魔人…が着任しました   作:イシグロ

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今回は修羅場や、ではなく厄い案件が出てきた話

物語も動き出さなきゃね。全然艦娘が出ないけどなっ!


えぇと、東條の名字ですがこっちが正しいみたいで、はい。
東条ではく、東條でいきます


着々と、大きなものが忍び寄る ※地雷注意

 

「入渠(にゅうきょ)準備急げ!やはり嫌な予感が的中したかっ!」

 

黒田の怒声が響き渡る。入渠施設では黒田の声を聞きつけ、妖精たちが慌ただしく準備を進めていた。慌ただしく行き交う中、施設の扉が開くと同時に耳鳴りを起こさせるような甲高いサイレンがけたたましく鳴り響く。そこに恵子と所属している作業員の手で、担架に乗せられたあきつ丸こと加藤が入ってきた。

服は損傷し白い肌が剥き出しで、さらに包帯が巻かれているが大きく開いた傷口からおびただしい血液がべっとりと付着している。

息を荒げ、痛みに耐えるように歯を食いしばる加藤。朦朧とし、貧血を起こしている。恵子は加藤に向け、悲痛な声で名前を叫び続けていた。こうやって声をかけるだけしか出来ず止血はしているとはいえ、重傷で轟沈でないことが幸いとも言える。

その日は、凶日であった。

 

加藤に与えられた任務は大規模作戦で、彼は後方支援を任されていた。恵子の鎮守府は加藤だけしか艦娘は居らず、前線に出せるほどの余裕はなかった。それに、加藤の艦種としての性能は支援向きであるためこの任が適切。

作戦は順調に進んだが、情報にはない異形で大型の深海棲艦に中規模の深海棲艦の軍団と衝突。加藤を含め後方支援部隊は大打撃を受けてしまう。

轟沈した艦娘は居なかったが、大破多数で壊滅的な被害となった。前線を担当していた部隊は異形の深海棲艦と対峙してしまったため、轟沈したものが多かった。

後方支援部隊を襲った中規模の軍団は加藤の式神、十二神将の餌となったが…数の多さに加藤は負傷。現在に至るという詳細だ。

「加藤…!」

黒田が血の気を引いたような蒼白な顔で駆け寄る。普段なら口うるさく加藤に意見を言うほど勝気な態度が、今は面影すらない。

「…貴様が、そんな顔をするとはな」

「しゃべるな馬鹿もんっ…。傷が開くであろう!」

「俺はこれくらいでは死なん。恵子、俺はお前を離す気は無いからな」

「そんなこと、知っていますよっ!」

珍しく声を荒げる恵子に、黒田と加藤は驚いた。見ると、恵子の目には涙が流れしゃくり声を上げ泣き始める。担架を持つ手が震え立ち止まってしまうくらいに、恵子は今の加藤の姿に傷つきいたたまれない気持ち。さらに、奥底から湧き出る加藤が居なくなることを、恐れていた。

「加藤、お願いだから…。今の姿じゃなくて、…堂々とした姿を見せて…」

「…」

恵子の泣き崩れる様子に、思うところがあるのか…言葉を紡げず、口を閉じるばかり。

その様子を見た黒田は、顔を俯かせるがすぐに顔を上げ恵子に変わり担架の持ち手を握る。そのまま低く冷たくも、声を震わせながら加藤に向け、こう言葉を紡いだ。

「加藤…。傷を癒してくれ、これ以上恵子さんを泣かせるなら…ワシはお前をブチのめせばならぬ」

言い終えるとともに、立ち尽くしていた作業員に声をかけそのまま入渠させるためのドッグへと運んで行った。

 

 

「報告じゃあ、今回の大規模作戦の標的…違和感があるね」

「今までとは違い、まるで本物の化け物かのようだった…と言うそうだな。被害は大きく、轟沈した者も多い」

「それに、敵味方問わず肉を貪ったそうだ。…特に肝を食い荒らされている」

 

東條と石原がそう口々に言い合っているは、今回の大規模作戦において標的の深海棲艦。鬼、姫級の上位種ながら接敵したどの個体たちよりも、強靭で強力な個体とされる。

皮膚は鋼のように硬く、攻撃手段は獣のように単調だが、筋力がありそのおかげで被害は大きくなったという報告が挙がっていた。加え絶命するまで活動を緩めないくらいに、しぶとくまさに化け物と呼ぶに等しかった。

「尸解仙した個体でしょうな。恐れていた事態が起きちまった…こいつだけで済めばいいが、そうは問屋が下さんだろう」

報告を聞いた甘粕も、苦い顔を浮かべ口を開く。

かつて黒田から漏れ出た言葉が、現実をなってしまった。加え、尸解仙した個体がここまで以上に強大でその被害の大きさが頭を抱えるほど。この現実を直視、実感してしまった陸軍の参謀室内は重苦しい空気に満ちる。

