鹿屋のY氏   作:yasu0573

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前回の投稿から半年・・・。
やったね、投稿の時間がヨンブンノイチになった・・・。

すみません、相変わらず失踪癖が抜けません。
妄想全開の艦隊これくしょん=妄想が湧かないと書けない。

すみません、言い訳です。

これから頑張ります。

それでは、はじまります。


第6話 Y氏、同胞を助ける。 前編 それぞれの覚悟

鹿屋鎮守府内、大会議室。

 

「反対です!」

大和の声が会議室に響いた。

「何で提督が現場指揮を取らないといけないのですか?」

大和の質問に加賀も続く。

「提督は此処で吉報をお待ちください。それとも、私達のことが信用出来ませんか?」

目を閉じ、話を聞いていたYがそっと目をひらく。

「質問を返すが、加賀はこの作戦を考えた私の事が信用出来ないのか?」

加賀はぐっとつまると、うつむいてしまう。

「そんな事言ってません、」

大和が加賀を庇うように声をあげる。

「提督が出撃する事自体危険だと申し上げているのです、話を逸らさないで下さい!」

大和の大きな声に、おどおどとしていた羽黒と名取の二人がこくこくと頷いた。

「て、敵には戦艦も、その、いるって・・・。」

「そ、そうだよ、ちっちゃい子だけだとあぶないよ。怪我しちゃうよ。」

羽黒と名取の言葉に気の強い駆逐艦達が反応する。

「何よ!私達じゃ提督の事を守れないとでもいうの?」

「ふざけんじゃないわよ!」

満潮と曙が血相を変えて二人に詰め寄る。

「は、羽黒ちゃん。」

「名取ちゃ~ん。」

二人の駆逐艦に威嚇され、気の弱い巡洋艦達は抱き合ってガタガタと震える。

「大きいからって強い訳じゃないんだから!」

「ちっちゃい方が機敏に動けるんだから!」

なぜか羽黒と名取のおっきな胸部装甲を悔しそうに睨み付け、今にも襲いかかろうとしている二人を、朝潮と吹雪が慌てて止めに入る。

「満潮!何しているの!やめなさい!」

「離して、朝潮姉!こんなこと言われて黙ってらんないわ!」

「曙ちゃんも、少し落ち着こうよ。」

「離して吹雪!離さないとあとで酷いわよ!」

羽交い締めにされなからも、満潮と曙はジタバタと暴れる。

「二人とも聞きなさい。羽黒さんも名取さんもそんなつもりで言ったんじゃないと思うの。」

「そうだよ、寧ろ私達の事を心配しているんだよ。」

朝潮と吹雪の言葉に、抱き合っていた羽黒と名取は涙目になりながらこくこくと必死に頷く。

「「・・・・・・。」」

半泣きな二人を見て、毒気を抜かれた満潮と曙は、朝潮と吹雪に自分の席まで引きずられていく。

「・・・ん、んんっ。」

Yが咳払いをして、話題を変えようとする。

「とにかくだ、大和、加賀も、俺がキスカ島に着いていく事は決定事項だ、変更はしない。」

「・・・・・・。」

「・・・、仕方ないですね。」

大和は口を尖らせて拗ねてしまい、加賀は溜め息を吐いて渋々了承した。

「でも、提督。確かに戦力不足は否めないわ、いくら大型艦が霊気により接近不可能でも、軽巡洋艦なら1隻まで同行できるわ。なんなら私が同行するわよ?」

矢矧が然り気無く大和をフォローするように言った。

「ありがとう矢矧。だが、その枠は別に使わなければならないんだ、すまない、後で説明するから。」

「そう、なら仕方ないわね。」

Yに言われて、矢矧はあっさりと引き下がる。

「矢矧!何でそこで引き下がるのよ。」

大和の非難に、矢矧は苦笑いしながら答える。

「説明するっていってるでしょう?落ち着きなさい、大和。」

その時、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。

「どうぞ、お入り下さい。」

Yがうながすと、ドアか開き、宇垣大将が入ってきた。

「そうい。」

「ああ、敬礼は省いてくれ。」

「・・・、失礼しました。」

Yが号令をかけようとするのを遮り、宇垣は前に進み出る。

「2つ報告がある。一つ目はアッツ島の編成は連合艦隊編成で行く事になった。それにともない、もう5人、フィリー君に頼んできた、終わったらこちらに連れてくるそうだ。二つ目は巡洋艦娘母艦、『天照』が完成した。」

嬉しそうに宇垣大将が話を続ける。

「『天照』は装甲巡洋艦の船体に入渠設備と艤装の修理用の簡易工厰を設置し、動く泊地とも言うべき機能をもっている、当然指揮艇『希望』も収納できる。」

「・・・。」

「防御能力も凄いぞ、ル級とタ級の16インチにも十分耐えられる。護衛用として15.5センチ連装砲3基6門、25ミリ3連装対空機銃8基、三式爆雷投射器を装備。対空、水上電探、水中聴音機も最新型を積んでいる、速力は最大戦速で43ノット、島風より速くなったな。」

