ぼくもそう思う
また人の話だよ、艦娘出したいね。あきつ丸くらいしか出てないよ、あれは加藤だし
演習を組まれた日のこと。その日、陰陽師と言う職に就いている提督と当った。
今の時代に陰陽師、なんていう職が残っていることに驚いたし確か、明治頃に廃止されたはず。まぁ、世間的には表だって出ることは無いが…という話だろう。そんな提督と出会った最初の印象は、恐ろしいの一言だった。
鋭い視線に、隙のない佇まい、さらには自分よりも長身で下手すれば190は下らないほど。細身ながら筋肉は付いているし、鍛え抜かれていると理解できる。
額に巻かれた鉢巻の五芒星を見るたびに、やけにゾワゾワと背中が冷える。
名前は…確か、加藤重兵衛、だったか。
陰陽師の縁からか軽空母の多い印象があるし、直感で俺の指揮ですら手に平に転がすだろう、と確信が持てた。いやな相手に当たった、と思うと同時に悪あがきをしたい、と反逆心が沸き立つ感触を覚える。
そんな加藤提督の秘書艦であろう大淀の方も、重兵衛の悪辣な作戦にドン引きしながらも、それに合うように艦隊の指揮を執っていた。
演習が開始されてから、一時間くらいで俺の艦隊は全滅。しかも、蠱術とか結界術、さらに陰陽道まで引っ張ってくるとか…馬鹿じゃねぇの。下手すりゃあ、トラウマ抱えちまうかもしれねぇってのに、この提督…!
俺は日本人だが、そこまでやらねーよ…。
陰陽師って、みんなこうなのか?
「小僧、なかなか小賢しいくらいに生き汚さを持っているなぁ…カカカ、良いものを見たわ」
「ほっといてください」
「お前は化けるな…少しばかり、揉んでやろう」
「やめてください、死んでしまいます」
「死ねばそれまでよ」
こんの鬼畜野郎…!!
エキシビジョンと言う名の、地獄の修練につき合わされる俺と主力艦隊たち。周りに居た他の提督も、ドン引きしているし可哀そうな目で見られる散々な日となった。それに、同業者であろう陰陽師らしき数人も、死んだ目でこちらを見ていた。この鬼畜野郎の知り合いなら、俺たちを助けて欲しい。
何、関わりたくない?それもあの加藤、だから尚更…?ファッキング。
俺ってば、平々凡々だし末端の学者なんだぞ。
「…お前、平田篤胤(あつたね)と言う男を知っているか?」
「あー?確か、幽界理論を発表した江戸の学者だったか…親父の家系が、末裔だとか言っていたっけ」
「ク、クク…!そうか、ずいぶんな縁によって会うことになるとはなぁ」
「なに、あんた知り合いなのか…?ん、あれ…加藤ってどっかで聞いたような」
「気にするな、小僧。知りすぎても、身を滅ぼすだけだぞ」
それ言っちゃあ、俺たち学者の立つ瀬がないんだが…。
すげぇムカつく。…縁は一生の賜物と言うならば、俺もその縁にあやかってやるわ。陰陽師ならば、少しは生活費の足しに出来る文に出来るだろ。
「これも縁と言うなら、俺をちょっと手助けしてくれよ。散々ボコボコにされたんだ、安い方だろ」
「俺に助けを求めるとは、ずいぶんと図太い男だ。そんなことを言うのは、小僧…お前くらいだ」
こっちは無理やり提督させられて、肩身の狭い思いしてんだよ。駆逐艦の一部なんかくそ提督呼ばわり…腹立って仕方ねぇし、その通りの板挟みだっつうの。あーあ、学者に戻りたい…金は出ねぇ安月給だが、俺のやりがいのある仕事なんだよ。
海軍はうるせぇ圧を掛けるし、プレッシャーをかけると言う陰険っぷり。陸軍しか、味方居ねぇとか世も終わってる。
「図太い上に、強かな男はお前で二人目だ。黒田の小僧も、なかなかの奴だったぞ」
「…ん?黒田、黒田茂丸さんか。あの人の地相占術の知見、マジで半端ねぇんだよな。一時期、食いっぱぐれにならずに済むほど世話になったなぁ」
俺が黒田さんに出会ったのは、提督になる以前のこと。北海道でアイヌ文化を調べていた際に、紹介に預かったことがきっかけ。取材を進めていく中で馬が合い、年上ながら友としての認識が出来るほど、俺と黒田さんの関係は良好となった。
さっきも言ったとおり、この人のおかげで食い扶持を繋げられた恩人でもある。
若い割に侍言葉と言うか、老人のような古風な喋り方する変わった人だなぁ、という印象だったが。地相占術、風水をはじめ、さらに道教や朝鮮文明も精通している博学多識がピッタリな人。まさかこのど畜生鬼畜野郎の知り合いだったとは、世間は狭いなぁ。……可哀そうに、こんな奴の知り合い判定されるなんて。
見た目、ミステリアスでワイルドなイケオジって感じの陰陽師なのに。中身を開けばあら不思議、…くそ野郎とはこのことだわ。
「小僧、お前…失礼なことを考えてるな?」
「俺のどこが失礼っていうんです!このつぶらで愛らしい俺の目に、狂いがあるっていうんで?」
「……お、ぉう」
はぁー…鬱だわ。
「てか、あんたの所の鳳翔さんって変わってるな。言い方悪いが、亜種っていうの?白髪なんて、まさに花嫁ってやつだな」
この加藤提督の主力であるとされる軽空母鳳翔さん、これまた変わっていた。目を引くのが、髪の色が黒ではなく白ときた。それと少しばかり喋って見れば大層な博学だ、以前は俺と同じ学者をしていたのか知らないが、神道や民俗学に精通している。
薬師の心得もあるらしい、なんでも人魚の薬さえも作れるとか…。
それにしても、一向に手をさらさない。俺の知る鳳翔さんは、手の肌をさらすことに抵抗は無いんだが…この人、頑なに外に出さないな。
気にならないでもないが、事情もあるっていうやつね。
まぁ、手袋云々はいいとして何と言っても…美人。可愛い上に美人、このくそ野郎にはもったいないわ。
「…。面白いたとえだな」
「…――っぅう。なんで、白って清らかで清純なんだろ。それに、一説には結婚式で着る白いドレスの意味は、貴方に染まりますって意味だし」
…いてぇ、ゲンコツとか。親父以外やられたことないんだが。
「西洋のたとえか」
「白無垢も、似たようなもんだろ。…ぉおお…くっそ、いてぇ」
まだビリビリする。
…なんつう顔してんだ、この人。まるで、人様の女に手を出していきずりになっている情けない男の顔じゃん。
嗤ってやりたいところだが、どうも良心に堪えるな。こういう人間味ある顔をするんだな、この人。
「…あぁ、小僧。お前の名前、聞いてなかったな」
「あ?宣言しただろ」
「アレでは縁が薄い、俺の前で名を名乗れ。この加藤重兵衛、貴様の真名でどうこうはせん」
えぇ、それ宣言しちゃう?
…ふうん、結構律儀なんだなこの人。
「俺は最上斎宮(もがみ いつき)、山形でしがない学者をしていたもんだよ」
元ネタは最上徳内学者と荷田春満から
最上学者と平田篤胤は交流があったのでそこから、平田の子孫ということに
おちょうの手の描写は新帝都物語を読んだ人には解るネタ。読みごたえあるから、気が向いたら読んでほしい
土方さんめちゃくちゃ活躍するんで、あと史実どおりの最期だがそれでも熱いよ
生き様も何もかも