「何か、生活物資が必要だよねー。どっかアテはないかな」
「え、もしかして万b「いいかい、細かいことは気にしたら負けだ。そもそも、今のこの世界で法なんて機能していると思うかい?」・・・思いません」
「それに、罪悪感を抱くのなら、この世界が元に戻った時に、償えばいい」
「それも・・・そうですね」
ちょうど、市の中心部の駅にたどり着いた時だった。
「えーと、ドリームまちは、南だったよね・・・?」
「そうですね。私も、よく使ってましたから」
ドリームまちとは、市内最大規模のショッピングモールである。県内にもいくつか店舗を構えている。また、ドリームマートなるスーパーマーケットも存在している。豊富な品揃えに加え、いくつもの専門店を持つことから、人気なのだ。
駅から、徒歩10分程度で到着できる、かなりお手軽な店だ。
「こんなにのんびりしてていいんですか・・・・?」
「それはどういうことかな?」
「いやだって、いつ何が起こるかわかんないじゃないですか」
「いーよいーよ、そんなの気にしなくて。どうせ、144人しか生き残ってないんだ。この辺に集中してるわけないでしょ」
しかし、その発言は、見事に裏切られることになる。
:::
ドリームまちは、3階部分までが店となっており、4、5階と屋上が駐車場となっている。
今回
「よーし、じゃあ、これとこれとこれ。あー、これも食べてみたかったんだよねー!」
そう言って、買い物かごに物資をポイポイと投げ込んでいく。
「あの、なんか私欲が聞こえたような気がするのは気のせいですか、
「気のせいだよー」
本当だろうか、というツッコミは心の奥にしまっておく。
人を殺しておいて、万引き程度でガタガタいうか? と。
無論、真人間としてあってはならない思考である。しかし、この世界は、そもそも狂っていると言って過言ではない。朝目が覚めると多くの人間が消失し、空から女が降ってきて、挙げ句の果てに能力バトルの殺し合い。感覚が麻痺するなというのが無茶な話である。
そして、
「それにしても、どうして魚とかお肉とか、そういうのには手を出さないんですか?」
「それはねー、肉の場合、単純に焼くのがめんどくさい。で、両方に当てはまるんだけど、寄生虫とかウイルスとか、そういうのが怖い」
「え、でも、
「そう思うでしょ? でもね、あくまでこれは
「なるほそ」
これは、
恙無く、調達作業は終わった。誰の妨害もなかった。いや、あるとすればそれは奇跡的な確率であろう。70億人の中の、たった144人。しかも、極東の島国である。全ての大陸に分散していると考える方が普通である。
そして、「せっかくだから生理用品なんかも調達しよう」という
1階と打って変わって、3階は異様な雰囲気に包まれていた。
「なんか、これ、空気が澱んでる・・・?」
「確かにそうだねー。気分が悪くなりそうだよ」
両者の感性は、一致した。
階段付近の書店の本棚を隠れ蓑に、スニーキング・ミッションを敢行した。
果たして、書店には誰もいなかった。
続いて、衣服専門店に向かう。衣服がそのまま遮蔽物になるうえ、試着室という立派な隠れ家がある。利用するならもってこいだ。
そこに足を踏み入れた瞬間のことである。
「キュヒャヒャヒャ!」
男が、ケノビのように降ってきたのだ。
「どっから湧いてきたんですかこの変態は!?」
「人種はモンゴロイド、しかも顔つき的に日本人!? どういう確率なのさこれ!?」
「分析してる場合ですか!?」
戸惑いつつも、
だが、以前、
「・・・? どういうことなんでしょうか。何も流れてきません」
「それはおかしいな。こうしてここにいるってことは、コイツも
それは、
「!
そう叫び、
次の瞬間、
「おーおー、端末の一つがやられたのは痛いが、いい女が手に入ったな」
試着室の一つから、不良じみた青年が現れた。
「・・・あなたは?」
「まずは自分から名乗れよ。礼儀だぜ」
質問を質問で返された形になるが、疑問は解消したい。呼び名がないのも不便だ。だから、素直に名乗ることにした。
「
「スッゲー名前してんな。まーいい。俺は、
「聞くからにヤバそうですね・・・」
「当たり前だろ? とりあえず、端末α、β、γ。この
αとは、虫のような何かに寄生された
「ホヨッホヨッホヨッ」
「キリリリリリ」
それぞれ、鼻が高く、ローマ人のような顔の濃さを持つ青年と、カレー屋の店主である。
「キュヒャヒャヒャ」
そして、
実際、青年と店主は、ヘアースピアで顔面を滅多刺しにし、そのまま1階まで落とした。だが、
──どうすれば・・・?
しかし、ここで
──あいつ、少しも動いてない・・・?
そう、針金は、
──もしかして。
「な!?」
そう驚愕する針金だったが、そんなことはお構いなく。
「とりあえず死ね。そうすれば解決するだろうから」
そう言って
同時に、
「・・・あれ? 私は何うぉえええ・・・」
そして、正気を取り戻すと同時に、灰のようなものを思いっきり吐き出した。
「うわ汚いですね。これなんでしょう?」
「多分、あれだね。私の口の中に入ったやつ。こうしていられるってことは」
「ええ、私の中に流れてきたものと照らし合わせても、同じです。この
「いやー、
「気にしなくてもいいですよ。それより私、決めました」
「何を?」
「強くなります」
「そりゃまたどうして?」
「いつどこでどういう条件で、あなたが今回みたいになるのか解んないじゃないですか。そういう時に、絶対に元に戻せるように、です」
「そっか。じゃ、山の方にジムがあるはずだから、そこを拠点にしようか」
「そうですね。そこから情報を集めたり、物資補給に行ったりすればいいですもんね」
二人は、ドリームまちを出て、市民球場の付近にある運動会館なるジムに向かった。
そこには、多種多様なトレーニング器具が備わっていた。さらに、すぐそばにはグラウンドも広がっている。
まさに、理想的な環境だ。
二人はここを拠点とし、戦闘能力を上げることにした。
いかがでしたか?
今週は少しバタバタしてて、ほとんど今日の2、3時間だけで書き上げました。なので、かなりあっさり気味です。今後は、ちゃんとスケジュール管理もしたいと思っています。
今回の敵は、元々
さて、次回の「ブロークン・ワールド」は。
1ヶ月が過ぎ、護身術程度は覚えた
そろそろ他の
次回、第3話。「大雨、遊泳」に、ご期待ください。
感想、評価をお待ちしています。