魔人…が着任しました   作:イシグロ

13 / 28
独自解釈つよつよで艦娘の役割話

帝都物語異録の話をざっと解説したブログなど見ると、重兵衛と加藤の血縁なさげ…?!

ここでは加藤と重兵衛は血縁関係ありとします
読んでなくてすまんせん、いつか読みます。はい


ハヤサスラ、ハヤサスラ…

 

怨念は、恋しがっている。

苦しみ、辛さ、憎しみ…そうして、恐怖から逃れたいと思っている。ただ、その感情はもはや心の奥底、隠された感情となっていた。負の感情ばかりにがんじがらめになり、自分の心から欲するものを見てみぬふり、いや…後戻りすらできない。

怨霊は解放されたかった。

もう、疲れていた。恨むことも、憎むことも、悲しむことも…何もかも、すべて解放されたい。

そんな怨霊たちは、海を求めた。何故か。

 

海は、すべての命を生みし生命の母であり胎とされていた。恨み辛み、すべてを憎みし怨念たちは、苦しく、つらい日々、年月を送っている。その辛さを忘れたい、無くしたい…かつて在りし日に戻りたい、と彼らは海を求めた。

 

彼らの望み、それは──胎内回帰。

 

桜はまどろみによって鎮魂とし、辛さを隠してくれる…だが、桜とは生きる木々。次第に力を失い、鎮魂を保てなくなっていき…そうして、今の時代となった。龍脈も、その力を失い着々と、その息をか細くしていた。

海はそんな時代だからこそ…最後の安らぎの場所となった。

怨霊は海の中へ、母の腹へと還る。

 

──還りたかった。

 

 

 

歌が、聞こえる。

澄んだ声、幼い声だ。

 

──…悲しげな、声がする。

 

 

 

「巫さま」

不確かで協調性のない声が、あちこちから聞こえていた。

男性か、女性か、子供か。複雑に混ざり合いまったく形の分からない声ばかりが、少女の耳に流れ込む。

少女は恐ろしくなり、ぎゅうと目をつむり静かに、静かに息をひそめた。

 

「巫さま」

少女は恐ろしかった。

声もそうだが、少女の周りは真っ暗でひどく冷たい。水の中に居る、でも息はできていた。

何も解らないまま、少女はそこでじっとしていることしかできない。ただ、真っ暗闇の中で少女から伸びる一本の糸は、握りしめるとほんのりと温かみをもたらしてくれる。それだけが、少女にとってありがたいほどに、正気を留めてくれた。

 

「巫さま」

声が大きくなった。少女は恐ろしく思いつつも、目を開ける。

先ほどまで真っ暗だった世界が、僅かに光が差し込んで青色が混じっている。天上を見上げ光源を探し一か所…ちいさな光が差し込んでいた。その光から少女が握っている糸が伸びており、辿れば容易に光の場所まで行けるだろう。

少女は糸をたどり、ゆっくりと光の場所まで向かっていった。

 

ゆっくり、ゆっくりと。

 

光が近づいていくたび、冷たさが引いていき温かい感触を覚える。心地よく、柔らかく、包まれているような温かさ。

 

「巫さま、巫さま」

 

声は、そう言い残し途切れた。

声が止んだのは、おそらく光の場所に達したからだろうと少女は推測。道中、ゆっくりと流れ込んでくる誰か…かつての自身の記憶を、思い出す。人であった頃の記憶、そのころに起きたちょっとした冒険と体験を、思い出す。

天邪鬼な友達に、クールで熱い狐、ロックスターのようにロックな神様、それに…少女にとって、何よりも大切で一時期憎たらしく思ってしまった肉親であり、弟。

大切な記憶を思い出し、少女は…その暗い空間から、顔を出した。

 

そうして…──巫(かんなぎ 神仕えの神官、依代の女性)が、産まれた。

 

 

『艦娘顕現を確認。

推定、10代前半。外見的類似、白露型二番艦時雨。

外見的特徴、時雨と類似。…訂正、太刀を確認。日本刀である。

……目標艦娘、行動確認。

歌だ、歌を歌っている。歌詞解析にかけろ……神仕えの者たちの一致により、その歌詞は祝詞。

対象艦娘時雨、巫と推測』

 

 

「ここ、どこ?

