異世界転生後輩   作:一之三頼

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極端過ぎはしないでしょうか?

深く暗い赤色の髪と上顎に髭を蓄えた人物、ラディウム公は怒気を纏いながら自身の息子を怒鳴りつける。

一方のユーステッドは怒鳴られながらも彼に弁明をしようとするが……

 

「父上、心配をおかけしたことはお詫び致します。しかし……」

「言い訳など聞かん!」

 

ラディウム公は聞く耳を持たず、更に りつけようとした。

 

「どうかオレたちの話を聞いて下さい、父上!ラディウムは今、窮地に陥っているのですよ!」

「あぁ、そうだとも!その窮地においてお前はふらりと姿を消しおって!」

「それは父上がオレの話を聞いてくれないからでしょう!」

 

それでも怯まずにユーステッドは自身の父親に意見するが、双方は売り言葉に買い言葉で徐々にヒートアップしていく。

 

「話は聞いている!その上で判断を下しているまでだ!」

「内戦が起きんとする状況を放置する事が正しい判断だとでも言いたいのですか!」

「人聞きの悪い事を言うでないわ!私は最善を選択している!」

 

これまでユーステッドがここまで激昂する姿を見た事は無く、驚きのあまり小さく口を開けて呆然としてしまう。

 

「えぇい!埒が明かん!貴様の事は一旦置いておくとして、そこの男は何者だ?」

「お初にお目にかかります。俺はユーキ・リョータ、マスカから来た転生者です。」

「ほぉ、王都から遥々ここまで……。む、確かアルステッドがフリードから遣わされた者の対応をしていたな。そうか、貴様が……。」

「いかにも。」

 

しかしラディウム公は激論を続ける事無く意識を切り替え、俺の方を見て問い掛けた。

ハッとして短く自己紹介をすると、ラディウム公は思い出したように呟き、独りでに納得する。

どうやらフリードやアルステッドからも、問題無く話が通っていたようでまずは一安心だ。

 

「それで、アルステッドが応じている貴様が何故、愚息と共にいる?何用でここに来た?」

 

一息入れた事で先程までの激昂は無かったかのように振舞うラディウム公。

彼が単刀直入にこちらの用件を尋ねてきたので、俺も本題を提示する。

 

「ラディウム公、俺はこの領を見て回り、僅かな時と言えど生活しました。そこでは現地民と転生者の格差があまりにも開いているのです。ラディウムに平穏を保つのであればそれぞれのバランスが肝要だと思ったのですが、何故こうも転生者贔屓をするのですか?どうしてもそれを公爵の口から聞きたいのです。」

「ラディウムは代々転生者のもたらす知啓によって発展してきた。であれば転生者を優遇する事は当然であろう。」

「それはアルステッド殿から伺いました。しかし極端すぎはしないでしょうか?」

「…………。」

 

彼の語る伝統だけでは片付かない程に、現地民と転生者の格差は乖離しているのだ。

為政者として何を考えているのか、それを聞かなくては海賊問題は解決出来ない。

緊張しながらも、俺はラディウム公の眼をじっと見つめ、彼の答えを待つ。

 

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