鹿屋のY氏   作:yasu0573

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大変遅くなってしまいました。
申し訳ありませんでした。
今回は、ある艦娘が色々大変なこと(笑)になります。
口は禍の元?
それでは、はじまります。


第 4 話 Y氏、快進撃

南西海域防衛線、敵主力艦隊交戦現場

 

「…。」

俺は、指揮挺の中から茫然と、その光景を見ていた、

指揮挺の隣に浮かんでいる駆逐艦娘達も半ば尊敬、半ば恐怖のまなざしで先頭を駆ける二人を見つめていた。

相変わらず俺の頭の上には、フィリーがふんぞりかえって立っている。

「どうよ、すごいでしょう?」

自慢気なフィリーの声に、俺は黙って頷くしかなかった。

「鎧袖ー触よ、問題ないわ。」

加賀が放った彗星艦爆と流星艦攻が開幕攻撃で敵をズタズタに切り裂き。

「敵艦捕捉、全主砲、なぎはらえ!」

残った敵の旗艦は大和がきっちりとトドメをさしていく。

…正に無双状態。

あっという間に鎮守府海域を開放してしまいました。

確か、初出撃は3日前だったよな。

俺は、現実から逃避するかの様にその時の事を思い出していた。

 

3日前、鹿屋鎮守府桟橋

 

「鹿屋鎮守府第1艦隊、出動する。」

「了解!」

俺の号令に皆が答え、敬礼してくる。

答礼を返した俺は、横に泊めてあるモーターボートに乗り込もうと歩き出した。

「!提督、何してるの?」

満潮がその様子を見て、問いかけてくる。

「何って、皆についていくんだけど。」

俺は、モーターボートを指さして言った。

「…提督、…本気で言ってます?」

満潮はブルブルと体を振るわせなが言った。

「?何か問題でもあるの?」

首をかしげて答える俺の姿を見て、満潮の中で何かが弾けとんだ。

「あんた馬鹿なの?こんなちっぼけな船で私達に付いて来られる訳ないでしょ!」

怒り心頭の満潮に、成る程と頷いた俺は、ポケットからピンポン玉位の球体をとりだした。

玉は掌の上で妖精さん?の姿になり、それを合図に続々と妖精さん?達がポケットから這い出してきた。

「それなら大丈夫、妖精さん?に改造してもらって、32ノットまでだせるから。これならば問題なくついていけるね。」

俺の周りで妖精さん?達がとびはねる。

「かいぞうしました?」

「ていとくさんのるとはやいです?」

「あまあまのおかげです?」

「ていとくさんのあまあまおいしいです?」

「あまあまはやいです?」

「これあまあまじゃないです?」

「あまあまほしいです?」

能天気な答えに、満潮はうがーっと叫び声をあげる。

「何考えてるのよこのうすらとんかちども!こんなの敵の砲弾喰らったら一撃で粉微塵じゃない!すっとぼけるのも大概にしなさいよ!!このすっとこどっこい!!」

一気にまくし立てる満潮の剣幕に、俺は妖精さん?達としょんぼり項垂れる。

「…其処まで言わなくても。」

「…おこられました?」

「…すっとこどっこいです?」

「…だめだめです?」

「…だうーんです?」

「…おちこむです?」

皆で体育座りで落ち込む姿を見て、満潮は慌ててフォローしようとする。

「わ、悪かったわよ、すっとこどっこいなんて言って。」

すっとこどっこい達が体育座りのまま顔を満潮にむける。

「じゃあ、ついて行っても良い?」

「そ、それはダメ!ほ、本当に危ないんだから。」

皆に縋るような目でみつめられうろたえながらも満潮は首を横に振る。

「ふうっ、満潮姉さん、あんたがエスコートしてあげなさいな。」

成り行きを見ていた霞が溜め息をつきつつ満潮に言った。

「ちょっ、霞?あんた何言ってるの?」

慌てる満潮に向かって、霞は言葉を続けた。

「今回向かう鎮守府正面海域はそんなに敵の数は多くないし、満潮姉さんなら十分守りきれるわ、それに明日には指揮挺が届く事だし。」

其処まで言うと霞は満潮に近づき、そっと耳元でささやいた。

「提督さんのすぐ側にいられて嬉しいでしょ、姉さん、」

にやりと笑う霞を耳まで真っ赤にしながら睨み付ける満潮だったが、やかて大きく溜め息をつくと。

「仕方ないわね、私が全て守ってあげるわ。」

そう言って優しく微笑んだ。

 

2日前、1ー2海域、朝0800

 

