薩摩の子 作:キチガイの人
アレとアレらの再会っていう主目的は決まってるんですけどね。アレが再会しないと、次章でアイがはっちゃけられないし、次章で当主殿と宝石兄妹がオタ芸できないし。
感想お待ちしております。
どっかでか『カミキヒカルの優雅な一日』とか書いてみたいなぁ。
追記・更新遅れます。仕事が月初忙しすぎるんだよ(´;ω;`)
女三人寄れば姦しい──なんて言葉がある。
この『姦しい』という漢字の成り立ちから察する通り、女性という生き物はお喋りなので、三人寄ると大変騒がしいことから生まれた……とか。
正直言って男女関係なくガキ三人集まればうるさいし、モノの例えみたいなものなんだろう。
「「「「あはははっ!」」」」
「………」
なんて思ってた時期が俺にもありました。
麗しい女性陣を部屋に招き入れたはいいが、何というか……その、圧倒的疎外感が半端なかった。薩摩に来たばかりの黒川さんも、最初はこんな気持ちだったのかなって思うくらいには、自分の場所が見当たらない感覚がある。
別に彼女らが俺を排除しようとしているわけではないと明言しておく。あの芸能界で生存している生粋のサバイバーなので、喰えない性格の連中が跋扈しているのは分かる。でも、だからといって性格が悪いとは思わない。わざわざ炎上した元共演者を心配してド辺境に来るのだから、根本的には優しい性格の娘たちなのだろう。
でもね、どんだけ頑張ってもメリーゴーランドと親父殿はベストマッチしないのよ。
気分的にはそれと一緒なんよ。薩摩兵子にガールズトークは似合わないんよ。
なのでリビングのソファーエリアを明け渡し、お菓子と麦茶、未開封の紙コップ群をテーブルに置き、俺は自分のベッドに寝転がって時間をつぶす。
LINEで咸に進捗状況を確認したところ、どうやらデートエリアを天文館に移動させたらしい。帰りは夕方過ぎになるとの事で、咸にだけ黒川さんの知人を俺ん家に回収している旨を伝える。サプライズなので黒川さんには内緒にしてほしいと二人は言っていた。咸も彼女には秘密にしておくとの事。
あと我が家の男女比率を上げるためにアクアに救援を求めてみたが、『仕事』の二文字で切り捨てられた。ルビーはウチのオカンと買い物行ってる。例のお師匠さんの仕事を手伝っているのだろう。アイの情報の絨毯爆撃の被害は大丈夫だったんかね?
余談だが、彼の師──五反田監督は、そこそこ有名な映画監督であり、腕は確かであると聞いたことがある。売上よりも映画の出来を重視するため燻っているとかなんとか。それを聞いた当主殿が「彼の映画を見たが、非常に素晴らしい。予算出すから、ウチで『シマーズ・ポッターとサツマハンの重鎮』ってタイトルで映画作ってほしい」と言ってた。語呂が良い分タチが悪い。
高予算の勇者ヨシヒコが生まれる可能性が出てきた。
『ところでアクアに聞きたいんだけどさー』
『何だ』
『黒川さん関連で、ウチにMEMちょさんが来てるんだけどさー』
『は?』
LINEでアクアに聞きたいことがあったので、仕事中に申し訳ないが話題を振ってみた。なんだかんだ優しい彼は、俺のLINEに反応してくれた。
YouTuberのMEMちょさん、現在は苺プロダクションに在籍していると聞いた。なので、その関係者であるアクアに名前を出してみたところ、どうやら知己ではあるらしい。
『自己紹介の時に、肩書と名前と高校3年生って単語を出したんよ』
『あぁ』
『その言葉さ、直感的に噓だと思ったんよ。彼女って何か隠してたりしない?』
既読からの返信にそこそこの時間を有した。
『……それ本人に聞いたか?』
『いや、なんか聞いちゃいけない気がしたから、本人にはまだ』
『その方がいい。桜華も知る必要はないと思う。彼女に恥をかかせたくなければ』
そういうレベルの話なん!?
