魔人…が着任しました   作:イシグロ

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めちゃくちゃ人を選ぶ話
加藤たちのキャラ崩壊してる。…なに、今更?それは、そう

四人でワチャワチャイチャイチャしてほしい

不穏は出すけどねん


魔人、猫をかぶる

 

「黒田どのはいじわるであります」

 

べそべそと、ひどく悲しげな声を上げながら涙を流すあきつ丸こと加藤。その様は、本当に少女が悲しみに暮れ、涙を流している姿ではあるが…元は、狡猾で悪辣、外道にふさわしい長身の男軍人であった。

この加藤がなぜ泣いてるかと言えば、黒田の親切心にあった。

黒田からしてみれば、最初こそはだらしなさのない凛とした軍人、の鏡であった姿勢。男の黒田でも、関心と尊敬を思い起こさせるほど。それが今となっては、黒田と甘粕が居ても恵子の傍をべったりとし、まるで大事なものを取られまいとする子供っぽい態度を取るようになったのだ。加藤は男であれど、今は少女だ…生活態度が男のまんますぎたのである。

 

少女らしさのかけらもなかったのだ。

 

黒田はさすがに自分たちはよけれども、いつボロが出てしまっては元も子もない、と危機感を持った。

親心に似た親切心で、口酸っぱく注意してきたのが…加藤の猫なで声のきっかけである。

「きっしょく悪い声を出すでないわ、それと猿芝居過ぎるぞ。

もう少し女らしくしてみせんか。派遣先で急きょ生えた姿を変えることが出来る設定が、本当に死に設定過ぎるぞ」

「うぅ…人が、気にしてることをずけずけと刺さないでほしいであります。うぅ、恵子ぉ」

「きっつ。あとイタイぞ加藤」

さすがに甘粕も、加藤の生活態度を見ていくうちに黒田の親切心に同調していた。

友人だからこその、親切心が湧いていたのだった。

だが、それを知ってか知らずか…加藤の渾身の猫なで声も、二人の男黒田と甘粕にとっては、寒気と鳥肌が酷くなるほどの恐ろしいもの。

冒頭に戻るようにべそべそと泣きながら、恵子に抱きつく。恵子が170に対し、加藤の現在の身長は約155ほどの小柄。黒田よりも小さい身長で、それを利用して恵子の胸がちょうど頭に来るように抱きつくのが、加藤のやり口だった。

男の心情だからこそ、理解できてしまう。とはいえ、甘粕と黒田は加藤の戸惑いの無い行動力に引いた。

それでもうらやましい、とハンカチがあれば引きちぎらんばかりに噛みしめているほど。とはいえ、二人はすでに成人している身、我慢をするように奥歯をギチギチと鳴らすだけにとどめておいた。

「おい、加藤。前々から思ったが、おぬし…恥と言う単語をしっとるか?」

「加藤、お前ちょっと代われ。それと、さすがにバレてるぞ…そのスケベ心」

容赦のない言葉が、加藤を痛めつける。しかし、事実であるので余計に加藤は傷心をひどくした。

「もう、お二方はあなたを思ってのことを言っているのですよ。加藤も解っていますでしょう」

そう、加藤と言う子供を窘める恵子を見て…これはもう、母親だろ…と黒田は心の内に仕舞い込んだ。

その様子を黙って見る甘粕。しばらく何かを考え、理解にたどり着いたようでポツリと独り言ちた。

 

「…バブみ?」

 

「気をしっかりせい!?」

パアン、と甲高い平手打ちが甘粕を襲う。いや、正気に戻させた。

正直な話、何度も言うが甘粕は軍人。本来なら、対人相手…それも、一般人相手の後れを取ることは早々ない。しかし、避けるや受け流すよりも黒田の判断が早く、それに黒田の体が追い付いていたのが悪かった。

「まじ…いッ…た…お前、口より先に手が出るタイプ過ぎるだろ」

「す、すまん。あまりにも危うくなりそうで…」

いきおい過ぎた、と黒田は甘粕に心から謝罪を繰り返す。だが、続けて手加減はしたと言う言葉に、甘粕は少しばかり恐怖が湧いた。

「…だぁもう、平気だ。俺も軍人、アレくらいでトばねぇよ(あれで手加減かよ、…風水師って武闘派だったか?)」

その時、不意に恵子が小さく笑った。どうにか声を抑えるも、笑い声が漏れ出ている。笑みを浮かべ、声を押し殺しながら…恵子は加藤の心情を、情念を暴いた。

「ふふ、うふふ…加藤。あなたは随分とお二方が好きなのですね」

「……」

加藤はその言葉に、一気に口を閉ざした。

「は?」

「…それ、は、…どういう意味で?恵子さん」

「だって、こんなにだらしない姿を見せるって相当気を許しているってことでしょう?加藤がここまで人間らしいのは、初めて見ますわ」

「…本当に、だらしないと言うわけではない、と?」

「たしかに、長らく傍に居てだらしないのは知っていましたけど。…本来ならもっと気を許さない、見せない態度でしょう」

恵子の言う通りであった。本来の加藤はここまでだらしなさを見せることはしない、加藤自身情を持つことがまれであるから。目的のために手段は選ばず、人を落とし入れ、凌辱すらいとわないほど。

