異世界転生後輩   作:一之三頼

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第一章 ウラッセア王国騒乱
噂の人物


リエフの街を出て一日、その間は事件も事故も無く穏やかな旅路が続いた。

 

そして馬車に揺られているとジャックさんから声を掛けられる。

 

 

 

「よし、ワシャールに着いたぜ。」

 

「ここが………。」

 

 

 

ワシャールの街に到着し、馬車から降りると目の前に広がった光景は、

 

 

 

「なんて言うか、普通ですね。」

 

 

 

割と異世界物で描かれるような、中世感のある建造物が立ち並んでいた。

 

 

 

「最前線の街って言うからもっとボロボロだと思いましたか?」

 

「はい。でも想像以上に平和そうで、ちょっと驚きました。」

 

「そりゃ王国軍の連中も無能って訳じゃねぇだろうからな。ただ………」

 

「ただ?」

 

 

 

廃墟とは言わなくとも、多少は建物とかが壊れているのかと思った。

 

ジャックさんは王国軍の事を無能ではないと評価するが、その先を言い淀む。

 

確かに全く戦えないなら、こちらまで逃げてこなかっただろうけど、王国軍に何かあったんだろうか。

 

 

 

「やぁ、ジャック。君もこちらに来たのか。」

 

 

 

ジャックさんに話の続きを促そうとすると、儚げな見た目の青年がジャックさんに声を掛ける。

 

彼も『差し伸べる手』の仲間だろうか?

 

 

 

「よぉ、フリード。久しぶりだな。」

 

「!?」

 

 

 

この優男があの噂のパワハラ上司ことフリードだと!?

 

もっと厳つくてゴリゴリの体育会系な見た目だと思っていた。

 

この見た目で『パワハラしてます』なんて言われても信じられないし、それどころかパワハラの被害に遭ってそうな見た目だ。

 

 

 

「リエフの方はどんな雰囲気だったかい?」

 

「一部の連中が不満を持ってるが、URPの奴らがそいつらを処分してる。不安定ではあるが、強引に引き締めてるって感じだな。」

 

「そうか。さっさと自滅してくれれば楽なんだけどね。」

 

「そう上手くはいかねぇだろ。」

 

「向こうに内患があるように、こっちも問題があるんだ。楽観的な話をするくらいは良いじゃないか。」

 

 

 

驚愕する俺を余所にジャックさんとフリードは話を続ける。

 

しかしそこにフリードの部下と思しき人物が声を掛ける。

 

 

 

「フリード様。ゲーラン様がお待ちです。」

 

「おっと、今行くよ。長旅で疲れている中引き留めて悪かったね。また後で時間を作らせてもらうよ。それじゃ、また。」

 

「おう、またな。」

 

 

 

フリードは部下に連れられてこの場を離れる。

 

 

 

「今の人が………。」

 

「あぁ、あいつがフリードだ。」

 

「こう言ったらなんですが、見た目だけだと噂で聞いたようなヤバい人じゃなさそうですね。」

 

「見た目だけなら、な。」

 

「え?」

 

「まぁそのうち分かるだろ。さっさと拠点に行って休むとしようぜ。」

 

 

 

ジャックさんに促され、『差し伸べる手』のワシャール支部に向かう。

 

出来れば実際にフリードのヤバさを体験する前に話を聞いておきたいが、聞きたくないと言う気持ちもある。

 

どうか想像を超えるヤバさを見せつけられませんように………。

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