逆に物凄く気になったが、アクアの諫言を尊重することにした。
薩摩兵子たるもの、余裕をもって紳士たれ。
「──でね、あかねの自慢の彼氏が気になってね」
「そうそう! 写真すら見たことないから、気になってるんだぁ」
炎上騒動後の黒川さんが心配──というのも理由の一つだが、鹿児島に来た理由の中に、『友達から惚気は聞くけれど、ビジュアルが不明の彼氏の正体の確認』も含まれているらしい。
咸って写真撮られるの嫌がるからなぁ。
先の生配信もボイチェンで声色変えてるし。まぁ、立場上、あんまり自分の姿を残したくはないのだろう。俺だって咸が写ってるのは2.3枚しか持ってないし。
半成人式の時の集合写真、蛍の9歳の誕生日に撮った写真……そして、咸と黒川さんとのツーショットのみだ。
黒川さんなら大量に持ってるだろうけど。
「あの演劇命って感じだったあかねに春が来たって、『これは面白くなってきたっ!』って『今ガチ』グループLINEでも大騒ぎだったの。でも、あかねが頑なに彼氏の写真送ってくれなくて……」
なので彼女らの中で『黒川さんの彼氏』は、徐々に美化されていったらしい。
「早く見てみたいなぁ。あかねの彼氏」
「ねー。あかね曰く『優しくて気配りも完璧で、ちょっと料理は苦手だけど、そこが逆に可愛くて、そこらへんのモデルなんて目じゃない超絶美男子の白馬の王子様』だって聞いたし」
おかしいな。
MEMちょさんの言い分が正しければ──黒川さんって咸と別れて別の男と付き合ってないか?
あの胡散臭くて、ニコニコ笑いながら『言葉の裏には針千本。千の偽り、万の嘘』とかほざきやがって、ガワもアクアの方が数千倍カッコイイと思うんだが。白馬の王子様コスとか、宝石兄の方が全然似あうと思うし。つまり咸とは別人の可能性が高い。
それとも黒川さんフィルターではそう見えるのかな? 眼科行く?
「私もみっちゃんの写真持ってないなぁ。オーカ、持ってる?」
「え? あー、まぁ、あるにはあるけど」
なんて俺とアイが会話したものだから、なし崩し的に俺の写真フォルダーがお披露目となった。もちろん今のカップルとのツーショットのみ開示し、半成人と許嫁の写真は秘匿する。悲しいかな、俺は今から彼女たちの夢を破壊することになる。
しかし、俺のベッドにまで見に来た芸能人三名は、覗き込むように写真を見て、俺の予想とは明後日の方向の反応を示した。
「……え。普通にカッコイイんだけど。え? モデルやってる? というか、あかねの反応は何? こんなイチャイチャしてる表情のあかね、初めて見るんだけど」
とりあえず
「うわっ、超イケメンじゃん。アクたん並みなんだけど。このミステリアス感あるイケメンがあかねの好みなのかぁ。ラブラブじゃん」
MEMちょさんも要検査入院らしい。
「……兼ちゃんもカッコイイもん」
寿さん、あれもセミの裏側と大差ないぞ。
というか張り合わなくていいんだよ? あれ定員割れしてるから、競争相手ないに等しいし。大丈夫、そのうち兼定を物理的に梱包してプレゼントするからね?
彼女らの反応に困惑していると、唐突に何の脈絡もなく、そして前触れすらもなく、ファッションモデルの
近い近い近い近い! そして美人!
さすが彼氏持ちのファッションモデル。自分の武器を理解していらっしゃる。
「アイちゃんの彼氏君も、よく見たらイケメンだね。……うーん、よく見なくても美男子じゃん。鹿児島の男って、もしかしてレベル高いの?」
「オーカは最高にカッコイイからね!」
ウチの彼女に自慢されて悪い気はしない。
が、ここ最近の話になるが、芸能界で活動する少女たちの美的価値観を俺は疑っている。自分はもちろんのこと、咸や兼定を『イケメン』に分類してる時点で、彼女らの評価基準が独特かつ適当であることは事実と言わざるを得ない。
アイだって俺を顔立ちの整った美少年とか言ってくるし。アイはなぁ。褒めてくれるのは嬉しいけど、それはそれとして、心配なのである。だって四足歩行で幼女追い掛け回す変態に、特別な感情を抱いていた人間だからなぁ。
カミキと同類だけは嫌だなぁ。
──もしかして、これがいわゆる『キモカワイイ』に近い美的価値観なのだろうか?
姦しい四人を眺めながら、俺は漠然とそう感じるのだった。
アクア「……カミキ、ヒカル」
アクア「種子島撫子曰く、この男が俺たちの父親の可能性が高い、と」
アクア「………」
アクア「俺は、復讐を諦めない」
アクア「アイの為でもなく、自分の意志で」
アクア「これ以上──同じような外見の俺の評価を落とさないために」
アクア「なんで俺たちの親父が、ネットのおもちゃになってるんだよっ……!」(走るカミキヒカルBBを見ながら)