お父さん、お母さん…?ダイ、シャギ、クコ…。

武神、さま?」

艦娘の権限が確認された。

目の前の少女、時雨はぼんやりとしている。すると、まどろんだ目をしながらぼんやりと口を開き、うわ言のように誰かを探している。龍脈の影響か在りし日、前世の記憶を持っているのか…珍しいケースだが、驚くほどでもないな。

しばらくして、覚醒したところに質問を投げかける。

相手は艦娘とはいえ、自分よりもだいぶ齢の離れた少女。高圧的な態度をするほど、馬鹿じゃあない。

「僕は、僕は…時雨。違う、時雨だけど…。

僕は、渡辺…渡辺綱の、子孫?時雨だけど、…渡辺兄(けい)。ダイ、渡辺弟(だい)はどこ?」

あの渡辺綱の子孫か。

とすると、手に持っているのは鬼切丸なのか。現存する鬼切丸か、それとも…いや、そういうのはどっちでもいいだろう。

自分の心配より、弟を探すか…ずいぶんと、兄弟の思いの少女だ。

「…ケイくんと言ったね。君が望むとおり、弟くんをこちらで探そう…だが心して欲しい。

弟くんは、この世界に居るかどうかはまだわからない。前世の記憶を持った人と言うのは、ほんの一握り…いや、稀と言ってもいい。必ずしも、この時代に生まれているとは限らないよ」

「…僕は、一体なんなんですか?」

「君は、艦娘。かつて戦場で活躍した船たちが化生と化した存在だ。

君以外にも、深海棲艦と言う似たような存在もいる。彼らは永きにわたり恨み辛み、戦死していった無念を抱く魂…。

君は、艦娘たちはそれを鎮める巫なんだ」

簡易な説明を施すが、それでも時雨ことケイくんは理解が追い付いていないようだ。無理もないか、普通の艦娘だったらすぐに深海棲艦を鎮めることを優先とするが、彼女は記憶もち。生前の記憶が邪魔をし、艦娘のあり方を曖昧とさせていた。

人である。艦娘でもある。

なんとも、中途半端になってしまっていた。

「…僕、は」

「なにも無理に戦えとは言わない。ただ、この世界は怨念たちを鎮めなければいけない世界で、辛い世界と覚えて欲しい」

そう、この世界は動こうとも動かないとも…結果は、もう決まっている世界だった。

「…やり、ます…。どこまでやれるかはまだ、分からないけど…でも、僕は、やらなきゃいけないんですよね。

僕は、もう…艦娘だから」

強いのか、はたまた無理をしているのか。

どちらでもあるけど、自分はその姿を見て…ひどく、胸が苦しい。悔しい。そうだ、まだ齢も若いんだ…自分よりも、ずっと若い。自分たち大人が何もできないで、こんな年若い子が戦場に立つなんて。

「戦場に立つんだぞ。怪我をして痛い思いもする、死ぬかもしれない。

…いいのか?」

肩を掴み、言い聞かせる。何度も、何度も…断って欲しいと、矛盾な願いを持ちながら。

ケイくんは、まっすぐ目を見ながら…口を開いた。それは、もう覚悟を決めてしまった目だった。その目を何度か目にしている…間違いがない。その目が、どうしても好きになれず嫌いな目…ケイくんのように年若いからこそ、不甲斐なさを覚える。

「…弟は、生きているんです。解るんです、生きてるって…だから、僕はお兄ちゃんだから、弟が生きれるように戦います」

「すまない。俺たちが、もっとどうにかできれば…君は、弟くんと」

「いいんです。だから…ダイには、言わないでください。

もう、僕はお兄ちゃんじゃないから…でも、どんなことであれ、どんな存在であっても僕はお兄ちゃん。ダイの、ダイのお兄ちゃんなんだ」

「…。

分かった。ダイくんには言わない、内密にしておく。…恨んでほしい、辛く当たってもいい…それくらい、安い代償だ」

そうして、短い対談を終え…時雨こと、ケイくんと別れた。

未だ、ケイくんの肩の感触がこびりつく。細い、すぐにでも砕けそうなほど、脆いと感じてしまう感触。

神よ、どうか居るなら…ケイくん、艦娘たちを護って欲しい。

こんな、こんな…俺たちの報いに、付きあわせてしまうことを赦してほしい。

 

生きて、帰ってこれますように…神様、お願いします。

 

 




妖怪大戦争久しぶりに見るかな、もう内容カッスカスでな

PSゲームの闇吹く夏も手を出したくなってきた。龍人、本編より年取ったくらいか?
恐らく本編は20、30代くらいでゲームの時期は40代あたりと思ってるよ

行き当たりばっかりだが、気長に付き合ってもらえれば幸いです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。