バンドリを知らない神がAIの力を使って転生させるお話 作:柳芽帆奈
「ふふっ……買っちまったぜ、iT〇nesカード」
コンビニを出て、俺はほくそ笑んだ。
今日は俺がハマってるゲーム『バンドリ!ガールズバンドパーティー!』の箱イベ開催日。しかも、一番の推しバンドであるRoseliaの箱イベなのだ。この日のためにバイトでためた金をたった今、この一枚のリンゴが描かれたカードに惜しみもなく注ぎ込んできた。そして、もう片方の手には徹夜でイベントを戦い抜くための不眠グッズ一式を抱える。さあ、準備は万端だ。早く帰って15時からのイベント開始に備えよう……そう思って駅に向かっている途中だった。
「んあ?」
突然立ち眩みのような感覚を覚えた。いや、これは立ち眩みじゃない。目の前が真っ暗になり、身体の自由がきかなくなる。何が起こったのか分からないまま、俺はその場に倒れこんだ。
「おい!あんた大丈夫か!?」
「救急車だ!救急車を呼ぶぞ!」
「あ……あぁ……!」
おそらく周囲の人が助けに来てくれたのだろう。しかし、俺にもう反応する気力は残っていなかった。声を出そうにも言葉にならずに空気しか漏れない。そして、そのまま俺は意識を失った。
………………
どのくらい時間が経っただろうか。次に俺が目覚めたのはさっきまでの東京の街ではなく、上下左右真っ白な空間だった。ここはどこなんだ?病院なのか?それにしては何もなさすぎる。そもそも俺はなぜこんなところにいるんだ?疑問だらけだが、ひとまず自分の状況を確認するために起き上がろうとしたその時、誰かの声が聞こえてきた。
「あー、やっと目ェ覚ましたよ」
振り返るとそこには一人の女性がいた。髪は長くて金髪、顔つきは幼い感じがするが、スタイルはとても良い。ただ、そんなルックスとは裏腹に着ているシャツには『T〇NGA茶屋』とかいう訳の分からん言葉がプリントされていた。あっ、これ絶対まともな人じゃないぞ。関わらない方が良さそうだと思った矢先、
「あのさァ、アンタ死んだんだよネ」
「……は?」
その女性はいきなり突拍子もないことを口に出した。俺が死んだだと?確かに意識を失う前のことはよく覚えていないが、まさか本当に死んでしまったのか?でも、なんでこの人はそのことを知っているんだろう。
「あ、言ってなかったっけ?アタシ神様だからサ」
「か、神様?」
「何?なんかおかしいの?」
彼女はさらっととんでもないことを言う。どう見ても普通の……いや、絡んだらめんどくさそうな残念少女にしか見えないのに、実は神だというのか?
「残念少女ねぇ……一体誰のことを言ってんだろうね(ニコニコ)」
「え!?な、なんで読めるの!?」
「嫌だから言ったじゃん。一端とはいえ一応神なんだから心ぐらい読めるっつーの……まあいいや。もうめんどくさいから単刀直入に言うね、あんたを好きな世界に転生させたげます、ぱんぱかぱーん」
「転生?」
「そ、君たちが大好きな転生。輪廻転生の輪に従って違う世界に生まれ変わるんだよ。よかったじゃん、憧れてたんデショ?」
「そ、そりゃあ憧れてないっつたら嘘になりますけど……」
「でしょ?じゃあさ、どんな世界に行きたい?剣と魔法のファンタジー世界で無双したい?それとも現代社会で天下取っちゃう?」
「いや、そういうんじゃなくて……そもそも俺はどうして死んじまったんですか?」
「あぁ、あれね。過労、過労。心当たりあるでしょ」
過労か……。言われてみると最近疲れが溜まっていた気がする。仕事に追われる毎日だったし、休みの日には趣味のゲームをしたり、それがきっかけで始めたベースの練習をしたりして、ろくに休んでなかったな。
「それで?どんな世界に行きたいの?」
「じゃあ……バンドリの世界で自由気ままに暮らしたいです」
「おけ、んじゃあっちに扉あるでしょ?あれ、転生装置でそこに入れば自分の望む世界に行けるから」
「え、ちょ待ってくださいよ!まだ聞きたいことが……!」
「ごめんね私も忙しいからさ、頑張ってねん♪」
彼女はウインクしながら手を振った。
「マジかよ……」
俺は呆然と立ち尽くしていた。これが本当なら、望んでいる世界……俺の場合はバンドリの世界に行けるということだよな。それは嬉しい。
「んじゃ、行くか」
『バンドリの世界で自由気ままに暮らしたい』。そう考えて俺はノブを回し、新たな世界に足を踏みいれる。
〜side神〜
あー、めんどくせ。あの転生装置神側で一旦どんな世界なのか入力しないとダメなんだよな……てか、バンドリってなにさ。異世界ファンタジーとかならそういうテンプレが出回ってるからやりやすいのに。
「でも入力しないと、どこにも転生出来なくて存在が消えかねないし……」
とりあえず埒が開かないから、ch◯tGPTにバンドリの概要聞いてそれを転生先の情報にそのまま入力するか。我ながら天才!省エネ最高!
「んじゃ、さっさと済まして寝ヨ」
そう呟いて私はchat◯PTを起動させるのだった……
(なお、後程これが大変な事態を引き起こすことになるのだが、それはまだ誰も知るよしもない……)
昔、ハーメルンでバンドリキャラがキャラ崩壊しまくるコメディ小説がどこかにあったんですけど消えてたんです……そこで、自給自足しようと思い立ってこの小説が生まれました。チビチビ更新していくので応援よろしくお願いします。