薩摩の子 作:キチガイの人
本当は馬鹿共視点のガチシリアス回を投稿予定で、仕事も疲れたし昨日少し書いた分あるから今回の投稿は楽だなー、あー、最近読んでる『推しの子』二次の最新話来てるわ展開気になってたんだよね。楽しみだなあああああああああああああああ……と鬱展開で情緒不安定になってました。
んで、この鬱展開に、俺も鬱展開出すの辛くない?ってことで、急遽、前々から考えてたネタ回を爆速で執筆しました。
次回どうしよ。明日仕事しながら考えます。
「ルビー、とりあえず2.3時間は静かにしといて」
「どうして?」
「今からゲーム実況生配信やるから」
リビングで実況環境を整えながら、対面のソファーでだらーっと寛いでいるルビーに釘を刺す。アイは息子とお買物デートしてる。なかなか素直になれないアクアを、無理矢理ルビーと力を合わせて送り出した。ゲーム機をテレビにつなぎ、通話機能の確認をしていると、娘(義理)が興味深そうに覗き込んでくる。
物珍しいのかな?と一瞬思ったが、宝石妹曰く『苺プロってネット系の配信者が多く在籍してるんだ』と、自分の事のように得意げに語る。中には年収1億のYouTuberとかも抱え込んでいるのだとか。上位の人間だと、そこまで稼げるんか。さすが子供がなりたい職業ナンバー1なだけのことはある。
でもウチには
張り合う点が違うだろうけど。
「ゲーム実況ねぇ……何やるの?」
「マリオカート」
「レースゲームだっけ? あんまりゲームとかやったことなかったから、全然詳しくないんだよね」
マインクラフトやる前のアイも同じことを言ってたと思いながら、内心で『親子だなぁ』と思う。前世の記憶があるはずなのに、親子で似るものなのだろうか? それとも身体に引っ張られているのか。最近、
そして、俺たちは『ゲームやったことないんだよねー』とか言う奴を、沼らせるのが大好き。元人気アイドルはRPGのシナリオに没頭し、元女優は某家畜共の森で毎日株価チェックを欠かさない。
世界中の親御さん、よぉく聞いとけよ。
娯楽抑圧したときの反動ってのは大きいんだからな。適度にやらせるのがベストだ。
「超絶かなりうるさくする所存だから、どうしてもってなら
「……興味あるから、ここで見ていい?」
「あぁ、別にいいけど」
ルビーはとてとて歩いて、俺の隣のソファーに座る。
そして、首を若干傾けて、スマホをいじりながらテレビ画面を見るのだった。
♦♦♦
『はーい、みなさん、おはこんばんにちは~。マリオカート実況生、始めたいと思いまーす。視点主は、僕こと
「おはこんばんにちは。
『ちわ。
『配信ご視聴中の皆様、おはよう、こんにちは、そしてこんばんは。
いつものように、配信を開始する俺たち。基本的に配信画面は未来の視点で進めるので、他メンバーがやることと言えば、マイクの音量調整くらいだろうか。
流れるコメント欄から『暴言配信やったぜ』『第二回スラムカート』『ハム公の鬼畜紅甲羅スナイプ見に来ました』等、平日のこの時間なのに、そこそこの視聴者が集まっているらしい。
忙殺されそうになった仕事のストレス発散が、今回の配信の目的なので、俺的には視聴者の数は注視していない。地獄の清算書やら計算書が未だに夢に出てくるので、腹いせに馬鹿共を俺のクッパで嬲り殺しにするだけである。
『そして、今回のゲストは、こちらっ』
『──えっと、み、みなさん。お久しぶりです。あかっち、です』
コメント欄が爆速で流れる。
荒んだ現代日本に舞い降りた天使こと、黒川さんの登場である。今回は観客枠で参加と言っているのに、コメント欄は『癒しキタ』『勝ち申した』『あかっち様の声を聴くために生きてる』『姉御、待ってましたぜ!』と、歓喜の声は加速する。
いやはや、すっごい人気だなぁ。
「……なんか想像してたより多いね、パパの実況」
ルビーがスマホで同時に流していた、音を消している配信画面を見ながら呟く。
そう、呟いてしまう。
俺の高性能なマイクの近くで。
コメント欄が『パパ!?』『ハムタロサァンのマイクから聞こえてたぞ!?』『え、子持ち!?』『声の質から、十代の美少女と見た』『ハムタロサァンとリボンちゃんの子供!?』『【悲報】AIさん子持ちの母親』と、阿鼻叫喚の地獄絵図と化す。目で追えないくらいには流れては消えて行くコメントを眺めていると、兼定の露骨なため息が聞こえた。すまんて。
んで、ルビーはアイの娘である。このチャンスを逃がさずモノにする。
「どうもー、いつもパパとママがお世話になってまーす。娘のルビーです♪」
アイドルより先に動画配信デビューを果たしたのだった。
名を売るには、有名配信者とのコラボが有効であると、どっかでか聞いたことがある。ネットに強いと言われているプロダクションの環境下で過ごしてきたルビーも、記憶の奥底でその情報を知っていたのかもしれない。
誤爆のピンチを、売名のチャンスに変える。その土壇場の頭の回転の速さには、さしもの兼定も感嘆の声色を出す。土壇場の起死回生の一手は、島津的にはポイント高いよ?