「・・・あの~、今回はおっきな船は使えないのでは?」

宇垣大将の勢いに気圧されつつ、大和が質問する。

「?Y君、まだ話してないのか?」

宇垣の問いにYは黙って頷く。

苦笑いしながら宇垣は大和の方を向いて答えた。

「大和、『天照』はアッツ島戦線に投入する、『希望』とは別行動となる。」

「?じゃあ、『天照』には誰が乗るのですか?」

首を傾げる大和を見て、宇垣はニヤリとわらう。

「モチロン、私だ。」

・・・・・・。

時計の針の音がカチッ、カチッと聞こえるような静粛さが数秒続き・・・。

「えええ~~~~っ!!」×13。

蜂の巣をつついたよいな大騒ぎとなった。

「長官!危険です!止めて下さい!!」

「再考をねがいます、キスカに比べても危険過ぎます。」

「長官・・・、それはさすがに年寄りの冷や水ってやつじゃないですか?」

大和は絶叫し、加賀は必死に翻意を促し、矢矧はジト目で嫌味を言った。

「大和!落ち着け!それでも連合艦隊旗艦か!それに加賀、今回のアッツ島派遣艦隊の目的を思い出せ。」

宇垣が大和に一喝し、加賀に話しかける。

「今回のアッツ島派遣艦隊は出来る限り敵を誘引し、殲滅する事が最大の目的だ、大型艦がいた方が誘引効果が高いのは知っているだろう。」

宇垣の言葉に加賀は黙ってしまったが、矢矧はギロッと宇垣を睨み付け、立ち上がった。

「そう言うのを年寄りの冷や水って言うのよ!特攻隊みたいに自分の命を的にするような事はやめなさい!」

矢矧の言葉に宇垣の目が細まる。

「護りきる自信がないか?矢矧。」

「えっ?」

突然の問いに戸惑う矢矧を見て、宇垣はニヤリとわらう。

「神通なら『二水戦旗艦として必ず護りきる覚悟です、長官は安んじて指揮に専念下さい。』位は言うと思うがな。」

「・・・。」

矢矧は唇を噛みしめ、悔しそうに宇垣を睨み付ける。

「矢矧よ、勘違いしないで欲しい。私は決死の特攻を行うのではない、あんな事、するのもさせるのも2度とゴメンだ!」

宇垣の言葉にはっとした顔をした矢矧は、顔を赤らめてうつむいてしまう。

「今回は現場での細かい指揮が勝敗を分ける事になるだろう、負け戦しか経験のない俺だが、過去に何度も大海戦を経験してきた自負がある、今度こそあの化け物共に目にもの見せてやる。」