俺達は既にこの海域のボス戦を行っていた。

昨日の戦闘で判った事だが、加賀以外の艦娘の練度も異常に高い事がわかった。

「なあフィリー、ひょっとして…。」

新しく配備された指揮挺『希望』の艦橋で戦闘の様子を見ながら俺はフィリーに尋ねた。

妖精さん?達と供に指揮挺の運用をしていたフィリーは、呆れ顔で俺を見て、言った。

「やっと気付いたんだ。そうよ、大和以外は全て貴方が育て上げた娘達よ。」

「そうか…。」

俺はじっと彼女達を見つめた。

「あんた、加賀が轟沈して以来、極端に彼女達が傷つくのを怖がっていたでしょ?だからとびっきり丈夫な大和を呼んだの、鹿屋基地だから縁もあったし。」

そうこう言ってる間に戦闘は終了し、曙が至近弾を受けた以外は無傷で戦闘を終えていた。

俺は、集まって来た皆に労いの言葉をかけた。

「皆、お疲れさま。」

俺の声を聞いて、大和が小走りに近づいてくる。

「提督、大和は一生懸命頑張りました。」

俺は、満面の笑みを浮かべる大和の頭をよしよしと撫でる。

大和の笑みがだんだん恍惚とした表情に変わっていく。

「次も頼むよ、大和。」

「ふぁい、がんばりますていとくぅ~。」

ふらふらと奥の方へ歩いていった大和は、何やらぶつぶつと呟き時々きゃっと言って身をくねらせている。

「?大和は何やってんだ?」

俺が首をかしげていると、突然右腕に誰かがしがみついてきた。

慌てて振り向くと、加賀がしがみついていた。

「か、加賀さん?」

「…ここは譲れません。」

加賀は怪しげな踊りをしている大和をじっと見つめながら、回した手に力を込めた。

「…譲れません!」

正規空母の腕力に、さすがの俺も悲鳴をあげる。

「ちょっ、加賀さん?痛い痛い痛い!!」

俺の悲鳴を聞いて満潮が慌てて加賀を引き剥がそうとする。

「何やってんのよ!この焼鳥製造機!!提督の腕がもげちゃうわよ!!」

加賀は提督の腕を離すと、満潮を睨み付けながら言った。

「貴方は今、言ってはならない事をいいましたね?」

そして加賀はジリジリと満潮ににじりよっていく。

「ちょ、ちょっと…。」

気圧されて後退ろうとした満潮だったが、後ろの壁にぶつかってしまう。

「頭に来ました。」

加賀は背を向けて逃げ出そうとした満潮を床に押し倒し、マウントポジションをとる。

「お仕置きです。」

そういうと、加賀は満潮の脇に手を差し込み、こちょこちょとくすぐり始めた。

「きゃっ、 ちょ、ちょっとやめて、きゃははははははっ!」

満潮は何とか加賀から逃れようとじたばたと暴れるが、駆逐艦の腕力ては正規空母の力にかなうはずなかった。

「そんなに私の構造上の欠陥を笑いたいのですか、判りました、思いっきり笑わせてあげます。」

「きゃははははははっ!ゆ、ゆるしてよ、きゃははっ!やめ!」

「……。」

奥では大和が身悶え、横では満潮が加賀にくすぐられている、あまりのカオスな状況におれは茫然と立ちすくんでいた。

『ピィーーーーッ!!』 「うるさいっ!!静かにしろっ!!」

フィリーの一喝で周りは静かになった、…約一人をのぞいて。

「…そしたら、提督とケッコンカッコカリになっちゃって、…そんな…提督…そんな激しく迫られたら私…きゃっ!」

「「「「「「…。」」」」」」

数秒の沈黙の後、霞が溜め息をつきつつ、頬に手をあてて身悶えている大和へ向かって歩いていき。

「いい加減帰ってらっしゃい(笑顔)。」

そういうと、大和のおしりにヤクザキックを叩き込んだ。

 

5分後、ミーティングテーブルに全員着席し、俺の方をじっと見詰めている。

「皆、お疲れさま。鎮守府に到着したら直ちに補給と修理をおこない再びこの海域に出撃する。」

皆は少し驚いた様に俺の方を見る。

「今回の目的はレベル上げにあります、だから旗艦も吹雪から大和へ変更します。」

俺の言葉に大和が顔を引き締めて頷く。

「二番目は曙、次に霞、満潮、加賀、吹雪の順で行きます、明日も1ー3で同じ事をおこないます、明日までに全員レベル30以上まであげます。」

曙が手をあげて立ち上がる。

「何でそんなに急いでレベルを上げるの?」

曙の問いに俺は曙の方を見ながら答えた。

「南西海域の沖ノ島、北方海域のキス島対策だよ、経験値を上げてないとここのクリアは難しいからね、今のうちに経験値を稼がせてもらうよ。」

曙は、納得したらしくコクリと頷いた。

 

南西海域防衛線、敵主力艦隊交戦現場

 

「提督、敵主力を壊滅しました。」

俺がぼーっとしている間に最後の敵を撃破してしまったらしい、

皆が俺の周りに集まって来て、大和が満面の笑みで俺に報告してくる。

思わずよしよしと頭を撫でようとした俺を霞が慌てて止める。

「提督!大和の頭を撫でるのは帰ってからにして!こんなところで妄想モードに入られたら連れて帰るのが大変になるじゃない。」

霞の声に我に返った俺は、大和の肩に手をおいて言った。

「さあ大和、鎮守府へ凱旋しよう、旗艦として堂々たる姿を皆に見せつけてあげようじゃないか。」

その時、フィリーが電文の紙を持ってきた。

「宇垣司令官から電文が来てるわよ。」

「宇垣閣下から?」

俺が驚いていると、フィリーがニヤッとわらいながらいった。

「海域開放の電文を打っておいたから、その返信じゃない?」

俺は、頷くと、電文を受け取った。

『Y氏の艦隊の快進撃に敬意を表す。』

電文を読み上げた瞬間、皆から歓声があがった。

俺は、大きく頷くと、皆に言った。

「皆、鹿屋鎮守府に帰ろう!」

俺の言葉に皆が姿勢を正す。

「提督、ご命令を。」

旗艦大和の言葉に、俺は大きな声で指示をだした。

「鹿屋鎮守府第1艦隊、帰還する!」

 




第3話を書き終わった反動からか、暫くイメージがうかんできませんでした。
久々に満潮を育てようと、旗艦に据えて、キス島を流している時、補給ボイスの『ありがと』を聴き、やっとイメージが湧いて来ました。
ツンデレな満潮ちゃんが大好きです。
霞は、どちらかと云うとアネゴ的な感じがします。
大和の面倒、宜しく。

今回も拙い文章を読んで頂き、有り難うございました。
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