同時に、俺はルビーの行動を心配する。
別に売名行為を咎めているわけではないと明言しておく。それ自体は、配信主の未来もLINEで了承を貰った。
『はーい、では今回のルール説明。暴言禁止。以上』
『そうですね。あかっちさんも見てますし、何より
『だなァ。というか、オレたちは模範的で誠実な実況者だぜ? 暴言なんざ吐くかよ』
「キャラ選択が終わったなぁ。コースはランダムだっけ?」
だって、今回の配信。
『最初のレースが始まるよー』
『おいゴラァ。何が『暴言ないなら見る価値ないわ』だ』
「久しぶり過ぎて操作忘れてるわ」
『あかっちさんも見ていますので──本気で参ります』
ルビーがペットボトルのキャップを外して、水をゴクゴク飲む。
プープープー、プー(スタート)
『『『「お控えなすってえええええええ!」』』』
「ブハッ」
エセお嬢様言葉縛りだぞ? 開始から全然違うけど。
口に含んでいた水を俺に噴き出す宝石妹。俺がびしょびしょになってしまったが、既にレースは始まっているので、口から紡がれる暴言の嵐を、己の信ずるお嬢様言葉へと変換させる。
『道をさっさと開けるのですわ愚民共!』
『まぁ! はてなボックスを取りやがったウジ虫はどこのどいつですのっ!』
「バナナを制する者がマリオカートを制するのですわ!」
『紅甲羅の餌食になる豚はどいつかしら!』
「げ、ゲホッ……き、きかん、ゲホッ……気管支……ゲホッ……」
『ルビーちゃん大丈夫!?』
『あら、先頭を馬鹿みたいに走る非国民を消す
『ゴラああああああ! それ絶対今撃つんじゃねぇですわよっ!』
「2位は高見のお見物ですわああああ!」
『下等生物の金切り声でお飯が食えますわ!』
『オッホホッホ~』(投下)
「いやてめぇホントマジで急にバックしてくんなですわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
『無様に空中で回転する様は大変お似合いでしてよっ!』
『ざまぁねぇですわあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?』
「緑甲羅すら回避できねぇ三下はクソして寝ろですわ!」
『はぁ!? こんなところにバナナとかしゃらくせぇですわ!』
『サンダー撃ちやがった頭鉄火団は誰ですの!?』
『あー、マジ4位とか、やってらんねぇですわー』
1レースが終わると、
『『『「おつかれっしたー」』』』
素に戻るのである。
しっかし、他の面々もエセお嬢様言葉が板についているな。俺もアイから白い目で見られながら、頑張って習得し、何とか心の内にお嬢様を飼うことに成功したのに。
今の俺の心には
さすがに配信中ずっとエセお嬢様するのは辛いけど。
なのでレースのみ憑依させるのだ。
『『『「お控えなすってえええええええ!」』』』
こんな風に。
『……お嬢様って、そんな言葉遣いしないよ?』
黒川さんの言葉は、俺たちの完璧で汚いお嬢様言葉にかき消されるのだった。
【星野 瑠美衣】
双子の妹。転生者。ゲーム実況界隈で、自分の母親が『マイクラのレジライ』『村人キラー』『全ロスの貴婦人』と呼ばれていることに驚く。
【黒川 あかね】
劇団『ララライ』の元エース。ゲーム内の株価の変動を毎日ノートに書き記すのが日課。咸に「株に興味おありですか?」と勘違いされて、リアルで試しに株売買を咸の資金でやらされて、本当に倍にしてしまったのは良い思い出。
かな「『マリオカートお嬢様おクソ生配信』って、何これ」
かな「……トレンド上位に入ってるんだけど」
かな「今暇だし、見てみるか」
──視聴後──
かな「………」
かな「あの妹、何やってんですの……?」