ようこそ管理人候補生様。ここはlobotomy corporation S社支部。
少々特殊な幻想体達が収容される支部でございます。

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ようこそS社支部へ

 

ようこそ管理人候補生様。私はS社支部統括AI、『リリス』と申します。

ご存知かとは思いますが、ここは大企業"翼"の一つ、lobotomy corporation、通称L社…のS社の巣に存在する支部でございます。

旧S社から現S社になるまで存在している割と古参な支部であり、他の支部からは"最も楽で最も辛い支部"とも言われていますね。

 

「それは何故か?」ですか…その理由を説明する前にまずはこの支部の成り立ちについて話させていただきますね。

本来なら支部で管理する幻想体は本社から送られてくるのですが、この支部では本社で行えない実験を行う施設的な意味合いを持って作られた場所でもありまして。

特例的にこの場所で幻想体を抽出することが可能だったのですが…この支部のある場所、S社の巣で行ったのが少々不味かったようで。

 

ここでリリスクイズです。

簡単な推理クイズですのでご安心ください。キーワードは二つ、ここから結果を予想する形になります。

一つ目のキーワードは『幻想体は人々の記憶、それも強いものから生み出される』

二つ目のキーワードは『S社の正式名称はSexual corporation。翼の中で唯一アダルトな製品製造を特異点にしたイカれ…とてもユニークな会社』

 

 

 

…候補生様は予想出来ましたでしょうか?

それでは答え合わせです。

正解は、『この支部で抽出された幻想体の全てがアダルトな方向に特化した特殊能力を所持していた』です。

"最も楽で最も辛い支部"はこれが理由ですね。

 

この支部の幻想体は基本的に殺傷能力を持たず、それでいてエンケファリン ─L社のエネルギー資源のこと─ を比較的多く生産してくれます。

そのおかげか支部が閉鎖されることはありませんでした。

自分や同僚の死が非常に近い他の支部と、死にはしませんが毎日死にたくなるぐらいの痴態を同僚に晒してしまう支部。

私は本社や他の支部のAIとデータのみのやり取りをしているのでわかりませんが、どちらが辛いのでしょうね。

 

…このような話を長々とされてもつまらないでしょう、この支部で抽出された幻想体の管理風景を一部お見せいたします。

 

 

 

『やっあっ♡んっ♡まって♡そこは♡らめっ♡』

職員と思わしき人物を飲み込むように無数の植物の蔦が蠢いている。

『ん"っ"♡あ"ぁ"っ♡おぐ♡とんとん♡ダメなの♡もどっでこれなぐなる♡』

少し気恥ずかしくなった貴方は、職員らしきものから目を逸らした。

職員の嬌声が響く中、貴方は収容室の中に蔦の本体だと思われるリンゴ頭の怪物を発見した。

 

「あれはF-04-42-S、通称"白雪姫の愛"と呼ばれている幻想体です。毒リンゴを食べた白雪姫は暫くの間、7人の小人達に甲斐甲斐しくお世話をされていました。しかしある1人の小人が眠ったままの姫に欲情し…そんな結末を腐り落ちて消える時までひたすらに見せつけられたリンゴが彼女です。」

 

「彼女に関する面白いお話が一つありまして、抽出されたばかりの頃は女性職員を執拗に狙っていたんですが、ある時全ての女性職員が別の幻想体の鎮圧にかかりっきりになってしまうことがありまして。苦肉の策として彼女の作業を少年職員に行わせた所、収容室に入室した瞬間とても女性的な体つきへ変化して少年職員を捕食したのです。その一件以降は作業職員が変更となり、女性職員達は大変喜んでいましたね。」

 

貴方は話をあまり理解できなかったが、ある少年職員が犠牲になったことだけは理解し、黙祷を捧げた。

「そして件の少年職員が今映っている彼、ジェニファー君です。先日彼女からギフトも貰うことができめでたく専属職員になりました。」

 

この淫らな声が少年から出ているものだと気がついた貴方は、心のどこかで扉が少し開く音がした。

 

 

「次の幻想体をお見せしたい所なのですが…どうやらお時間のようです。」

一瞬だけ見えたその映像には、見た目麗しい少女と抱き合う職員の姿が映っていた。

貴方は次なる未知への興奮…いや幻想体への興味を止められたことに少し残念な気持ちになった。

 

「候補生様にはこの支部の管理人となっていただくか、職員として勤務していただきたいのです。どちらに致しましょうか?」

そう言ってリリスは貴方に2枚の契約書を差し出した。

 

貴方は少々長い時間悩んだ末に、───の契約書にサインをしてリリスに渡した。

「了解いたしました。候補生様。いえ、───。これからよろしくお願いしますね?」

リリスはニッコリと微笑み。

 

そして…貴方のS社支部での仕事が始まった。


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