「海軍は?今回の被害で頭が冷えたと思うけど」

今回の作戦の結果、異形の深海棲艦という厄揃いに結果に東條は頭を押さえた。持病の頭痛の痛みに耐えながら、報告しにきた陸軍諜報員の一人に、そう問いかける。

なけなしの期待であったが…。

現実は常に無常だ。

「…いえ、それどころかますます躍起になり手がつけられません。本土の艦娘の徴収、建造に兵器開発へ勤しむ。むしろ、処理を厳かにして過度な出撃の任を与えるほどです。

まるで憑かれているかにように思えます」

「…あながち本当に憑かれていて今回含め、黒幕の思惑通りっていうわけでしょう」

「いたた…甘粕君、思ってもみないことを言わないでくれ。あぁ、頭が痛すぎる案件じゃあないか」

「泣き言を言うな東條」

その石原も苦し紛れの言葉を言うくらいで精一杯だった。

管轄の海軍がコレな以上、もう言葉を選ぶほどに余裕はなかった。このまま行き着く先は地獄が生ぬるいものとなり得る、どうにか舵を取らねばいけない。尸解仙が行われた個体が、今回だけではないと言うことを視野に入れどうにか海軍を止めなければならないだろう。

陸軍はこのことも踏まえ、独自の部隊の発足を急がせた。

 

恵子は一人、執務室で事務作業を進めていた。目元は赤く腫れズン…、と重く沈むような暗く俯きがちな顔。

扉からノック音と声がかけられる。その声は黒田であり加藤の容態の報告がてら、傷心気味の恵子を心配して寄ったのだろう。

恵子は短く、か細い声で執務室の入室を許可した。

「…お恵さん、今しがた加藤の治療は終わったそうです。病棟のベッドで安静にしていると…」

「ありがとう、ございます。…わざわざすいません」

「……」

「黒田さん、私はどうもダメですね。加藤が目の前で居なくなるは、辛いと思ってしまうのです。私は提督で、将門の巫女…こんな気持ちを抱いてはいけないのに」

ぽつり、ぽつりと紡がれる言葉を静かに耳を傾ける。今まで、表に出さないようにしてきた気持ちを吐露する。ここまで弱った姿を見せる恵子は珍しい。いや、彼女はその弱さを誰一人、見せたくなかったのだろう。

ここまで追い込まないと見せてくれないその弱さに、黒田は自身の非力さを恨む。

そうして、とっくに知っていた加藤へ対する恵子の気持ちを理解した上で、黒田はこう答えた。

「好いているからでしょう。貴女の気持ちを偽ってはいけません」

「…」

「お恵さん、加藤はどうして艦娘になったんでしょう。こんな帝都の引導を渡さず、そのままで何もしない。加え、この帝都を護るような任まで就いているのです。

おかしいと、ワシは思いますよ」

黒田はわざとらしく、恵子にそう問いかける。加藤が艦娘になった理由は、恵子は目の前で言われていた。黒田は加藤から理由を知らされていないが、加藤の心情を同じ男ながら察することができる。それに、同じ想い女(びと)であるなら尚更。

 

「私に、逢うため…」

 

「男なんぞ単純です。惚れた人に逢いたい気持ちを偽れないのですよ」

「…そう、なんですね。父は教えてくれなかったから…解らないです」

「一人娘ですよ。どこぞの馬の骨の男に嫁に渡したくもない、目に入れても痛くないほど可愛いんですから。だから嫁にいかせたくないんです。

父親って言うのは、娘が嫁に行ってしまうことが寂しくて仕方ない性分のようで…ワシは息子ばかりだったのでなんとも言えんのですが」

黒田はそう言葉を続けながら、照れ隠しするように頬をかく。

「お恵さん、もう少し自分に素直になってください。貴女の気持ちは、貴女だけのもの…ワシらがとやかく言う権利は無いんです」

「でも、今はそんな状況下じゃ…」

「後悔しない方が大事なんです。こんな世だから、尚更でしょう」

黒田の甘言に似た言葉に、恵子は揺れていた。加藤を愛している気持ちは本心であった、しかし現状はそのようなうつつを抜かしている暇はないほど。民を国を深海棲艦の脅威から守る立場、いつ奇襲なりされてもおかしくない戦場に立っている。

恵子は自身が弱くなった、と自覚した。

…脳裏に加藤が轟沈…死ぬことを思い浮かべた。そうそう死なない魔人が死ぬ、恵子はひどく胸が締め付けられ涙が出そうになる。黒田が先ほど言っていたこと、縋るに等しい言葉ながら間違ってはいないと理解してしまった。

 

「…後悔、したくはないです」

「それでいいんですよ。ふふ、それにしてもあなた方は気難しい、似たもの同士ですよ」

 

黒田はそう、恵子に微笑んだ。

 

 





その笑みは無理やり繕った笑みであった。本心こそは惚れた人だからこそ、自分ではないと言う邪険な気持ち、真逆に恵子の愛を祝福したかった。醜いと言えるジレンマを抱くが、黒田は恵子の幸せを何より思い、自分の気持ちを隠し続ける。
こんな感情に振り回されてばかりの自分を…道化、だと黒田は心の内で再認識してしまった。
「…ワシは、卑しい男だな」
彼は聞こえないように、そんな呟きを零す…。


艦娘の話書いたほうがいいよな、艦これでやってるし

でも帝都キャラで加藤を筆頭に一部、艦娘とTSってるのよね。完全な趣味なんだ、すまんせん

あきつ丸の改二来ないです?あ、来ない…ハイ
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