君と出会った物語 作:Mr.ロックマン
俺は冷静に一呼吸する。さらに倒れている彼女を見て事態が一刻を争うことを認識した。
そして確信する。彼女がいるということは先ほどから俺に声をかけているものはあのチップに宿るものだと。
『◼︎◼︎◼︎るのか』
しかしノイズがあり、うまく聞き取ることができない。でも、伝えてたいことはわかる。
「おい。もし俺の声が聞こえたら右の腕をあげてくれ」
『◼︎◼︎◼︎』
リンクで繋がっている俺のナビが右腕をあげる。
これでチップにある意志はナビに今は宿っていることがわかった。おそらくチップをスロットインした影響かもしれない。
「よし。あそこにいる彼女を助けたいで合ってるか」
するとまた右を腕をあげる。
『エ◼︎◼︎のと◼︎◼︎へ』
「わかってる。お前があのチップなら彼女のところへ届ければいいんだよな」
ナビは俺に向かい頷きを返す。
突然訪れた俺の人生初のウイルスバッティング。俺は道を開くべくチップを選ぶ。
「攻撃用バトルチップ、『ソード』スロットイン!」
ナビの腕にソードが生えると、彼は目的の彼女の場所までウイルスを切り伏せて先へ進む。その後ろ姿は一般ナビのはずなのに何故かあの赤い英雄を連想させた。
やはりこいつにはソードが似合う。
俺はナビを囲もうと再び迫るウイルスを見て、さらにチップを選定した。さらに加速させる。
「バトルチップ、『エリアスチール』スロットイン!」
ナビは加速してさらにウイルスたちを切り伏せる。
よし、これなら!
俺はナビが彼女のところに届くことに確信する。
そしてあと数メールのところで聞いたことのある絶望の声がエリアに響いた。
「標準ナビだと?」
その瞬間、突如黒い塊がナビに直撃して左足が吹き飛んだ。
『◼︎◼︎◼︎っ』
例の声で苦悶の声が漏れる。
そしてそいつはウイルスの奥から首を傾げて現れた。マントで体を覆い、強者を探し圧倒的な自立型ネットナビを俺は知っていた。
「フォルテ!」
俺は思わずその名前を叫ぶ。
おそらく彼女がもつ強者の波動につられて襲撃を受けたのだろう。彼女がやられたのはウイルスではなくフォルテだったか。
俺はナビの状態を確認する。かろうじてリンクは切れてないが動くことは不可能。これでは彼女の元へはいけない。
「……かけるしかない」
上の案ができない以上、別の方法を試すしかない。
彼女とリンクを繋ぎ、あのチップをスロットインする。しかし彼女がネットナビと同じ扱いか、そもそも俺とのリンクを受け入れてくれるかまったくわからない。
俺は判断できずに固まってしまう。そんなときにまた例の声が俺の脳に響く。
『大◼︎夫だ』
そうだ大丈夫。理屈は全くわからない、ほんと直感だ。でも彼の……こいつの声なら彼女は必ず答える、その確信はあった。リンクを繋ぐ瞬間にあのチップをスロットインすれば!
「信じるぞ」
フォルテがゆっくりとこちらへ近付いてくる。時間はない。
俺はPETを操作して彼女へリンクを繋ぐ準備をすぐに完了する。そしてこの世界にいるはずのない彼女の名前と一緒に叫ぶ。同時にあのチップをスロットインした。
瞬間、赤い光が彼女を中心にエリアを包みんこんだ。