そう言うと宇垣は皆に笑いかけながら言葉を続けた。

「Y君流に言うと、『歴史に埋もれる敗北は要らない、皆で暁の水平線に勝利を刻みに行こう!』・・・と言ったところかな。」

俯いていた矢矧が、キッと顔を上げ宇垣に敬礼をする。

「宇垣長官、失言を謝罪します。この償いは神通に成り代わり貴方を守り抜く事で代えさせて頂きたいと思います。」

矢矧の謝罪の言葉に、宇垣は頷く。

「期待しているぞ矢矧、誉れ高き二水戦最後の旗艦よ。」

宇垣大将は矢矧に右手を差し出し、矢矧も右手で握手をする。

「長官!大和も頑張ります!」

「我々も一航戦の誇りにかけて長官を守ります。ねえ、加賀さん?」

「流石に気分が高揚します。」

「うちかて元一航戦や、若い者には負けへん。」

「が、がんばろうね!羽黒ちゃん!」

「う、うん名取ちゃん、五倍の敵でも支えて見せます!」

宇垣の言葉を聞き、アッツ島戦線に参加する皆の士気が上がっていく。

その時。

「・・・もういいかしら?」

Yの後ろからフィリーの声が聞こえてきた。

慌てて振り向くとドアのところに立っている大柄な女性の肩にフィリーが仁王立ちして、此方を睨んでいた。

「全く!バーナーまで使って急いできたのに、待ちぼうけ食らわすなんてどういうつもり?」

フィリーににらまれた宇垣は、頭を叩きながら頭を下げる。

「いやぁ、すまんすまん。年甲斐なく熱くなってしまったよ。」

「・・・、まあ、気持ちは判るけどね。さあ皆、はいるわよ。」

フィリーの声に続いて艦娘達が会議室に入ってきた。

「私が戦艦長門だ、よろしくたのむぞ。敵戦艦との殴りあいなら任せておけ。」

フィリーを肩にのせ、何故か得意気な顔をした長門から挨拶していく。

「我輩が利根である!我輩が艦隊に加わる以上、もう、索敵の心配はないぞ!」

「はじめまして、利根型二番艦、筑摩と申します。」

「翔鶴型航空母艦一番艦、翔鶴です。一航戦、二航戦の先輩方に、少しでも近づけるように、瑞鶴と一緒に頑張ります!」

「翔鶴型航空母艦二番艦、妹の瑞鶴です。幸運の空母ですって?そうじゃないの、一生懸命やっているだけ・・・よ。艦載機があるかぎり、負けないわ!」

「自分、あきつ丸であります。艦隊にお世話になります。」

「今回は宇垣長官が指揮しやすい様に第八戦隊を中心に呼んだわ。」

フィリーの言葉に利根と筑摩がニッコリと笑う。

「久しいの、宇垣提督。我輩が来たからにはもう安心じゃ。」

「ご無沙汰しております、宇垣長官。利根姉さんと二人、またお世話になります。」

「利根に筑摩、君達が来てくれるとは心強い、宜しくたのむぞ。」

入ってきた艦娘の挨拶が終わったとき、霞が首を傾げる。

「あれ?何で6人なの?確か建造は5人のはずだったけど?」

霞の疑問にYが答える。

「霞、あきつ丸君は陸軍から派遣されてきた。今回の作戦においては、我々キスカ戦線に参加する。」

Yは席を立つと、あきつ丸の横に移動する。

「あきつ丸君には、艤装の代わりに揚陸艦あきつ丸そのものを操って貰う、だから軽巡洋艦を配備できないんだ。」

Yの言葉に矢矧は感心したように頷く。

「確かにあきつ丸さんがいれば撤収作業も素早く出来るわね。だから軽巡洋艦を加えなかったのね。」

「矢矧、そう言うことだ。キスカ戦線は駆逐艦の編成で行く。納得してくれたか?」

Yの言葉に、矢矧は苦笑いしながら頷く。

「そうね、現地指揮が必要なのはキスカも同じだしね、霞、吹雪、皆を纏めてしっかりと提督を守ってね。」

矢矧の激励に二人はコクリと頷く。

「陸軍を代表し、今回の作戦に参加させて頂きます。撤退する兵士の皆さんを安全に本土まで運んで見せます。皆様、どうか宜しくお願いしますであります。」

あきつ丸は胸を張り、陸軍式の敬礼をおこなう。

「あきつ丸君、宜しくお願いする。」

Yは答礼を返した後、あきつ丸に握手を求める。

あきつ丸はYの右手をしっかりと握りしめながら言った。

「この作戦は隊長殿が発案したものだと聞いております、隊長殿の下でこの名誉ある作戦に参加出来る事を誇りに思うであります。」

「ありがとう。」

あきつ丸との握手を終えたYが皆の方へ振り返る。

「皆揃った所で細部の説明に入る。」

Yの言葉に、皆の視線が集まる。

会議室には、静かな熱気に包まれていた。

 

おまけ

駆逐艦寮、吹雪の部屋

 

「・・・あの~、曙ちゃん?」

「・・・何よ。」

「・・・何で私抱き枕にされてるのかなぁ?」

「うっさい!会議の時の報復よ。黙って抱き枕にされてなさい!」

「・・・ええ~っ?」

「何よ、文句あるの?」ぎゅううっ。

「!い、痛い痛い!曙ちゃん痛いよ。」

「逆らうともっと締め上げるわよ」

「しょんな~。」

きゅっ(吹雪ってホントにポカポカしてる、島風の言った通りね。・・・これは癖になりそう。)

(うううっ、曙ちゃんの腕の骨が肋にあたって痛い。)

 

翌朝、キラキラ状態の曙と、目の下に隈を作った赤疲労状態の吹雪が並んで食堂に向かう姿が見られた。

 

おまけ2

駆逐艦寮、朝潮の部屋

 

「・・・ねえ、島風。」

「なあに、朝潮。」

「何で貴方が私のフトンに入ってきてるの?」

「あのね、曙がね、『今日、吹雪は私と寝るからあんたどっか行きなさい!』って、追い出されちゃった。」

「だからって、何で私の部屋でねてるの?自分の部屋があるでしょう?」

「・・・、だって・・・寂しいんだもん。」

「・・・、はあっ。わかったわ、今日だけよ。」

「!ありがとー、朝潮!」ぎゅううっ。

「!!ぎゃああっ!痛い痛い痛い!島風離して!」

「あっ、ご、ごめんなさい。」

「もう、抱き枕にはしない!」

「・・・、ごめん、わかった。」(しょんぼり)

「・・・、はあっ、(抱き寄せ)これでい?」

「(パアッ)うん!」

「おやすみなさい、島風。」

「おやすみなさい、朝潮。」

 

翌朝

「おはよう、島風。よく寝られた?」

「・・・肋骨が顔にあたって痛かった(寝惚け)。」

ガ~ン(それって、私の胸がペッタンコって事?)

「(寝惚け)でも、朝潮も吹雪と同じでポカポカして気持ちよかった。」

「・・・そう。(聞こえてない)」

 

その後、顔に縦線をいれた朝潮が、何故かご機嫌な島風に引きずられながら食堂に向かう姿が見られた。

 

・・・食堂では、何故か龍驤に抱きついてさめざめと涙を流す朝潮と。朝潮を抱き寄せ、静かに涙を流す龍驤の姿があったとか・・・。

 




次は閑話になります。
8月15日に投稿予定・・・。
するかも・・・。
出来れば・・・いいなぁ。

拙作を読んで頂き、ありがとうございました。
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