のお姫様が盛大に駄々こねて、それに双子のオカンも追随したことで、最終的に親父殿がグリーン車をポチッた。この双子の引越しだけで、俺の両親にかなり負担がかかっているので、これくらいは臨時収入使って俺が予約するつもりだったが、鹿児島に来る手段が変わると言った瞬間には、親父殿の予約は終わっていた。
この人、孫に対して甘すぎじゃね? アイの時も思ったけど、俺のときと態度違くね?
って話を母親に愚痴ってしまったところ、予想外の答えが返って来た。
『え、だってアンタ、私たちに何か甘えてきたことないじゃん』
『だっけ?』
『手のかからない子だとは思ったけど、かからなさ過ぎ。アイちゃんのことを聞いたとき、アンタも生まれ変わりなんじゃないかって疑ったくらいよ』
『俺も転生者だったら、この転生者まみれの星野家に胃を痛めることはなかったんだがな』
『アイちゃんの周囲って、何かしらそういう力が働いてるのかしら? まぁ、そんなのはどうでもいいわよ。そんなわけで、あの人は双子ちゃんには甘々なわけ。あの二人……いや、アイちゃんもね。身内からの愛情を満足に貰えなかったのよ』
だから、多少の我儘くらいは、ね?と俺の母親は笑ってた。親父殿も言ってたらしい。既に彼女らは島津家の者であり、曲がりなりにも島津の者が、親族の愛情を貰えなかったなど
俺の両親は3馬鹿の環境にも眉をひそめていたからなぁ。他家の話だからそこまで首を突っ込まなかったが、今の星野家は実質的に島津家の人間だ。だからこその言動なんだろう。
それにしても……甘えてきたことがない、か。
よくよく考えてみれば、幼少期に島津たれと言われて以降、誰かに甘えたことなんて一度もなかったと思う。それこそ、先日アイの胸の中で眠ったことが、俺が人生で初めて自主的に甘えた……ことになるかもしれない。
アイと会う前の俺ってドライだったって聞くしなぁ。そして親父殿を見てみろよ。彼に甘えるって発想自体が思い浮かばんわ。
そして、愛情に関して、他の馬鹿共の顔が浮かんだ。
人間ってのは自分に余裕がなければ、他者のことを思う余裕すらなくなる。今の俺は愛情の方向性が定まっているため、故に俺たちの
俺は
咸は
兼定は
未来は
俺は思わず乾いた笑いが出た。
なんだ、星野一家のことが笑えないじゃん。俺たちだって、
そういや立花のオッサンも言ってたわ。『愛を超越すれば、激しい憎しみとなる』と。もしかしたら、カミキヒカルも、そのような気持ちでアイを間接的に殺害したのかもしれない。
愛情というものは、人を良くも悪くも狂わせる。恐ろしいものだ。
そういや、咸が腹いせに他二人の人生の墓場計画を進めていると聞いたが、今はどういう状況なんだろう。あの二人って同年代の女子との噂すら耳にしないんだが。
癖が癖だからなぁ。
「……オーカ、どーしたの?」
「──んぁ、あぁ、別のこと考えてた」
「……こーんなに可愛い彼女が目の前にいるのに、私とのお話の途中で、別のこと考えちゃうんだぁ。どんなことを考えてたのかな? んー?」
少々不機嫌そうに頬を膨らませる二児の母。可愛い。
俺はため息をつきながら、その膨らんだ頬をぷにぷに伸ばすのだった。柔らかい、モチモチしてる。
「愛情について考えてた」
「イッツ・ア・ラアアアブ、だね!」
「どこでそんな言葉を覚えた?」
英語の成績が低すぎて、生前に海外ロケNGだった少女の発言に俺は首を傾げた。
しかも発音が和製だったので、多分本人も正しいのか間違っているのか分かってない様子。
そんな感じで、わざわざ改札口前でイチャイチャしながら、新幹線で鹿児島に帰省してきた人々に砂糖を振りまく。傍から見ればただの嫌がらせである。
アイと話をしていると時間が経つのは早く、2時間経過し博多からの新幹線が到着した。
改札口から出てくる人の中に、ラフな格好をしながら手をつないで出てくる、似たような顔面形成の男女がこちらに向かってくる。言わずもがな、星野兄妹だ。
「──ママあああああああ!」
「二人とも、おかえ──ふがっ」
人間魚雷のように母親の姿を見た瞬間突撃してきたルビーに、両手を広げて迎える準備をしていたアイは、娘の衝撃を完全に殺すことができず、二人は倒れ込んだ。元人気アイドルらしからぬ声も出たしな。
余談だが、近くを通った人々は、ルビーのママ発言に3度見してた。気持ちは分かる。が、見せもんじゃねぇぞ、散れ散れ。
「壱護さん元気にしとった?」
「生きてはいた。生きては」
「そりゃ上々。あ、前にアクアが言ってた機材も自宅に置いてるから。細かい部分は分からんから、後は自分で何とかするなり、調べるか聞くかしてくれ」
「分かってる。仕事できる環境をさっさと作らないとな……」
安否不明だった壱護さんも生存していて何より。どうやら大変な様子だったらしいけど、『呼吸していれば生きてるのでヨシッ!』の島津理論的には、五体満足なので無事である。
なお、精神面は考慮しないものとする。
アクアもアイから頼まれたものを渡してくれたようだ。
数名を宇宙猫にしたようだが、前世の
無論、双子の迷惑にならない程度に、だ。何も知らない人間に送ったところで、生まれ変わりなんざ普通は信じないからな。信じている俺たちが頭おかしいのだ。頭おかしかったわ。
「というか昼飯の時間だな。どっかでか食って帰ろうか」
「荷物の運び出しがまだだろ? できれば今日中に終わらせたいんだが」
「あ、大丈夫。俺とご隠居が30分で全部運んどいたから」
「俺はともかく、家具家電とルビーの荷物は多かったよな……?」
引越し準備の段階で、カテゴリーごとに段ボールに色付けといて……と言ってって正解だった。それをもとに、最速でトラックに積んでいた荷物を全て運び出したからな。ご隠居が「階段上るのめんどくせぇ」って、1階から2階のベランダにジャンプして運び始めた時は、荷物の方の心配をしたけどね。おそらく無傷のはず。
ちなみに、双子は俺ん家の横──201号室に引っ越してきた。合鍵は渡してあるので、我が家は2階の住民のたまり場となった。フリースペースって言うなよ。
「ほら、二人も飯の案出して」
「サイゼリヤとかで良くない?」
「……ルビー、えっと、残念だけど、鹿児島にサイゼリヤはないんだよ?」
「「……えっ?」」
母親の無慈悲な言葉に、双子は目を丸くするのだった。
サイゼリヤ、お待ちしております。
癖の理由
【島津 桜華】
巨乳好き。無意識の『他者に甘えたい』の意。
【税所 咸】
ロリコン。元許嫁の面影を追って。
【伊集院 兼定】
熟女好き。それぐらい年を重ねると、外傷で死ぬことはないという安心感。
【種子島 未来】
ふた〇り好き。これを言っとけば、リアルで異性は自分を愛さないだろう。
カミキ「株式会社TOKI〇との業務協定が決まったぞ!」
かな「あれ、姫川さんは?」
メルト「
かな「あぁ、なんかウキウキしながら出て行ったわね。出る気満々じゃない」