徒花テンタクル:恋する触手怪人   作:WhatSoon

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5話:遭遇

「……そろそろ、君にも『種』を植えてもらいたい」

 

 

私はビーズクッションの上に寝転がり、本を読んでいた。

本を少しずらし、部屋に入ってきた……石動に視線を向ける。

 

 

「そう」

 

 

本を閉じて、欠伸をする。

眠たくて欠伸をしている訳じゃない。

コイツとの会話が退屈なだけだ。

 

 

「……君の遺伝子情報と一致する人間は、彼女だ」

 

 

石動が渡してきた紙を受け取り、指で摘む。

そこには顔写真と名前や住所、年齢や経歴まで記載された紙があった。

 

……17歳の女。

2000年前なら十分に成人済みだったが、この時代では子供だ。

 

 

「今晩、また送迎用の車を出す。指示に従ってくれれば、それでいい」

 

「……まぁ、分かったわ」

 

 

乗り気ではないが、やらなけばならない。

この部屋に住み、好き勝手している以上は仕方ない。

 

……こうやって指示されるのが嫌で、貯金しようとアルバイトを始めたのだが、全く貯まる気がしない。

 

バイトに寄って得られた情報として、真っ当な金銭感覚についてだ。

石動は私に莫大な金を払っているという事は理解出来た。

私の稼いだ金銭など、彼が私に対して使用している金銭に比べればカスのような物だ。

 

……まぁ、アルバイトを辞める気はないが。

あそこは心地良いし、数年貯蓄すればここを出られるだろう。

それまでの我慢だ。

 

石動は私の部屋から出ようとして、立ち止まった。

視線の先には、花があった。

 

 

私がバイト先で貰ってきた売れ残りの花だ。

紫陽花だ。

花言葉は『無情』『冷酷』……まぁ、良い意味はない。

 

石動は私が花を購入した事について訝しんだのだろう。

理由が気になるのか……しかし、足を止めたのは一瞬で、そのまま部屋を出ていった。

 

 

「……面倒ごとばかり。嫌になるわ」

 

 

足を組み替えて、本を開き直した。

カバーだけ小難しい本と入れ替えた恋愛小説を、私は読み進める。

 

今、女が好きな男に強く当たっている所だ。

理由が分からない。

故に、目が離せない。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

「よく来たな、祐二」

 

 

僕……結城(ゆうき) 祐二(ゆうじ)は黒いスーツを着た警官と握手した。

 

ここは警視庁……七課、特異現象対策課。

所謂、オカルト事件に対する捜査を担当している課らしい。

 

公表はされていないけど、現在はあの……バケモノ達を相手にしている。

 

 

「大学の方にはちゃんと行けてるのか?」

 

「ええ。アイツらは急に出てくるので……単位の事を考えると、平日にサボってられないです」

 

 

僕がそう言うと、警官は笑った。

彼の名前は北条(ほうじょう) 隼人(はやと)だ。

年齢は28歳、警視庁七課の捜査員の一人。

良い人だ。

 

半年前……僕が、謎の力に目覚めてからサポートしてくれている。

彼は民間人である僕を戦わせている事を気に病んでいるようだけど、それでも……彼の優しさのお陰で僕は助かっている。

 

僕は後ろ手で頭を掻きながら、口を開く。

 

 

「あーえっと、今日はちょっと呼び出されていて──

 

「あぁ、アイツか」

 

 

北条さんが眉間に皺を寄せた。

 

 

「アイツって……よくないですよ。折角、捜査に協力してくれてるんですから」

 

「……あのなぁ、祐二」

 

 

肩を叩かれる。

 

 

「お前は疑う事を知らなさすぎる。アイツは普通じゃない」

 

「な、なんで分かるんですか?」

 

「刑事の勘だ」

 

 

北条さんが自分の眉間を、親指で叩いた。

……そ、そんなにあの人、怪しいかな。

 

 

「そ、それでも……協力して貰ってますし、あの人がいないと僕は戦えないんですから」

 

「それもそうだが……なぁ」

 

「悪い人じゃないですよ」

 

 

僕が歩き出すと、北条さんも横に連れるように歩き出した。

 

 

「……まぁ、お前のスポンサーみたいな奴だ。俺は疑っているが……祐二は、そのままで良いかもな」

 

「……なんですか、バカにして」

 

「してないさ。そうやって人を疑えない所も、悪口を嫌う所も、お前の良さだと思ってる」

 

 

北条さんの言葉に眉を顰めながら、僕はドアノブに手を乗せた。

捻って開けると……そこには、僕よりも二周り程年上の男がいた。

 

彼は僕を見ると、頬を緩めた。

 

 

「いやぁ、待っていたよ。祐二くん」

 

「すみません、お待たせしちゃったみたいで──

 

 

