今回も前後編です。
書いてて気が付きましたが、どうやら私は関西弁で話す艦娘、めっちゃ可愛いと思ってしまうみたいです。
それでは、はじまります。
???
「あのにわか提督はもう鎮守府海域を開放してしまったのか?」
「忌々しいですが、そのようです。」
陸軍の将官服を着た恰幅の良い男が、同じく参謀肩章を着けた佐官と話をしていた。
「クーデター成功後に関東軍は解体、陸軍の主要なポストは青風会のメンバーが独占、海軍も高野大将が主宰する紺碧会のメンバーが幅をきかせていると聞く、あのにわか提督が足を引っ張ればと思っていたが、まさかここまでやれるとは…。」
「奴は大和型の召喚に成功したそうです、きっとそれが原因でしょう。」
忌々しそうに顔を歪めて話す将官に、佐官が唇を歪めて相づちをうつ。
「…このままでは我々の力が大きく削がれてしまう、何とかしなければ…。」
その言葉を聞いてニヤリと笑う佐官は。
「自分に良いアイデアがあります。」
そう言うと将官に向かって耳打ちをする。
「?…!そうか、それは面白いな!彼奴等の驚いた顔が目に浮かぶわ!是非やりたまえ!」
狂喜する将官の隣で佐官も不敵に笑う。
「ええ、真に日本を守るのは府抜けた海軍の連中ではなく、我々だと教えてやりましょう。」
鹿屋基地、基地司令執務室
「はい?陸軍から演習の申し込みですか?」
いきなり呼び出しをうけ、慌ててとんできたYは、目の前にいる宇垣中将にそう言われた。
キョトンとした顔をして宇垣中将を見たYは、宇垣に質問する。
「陸軍と何の演習をするんですか?我々は海軍なんですけと。」
Yの言葉に宇垣中将は苦笑いしながらいった。
「陸軍も艦隊を持っている、主に輸送船や強襲揚陸艦だが一部戦闘用の船もある、輸送船の護衛が主目的だがな。」
宇垣の言葉にますますYの疑問は深まる。
「…何だか怪しげな匂いがするんですが…この演習、受けないと駄目ですか?」
Yの言葉に宇垣ははははっと笑った。
「そう言うと思って断っておいた、今この件を話したのは意志疎通を確実にしておきたかったからだ。」
どや顔の宇垣中将を見て、Yはそっと溜め息をつく。
「…人が悪いですよ、中将。」
「はっはっはっ、許せ、からかいが過ぎたな、」
ひとしきり笑った後、宇垣中将は急に真面目な顔をしていった。
「どうも陸軍の急進派の連中が騒いでいるみたいでな、陸軍にも艦娘の指揮権を渡せ、此方の方が上手く運用出来ると言ってな。」
宇垣中将の話を聞いて、俺は呆れはてたようにいった。
「関東軍を解体された陸軍が因縁をつけているみたいですね。」
Yの言葉に宇垣は苦い顔をして頷く。
「正にその通りだ、深海凄艦対策で海軍の影響力が大きくなったために割りを食ったと感じているらしい、事が感情論だけに厄介だ。」
黙って頷くYをみて、宇垣は言葉を続ける。
「大高総理にも話をしてあるし、この基地内の事は私を通すように言ってあるが、直接君の所へ行って難癖をつけるかもしれない、十分に留意してくれ。」
「了解しました、宇垣閣下。」
Yの敬礼に答礼を返した宇垣は、話題を変えるように腕時計を見て、言った。
「もうそろそろ来る頃なんだが…。」
その時、こんこんとドアをノックするおとがきこえた。
「来たな、入れ。」
宇垣の入室を促す声に「失礼します。」と言ってドアが開き、二人の女性が入ってきた。
「一航戦、赤城です。」
緋色の袴姿の女性が静かに挨拶する。
「龍驤や、よろしゅうな。」
変わった帽子をかぶった女の子が関西弁で挨拶してきた。
「鹿屋鎮守府、提督のYです。」
二人の挨拶に、Yが答えていると、宇垣中将が話始めた。
「赤城は高野総長から預かった、鎮守府海域開放の報奨だそうだ。」
宇垣は、Yの所まで歩いて来ると、肩に手をおいて言った。
「大高総理からも、この上ない快挙だとお褒めの言葉を賜った、今後も頑張ってほしいとの事だ。赤城も、宜しくたのむぞ。」
宇垣の言葉に二人は頷いた。
「そして、龍驤君には君の提案通りの装備を搭載してある。」
宇垣は真っ直ぐにYを見る。
「君のレポートを読んで泰山航空工業の東野社長が目を輝かせていたからな、烈風に負けられないと言って。」
Yは、苦笑いしながら頷いた。
あの社長、誠実な人柄だけどマッドな所があるからな。
「ま、うちが来たからには全部キッチリ守ったるさかい、安心してえな。」
