暑いですね、なんか年々酷くなってる気がする。温暖化でしょうけど…
間が空いてすんません、あっちこっち手を出してしまいおごそかになっていました
「…」
あきつ丸こと加藤は炎天下に参っていた。普段ならそこまで気にすることはないが、今は艦娘であるため尸解仙した体とは似つかわないほど脆かった。平時着ていた黒い軍服を脱ぎ、今の格好は白いワイシャツに胸元を開け、水桶に足を冷やした格好。
淡麗な少女の見た目ながら胸も大きく、ミニスカートから伸びる白い脚も汗が流れ、艶かしい。その姿は男が下心を持つほど。その少女自身を知らぬ者だけがそんな下心を持つが、よおく知っている者にとっては暑さと頭痛のダブルパンチだ。
なんせ、少女はあの魔人加藤なのだから。
長い顎に鋭く刃物のような目、日本男子の平均以上の長身の体。真逆の容姿だ。
「こりゃ。お主はまったく…今の体は女性じゃろう。
今日は日差しが強い。羽織るか日焼け止めを塗っておけ、後になって痛いぞ」
玄関先で打ち水を撒き終えた黒田は、汗を垂らしながら戻ってきた。いつもの赤銅色のスーツから白いワイシャツになっており、さすがにこの暑さに参っているのだろう。
開幕早々の苦言に加藤は眉を若干歪ませる。
「今は男じゃないんだ、女子の柔肌はデリケートなのだぞ」
そう溢しながらも、水桶に入った数本のペットボトルを一つ掴み加藤の頬へと押し当てる。ひんやりとした感触が頬へ伝わり、脳に刺激が起こる。歪んだ眉も少しは良くなった気がした。
「…つめたい」
「どっこいせ…はぁ、一段と暑いのぅ」
そう言いながら、慣れたように加藤の隣へと座る。ズボンのポケットに挿した扇子を開き、仰ぎつつ加藤にも風を送った。柔らかな風に当てられ、加藤の飲むペースも上がっていく…口を離せばペットボトルの中はもう少しで半分だった。
快晴とまではいかずも、雲は少なく青空がくっきりとしていた。その中心でジリジリと照らす太陽が、毒づいてしまうほど輝きに満ちている。
だんまりとした時間ばかりが過ぎていくが、この暑さに参って二人とも口を開く元気も薄れていた。
扇子を仰いでも、汗は止まらない。
本格的な夏だ、と嫌でも自覚させてきた。
「…加藤、お主はこの時代までどうやって生きてきた。1998年東京大震災に2004年の崩壊、帝都は死んだ。
もう、憎むべき都市は無くなっただろう。…その憎悪は癒えぬのか?」
素朴な疑問だった。黒田は満洲の地で死んでいる、ようやく意識が芽生えた頃には、とっくに帝都は東京に名を変えて死んでいた。
今ある東京は、かつての面影ではない…東京は再び転生し新しき姿を得た。春になれば桜が至る所に咲き乱れ、有数の名所と呼ばれるほど。それに、かつての東京の面影を思い出させる廃墟のところも、少なからず残っている。これは過去の遺恨だ、と示すようにと言いたげだ。今の東京はまるで墓標に立つ大都市と言えよう、この地下には多くの魂が眠りについている。
時々、龍脈に反応し彼らの声が聞こえていた。多くの感情が渦巻き、黒田が関わった地下鉄工事の時に聞こえた怨霊、霊共の声と似通っていた。
一度死んだ東京を、まだ狙い続ける加藤の憎悪がわからないでいたのだ。
黒田の疑問に答えるように、視線を向けはっきりと言葉を紡ぐ。
「…帝都は滅んだ。
だが、俺の復讐は未だ燻らず。大和の民共が息をし続けている限り俺はまた帝都を壊す、それが俺であるからな…。
憎む者である限り終わりはない。
それに、俺が死んでも新たな【加藤保憲】が現れる。帝都を壊す執念を舐めるなよ、風水師」
本心だ。
ぞわり、とこんな真夏の暑さにも関わらず体の芯から凍るような殺気と冷徹な感情。
久しぶりに感じた息が止まる程の殺気。黒田はこの男との出会いを思い出す、東京に要石に役割を持たせた二宮金次郎像を置いていて回ったときだ。鋭い視線を感じ、目をやれば…鬼が居た。今にでも自分を殺そうとばかりに殺気を放ち、見定め狙いをつけた男。
それから東京地下での式神、鬼退治。加えあの廃寺へと恵子と共に向かい、敗れた。敗れてしまった。
加藤の強さを十分に身に染み付き、逃げ果せても…結局黒田は、加藤が再び帝都を落とし得れようと行動を起こしだろうと予見し、動向を伺っていた。
己の息子に継がせた、意志関係なく継がせてしまったが…悪いという感情はない、少し後悔が残ったのだ。
孫の代まで続き、今ではもうその活動はないが…今世でも、この男との縁は切れそうも無い。
「そうか。まったく、しつこい男は嫌われるぞ」
どうしてか、笑ってしまう。己も似たような者であるが…笑うところではないと思いつつ、嬉しく思ってしまっていた。黒田はその意思の強さが安心できた、自分がかつて見た禍々しく強き者、加藤保憲の姿であると。
短いなぁ…うーん
加賀な恵子さんネタをぼつぼつやってますが、廃寺組か湿っぽい感じになった。腐った感じにもなる
加藤と黒田の組み合わせもいいんじゃないか?…ア、ハイ戯言です、すんません