尚のこと、ここまでする加藤はなんとも人間らしい、恵子と黒田、甘粕の三人はそう思っていた。

「まぁ…確かに(お恵さんも、だらしないって思っておるのだな)」

「…(この人、ずぶとい上に強かだな)」

ただ、心開いてくれるとはいえ…それはそれ、これはこれ。

黒田はかつて人の親であった、だからこそ…心を鬼にし加藤に苦言を入れたのであった。

 

「加藤、おぬしがワシらを認めてくれるの嬉しい。…だが、もう少ししゃんとせんかい!艦娘であろうとも、軍人であろうが!甘粕を見ろ、この鎮守府にべったりと入り浸って元の巣には戻らんでいるが、意外にもちゃんとしているぞ」

 

「ディスってんのか、褒めてんのかどっちかにしてくれねぇか?」

甘粕は黒田のたびたび表に出る失礼な言葉に思うところはあるも、ほぼ正論であるため反論が出来なかった。

「思うところあるなら、もう少し巣に戻る頻度を増やせ。ばかもの」

「えぇ、…やだ。それと、東条さんからちゃんと許可貰ってるから戻らなくても問題ねぇ。それに、リモートワークで足りる仕事ばかりだしな」

「…東条殿が、言うなら…だが、しかしなぁ……」

いつの間にか、恩師である東条英機に感化された黒田に甘粕はなんともいえぬ気持ちを抱く。自身も、かつて膝を病んで退役の危機に陥った時に十分なほど、世話になったのだ。更にはその報いとばかりに殺人も染めるほど、恩義を持っていた。半分は自身の考えで、あの事件を起こしたのであるが…。

今世、東条英機は軍部のやり方に思うところがあり、いきなり提督にされた社会人や学生、老人、さらには神仕えの者たちに手厚いサポートを行なってきている。

海軍では戦況に対し焦りもあって、それを打破しようと無作為に提督を配置させ深海棲艦の進行を止める動きも見えていた。味方の居ない中の状況、これでは深海棲艦の思うつぼであると踏み、せめて陸軍だけでも味方であろうと言う、東条の考えであった。

「……。お前も東条さんに染められたか」

「将に対する器ではあるが、いささか優しすぎるのがもったいない男だぞ」

「おぬしらよりマシだろ。十分に」

「東条さまは私どものような、神官によくしてくださいますわ。ここはあまり味方が多くはありません、自らが後ろ盾になってくださって…十分すぎるお人ですわよね」

「ワシらのような外部からの風水、易者にも寛大ですしな」

一種の仏、だな…と甘粕と加藤は心の内で思う。

それと、東条の根回しの良さと底に隠された思惑。甘粕と加藤はこの二人には無関係にさせておこうと、これ以上の言葉は紡ぐことは無かった。

「甘粕は東条さんの判断で目をつむるが、加藤おぬしの話は終わっておらんぞ」

「…お前は俺の父親か」

「よさんか、こんな態度のデカすぎる男を息子に持った覚えはないわい」

くどくどと、因縁を持った相手とは言えあまりのだらしなさに黒田は加藤に説教を入れていく。対し、加藤はその説教に思春期、反抗期さながらの子供のように、眉間にしわを寄せ嫌そうであった。…しかし、刀を抜くことも手を出すこともなく、大人しく聞いている。

はたから見れば、父親が娘の生活態度について説教を入れている図に見えた。

その少女が加藤と知っていて、かつての魔人加藤を知る者たちにとっては目を見開く光景であろう。

 

「…ふふ、加藤。なんだかうれしそうではありませんか」

「気のせいにしといた方がいいでしょうな」

 




正直、黒田の手の早さはやりすぎたかなと思ってる
けど、この人言い過ぎだ、と言うことで辰宮ボコボコにしてるんよ。鳴滝さんの次に

普通の風水師は宝剣で暴れ回らないんよ…。時代が時代なのが悪いけども
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