まともな更新出来ず申し訳ない。今回は短い話でケッコンカッコカリです
サイドテール可愛いこと加賀さんになった恵子さんネタ、思い浮かんだ
艦娘とは巫(かんなぎ)である。
怨霊である深海棲艦を、鎮めるために妖精が顕現させた存在。未だ謎が多く人と酷似しながらもその力は大きくまさに、兵器の如く。それでいて、神霊との依代となり巫女となり、深海棲艦と対峙できる人類の唯一の希望。だが、必ずしも完全な味方とは言い切れない、不穏な存在でもあった。
ここ最近、艦娘に新たな発見が報告された。
提督との繋がりの強さで降ろせる神霊の選択が広がるという、また神霊を降ろし依り代となった際に自我、個を失うリスクを軽減できるという。
この繋がりを明確に強く結びつけるため、開発されたのが【ケッコンカッコカリ】。
依代としての強度を上げるための改造こと【改二】を行う際にも、このケッコンカッコカリが必須となった。
「…ですので。…あの、加茂提督?」
「…」
「加茂提督」
「あ、はいっ…すいません。えぇ、ケッコンカッコカリですか」
「そこまで深く考えなくて大丈夫ですよ。あくまで艦娘との繋がりを強くし自我、個を保つためですから」
目の前の資料には大きくケッコンカッコカリ、と言う文字が記された資料が加茂の目に入る。加茂の所属、指揮する鎮守府の主力とされる初春はとうに最大限のレベルまで到達していた。このこともあり、海軍所属の技官は資料とともに訪ねてきたのである。
加茂は技官の説明を聞きながら、初春こと平井について思い馳せる。
自身の知る平井は男であり、父にように尊敬できる師であった。だが、今の平井は少女であり艦娘…以前の姿とはまったく持って違う姿となっている。加茂という男は愚直なまでに頭の堅い男であった。過去を割り切ることも出来ずに、今だにずるずると過去の思い出を引きずっているのだ。
そうして、一通りに説明を終え資料と一つの小箱を置いて技官は鎮守府を後にする。
また、加茂の様子を見てそっとしておこう…、と言う気遣いもあったのだろう。今の加茂はひどくやつれているように見える、技官もそうせざるえないほど。
加茂は残された小箱に手を伸ばし、中身を拝見。
そこには銀色の小さな指輪が鎮座していた。
「まるで婚約指輪、のようじゃのぅ」
不意に平井の声が聞こえ、ガタリと勢いのままその場を立ち上がる。そこにはお盆に二つの湯飲みを乗せて、悠然と立っている平井の姿があった。
「茶の一杯でも飲んでおけば良いのに…忙しないのかえ?」
「ここのところ、海軍もこの改二の件で忙しいのでしょう…」
加茂は一つ息を吐き、ゆっくりと腰掛けた。平井は湯飲みを加茂の前へと置き、残りの湯飲みと共に加茂の隣へと座った。入れたてなようでゆったりと、湯気が立っている。
平井は何食わぬ顔で湯飲みの息を吹きかけ一口含めば熱、と小さくかわいい悲鳴が加茂の耳に聞こえた。だが、加茂はいつになく目を伏せ重苦しい顔を浮かばせている。じっと小箱を見つめたまま、微動だにしていないのである。
お互いに口を開かないまま、長い沈黙が続く。
長いような感覚ながら、実際には短い時間が過ぎていく。ようやく口を開いたのは、平井からだった。
「のう、加茂や。いつまで見ておるのかぇ…お主はそれをどうしたい?」
「…こ、れは…」
「わしに、くれないのか?」
加茂はひどく焦燥に溢れた顔で、平井を見つめる。平井からそんな言葉が出るとは思ってもみなかった、とばかりに。平井はジッと、加茂を見つめその細く小さな手を加茂の太ももに添えて身を乗り出せば唇が触れてしまいそうなほどの近さとなった。
「ひらい…さ、ま?」
「加茂や。お主の気持ちは十分に知っておる、わしに焦がれていることもな」
加茂は言葉を失った。
知られてはいけない相手に、愛欲とともにもっとも自身が嫌っていた劣情を知られてしまっていたという事実が、加茂へと突きつけられた。ガラガラと崩れる精神…加茂は言葉にならない声で必死に弁解と謝罪、否定をしたかった。加茂が望みながらも恐れているのはただ一つ、平井からの拒絶。
加茂は息を荒げ、どうにか声を上げようとするが…なにも、言葉が出なかった。
そんな加茂を愛おしげに見つめて、小さく微笑む。
「加茂よ。ワシを父とし、師として想ってくれることは十分なくらいだ…お主の思い、よおく理解しておるとも」
「平井、さま…私は…、あ…あぁ、見ないでくだされ。こんな、こんな」
涙を浮かべ、平井からの視線から逃れようと身をよじる。まるで幼い子供が泣きじゃくるような様に似ていた。
平井は泣きじゃくる加茂の視線を逃すまいと、さらに身を乗り出しそうして。
……。
ゆっくりと離れる平井の顔を、呆然と見つめる。
思考が回らず、ただ口を開け呆然とすることしかできなかった。ようやく、加茂は自分の身に起きたことが理解できた。
「過去は過去でしかない。今ある姿は現実じゃ、ワシは昔は男であった…事実である」
「…」
「今のワシは平井保昌であり、艦娘初春。それだけじゃよ…加茂や、お主が苦しむ理由はない」
「それ、でも…私には、あなたが父であり師であると想っているのです。今世も、この気持ちに偽りはないのです。偽りに、できない、のです…!」
「…愛いやつよ。なおさら、ワシはお主に応えねばならぬな…秘めし愛ごと、応えねばならぬ」
自身の思いに苦悩する加茂。
平井は苦しむ加茂の手を取り、指を絡める。加茂は心臓が早くなっていることに気づいていたが、もはやどうしようもできなかった。突き放すことも出来ず、己の気持ちを未だ認められないでいる…いじらしく、じれったい自分が何よりも憎らしい。顔をうつむかせ、涙を流すばかり。
ふいに、わずかに顔を上げればゆらりと藤色の瞳が怪しく輝いた。
その輝きが、今まで見た中で艶やかな藤だと加茂は思った。
「加茂よ、愛しておるよ」
平井はそう言葉を紡ぎ、また顔を近づけた。
なんか、自分が書く一部の男ども女々しくない?
キャラ崩壊だって?今更だよ…
番外編で前書きのネタやりたくなってきたなぁ。…とある方の男性艦娘時空、ちょっといいな、なんて