彼は僕が戦う為に、色々な装備や情報を提供してくれている。

謎の力による変身を補助するためのスーツや、悪路も走れる強力な大型バイク……そして、奴らが現れるのを事前に探知できる機械もだ。

 

 

「石動さん。今日の用事は何ですか?」

 

 

目の前の、優しげな笑みを浮かべている男……名前は石動(いするぎ) 流一(りゅういち)だ。

『イスルギ・コーポレーション』という国内屈指の大企業の社長で、考古学にも精通していて……昔は科学者だったらしいし、何でも出来る人だ。

 

 

「いや、君の形状記憶スーツの戦闘データを貰おうと思ってね。外してくれるかい?」

 

「あ、はい。了解です」

 

 

僕は腕に巻いていた腕時計のような物を渡した。

これが僕の変身をサポートしてくれるスーツだ。

 

側から見たら腕時計だけど、一定の手順を踏む事で身体を包み込む鎧のような物を形成できる。

特殊な形状記憶超金属、Gメタルが使用されている。

『イスルギ・コーポレーション』が開発した金属らしく、まだ市場には出回っていない。

それがスーツの待機形態の小型化に貢献しているという訳だ。

 

これがないと僕は、身体の半分程度しか鎧を形成できない。

なんでも石動さん曰く、僕の力は不完全らしく……それをスーツで補っているんだ。

 

 

名前は『ガイア・ギア』。

何だか子供向けヒーローの変身アイテムみたいな名前だ。

 

石動さんがデバイスを『ガイア・ギア』に近づけると、電子音が鳴った。

 

 

「うん、ありがとう。助かるよ」

 

「いえ、僕の方こそ……いつも助けて頂いて感謝しています」

 

 

『ガイア・ギア』を受け取り、腕に巻きつける。

その仕草を石動さんはじっと見ていた。

 

首を傾げる。

 

 

「どうかしました?」

 

「いや、ね……『ガイア』の力に何か変化はあったかい?」

 

 

『ガイア』……というのは、この謎の力の名前らしい。

石動さんが趣味で研究していた古文書に、怪物を打ち倒す戦士として『ガイア』の名が刻まれていたらしい。

 

 

「いえ……絶好調ですよ?あぁ、いや、前と同じって感じなので……現状維持が正しいですかね?」

 

「そうか……まぁ、悪い変化がないなら、それでいいさ」

 

 

石動さんが笑った。

……やっぱり、北条さんは疑い過ぎだと思う。

 

彼はネクタイを締め直しながら、頬を緩めた。

 

 

「また、奴らを検知したら連絡しよう」

 

「ありがとうございます」

 

 

僕が頭を下げると、石動さんが立ち上がった。

 

あのバケモノが現れると発生する波長……それを探知するための機械を、石動さんが開発している。

……具体的な仕組みはよく分からないけど。

 

それがあれば……被害者を最小限に抑えられる。

 

だから、僕は凄く感謝していた。

石動さんが居なければ、僕はきっと奴らと戦えていない。

 

彼はドアノブに手を掛けて、小さくため息を吐いた。

 

 

「……どうかしましたか?」

 

「あぁ、いや……ね。彼女も君みたいに融通が利いてくれれば……と思ってね」

 

「彼女、ですか?」

 

 

僕が首を傾げると、石動さんは疲れたように笑った。

 

 

「親戚の子供を預かっているんだけど、それが本当に暴れん坊でね。少し困っていたんだ」

 

「へぇ……石動さんも、そういった悩みがあるんですね」

 

「ははは、君は僕を何だと思っているんだ?僕も君と同じ人間だよ」

 

 

石動さんがドアから出て──

 

 

「じゃあまた。何かあったら、君からも連絡してくれるかい?」

 

「はい!分かりました」

 

 

僕は頭を下げて、それを見送った。

……ドアの後ろで、北条さんが腕を組んで佇んでいた。

 

 

「北条さん……ほら、悪い人じゃないですよ」

 

「…………どうだろうな」

 

 

随分と溜めたな。

多分納得してないんだろうなぁ、と思いながら僕は苦笑した。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

夜。

 

私は石動の部下が運転する車から降りて……自分の『種』と遺伝子情報が一致する女の居場所まで到着した。

 

……アパートだ。

私は足を触手に変えて……蛸のような吸盤を生み出し、壁に貼り付ける。

そのまま登っていく。

 

暗闇の中、バレはしない。

 

そのまま部屋の入り口まで辿り着き……私は目を作り替えた。

8つの目で部屋の入り口に立つ。

 

それらは様々な生物の長所を切り分けた四種類、二対の目だ。

 

温度感知と、電磁波の感知機能を活かし……部屋の中にいる人間の数を確認する。

……成人男性が一人?