龍驤が笑顔で言うと隣にいた赤城が龍驤を見ながら言った。
「宜しくね、゛フラッチェ゛。」
Yは凍りついた。
龍驤は頭に?マークを着けながら
「なんや?フラッチェって?」
と、赤城に尋ねた。
「貴女のニックネームよ、可愛いでしょ?」
満面の笑みを浮かべる赤城を見て、龍驤は胡散臭げな顔をして赤城に尋ねた。
「…因みに、どういう意味なん?」
どや顔をした赤城が答えた。
「フラットチェスト、平らな胸って意味よ。」
「ぶっ!」
宇垣中将が吹き出しかけ、慌てて口を手でふさぎ後ろをむく。
笑いを堪えているのか、肩が微妙に震えている。
もう一人、肩をわなわなと震わせていた龍驤は…。
「…上等や一航戦!そのケンカ買ったるわ!!」
彼女の怒声に我に返ったYは、慌てて龍驤を羽交い締めにする。
「わ~!落ち着け!落ち着くんだ龍驤!」
「提督!後生やさかい離したってや!あのどぐされ頭に一発かましたるんや!」
「暴力は駄目!暴力は駄目!」
赤城はニヤニヤとしながら羽交い締めされている龍驤に近づくと、何の前触れもなしに両手で龍驤の胸を鷲掴みにし、おもむろにもみ始めた。
「なあっ!!」
Yと、龍驤、二人して固まっていると、赤城がトドメをさすように言った。
「ごめんなさいね、龍驤ちゃん、フラットじゃなかったわ、微かに膨らんでいたわ、プニプニして柔らかいのね。」
羽交い締めから滑り落ちるようにへたりこんだ龍驤は、地面に両手をついて項垂れた。
「…胸、触られてしもた。」
だうーんと落ち込む龍驤を見て、Yは慌てて赤城を叱る
「赤城、からかいが過ぎるぞ。」
Yの叱責に、赤城が口をとがらせる。
「だって、龍驤ちゃん、新型機の自慢しているみたいで羨ましかったんだもん。」
そう言ってそっぽをむく赤城に、Yは溜め息をつき、龍驤を見ながら言った。
「だからってこれはやり過ぎだ、龍驤が立ち直れないじゃないか。」
へたれこみ、項垂れた龍驤が何やらぶつぶつと呟いている。
「…とうせうちはフラットチェストなんや、…平らなんや…やっと掴めるプニプニなんや。」
龍驤の様子をみて、溜め息をついた赤城は、彼女の側までよると、小声でこしょこしょと話しかけた。
「!それ、ほんま?」
赤城の声を聴き、ガバッと顔を上げた龍驤は、赤城にすがり付く様に彼女の腕を掴んだ。
「ええ、本当よ、私も手伝ってあげるわ。」
龍驤は涙をながしつつ。
「おおきに、赤城はん!あんたええ人や!」
赤城にだきついた。
赤城はニコッと微笑むと、宇垣中将の方を向き、敬礼しながら言った。
「それでは基地司令、我々はこれで失礼します、提督、鎮守府を案内してくださいな。」
「あ、ああ、ご苦労。」
宇垣中将の答礼を待って、赤城は敬礼を終えると固まっているYの腕をつかんで引きずるように執務室を出た。
一人、取り残された宇垣は、溜め息をつくと、窓越しに空を見上げた。
「…艦娘の相手は大変だな、予想以上に疲れる。」
鹿屋鎮守府、執務室前廊下。
3人が鎮守府に戻って来ると、執務室の中から何やら言い争っているような声がきこえた。
「何をやっている?」
ドアを開けると、執務室の中で陸軍の制服を着た見慣れない顔の男が、曙、満潮と言い争っている。
満潮がこちらに気付き小走りに近づいてくる。
「提督!なんなの?この男!いきなり入ってきて演習をうけないとは何事か、とかワケわからないこと喚き散らして私達に突っ掛かってくるし!」
語彙を強める満潮をまあまあと宥めつつYは男の方に向き直る。
「…この鎮守府を預かります帝国海軍少将のYですが、どちら様ですか?」
Yの問いかけに男は不機嫌そうに答える。
「帝国陸軍、参謀本部付、辻中佐である。」
Yはちらっと皆の方を見た。
曙は目を吊り上げ、今にも艤装を出しかねない勢いだし、他の連中も同じ…、加賀は既に艤装つけてやがる。
何とか宥めようとした瞬間、一呼吸早く霞が声をかけてきた。
「提督、コーヒー淹れてきたわ、細かい話は隣でしたら?」
霞、ナイスタイミング!
Yは中佐の方に向き直って言った。
「細かい話は隣の応接室で伺います、どうぞこちらへ。」
今回出てくる辻中佐は飽くまで仮想の人物です、決して
戦後、議員になったあの人ではありません。
たぶんあの人ならもっと巧妙に仕掛けるのでしょう。
今回も乱文を読んで頂き有り難うございました。