 

 

「……そう、留守ね」

 

 

私は目を戻して……アパートの柵に手を乗せ……地面へと落下していく。

数十メートルの落下、通常の人間なら即死の高さだが……私は身体を液状にし、衝撃を受け流した。

 

脊椎や内臓もなければ、落下の衝撃による影響は最低限になる。

 

そのまま柔らかくなっていた身体を作り替え、何事も無かったかのように人間の形へ戻した。

 

 

「……面倒な事になったわ」

 

 

夜も更けているのに……今日は友人宅に泊まっている、か?

年齢も考えれば不思議な話ではない。

 

夜道を歩く。

車椅子はないから、足を触手に変えて……歩いている。

 

……人に見られると、殺さなければならない。

目撃者が出るのは拙い、早めに離脱するべきか。

 

 

リスクを背負う必要もない。

今日は一旦、出直そう。

 

しかし、別日にやり直しとなると……面倒だ。

どうにか、今日で終わらせられないだろうか。

 

 

そう考えていると、耳に人の話し声が入ってきた。

公園からだ。

 

 

何本もの足を使い、乱雑に歩き……木々に隠れ、声の主に近付く。

 

……若い男と、女が一人ずつ、ベンチに座っていた。

恋人だろうか?

 

興味を失いかけた時、女の顔を見て私は目を瞬いた。

 

 

「……へぇ」

 

 

私の『種』に適合する女だ。

石動から見せられた写真と一致している。

 

……ここで彼氏と逢瀬を重ねていたのか。

 

 

 

私は運がいい。

 

 

 

私は体内にある人間の遺伝子情報を欠損させる。

服の上を皮膚が覆い、触手を身に纏う。

人の姿を捨てて、本来の姿へと戻る。

 

暗闇に溶け込むよう身体を黒く変色させ……這いずるように進む。

 

 

「それでね──

 

 

小さな物音には気付かず、会話に夢中になっている女の……背後から、触手を伸ばした。

まるで蛇のように素早く進み……女の首に巻きついた。

 

 

「え?」

 

 

女は困惑するような声を出して──

 

巻き付き、引っ張る。

女を地面に転がして、暗闇に引き摺り込む。

 

 

「な、なに!?これ!?」

 

「え、なっ──

 

 

焦るような男女の声を無視して、万力のような力で引き寄せて──

 

 

「あ……」

 

 

女の目が、私を見た。

八つの目で、彼女を見た。

 

驚愕の表情を浮かべて……そのまま、恐れるような顔になった。

 

 

「きゃ──

 

 

直後、私は女の口に自分の触手を入れ込んだ。

叫ばれると目撃者が増える。

目撃者が増えれば、不要な殺生をしなければならない。

 

 

「う、ぐ……」

 

『静かに』

 

 

私は下半身の触手で地面を押して、立ち上がる。

2メートル近くの大きさになり、女と男を見下ろす。

 

八つの目が暗闇で鈍く輝けば……二人の顔は恐怖で引き攣った。

 

目をバラバラに動かして、幾つかを男に向ける。

 

 

『貴方に用はないわ。貝のように口を噤んで去るのなら……私は何もしない』

 

「こ、声……」

 

 

男が困惑する。

この姿の私には声帯が存在しない。

 

聞こえているであろう声は……脳の波長を合わせて意識を飛ばす、テレパシーという奴だ。

相手の脳に直接、情報を投げつけているだけに過ぎない。

 

それに対して困惑しているのだろう。

 

 

「ん、ぐっ……!」

 

 

女が触手を噛んだ。

無意味だが、不快だ。

……手加減をやめて、触手を喉まで押し込む。

 

 

「ぐぅ!?お、ぉ、ぉ……!」

 

 

強烈な吐き気に襲われているのだろう。

だが、食道ごと抑えられていれば吐くことも出来ない。

 

男は、女の姿を見て……私の顔を睨んだ。

 

 

「ゆ、百合子をどうするつもりだ……」

 

 

百合子?

……あぁ、この女の名前か?

 

 

『別に?貴方には関係のない話でしょ?』

 

「な、関係なくなんか……!」

 

 

反抗的な態度に、思わず目を細める。

見た限り、私との力量差を見誤るほど愚かではない。

そして、特殊な力を持っているとも思えない。

 

しかし──

 

 

『……ふぅん?私が怖くないの?』

 

 

身体を膨らませ、上半身の触手を逆立たせる。

夜空を背景に、何倍も大きな姿を見せる。

 

 

「っ……」

 

 

それでも、男は逃げない。

恐怖で腰が抜けそうになっているのに……。

 

……ふむ。

興味深いな。

 

 

『でも、邪魔はされたくはないわね』

 

「え──

 

 

私は触手の一本を伸ばして、男の顎を掠めた。

かくり、と気を失ったように倒れた。

 

脳震盪を起こさせた。

……人間は脆いが、これでは死なないだろう。

まぁ、死んだら運が悪かったとでも思って欲しい。

 

 

地面に倒れた男を見て、女がまた声を上げようとして……息が出来なくて苦しんだ。

私は口に含めていた触手を抜き取る。

 

 

「げ、げほっ、ごほっ!うぐっ……!」

 

 

粘液を口から吐き出して、苦しんでいる女に……無理矢理、目を合わせる。

 

 

『叫んだら殺す』

 

「っ、あ……」

 

『騒いだら殺す。逃げようとしたら殺す。反抗しても殺す。嘘を吐いても殺す』

 

「ぁ……」

 

『分かった?』

 

 

そう訊くと、女が頭を縦に振った。

……人の話を聞く良い子だ。

 

私は彼女の腕に触手を巻き付けたまま、地面に下ろす。

へたり込むようにして、私を見上げている。

 

私は男を指差した。

……いや触手差した、か?

 

 

『彼は貴方にとって何?』

 

「こ、こい、恋人……」

 

 

震える声で、泣きながら回答される。

……なるほど、やはり恋人か。

 

 

『もし、貴方が……私によって殺されるとして──

 

「ぅ……」

 

『えぇ。殺される代わりに、あの男を見逃してあげるとしたら、どうする?』

 

 

そう訊くと、女が目を見開いた。

大粒の涙が溢れた。

 

 

「……して、私を、殺して……代わりに、絶対に手を、出さないで……」

 

『……へぇ』

 

「お願い……しま、す……」

 

 

身を震わせて、顔をくしゃくしゃにしながら、そんな事を言う。

……私は自分の触手で顎を撫でた。

 

 

『どうして、そこまでするの?所詮は他人よ?』

 

「……好きだから……生きてて欲しい、って思うのが……そんなに、おかしい?」

 

 

泥まみれになって、涙で汚れて、唇も震えている。

 

 

『そう、そう。そうね。そうよね?』

 

 

触手を彼女に巻き付けて、引き寄せる。

 

 

「…………っ」

 

 

身を強張らせる彼女に、私は顔を近づけた。

 

 

『ねぇ、貴方──

 

「ひっ……」

 

 

怯えた声を出す女に、私は質問を投げかける。

 

 

『どうやって、恋人を作ったの?』

 

「…………え?」

 

 

困惑する女に顔を近付ける。

 

 

『自らの命を捨ててまで、愛する人を守ろうなんて……生物として破綻してるわ。意味が分からないの。でも、私もそれが欲しいの。貴方に対する恋人のように、恋人に対する貴方のような存在が』

 

「え、ぁ……?」

 

 

女の目が少しずつ、恐怖から困惑へ変わる。

そして、また困惑から恐怖へと振り戻る。

しかし、元と違う恐怖の味がした。

 

命の危機を感じる暴力的な恐怖から、得体の知れないモノを見てしまった恐怖だ。

 

 

『ねぇ、教えて?』

 

「あ、ひ、ひっ……」

 

 

先程まで、あんなにも強く振る舞おうとしていたのに、今はただただ恐怖を感じているようだった。

 

しかし、そんな事はどうでもいい。

私の欲しいモノを、この女は持っている。

 

『種』を植える?

そんな事よりも、この女から情報を抜き出す事が先決だ。

 

 

『教えて?貴方が愛を育んだ方法を。恋を見つける術を。恋人を──

 

 

八つの目が、異常を捉えた。

……視界が逆転したのだ。

 

吹き飛ばされた。

気付くまでは一瞬だ。

 

木々に触手を伸ばして、無理矢理、地面に立つ。

背中に少し、感触があった。

 

何者かが私を攻撃した、という事だ。

 

……軽く握っていた女も落としてしまった。

視線を彷徨わせれば……女を庇うように立つ、『天敵』が居た。

 

地球の守護者(ガイア)だ。

 

……拙い。

石動に接触するなと言われているのに。

顔を合わせてしまった。

 

 

 

『これ以上、彼女に触れさせはしない!』

 

 

……コイツ、私達と同じテレパシーが使えるのか。

 

 

『邪魔をしないでくれるかしら?』

 

 

そう言って、身を捩り、バラバラになっていた触手を巻き取る。

コイツは2000年前に私を殺しかけた『天敵』と同一の存在だ。

 

強さは及ばないとはいえ、警戒は怠らない。

 

まず、相手の出方を見よう。

私は八つの目を守護者(ガイア)に向けて──

 

 

『喋、れるのか……?』

 

 

大層に驚いている様子に、私はまた顔を顰めた。

コイツはまだ、『種』から成長したばかりの奴としか戦っていないのだろう。

生まれたての『私達』は自我もなく、ただ食欲に任せて暴れる獣だから、言葉を交わす事すらできない。

 

 

 

 

……しくじった。

 

 

 

 

石動が頭を抱えている様子を、私は幻視した。

 

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